「………彩奈さんが無事だったのは良いんですけど、この三人どうしましょう?」
「そうですよね。このままここに放っておく訳にもいきませんし………………」
哲郎と彩奈の目の前には縄で縛られて眠っている三人の山賊が居る。投げ落としたりして意識を刈り取った上で完全に抵抗する力を奪う為に麻酔針を耳の辺りに刺したのだ。
「当分目を覚ます事は無いと思いますけど、彩奈さんを助けるのに必死でその後の事を何にも考えて無かったですね。
身柄を引き渡すにしても何をどうすれば良いか全く………………」
今の哲郎には既に山賊達をこのまま放置するという選択肢は無く、何かしらの形で役場(の役割を果たす場所)に突き出そうという所までは確定事項となったが、それにも色々と問題があった。
それはどういう過程を踏めば悪目立ちせずに済むかという事だ。
「そうですよね。 それにこの人達を引き渡せる場所がどこにあるかも分かりませんし……………
…………
? 哲郎さん? どうかしましたか?」
「………彩奈さん、どうやら役場がどこにあるか探す必要は無くなったみたいです。
ついでに僕達に過程を選ぶ権利も無くなりましたけど。」
「???」
彩奈は哲郎の意味深長な言い回しに疑問符を浮かべたが、すぐにその言葉の意味を理解した。
森の奥から武装した轟鬼族の男達が走って来たのだ。
「鬼鎧組の者です!!
この近辺で山賊による誘拐事件があったと通報を受けたのですが━━━━━━━━」
「(……無理に嘘をつくのも危険だな。)
…ああ、その山賊ならここに。僕が拘束しました。」
『えっ!!?』
***
本来なら喜ばしい事だが、今二人は役場の椅子で成り行きで捕らえた山賊達についての報告を待っている。そしてその待ち時間はまるで歯医者の待ち時間のよう(あるいはそれ以上)に居心地が悪く、状況がどんどん悪化しているように感じられた。
「………哲哉様、杏珠様、いらっしゃいますでしょうか?」
「!! はいっ!」
「奥にどうぞ。」
『詳しい事は奥で話します。』という言葉を言外に聞き取り、二人は女性に促されて足を進めた。
***
「………こうして目の前にしてもにわかに信じられないな。いくら下っ端とはいえあの我々でも手を焼いていた《
鬼門組
それが奥の部屋にいた男の名前と現在の役職だ。
役場に入った時点で既に鬼門組という組織が日本でいう警察にあたり、案内された村に近いこの街が帝国の都市の一つの《
「早速だが本題に入ろう。
この三名を制圧し、身柄を届けたのは君。これは間違いないんだな?」
「……はい。
「まずは聴取から始めたい。奴等を取り押さえる事になった詳しい経緯を話してくれ。」
「分かりました。」
哲郎は
「……なるほど。
ここからは個人的な質問も混ざるが、君達の関係は?」
「僕達は
「……そうか。 道理で………」
もしかしたら臺巌に
「次の質問だ。君達はどこの出身だ?」
「海沿いにある名もない村です。僕達も働ける歳になったので出稼ぎを始めようと思った矢先の事件でした。
……申し訳ありませんが村の名前は伏せさせて下さい。家族を巻き込みたくないので。」
「……分かった。
話題を変えるが荒河山賊団の構成員には全員 懸賞金が掛けられている。三人合わせて三十
鬼ヶ帝国には独自の通貨単位が定められている。最小単位が《
「……三十艮は全額君たちの物になるが、その前に一つ質問させて欲しい。
何故、奴等を追いかけた?」
「!!」
「別に非難する訳では無いが、参考までに聞いておきたい。下手に手を出せば君の命は無かったかもしれないんだぞ?」
「(………非難してるじゃないか………………)
………確かにそうかもしれません。ですがそんな事を考えている余裕はありませんでした。
一刻も早く助けよう と、その考えに取り憑かれていました。」
この発言はほとんど本心だった。
しかし同時に今の哲郎にとってこの