異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#71 Waterfall strike

「……読み違ったな。 マキム・ナーダ。

こいつで終わらせてやる!!!!!」

 

ハンマーは哲郎に対して掌底を振り上げた。

片腕は哲郎を逃さないように胸ぐらをがっしりと掴んでいる。

 

哲郎はすかさずその手首を掴んだ。

 

「!!?」

 

ハンマーは攻撃に転じるために身体を少し浮かせ、哲郎の身体との間に少しだけだが隙間が出来ていた。

そこから下半身を抜き、両脚をハンマーの首に絡めた。 そのまま身体を下に倒し、ハンマーは背中から倒れた。

 

首から肩へと足を移し、哲郎は再びハンマーの腕の関節を極めた。

 

(……………!!!

ナメてるのか!? この俺に同じ手を2度も使うとは………………!!!!)

 

腕の関節に鈍痛が走るが、それでもハンマーの思考は至って冷静だった。 この状況から逃れる方法を知っているからだ。

 

(……いいさ。 それならこっちも同じ手(・・・)を返してやる。

それにもうすぐ天井から水を落とせるようになる。 その勢いを乗せてその土手っ腹にこの魚人波掌を打ち込んでやる!!!!)

 

「オルァッッ!!!!」

 

ハンマーは掴まれている腕を振るって力任せに哲郎を投げ飛ばした。

ハンマーの思惑通り、哲郎の身体は天井スレスレまで飛ばされる。

 

 

「!?」

 

その時ハンマーの目には奇妙なものが映った。哲郎が天井の穴に手を差し込んでいた。

 

「!!!!! ま まさか!!!!」

「そういうことです。 策にはまったのはあなたの方だ!!」

 

2分が経ち、水はハンマーの予定通り(・・・・)に部屋に流れ込んでくる。

 

ただし、その先端は哲郎が掌握していた。

落ちてくる水の勢いを全て乗せて 哲郎はハンマーに急接近する。 掌には大量の水が握られていた。

 

 

「魚人波掌

《打たせ滝水》!!!!!」 「!!!!!」

 

ハンマーの鳩尾に哲郎の全体重と水の重量を乗せた掌底が直撃した。 苦しむ声を出す暇もなくハンマーの意識は刈り取られる。

 

それによって魔法が解け、流れ込んでくる水は止まり、辺りには固められた土が散乱した。

 

 

哲郎は気を失ったハンマーに近づき、その場にあった紐で彼の身体を縛った。

 

「………早くエクスさんの所に戻らないと………。 ここはどの辺りだ……………? 」

 

肩にハンマーを抱え、哲郎は部屋の扉を開けた。

 

 

***

 

 

コンコン と扉を叩く音が鳴った。

 

「……道にでも迷ったのか?

随分長い便所だった━━━━━━━!!!??」

 

扉を開けて入ってきた哲郎を見て、エクスは一瞬 たじろいだ。

 

全身が傷と汚れに覆われ、肩に一回りも大きな男を抱えていた という状態はどう考えても普通では無かった。

 

「どうした!? 一体何があった!!?」

「……一言で説明すると、 襲撃に遭いました。」 「襲撃!!?」

 

 

***

 

 

「………なるほど。 このハンマー・ジョーズがお前を襲ってきた と そういう訳だな?」

「はい。 それで何とか勝って、その身柄をここに連れてきたんです。」

 

哲郎とエクスの前には椅子に縛り付けられたハンマーがいた。

 

「それで間違いないのか? こいつが《七本之牙(セブンズマギア)》の一味だと言うのは?」

「間違いない とは言いきれませんが、僕の質問にそう答えていました。」

 

ハンマーは未だに気を失っていた。 尤も フリをして追求を逃れようとしているかもしれないが、兎に角 警戒する必要性は見られない。

 

「決戦の前にいい情報が手に入りそうだ。

目を覚まし次第 こいつに情報を洗いざらい吐いてもらう必要がある。 それこそ、場合によっては拷問もやむを得ないが、 手伝えるか?」

「………えぇ。 そのくらいは我慢します。」

 

「なら これからこいつを部屋に連れていく。 お前も着いてこい。 お前からも色々聞いておかねばならない。」

「分かりました。」

 

 

***

 

 

エクスと哲郎がハンマーに近づいていた時にラドラは仲間たちを集めて指令を告げた。

 

「諸君に命ずる。 ハンマーが敗走した。 ついては尋問 及び拷問にかけられる前にハンマーを連れ戻して来い。

 

間違っても戦おうと思うな。 少しでも奪還が不可能と判断した時には 迷わず帰ってこい。 これ以上 欠員を出しては勝てるものも勝てなくなる。」

 

ラドラの呼び掛けに配下たちは腕を上げて応じた。

 

 

***

 

 

「名前はハンマー・ジョーズ

辺りを流動化させる魔法を使って僕を引きずり込んで水中に閉じ込めました。」

「魚人という事は、やはり」

「えぇ。 彼も魚人武術を使ってきました。

彼が油断していなければきっと押し切られていたと思います。」

 

哲郎は彼との死闘を思い出しながら、続いてこう告げた。

 

「……彼が僕に言ってきたんです。『最近 天狗になっていたんじゃないか』って。

無意識の内にそうなっていたんじゃないかとは考えます。 だけど もう二度と ラドラ寮と戦う時には そんな事にはなりません。」

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