IS Let's make you a happy days 作:AK74
「やるな一夏、まさか”あの能力”まで再現させちまうとはなぁ」
今は一夏がセシリアに勝利してざわめきたっていて、俺が見つかることはない。まぁそうじゃなかろうが見つからないけどな。
観客の生徒たち(こいつ等)は皆、最後に一夏がやったことに疑問を抱いているはずだ。
だけどこいつらじゃ知る余地もない。
あれの名前は[隣界]。由来は自身の隣にもう一つのIS(世界)が存在するようなものだかららしいが、詳しくは束に聞かねぇと分からない。
能力は無尽蔵にシールドエネルギーが使えるという事。詳しく言えば、シールドエネルギーと別に用意されたエネルギータンクで、エネルギーを消費する。
しかもエネルギータンクの容量はIS1機分近くあり、使ったエネルギーは自然回復する。
つまりこの能力があれば、エネルギー管理をしなくてもエネルギー兵装を使い放題というわけだ。
ダメージを受ける以外に、シールドエネルギーが減る心配がない。だからこそ、これは零落白夜や瞬時加速のように、燃費の都合上併用しづらい技同士を軽々と使えるようになる。
わかるか?零落白夜をデメリットなしで扱えるということに。それをした瞬間試合が崩壊する。
一撃必殺の攻撃力を持つ零落白夜が、常時展開と同じと考えていい。
これほど相手にとって恐ろしいことはない。当たれば負けるようなものになるからだ。
だけど、それはまだ一夏自身が気づいていないだろうから、心配することはない。
畏怖するべきはほかにある。
「単一仕様能力を二つもとか異常だろうが・・・」
そう。
畏怖するのはここだ。チートすぎる能力は紛れもなく単一仕様能力。
そして零落白夜もまた単一仕様能力だ。
名前の通り、単一仕様能力はIS1機に対して一つしか発現しないのにも関わらず、一夏(白騎士)は二つを発現させやがった。
間違いなく[隣界]が白騎士の単一仕様能力だろう。
なら零落白夜はなぜ発現した?
シスコンが使っていたエネルギー刀でさえ、あくまでエネルギーを大量に放出する擬似零落白夜であって、千冬が使っていた零落白夜とは似て非なる物。
考えられる事としてあげられるのは、
一夏が何かを願い、白騎士と共鳴して新たに作り上げた。
白騎士のコアが自己進化した。
のどちらかかしか思いつかない。
シスコンの××××××でも、そのままじゃなくてアイツに変化があるって言うことか。
(束に聞いてみるか・・・)
束なら、何かしら掴んでいると思う。
「まぁとりあえず、おめでとう一夏。よく頑張ったな」
聞こえていないだろうけど。
一人の生徒はふと振り向くと、視線の先に立ち去ろうとしている男を見つけた。
(新しい先生なのかな・・・・?)
だが気にするほどでもない。もっと興味をそそるものがアリーナにはあるのだから。
立ち去ろうとする男の右手には、白いガンレットがあった。
疲労で体がすごいことになってるぜバンザーイ状態でピットに戻ると、すでに姉さんと山田先生それに凪沙がいた。説教が来る可能性が高いと思われる。
理由?姉さんだからだ。異議はは認めない(例外有り)
ん?なんで例外ありかって?そんなの単純過ぎてミミズにもわかる事さ。斎藤小鳥遊さん(仮名24歳職業不明)に社会的にも物理的にも完璧に塵どころか、粒子すら残されずにこの世界からログアウトされてしまう。
「おつかれさま一夏」
「おう、言った通り勝ったよ」
凪沙にはそう言って白騎士を待機状態に戻す。確かイメージが大事なはずだ。
・・・・・・まぁ収めるってイメージはなんだか、片付けるっていうのが強い。やっぱりずぼらな家族がいるためだろうか?
とりあえずISを待機状態に戻すのは成功した。
白騎士と同じ真っ白なスポーツ用リストバンドが、白騎士の待機状態というらしい。材質から全て普通のリストバンドとしか言えない、繊維でできている。なのに展開すると機械(っぽい)とはこれいかに。
「あー疲れたァ・・・きつすぎるぞコレ・・・」
「IS乗っていると補助のおかげであまり感じないから、仕方ないよ」
「訓練の時とか、補助とかどーでもいいレベルになってたよな。あれはアリエナイ」
「た、確かに・・・・・・」
今じゃあの訓練のお陰でオルコットに勝つことはできたが、考えてみればあんなのによく耐えたなーと思う。俺も単純だな、勝つためにぶっ倒れるまでやるとか。
実際あの訓練のあと、派手にブッ倒れて医務室に次の日までお世話になった。
「まぁ、オルコットに勝てたことだし、ISの訓練も一段落付くかな?」
「一夏、そこで気が緩んじゃったらダメだよ?」
「分かってるって」
はははーと凪沙と笑い合う。またあの訓練でブランクを取り戻すことはしたくないから、怠けないようにしよう。主に付き添ってくれる凪沙たちが心配。
(ん?)
