異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#263 The Garuda And Tiger 2 [BLACK ARMOR]

今にも鳳巌と虎徹がぶつかり合おうとしている。目の前で起こっているこの状況は哲にとって喜びと不安が混ざりあったような印象を与えた。

虎徹の助力は今の哲郎にとっては願ってもない僥倖と言えるが、一方で一抹の不安もある。それは虎徹と鳳巌の二人にどれ程の力の差があるのかという事だ。

 

無論、哲郎は虎徹の実力も能力も既に把握している。その上での哲郎の彼女の評価は間違いなく最強格だ。しかし一方で鳳巌の実力が不確かなのも間違いない。情報と言えば寅虎の刃を生身で受け止めた事くらいだ。

 

哲哉(・・)。主は下がっておれ。

此の場はワシが食い止める。此のような外道、ワシ一人で十分じゃ。」

「…………………外道 か。

『道を外れて』いるのは貴様も同じでは無いのか?」

「戯けが。ワシは長生き(・・・)してはいるが人を殺した事などないわ。尤も、貴様が最初になる可能性はあるがなっ!!!!」

ガァン!!!!!

『!!!!』

 

言葉を重ねる事で隙を生み出し、虎徹は一瞬で距離を詰めて鳳巌の首筋に回し蹴りを見舞った。そして鳳巌はその蹴りを持っていた薙刀で迎撃する。本来なら虎徹の足が切られるだろうが、それは現実にはならなかった。

 

「!!? (此は……………!!)」

「切れんのがそんなに信じられんか。血を吸いすぎて斬れ味が落ちているのではないのか!!?」

「ヌッ!!」

 

力の拮抗は崩れ、弾かれた両者は後ろに跳んで一定の距離を取った。そして鳳巌は虎徹の足が切れなかった謎を既に見抜いていた。

 

「………貴様、妖術使いでもあるのか。それも謎めいた物を足に纏っている。」

「………ほう。今の一瞬で見抜いたか。どうやら脳まで肉で出来ているなどという憂いは無いようだな。組を出し抜く知恵は持っておらんのにな。」

 

虎徹は能力で生み出した《墨汁》を足に纏って硬化させ、刃に切られるという負傷を回避したのだ。

 

「知恵。

其れが何の役に立つ。必要なのは力のみだ。

此の世界においては力のみが全てであり、力のある者が全てを手に入れるのだ!!!」

「耳が痛いな。貴様のような外道が説法とは臍が茶を沸かすわ。

力が全てと言ったな。ならば貴様を上回る力で打ち砕くのみだ!!!」

「!!!」

 

虎徹は満を持して自身の能力の真価を発揮した。

指に溜めた墨汁を鳳巌に向けて発射する。鳳巌は咄嗟に薙刀の刃で防御した。

 

「………これしきの水鉄砲で我を討てると思ったか。」

「戯け。貴様の頭を狙ったのでは無い。

狙いは貴様の武器じゃ。もうその得物は用をなさんぞ。」

「!?」

(能力を使った!!!)

 

先程 虎徹の《墨汁》を防御した鳳巌の薙刀には異変が起こっていた。刃の部分に墨がこびり付き、真っ黒に染まっている。

 

「…………何をした………!?」

「其れを態々教える阿呆が居ると思うてか。

それ以前に貴様の目は硝子玉か何かか。」

「!?」

「既に何をしたか(・・・・・)は其処に書いてある(・・・・・)わ。」

「!!!」

 

鳳巌は薙刀の裏側(・・)を見て、そこに書いてある物に目を見開いた。

刃の部分には白い文字で『脆』と書いてあった。この瞬間に、鳳巌の薙刀は用を成さない叩けば簡単に砕け散る『脆』い塊に変わったのだ。

 

「………下らん惑わしは止めろ。

こんな餓鬼の落書きでこの我の動揺を誘えると思っているのか。」

「嘘だと思うなら其の刃で一太刀に斬り捨てて見るが良いわ。其れが出来んと言うならば貴様の首に懸かった二十万艮(=二十億円)の金こそ惑わしという事になるぞ。」

「抜かせ!!!」

 

虎徹の挑発に乗ったのかどうかは定かでは無いが、兎に角鳳巌は強襲を掛けた。巨体には似合わない速度で急接近し、虎徹の身体を両断する事を想起しながら薙刀を見舞う。

 

━━━━━バガァン!!!!

「!!!!?」

(つくづく) 度し難い(けだもの)じゃな。

折角ワシが武器を守る機会を与えてやったものを

なっ!!!」

「!!!」

 

その数秒の内に二つの出来事が立て続けに起こった。

鳳巌が虎徹に向けて薙刀を振るうと、案の定 その武器の刃の部分が粉々に砕けた。これこそが虎徹の能力の真髄だ。

そしてそれによって出来た隙をついて虎徹は鳳巌に向けて回し蹴りを見舞った。しかし鳳巌はこれを身を引いて躱し、そのまま虎徹との距離を取った。

 

(なまじ)すばしっこい奴じゃな。

目に障る図体で飛び回る蝿ほど質の悪い害虫は居るまいて。」

「害虫と思うならば一撃で屠ってみてはどうだ。害虫駆除も出来ん猫こそ無用な存在だと思うがな。」

「面白い。ならばこの場で屠ってやろう。

さすれば帝国一の富豪じゃ!!!」

「待って下さい!!!」

『!!!?』

 

挑発の応酬も酣に虎徹と鳳巌がぶつかり合おうとした瞬間、哲郎が待ったをかけた。

 

「鳳巌。あなたの目的は僕一人でしょう。

そんなに連れて行きたいならどうぞそうして下さい!! 僕は逃げも隠れもしません!!!」

『!!!?』

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