IS Let's make you a happy days   作:AK74

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 第九話

 一週間の訓練はあっという間に過ぎ去り、とうとうオルコットとの試合当日になった。

 この一週間は決して無駄にはならなかった、というのも手応えを掴めたからだ。それでも、オルコットに勝てるかと言われれば全然。素人と代表候補生じゃ下地が違いすぎる。

 でも素直に負けなんて認めるわけにもいかない。そのために一週間をかけてISの訓練をしたんだから。

 あとは”届いたISが近接戦闘タイプなのを望む”だけだ。

 射撃訓練なんて一切していないし、そもそも苦手分野だ。喧嘩慣れしたからもあるかもしれないが、距離を離して撃ち合うのはなんだか合わない。近づいて切る、俺ができるのはこれだけだ。

 

「調子はどう一夏?」

 

「おう、大丈夫だ問題なし。ただIS来てないのがなぁ」

 

「あ・・・・・・だよね・・・。そろそろ届いてくれないと、一次移行(ファーストシフト)が間に合わなくなっちゃうよ」

 

 だいたい15分もすれば試合開始の時間になってしまう、特別に許可をとってもらったアリーナの利用も昨日までであって、今日の試合には使えない。それにこの試合自体急に決定したものだから、当たり前のように使用時間が決められている。その利用時間があるから、入試のような戦法は取れない。

 

「ISが来ないのはかなりやばいよな。このままじゃ棄権扱いになるんだっけか?それだけはなんとしても避けたい」

 

 凪沙が言う一次移行ってのは、専用機の特権・・・?だったような気がする。操縦者に最適化して、どうのこうの・・・だ。

 この辺は勉強途中だからまだ良くわからない。とりあえず専用機は一次移行しなきゃ使えない、と覚えておけば平気だと思う。

 ・・・・・・あとで山田先生に聞こう、全くわからない。絶対姉さんには聞かないぞ。

 

「ごまかしたような気もするけど良いかな?でも専用機が届いても射撃タイプだったらね」

 

「あー、俺何もできずに終わるパターンだなそれ。射撃とか全然訓練してねぇし」

 

「確かに」

 

「「あははははは・・・・・・ハァ…」」

 

 射撃とかマジで話にならない、いちいち狙ったりするの大っ嫌いだ。だからガンシューティングは苦手な分類。”近づいて切る”これだけでよろしい。

 

「でもまさか秋羅さんに鍛えてもらったことが、ここで役に立つなんてね」

 

「全くだ。まさか俺がISに乗れるのを分かってたのかなーって感じだよな」

 

「流石にそれはないと思うよ?でもそれが結果として役には経つんだけど」

 

 よく見れば凪沙は苦笑いをしていた。ありえないと言いたいらしい。

 

(だよな、流石にそれはない)

 

 

 でもそうするとなんで鍛えてくれたんだろう・・・っていう疑問が浮かぶが、今考えているべきじゃない。

 時計をみればあと10分。いよいよ余裕がなくなってきやがった。

 急に開発しろと言われたらしいから、俺のISの開発元倉研の事を悪く言う気はないが、いつ届くかくらいは教えて欲しかった。

 そうしたらその日程に合わせることもできたと思うけど、過ぎたことを悔やんでも仕方ない。ただ待つだけ。

 

「お、織斑君!織斑君!」

 

 声がした方をみれば、山田先生が(遅いながら)全力(そうに見える)で走ってきた。

 この時間帯で山田先生だ。要件なんてすぐにわかる。

 

「俺のISが届いたんですか?」

 

 

 ビンゴだったらしく、山田先生は頷く。

 

「はい! 今、格納庫から待機ピットに移しているので、織斑君もすぐにピットに来て下さい!」

 

 その言葉に頷くと凪沙の方を向く。

 

「行ってくる」

 

「頑張ってね」

 

「おう」

 

 

 言葉少なく会話を済ませ、ピットに俺はいぞいだ。

 余計な会話なんていらない。それに、言わなくてもわかるんだから。

 

 

「一夏、コイツがお前のIS白騎士だ。分かっているかもしれないが、一次移行は試合で終わらせろ」

 

