異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#271 The Illegal Teacher 2 [Unforgivable Gamble]

凰蓮は再び鴻琴に向き直った。その表情には笑顔がありながらも是が非でも鴻琴から情報を聞き出すという強い気概が浮かんでいる。

 

「まず大前提として鴻琴被告、傷害や自殺教唆はもちろんの事、賭博行為も歴とした犯罪行為。これは分かっていますね?」

「………………!!!」

「その上でもう一度質問します。この写真に写っているのは貴方で、賭博行為に手を染めていた。この事に間違いはありませんか?」

「~~~~~~!!!!」

 

鴻琴は唇を噛み締めて顔を背けている。凰蓮の目にはその行為自体が肯定も同然に映っている。そしてここで情報を引き出す為の最後の札を切った。

 

「…………ここまで言っても口を割りませんか。そんなに私達が信用なりません(・・・・・・・)か。」

「!!!?」

「そもそも、鬼門組(私達)が捉えた被疑者を他人の暴力に晒す事を許すと思いますか?

それならば提案しましょう。包み隠さず真実(・・)を話して頂けるなら、貴方の身の安全を保証します。」

「……………!!!」

 

その言葉によって鴻琴の目に光が戻った。凰蓮の予想通り、鴻琴が口を閉ざしている理由が《珂豚の口封じ》ならば、その可能性を潰せば鴻琴が黙秘する理由はなくなる。

 

「………全て話せば助かるのか?」

「もちろんです。そもそもすぐに認めていれば血に塗れる事も無かったんですよ。」

 

その凰蓮の一言で鴻琴は遂に折れた。しかし凰蓮はそれを貴重な情報源が手に入った程度にしか思っていなかった。

 

 

***

 

 

鴻琴が話した内容は凰蓮の予測通り、賭博行為を認める内容が殆どだった。珂豚は慎重な男であり、そんな彼が一客である鴻琴に易々と情報を喋ったりする事はないと予測していた。

 

「…………では、貴方はお金を賭けただけで、珂豚から何か聞いた訳ではないのですね?」

「そうだ!! 私は余った金を使って遊んでいただけだ!! 鳳巌なんて知らない!!!」

「………犯罪行為を遊びと言うとはやはり面の皮の厚い人間ですね。」

「!!!」

「まぁいいでしょう。ならばその時他にどんな人が居たか、覚えていませんか?」

「そ、それは分からない……!! 賭博は個室でやっていたから………!!」

「でしたらその賭博場が何処にあるか、それなら分かりますよね? まさか目隠しされてそこに行った訳じゃないんですから。」

「あ、そ、それなら覚えている!!!」

 

鴻琴はようやく自分の立場が改善されると分かり、堰を切ったように口を開いた。

 

*

 

「………なるほど。丒吟地方の地下に本拠を構えていたんですね?」

「そ、そこで間違いない!! あと海沿いだった!!!

鉄の蓋で塞がれた出入口があったんだ!!!」

「そこまで分かれば十分です。明日にでも突入隊を編成し、一網打尽にしてみせましょう。」

 

鴻琴の表情には他言無用の賭博場の情報を喋ってしまった罪悪感や恐怖とこれで身の安全が保証されたという安堵感が共存していた。

 

「そ、それで、私の事は…………!!!」

「心配しなくとも貴方の身の安全は私が保証します。連中の口封じなどという蛮行は決して許しません。

━━━貴方にはこれから生きて罪を償って貰わなければなりませんからね。」

「!!!」

 

鴻琴の表情が再び青くなったのを見て凰蓮は部屋を後にした。

 

*

 

取調室の外では苺媧と彩奈達が凰蓮を待っていた。そして扉が開いた。

 

「凰蓮総監!! 鴻琴は吐きましたか!?」

「ええ。概ねの罪状を認めました。

自殺教唆の件も賭博行為の件もね。苺媧さん。これから忙しくなりますよ!!

今日明日には賭博場の検挙と鴻琴被告の起訴を終わらせます!!」

「はいっ!!!」

 

苺媧が張りのある声を上げる光景を見て、彩奈はやはりここは《警察》なのだと再確認した。

 

 

***

 

 

「…………成程。この鴻琴ってジジイを始末すりゃ良いんだな?」

「そういうこっちゃ!! やつが口を割おったらワシは破滅や!!! せやから…………!!!」

「分かっている。報酬(カネ)は確かに受けとった。お前は今まで通りふんぞり返ってれば良い。」

「お、おう!! 信じてんで!!」

 

鴻琴の自供と同じ頃、珂豚は一人の男と会っていた。高い鼻と長い銀髪の黒い服に身を包んだ男だ。

その男の手には一枚の写真と札束が握られていた。男の名は《簸翠(ひすい)》。帝国の裏社会において有数の暗殺者である。

 

珂豚は簸翠に鴻琴の暗殺を依頼した。報酬として一万艮(=一千万円)を支払った。しかし彼等は知らない。その暗殺が無意味である事を。

 

時刻は既に夕方に差し掛かっている。これから波乱の夜が、そして帝国の運命を左右する決戦の一日が始まろうとしている事を帝国民の殆どは知らない。知っているのは鬼門組と鳳巌達、そして哲郎、彩奈、虎徹、そして帝国を狙う《転生者》だけだ。

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