「……もしもし……… そうだ 俺だ。
これからそっちに行く……………
そうだ。 そいつがお前らの話を直接聞きたいそうだ。 だから今から用意しててくれ。」
エクスは小型の水晶に向かって話をしていた。
「それで、どうでした?」
「今から来てもらって構わないと言っていた。」
「分かりました。じゃあ直ぐに行きます。」
哲郎は荷物を手に取り始めた。
***
哲郎はエクスに連れられて廊下を歩いていた。
「……それでもしその人が襲われなかったら、どうするつもりだったんですか?」
「その時は後続隊も突入させて、さらに深堀りするつもりでいたさ。」
「それから考えたんですが、もし仮にラドラ達が侵入に気づいたとして、そこから短時間であそこまでの罠を仕掛けられるかと言われたら 無理があると思うんですよ。」
「………………!!!」
「ですからこう考えたんです。
『彼らはもっと前から侵入することを知っていた』と。」
「……その可能性なら俺も考えた。
そして内通者の線も考えて周辺を洗ったが、その可能性は否定されている。」
「どうしてです?」
「その侵入作戦は俺が1人で考え、そして数人に伝えただけだからだ。」
「なら、その侵入した人の中にいたという事じゃないんですか?」
「それも無い。
あの時襲われたあいつが近づいたのはあいつが独断で決めたことだ。 それにその2人にも 古臭い方法だが嘘発見器にかけて あいつらは
「そうですか………。
ちなみにその嘘発見器でどうやって見抜くんですか?」
「簡単な事だ。
その装置に魔力を送ってそれを《真偽を見抜く魔法》に変換して使用する。
実際の裁判でも活用されているものを使った。」
「……そうですか。」
哲郎は俯きながら答えた。
少しでも薄い根拠で裏切り者を疑ってしまった自分を恥じたくなった。
「……だから俺はヤツらが何らかの魔法を使って俺が作戦を考えた所を覗いて情報を掴んだのだ と考えている。」
「………なるほど。」
「ほら着いたぞ。 2人はこの中に居る。」
気がつくと廊下を歩き終わって大きな扉の目の前に立っていた。
***
「俺だ。 言っていたやつを連れてきた。
入るぞ。」
エクスが扉を開けて哲郎が見たのは椅子に座っている2人の男だった。
ほんの少しだけではあるが やつれている印象も受けた。
エスクの手指示で哲郎は2人の前にある椅子に座った。
「……それではまず、お名前を伺ってよろしいでしょうか?」
「ああ。 私はバウラールだ。」
「私はガイマムという。」
「……早速本題に入りますが、ラドラの所に侵入した当時の事を教えて頂けますでしょうか? 彼、エクスさんから大体のことは聞きましたが、あなた方からも直接聞いておいた良いと思いまして。」
「「………………分かった。」」
バウラールとガイマムは互いを見合い、同意した。
***
「これで知っていることは全てだ。
これ以上話せる事はないが、何か君の役に立ったか?」
「………ええ。 ご協力 感謝します。」
結論から言うと、新しい情報はなく、エクスが話してくれたこと以上の話は無かった。
それでも彼らの口調は当時の状況をありありと思い起こさせ、それを実際に体験したかのような気分にさえさせた。
「それでは僕は彼の所へ戻りますので。」
哲郎は椅子を立ち、部屋を後にした。
***
哲郎がバウラールとガイマムから話を聞いていた頃、ラドラは一室で人形の数を確認していた。
「………時に聞くが、」
「はい。 何でしょうか?」
「攫ってきた
「はい。 ざっと見積もっても40
40
「……そうか。ならそろそろ頃合だな。」
「と、仰いますと」
「奴らをこれから私たちの戦力にする。
それからハンマーは動けるか?」
「はい。 腹に1発受けただけですので動くだけなら問題はありません。」
「それから、催眠魔法の用意を急げ。」
「かしこまりました。
ですが それで何を?」
「エスクはおそらく彼の強さに全幅の信頼を寄せ、主力だと考えている。」
「と言うことは…………!!」
「そうだ。 テツロウ・タナカを拉致し、こちら側に引き込む。」
「………………!!!
かしこまりました。 直ちに準備に取り掛かります。」
振り返ったラドラの顔には明らかに勝ち誇っているが故の笑みが浮かんでいた。