異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#90 No rules

万策尽きた

 

レイザーのその指摘は的を突いていた。

少なくとも今の哲郎の頭の中には彼の高速の剣技に対抗する術を持ち合わせていなかった。

 

「今度こそ終わらせて貰いましょう!!!!!」

「!!!!!」

 

レイザーの剣があらゆる方向から飛んできた。 哲郎はそれを横に飛んで回避する。

 

「無駄です!!!」

「!!!」

 

哲郎の回避に合わせてレイザーは横に剣を振るった。 それもかろうじて回避するが、追撃は止まらない。

 

「策がないならせめてできるだけ時間を稼ごうというのですか!!? ソレなら無駄ですよ!!!

すぐに始末してガリウム共を追うだけです!!! あなたはエクス・レインの足枷として散るのです!!!!」

「…………!!!!」

 

レイザーの攻撃の一つ一つから確実に【自分の命を奪う】気配を感じ取っていた。 そして哲郎は再確認する。

自分が今立っているこの場所は魔界コロシアムや公式戦とは完全に一線を画す【ルール無用】の【戦い】の場であるという事を。

 

(…………………!!!

あの時の言葉に嘘はないし、この人の命を奪う気も最初から無い…………!! だけどこの人は確実に僕を仕留めに来てる!!!!

 

今の僕にできるのは、この人をできるだけ足止めする事だけだ…………!!!)

 

エクスから『援軍を送る』という連絡があった事は知る由もないが、それでも彼が自分を信じてくれいるように哲郎も彼の事を信じていた。

 

「?!!」

ふと足元に ジャリッ という触感を感じて視線を送ると、足元に鎖が転がっていた。

 

(こ、この鎖ってまさか……………!!)

 

哲郎はその鎖に見覚えがあった。

何を隠そうそれは自分やミリア達のような拉致監禁された人間を拘束していた鎖だったからだ。

 

(しまった!! せっかく前進していたのにいつの間にか元の場所まで追い詰められていたのか!!!)

「どこを見ているのです!!!?

マキム・ナーダ!!!!!」

「!!!」

 

鎖に気を取られた一瞬の隙を見逃さず、レイザーは哲郎に剣を振るった。

 

ガキンッ!!!!

「!!!?」

 

剣を握っているレイザーの手首に蹴りを入れて 弾き飛ばした。

その隙をついて後ろに下がり、今までいた場所から距離をとる。

 

ガシッ!! 「!!?」

 

レイザーが哲郎の胸ぐらを掴んだ。

そのまま身体を翻して哲郎を投げ飛ばす。

 

(……………!!!

な、投げ技を返された………!!!)

 

しかし、心の苦痛に気を取られている場合ではない。 すぐに体勢を立て直して着地する。

 

「!!!」

 

その最中にもレイザーが弾き飛ばした剣を拾って哲郎に強襲する。

 

間一髪 放たれた攻撃を躱し、そしてそれは後方の壁を深々と切り裂いた。

 

「甘い!!!」

「!!!!」

 

さらに飛んできた追撃も躱し、壁は十文字に深々と切り裂かれた。

ガラガラ と壁が崩れる音が響いた。

 

「?!!」

 

その直後 哲郎の耳に入ってきたのは【水音】だった。

 

「………この壁は後で始末書を書かなければいけませんね。 それより気づいたようですね。 そうです。ここは地下水路に通じているんですよ。

まぁ、それを知ったところであなたに利点があるとは思えませんがね。」

「……………!!!」

 

しかし、魚人武術を扱う哲郎にとって【水】はとても強力な武器だった。

そしてこの場で見つけた【ある物】を結びつけて、彼の万策尽きた頭の中にさらに一つの【作戦】が浮かび上がった。

 

「これで最後です!!!!」

「!!!」

 

レイザーの鋒が哲郎の眼前に迫って来た。

それを既のところで躱し、この場で見つけた【ある物】へと手を伸ばす。

 

「………!!!!

往生際が悪いですよ!!! いい加減に観念さない!!!!」

 

攻撃を躱され続けて内心穏やかでは無くなり、単調な攻撃を撃ち込む。

 

「フンっ!!!」 「!!?」

 

屈み込んだ体勢からレイザーの足首を蹴り飛ばし、前身を寸断した。

その一瞬の隙をついてレイザーによって開けられた穴から地下水路へと逃げ込む。

 

穴からある程度離れたところでレイザーも追ってきた。

 

「………芸のない事ですね。

ここに逃げ込めば時間を稼げるとでも思ったのですか?」

「…………………」

 

哲郎は答えない。 この状況では肯定も否定も命取りになり得るからだ。

 

(………これはルール無用の【戦い】なんだ。

だけどそれなら僕も策を使って良い筈だ!!)

 

哲郎は手に隠し持った【ある物】を握りしめて自分に言い聞かせた。

 

(卑怯な手なんて存在しない。

僕が考え出したこの《3つ目の作戦》に全てを賭ける!!!!!)


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