異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#43 【Intermission】 The enthusiastic fan club Part 2 ~ Who uses the balance? ~

哲郎は半ば急ぎ目で食事を取り、フォークを机に置いた。

 

「……食べ終わりました。

で、何ですか? 僕に用って。」

「終わったの? じゃあ直ぐに来て貰えるかしら?」

「??」

 

やはり分からない。

分かっているのは、この女がこの学園の生徒であり、種族が魔人族か天人族かであるという事だけだ。

 

 

***

 

 

「……あの、一体どこに向かってるんですか?」

「いいから。 私に着いてきて。」

 

この女は、自分が名前を言ってから明らかに態度が険しくなった。それに口調も余裕が無いように見える。

 

哲郎の後ろにはノアも着いてきていた。

『誰なんですか 彼女。

知ってる人ですか?』

『今は何も言えない。着けば否が応でも分かる事だ。』

『??』

 

階段をいくつか昇り降りし、渡り廊下を過ぎると、何やら大きな建物に辿り着いた。

 

「………ここは?」

 

それは、塔 だった。

1つの巨大な塔が哲郎の前にそびえ立っていた。

 

「……ここに入るんですか?」

「そうよ。 」

 

哲郎はしぶしぶと扉を開けた。

中には十数名の女子生徒がいて、その全員が一斉に振り向いた。

 

「いっ…………………」

「?」

 

 

「ぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁあぁッッッ!!!!!」 「!!? !!!? !!!!?」

 

その全員が一斉に悲鳴、否、歓声をあげた。

哲郎は面食らってたじろぐ。

 

「ノア様!!!! ノア様が来てるゥ!!!!!」

「嘘でしょ!!!? 私今日 メイクし忘れて来ちゃったんだけど!!!!」

「どどどど どうしよう!!!?

今 ノア様と同じ空気吸ってるってこと!!!?」

「みんな落ち着いて!!! それはみんな同じだよ!!!!」

 

その場にいた生徒の全員がそれぞれ 絶叫と歓声が混ざったような声を上げている。

 

 

「な、何なんだここは…………!!!?」

 

動揺している哲郎が一つ分かったのは、この場にいる全員 ノアしか眼中に無いという事だけだ。

 

「ちょっと!!! 何なんですかここは!!!」

「掛札を見れば分かる。」

「掛札?」

 

哲郎は言われた通りに掛札目を送った。

そして目を疑った。

 

【Noah fan union】

 

そこには確かにそう書いてあった。

 

「ま、まさかここって…………」

「そうだ。俺のファンが集まって俺の魅力を語り合う。

ここはそんなユニオンだ。」

「……それ、よく学園が許しましたね。」

 

ユニオン

それは、パリム学園に存在する いわば部活動のようなもので、生徒が学園の職員に希望書を提出して作ることが出来る。

本来は生徒同士が集まって、剣術や魔法の鍛錬を行うために存在する。しかし、哲郎の目にはこの光景はそれらとは完全に別物に映った。

 

そして内装をよく見ると、壁にはノアの写真がいくつか飾ってあった。

 

「……じゃあまさか…………」

「あぁ そうだ。

今、お前はあいつらの目に【何故かノア"様"と友好を交わしているガキ】と映っているんだ。」

 

 

***

 

 

「だから、さっきから言ってるでしょ!!?

僕はこの前の魔界コロシアムで彼と知り合ったんですって!!」

 

哲郎はユニオンの部屋で、生徒たちに囲まれていた。

 

「バカを言わないで。

証拠がある訳でも無いのに!!!」

 

 

(……全く 何で結果発表が一ヶ月後になってるんだ………!!!)

 

 

そう。魔界コロシアムの結果発表は一ヶ月遅れなのだ。

 

魔界コロシアムの様子は中継されず、リアルタイムで見ることが出来るのは観客席にいる人間だけに限られる。

中継しようとすれば、視聴が集中して追いつかないからだ。

 

結果発表は、大会の翌日に優勝者が発表され、それから整理期間として一ヶ月後に全世界、新聞などを通して準優勝者やその他の成績が公表される仕組みとなっている。

 

そして、この場にいる女子生徒達全員はコロシアムの観客席を取ることが出来なかったのだと言う。

 

つまるところ、今は哲郎が魔界コロシアムで準優勝したという証拠が無い状態なのだ。

 

「貴方みたいな子供がノア様と友達になるだなんて、おこがましい(・・・・・・)とか思わないの!!?」

「おこがましい? 馬鹿な。

僕は彼がこの学園でどれだけ有名かなんて知らなったんですよ。

コロシアムで試合をして意気投合したから友達になった。

 

それのどこがおかしいんですか?」

 

哲郎も引き下がる気は無かった。

自分の友好関係にとやかく言われる謂れも自分がノアと釣り合う人間かどうか勝手に見定められる謂れも無いからだ。

 

しかし、生徒たちは一向に納得する気配がない。

 

「……どうすれば納得してくれますか?」

「どうしてもって言うのなら、あなたがノア様と釣り合う人間かどうか、私たちに見せて見なさいよ!」

 

その一言で、哲郎にも火がついた。

 

「……なら、ここにいる中で1番の実力者を連れて来てくださいよ。

僕がその人に勝ったら、僕の言うことを信じてくれますよね!!?」


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