 ピットに入ったとたん姉さんの説明が入る。普通なら文句のひとつやふたつ言いたいところだ。ただ、今回は時間が時間。そこは分かり切っているから、無言で頷きISを見る。

 随分とシンプルな装甲だ。一切の無駄を省いたイメージを受ける、その為か全体的に見ると装甲は少し薄そうに見える。打鉄のような、防御力に任せた戦闘はできなさそうだ。

 クロス状に広がる四つのウィングスラスターまでもが無駄を省かれている。そして小型だと思うが、腰部に左右対称にスラスターがあった。

 ようするに種類は違うにしろ、六つのスラスターがあることになる。これはスピードに特化していると思われる。

 

「一夏安心しろ、コイツは近接速度特化型だ。散々特訓した近接だから問題はないだろう。ただ速度に特化している分防御は少し薄い。気をつけろ」

 

「近接なら問題ない、動いて切れりゃ平気だよ」

 

 

 姉さんの言葉にニヤリと笑いながら返事をし、IS・・・白騎士へと乗り込む。ただ防御が薄いわけじゃない、その分速度に特化しているのだからよければ問題なし。

 非のうちようがないほど、俺ごのみの機体だ。

 

(なんだ?このISは?初めて乗った感じがしない・・・?)

 

 おかしい。この機体には今この瞬間初めて搭乗する。なのにどこか慣れ親しんだような、不思議な感覚。

 軽く動いてみると、一次移行が終わっていないのにも関わらず、多少の違和感はあるにしろ思い通りに動く。

 全センサーが俺に接続が終わり、IS特有の視界になると、近くでモニターを見ていた山田先生が声を上げた。

 

「え・・・?なんですかこれ?ほとんど織斑君のデータが入力されていないのに、なんでここまで・・・」

 

「ふむ。確かにこの速度は異常だな・・・・・・」

 

 モニターを横から見た姉さんまでもが言い出した。聞くところ、試合に異常が出るようなものじゃないだろうけど、なんだか怖い。

 

―――――あなたが織斑一夏

 

「ッ!?」

 

 突然声がした。慌てて辺りをISの補助があるのを忘れて見わたすが、姉さんと山田先生以外の姿はない。

 違う。声がしたんじゃない、頭の中に直接響いてきたような感じ。それどころかその声すら懐かしく感じた。

 

(一体なんなんだ?)

 

「どうした一夏」

 

「いやなんでもない」

 

 心配してくれた姉さんにこのことを言いたくなったが、言っても信じてもらえないような気がする。ありえないという訳でなく、もっと根本的なことが原因で。

 とりあえず、武装を確認する。この際声に関してはおいておこう。

 

―――――武装一覧

 

―――近接戦闘用ブレード[白雪(しらゆき)]

 

 

 思わず笑いがこみ上げてきたね。姉さんの説明を聞いた通り近接タイプなのはいいさ。ただ武装が刀一本というのはどうなんだろうか?もう少し武装はないのかと思うよ、牽制用のショットガンとかぐらいは欲しかったな。 

 

「どうだ一夏、行けそうか?」

 

「行けるかじゃなくて、言ってやるんだよ」

 

「行ってこい。二度と無駄口を叩けないようにしてやれ」

 

「了解」

 

 ないものはないんだから仕方ない。そう割り切り、姉さんの言葉に対して大口を叩く。バカなのは百も承知だ。

 白騎士を固定している射出カタパルトに機動命令を送る。

 瞬間俺はアリーナへ飛んだ。

 

 

 

 

 俺がアリーナにとんだ時には、既にオルコットが武装を展開して空中に待機していた。

 蒼いISを身にまとっている。データによれば、第三世代中距離射撃型ブルーティアーズというらしい。詳しいことなんて分からないが、対射撃戦として散々特訓した戦闘タイプだ。幾らか勝機はあるだろうが、とりあえず虚さんを超える弾幕を張られないことを信じたい。

 

「遅かったですわね」

 

「悪い、ISが届くのが遅れたてた。一応試合時間には間に合ったんだ、それで勘弁してくれ」

 

「約束は守ったからいいでしょう」

 

 軽口を言うところを見ると、ホンの数日前まで壊れていたのかと思う。それくらいの復活ぶりだ。

 というか観客席の方から微妙な殺気を感じる。俺に向けられているわけじゃなさそうだが、なんだろうか?

