(……あぁ。やっと太陽が沈んで夜になった……………。いや、もうって言うべきかな。
今日中には哲郎さんに会えると思ってたのにな……………)
時刻は
しかし、哲郎に会えないと決まった訳ではない。丒吟地方を出発し、明日の朝には陸華仙に着けると連絡はあった。
鴻琴と鬼門組の面目を簸翠から守る為の戦いに勝利した彩奈達は《蕺》に蕺喬、そしてある程度の警備を置き、虎徹や苺禍を含むその他全員は皆 簸翠の身柄と共にこの陸華仙に舞い戻った。到着後すぐに彩奈達はそれぞれの部屋に移動され、食事と入浴が済み次第早急に就寝するようにという指示を受けた。
他人に食事や就寝の時期を強制されるのは面白くは無いが、彩奈は理屈の範疇で彼等の
(ご飯も食べたしお風呂にも入ったし、もう起きててもしょうがないかな。やる事やってもう寝よう……………)
就寝する為の完全な準備を行う為に彩奈は腰を上げた。そして部屋に備え付けられた洗面台へと足を運ぶが、それを扉を叩く音が呼び止めた。
(? 誰だろ。虎徹さんかな。それとも苺禍さん……………?)
「は、はい。 今出ます
ッ!!?」
「おや、もしや寝るところでしたか?」
扉を開けた彩奈はその予想外の来客を
「杏珠さん、貴方さえ宜しければ少しお付き合い願えませんか。是非ともお話ししたい事がありまして。」
「えっ? あ、はい……………。」
穏やかさの中に迫力を内包した凰蓮の表情に気圧され彩奈は咄嗟に否定とも肯定ともつかない返事を発する。凰蓮はその言葉を後者の意味で受け取った。
「そうですか。では、行きましょうか。」
「えっ!? こ、ここじゃ出来ない話なんですか!?」
「いえ、そういう訳ではなくてですね、是非ともお見せしたいものがあるものですから。」
鬼門組に保護されている身で今の時間から外出する事は憚られると考えたが、結局のところ彩奈は凰蓮の後について行く形で部屋から出た。
***
「……………………………!!!」
「どうです? 貴方には此れが
彩奈は
天文学に明るくも無ければ日常的な多忙さで星や夜空にまともな関心など示した事の無い彩奈だったが、率直に、それこそ気取った理屈や根拠など無く『綺麗』という感想を抱いた。
「ど、どうって、とてもきれいだと思いますよ!! 私、星に詳しくはありませんけど……………!」
「…………… そうですか。
私もそう思います。
「えっ?!」
不意に発せられた意外な言葉に彩奈は咄嗟に視線を凰蓮の方へと向けた。彩奈の目に映った凰蓮の横顔は帝国の首都 豪羅京を眺めている筈なのにどこか遠くを見ているような感想を抱かせた。そして彼の目は寂し気な印象を内包していた。
「それって、
「確かに、此の豪羅京も見方によっては美しいものだと言えるでしょう。ですがそれだけではない。そのような綺麗事一つでこの国の全ては語り尽くせません。 世の中には政治の陰で涙を流している者も居るのですよ。
例えば、
「ッ!!!!?」
凰蓮の口から発せられるとは思いもしなかったその言葉に、彩奈は先程とは比べ物にならない程の声を発した。思いもしないを通り越して、
「驚くのも無理はありませんね。ですがこれこそ貴方に話したかった事なのですよ。
杏珠さん、貴方に