異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#36 Assistance by the paradhin

「……あなたが僕の味方?

どういうことですか?」

「どうということも無いだろ。

そのままの意味だ。」

 

哲郎は今、謎の男に連れられてどこかの部屋に来ている。そしてその男は今、自分が味方だと言ったのだ。

 

「……そうだ。 自己紹介がまだだったな。

俺はエクス・レイン という者だ。

ここでは学業を積みながら聖騎士(パラディン)としても活動している。

以後 よろしく頼む。」

「はぁ……… ってえッ!!?

今、苗字を何て………」

 

哲郎は驚いて聞いた。 この男は今 確かに自分の苗字を━━━━━━━━━━━

 

 

「もう分かったか。 そうだ。俺はお前の依頼者 ファンの兄だ。」

「やっぱり……………」

 

ファン・レイン

彼が出した依頼を哲郎が受け、そして今このパリム学園にいる。

この男は自分を彼の兄だと言った。

思い出してみればファンの髪には一筋 金髪がメッシュのように入っていたし、この エクスの髪 の金色部分が血の繋がりの証明と言われても不思議はない。

 

「……わかりました。あなたが彼の兄というのは信じましょう。しかし、あなたが僕の味方だというのは何を根拠に信じれば良いのでしょうか?」

「……随分 達者な口だな。まあいい。

お前の望む根拠なら、ここにある。」

 

そうしてエクスは懐から何かを取り出し、哲郎に渡した。

 

「……これは……?」

 

エクスが手渡してきたのは、生徒手帳だった。

 

「中を見てみろ。」

 

哲郎が手帳を開くと、そこに書かれていたのは

 

【エクス・レイン】

パリム学園 人間族 科

エクス寮 寮長

 

「寮長?」

「お前はここに来たばかりで知らないだろうが、この人間族 科だけでなく、このパリム学園は全体的にいくつかの寮に別れているんだ。そして、お前とマッドが暮らしている寮も俺のエクス寮だ。」

 

マッドと生活していることまで知られているとは。この男はどこまで自分のことを知っているのだ。 と言いたくなるのを堪えて話を聞く。

 

「そこでだ、テツロウ・タナカ。

お前の先の魔界コロシアムでの好成績を見込んであることを頼みたい。」

「あること?」

 

「ああ。俺はやつの、ラドラの陰謀を潰そうと思っている。協力してくれ。」

「陰謀? どういうことですか?

詳しく聞かせてください。」

 

 

***

 

 

ラドラの陰謀とは、以下の通りだ。

 

ラドラ・マリオネスは、エクスとは別の寮の寮長で、彼は仲間を募って【七本之牙(セブンズマギア)】なる組織を作り、パリム学園を我がものにしようとしているのだと言う。

 

「それで、僕に何をしろと言うんです?」

「簡単な事だ。手始めにまず、グス達を潰すんだ。」

「潰すですって!? まさか殺せと言うんじゃ無いでしょうね!!?」

 

哲郎は机を乗り上げてエクスに凄んだ。

例えどんな人間であったとしても、人の命を奪うつもりなぞ哲郎にはさらさらなかった。

 

「落ち着け。 話は最後まで聞くものだ。」

「……わかりました すみません。

それで、潰す というのは具体的にどういうことですか?」

「公式戦でヤツらと闘い、そして勝てと言ってるんだ。」

「公式戦?」

 

 

【公式戦】

それは、パリム学園 全体で認められている、生徒同士がその実力を競うものである。

受ける側が対戦を受けるか否は自由だが、【負けた方は勝った方の命令を一つだけ 必ず聞かねばならない】というリスクが存在する。

 

そのあまりにハイリスクハイリターンな条件故に、誰もそれをやりたがろうとはせずに、次第にパリム学園の都市伝説に扱われていくようになった。

 

「あなたがやる訳にはいかないんですか?」

「寮長は対戦を申し込むことができないんだ。それから、成績や実力に明らかな差がある場合も対戦は認められないとこになっている。」

「それで、今の僕の学園での扱いとグスとの差はどれくらいですか?」

 

哲郎の質問に、エクスは苦々しげに答える。

 

「お前は今 マキム・ナーダという生徒としている訳だ。

まだ力量は知れないだろうから、十中八九 対戦は認められないだろう。

 

 

ただ、

 

 

俺がお前を推薦したなら話は違ってくる。

テツロウ・タナカ。俺はお前の実力を信じてこの話を持ちかけた。

俺に協力 してくれるか?」

 

「……この学園で横行しているいじめを許す訳にはいかない。

その1点は、あなたと同じです。」

 

「……なら、」

「やらせて頂きます。」

 

ここに、田中哲郎とエクス・レインの協定が成立した。

 

「それから、僕からもひとつ お願いしたいことが。」

「何だ?」

 

哲郎は懐から写真を出した。

 

「この写真はラドラの隠れ家で撮ったものなんですげと、ここに写っている人のことを詳しく教えて下さい。」

「……分かった。」

 

***

 

 

これは大きな進展だ。

 

哲郎は寮内のベッドの中でそう 喜んだ。

ここまで頼もしい協力者に恵まれたのは、幸運以外の何者でもなかった。

 

明日の放課後、依頼主のファンとアリスを連れてエクスの元に行き、更なる作戦を練るのだ。

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