 

「オルコット。ひとつ頼みがある」

 

「なんですか?」

 

「”本気”で戦って欲しい」

 

 

 アリーナの生徒たちがざわめきたった。

 俺たちの会話は、ISを通してアリーナ全体に聞こえるようになっているため、だれでも俺たちの会話聞こえる。

 そして今の俺の言葉も例外じゃなく、アリーナ全体に響き渡った。

 

「いきなり何を言い出すのです?それはお冗談で?それとも―――――」

 

「あぁ、本気で言っている。遠慮なく戦って欲しい。馬鹿だ、とか無謀だっていくらでも言えばいい。でもそれは全部これが終わってからにして欲しい。この試合は全力で戦いたいんだ」

 

「・・・・・・別によろしいのですが、一応理由を聞かせていただけるでしょうか?」

 

「いくらでも言うさ。試合事で手を抜いたり抜かれるのが、だいっきらいなだけだ。満足か?」

 

「えぇもちろん。お望みのように全力を出します。そして素直に負けを認めさせてあげますわ」

 

「ふん、あいにく負けるのは嫌いでね」

 

 試合開始カウントを横目で見る。

 あと五秒。

 [白雪]を手の中へ展開する。やっぱり初めてとは思えないほど手に馴染む。

 30メートル先にオルコットがいる。

 

(いける。この距離なら)

 

 あと2秒。

 オルコットが巨大なライフルを構える。狙いは俺。

 

―――――安全装置解除確認。

 

――1・・・0

 

 

”開始!”

 

「落ちなさい!」

 

 その言葉とともにトリガーを引き、レーザーが射出される。

 

「ふっ!」

 

 だけどわざわざ始まる前から構えられていたのをかわせないはずがない。姉さんとの訓練の要領でを使い、できる限り最低限の動きで真横に回避。

             

                 

「やりますわ―――――っ!?」

 

 真横に回避しただけで終わらせるわけがない。すぐさまスラスターにエネルギーを送り加速。白騎士のスピードを活かして懐へ接近し、一閃―――

 

「くっ!」

 

 するが、さすが候補生なだけあって即座に後退され、掠るだけに終わる。 

 

(これで終わりじゃねぇぞ!)

 

 距離を取ろうとする所へ即座に接近し、コイツには絶対に距離を取らせない。どんなに強い射撃兵装でも致命的な弱点がある。

 それは間合い。

 そんなに強くても、小回りが聴いても、幾らか間合いを開けなければまともに使うことすらできない。スナイパーライフル型のオルコットの武装なら尚更だ。

 散々姉さんに叩き込まれた戦法だ。間合いを取らせなければ射撃兵装などただの荷物だと。

 そのため間合いを取らせない方法も体に何百何千と嫌になるほど体に叩き込まれた。だけどそのおかげで今はどうにか優位に立てているが、射撃タイプである以上何かしらの対策がなされているのは確かだろう。そうでもないがぎり射撃タイプのISが出回ることはないはずだ。

 

「この・・・!離れなさいっ・・・・!」

 

 後退しながら放たれるレーザーを確実に避け、すぐさま距離を詰める。 そして[白雪]を振るう。

 少しずつだが、訓練の結果が出始めた。

 

「断る!お前に距離を取らせる訳にゃいかねぇ!」

 

 一次移行が終わっていなく、装甲が少し薄いこと、オルコットが射撃タイプのISを使う以上、試合を長引かせるわけにはいかない。

 オルコットに対策を使われる前にどれだけエネルギーシールドを削れるかが勝負の鍵だ。

 

 

 

「ほーう、やるじゃねぇか一夏。代表候補生にこれほど行くのかい」

 

 

 不意に男が一夏の試合を見てつぶやいた。ISを届けて終わりにする予定だったが、面白半分で見学することにした。

 その甲斐あったのか、かなり面白い光景が見れた。

 代表候補生がISの素人に押されている光景が。

 よく見てみれば、アリーナは不自然なまでに静まりかえっていた。それほどまでに皆が見ることに集中しているということだろう。

 この光景はなかなか見れない。

 

「思った以上に白騎士も使いこなしているようだし、アイツも少しは喜ぶか」

 

 思わず口元が緩む。思った以上の結果だった。

 

―――――やっぱり、あのシスコンの××××××で、白騎士を使いこなしていただけある。

 

「お前は気づいているか?セシリアの隠し球によ」

 

 だれに言うまでもなくつぶやくが、不思議と生徒が男に反応する様子はない。

 生徒は皆まるで”そこにいないかのよう”に振舞っていた。だかそれも全て男の計算のうちだった。

 

”4機の自立兵器ブルーティアーズに2機のミサイルビットを、な”

 

 

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