異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#22 Overwhelming

『この世界、ラグナロクの全土から集められた名だたる超人、その中には高度な魔法を扱うもの、五体に筋力を引っさげた者、多種多様な戦士がいました!!!

 

総参加選手 32名!累々たる屍を踏み越えた2人の武士(もののふ)が今、合間見えようとしています!!!!!』

 

 

大歓声の中、2人 田中哲郎とノア・シェヘラザードは試合会場に足を運んだ。

 

『ここに合間見えた2人、青年と少年

この2人こそが魔界コロシアムを制してきた戦士たちです!!!!』

 

 

『片やその甘いマスクから放たれる強力な魔法で様々な完封劇を演じ、ここまで勝ち上ってきた 魔人族

 

ノア・シェヘラザードォォォ!!!!!

 

 

片やその身に引っさげたマーシャルアーツと尋常ではない耐久力で並み居る優勝候補を倒し、大番狂わせと逆転劇を演じてきた人間族の少年

 

テツロウ・タナァァカァァァ!!!!!』

 

 

相対した青年と少年を囲んで熱狂が場を包む。

 

『この試合にはもう1つの大きな意味があると思われます!!

 

準決勝では第1試合は魔法の、そして第2試合ではマーシャルアーツが勝利しました!!!

 

つまり、この試合によって 魔法とマーシャルアーツ、どちらが強いのかが決まるといってもいいでしょう!!!!

 

少なくとも、この一戦がラグナロクの歴史に新たな1ページを刻むのは、想像に難くありません!!!!!』

 

 

魔人族などが得意とする魔法、そしてそれに対抗するために人間族などが作ったマーシャルアーツ

その優劣はラグナロクにおいても最も有名な謎の1つ、そして1部からはタブー扱いされているものだ。

それが証明されるであろうこの試合に ラグナロクの全人類が興味津々であることは言わずとも分かる事だ。

 

 

「殺害 以外の全てを認めます。

それでは決勝戦

 

 

始めてください!!!!!」

『さぁ遂に、火蓋は切って落とされた!!!!!

一戦一戦を全力で勝ちに行ったテツロウ選手、そして並み居る強豪を余力を持って制したノア選手

 

先に仕掛けるのは果たして━━━━━━━━

ああっ!!!!』

 

 

仕掛けたのは哲郎だ。

その指をノアの目に突き立てんと貫手を繰り出す。しかし、

 

 

ガッ! 「!!!」

『と、止まった!!!

テツロウ選手が魔界公爵 レオル・イギア選手に繰り出した初手目潰し

 

それを難なく止めて見せた!!!』

 

 

グリンッ!! 「うっ!!!」

 

ノアが掴んだ哲郎の手首を捻り、体をきりもみ回転させる。

体制の崩れた哲郎の背中に手のひらをかざし、

 

 

ドォン!!!! 「!!!!」

『ば、爆発魔法!!!!

ノア選手、マーシャルアーツで崩したテツロウ選手に、魔法を繰り出しました!!!』

 

吹き飛びはしたが、哲郎はすぐに回転して受身をとる。

 

 

『尚も仕掛けます テツロウ選手!!!

今度は何が繰り出されるのか!!?』

 

今度はノアの直前で立ち止まり、腕を掴んで体を翻した。

 

『こ、これはサラ選手に使った投げ技だ!!!!』

 

ドガァン!!!! 「!!!!!」

 

『ま、またしても爆発魔法だ!!!!

背中にもろに食らったテツロウ選手、叩きつけられて宙を舞う!!!!』

 

今度は受け身が取れず、哲郎は地面に倒れた。

 

『や、やはり無謀なのか!?

人間族が魔人族に勝ち得ることなど有り得ないのか!!!?

しかし、テツロウ選手は試合前にこう言ったそうです!!!

折角ここまで来たんだから やらせて下さい と!!!! 今までどんな逆境にも屈してこなかったテツロウ選手!!! その不屈の闘志を証明するかのように観客席からは惜しみない声援が声援が送られています!!!!』

 

哲郎は再び立ち上がり、ノアと相対した。

 

『立ち上がってくれました テツロウ選手!!!!

彼を支えれいるのは根性 のみ!!!

しかし、彼はその根性で決勝戦(ここ)まで勝ち上がってきたのです!!!!』

 

ボロボロになりながも立ち向かってくる哲郎にノアの口が綻び

 

「なぁ小僧

1つ提案がある。この試合を盛り上げようと思う。」

「?」

 

そしてノアはおもむろに足元を指さした。

 

「ハンデだ。俺はここから1歩も動かない。」 「!!!!!」

 

『ノア選手、ここに来てなんという挑発だ!!!! テツロウ選手の精神を揺さぶっている!!!!』

 

しかし、哲郎はやることを変えることはできない。彼には飛び道具も魔法もなく、遠距離から攻撃する術は無い。

接近戦しか哲郎が勝つすべは無い。

ノアが何を策していようとも、自分の培った技術をぶつけるしか出来る事は無い。

 

『行ったァーーーー!!!!

テツロウ選手、ノア選手に一直線だ!!!!』

 

哲郎は助走のスピードを完全に乗せた最速の拳をノアに見舞う。

ノアは難なく捌いたが意に返す事無く攻撃を続ける。

 

『は、速い!!!! なんという連撃だ!!!!!

両手両足をフルに使った人間族の少年の本気がノア選手に牙を剥く!!!!!』

 

その場その場で最善の攻撃を仕掛けるがノアに当たる気配はない。

 

『ノア選手も驚異的だ!!!!

有言実行!! その場から1歩も動かずにテツロウ選手の猛攻を捌いている!!!!

まるで彼の周りにバリアでも展開されているようだ!!!!!』

 

 

ドクン!!!!! 「!!!!? ガバッ」

突如 音が響き、哲郎が血を吐いた。

 

『わ、忘れていた頃に魔力を乗せた鼓動だ!!!! ネロ・サムワン選手を一撃の下に屠り去った一撃必殺の攻撃を至近距離でモロにくらった!!!!!』

 

 

「……楽しかったぞ 小僧。

だが、これで終わりだ!!!!」

『ノア選手の背側蹴りが襲う!!!!

決まるか!!!!?』


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