ふとここで気がつく。姉さんが一言も話していないことに。
「姉さん、どうしたんだよ。黙り込んでさ?」
「一夏」
ようやく口を開いたと思ったらこれである。しかも文章じゃ分からいだろうが、かなりドスの聞いた声だったし。
「最後のはどうやった?」
最後というのはアレか。
「よく分からねぇんだよな、最後の奴は。オルコットの攻撃受けて倒れたとき、白騎士に負けたくないから力を貸してくれって言ったんだ。そしたら声がしてさ」
「声だと?」
「うん。そんときがむしゃらだったから何話したか覚えてないんだけど、使いこなせる・・・?って聞こえたのかな、そしたあんな事が出来た。よく分かんないけど、エネルギー消費は別系統で行われるみたいだ」
「ふむ・・・・・・それは単一仕様能力か?」
「ちょっと待って、今見るから」
そう言って白騎士のスペックデータを見る。あの時はがむしゃらだからよく見ていなかった。次からは気を付けよう。
(お、あったあった)
余り時間をかけずに見つけることができたから、良しとする。
「えーと、確かに姉さんの言う通り単一仕様能力だね」
「え?ちょっと待ってよ一夏。あの能力が単一仕様能力だったら零落白夜はどうなるの?あれも単一仕様能力だよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジで?」
たしか単一仕様能力は二次移行した専用機が、希に発現するその機体特有の能力らしい。発現には搭乗者とISのシンクロ値が大きく関わるみたいだけど、それでも発現しないのがほとんど。
・・・・・・・・なんてこった。ただでさえ発現しないのに、二次移行まだなのにしかも二つも発現させちまったってことじゃん。
「ね、姉さん。これってどうゆう事?俺が男だって事に関係しているの?」
「私に言うな、ISの整備関係は苦手なんだ」
肩を竦められて言われる。やっぱりそうなるか・・・・・・。
「ただ」
「?」×2
「そのIS白騎士は倉研、正式には倉持技術研究所が作ったとされているが実際は違う」
「どうゆう事?」
倉研が白騎士を作ったんじゃないとすれば、誰が作ったって言うんだろうか?
「その白騎士は、”束が作った”物だ」
「ハァ!?」×2
衝撃の真実ここに発見。束さんが白騎士を作っただと?それなら白騎士のスペックの高さも頷けるが。白騎士は守りが薄いということを除けば、総じてスペックが高い。
「一夏。白騎士に乗って何か感じたことはあるか?」
「ありすぎて困るほどだよ。初めて乗ったのにも関わらず、慣れ親しんだような感覚がした。それに声も聞こえたし、白雪だって何年も使ったように手に馴染んだ、くらいかな?」
「束なら何かISに細工すると思ったが、なんなんだそれは?嘘じゃないんだな?」
「疑うのかこんにゃろうめ。俺もよく分かんないんだよ、聞こえた声も小さい頃からいた家族のように懐かしかったし」
訳が分からないという風に姉さんが頭を抑えるが、俺も同じだ。
(ん?待てよ・・・・・・?)
もしかしたらと思うのだが、最近するようになった変な体験と関係あるのだろうか?あくまで推測でしかないんだけれども、無関係とは思えない。
どうにか思い出そうとするけど、夢で覚えているのは姉さんや弾たちくらいで手がかりになるとは思えない。そこに俺はいなかったのはどうにか覚えているんだけども。今思えばあの夢も懐かしいような気がする。
一体なんなんだと言いたい。
結局、俺たちは何もわからずに、いたずらに時間を消費しただけに終わった。
「束。面白いデータが採れたぞ」
「もうわかってるよいっくんのことでしょ?」
束はすでに分かりきっているように言う。実際アリーナ管制室のモニターをハッキングして、見ていたのだから。
「いっくんのことだけど、私にも全くわからない。[隣界]のことならまだ理解できるけど、零落白夜のことは全くだよ。いっくんが望んだくらいしか理由が思いつかない」
「やっぱりか・・・、束なら分かると思っていたんだけどなぁ」
「私に言われても困るよ。ISは自己進化するようにしたから、私でも把握できていない。本当なら[隣界]すら発現しないはずだったんだから」
「・・・・・・・マジかよ」
「白騎士に白雪って名前は確かにつけたけど、”れーくん”が使っていた白騎士と全くの別物でしかない。コアだけは同じものだったとしても、”れーくん”といっくんは完全に別人。似て非なる人物だから、白騎士は最初に渡したままのスペックデータでしかない。でもこれを見て」
束は素早くコンソールを操作し、モニターを二つ表示させた。
「左のが渡した時のもの、右のが一次移行が終わった時のもの。おかしいと思わない?」
「だな、あらかさまにおかしなデータが入力されていやがる。一次移行ごときでこんなになるはずがない」
「でしょ?それに一次移行している時に、変なデータも見つけた。パターンからして深層意識の奴かと思ったけど、あのコアのデータと一致しなかった。一応全部のコアのも照らし合わせてみたけど、全部不一致」
「あのコアに何かが起きた。そう考えるのが得策か」
「その通りだと思う。もう何が起きてるのかわからないよ」
「お前がわからなかったら俺に分かるわけねぇな」
自嘲気味に男は苦笑いをした。
「ぜぇ・・・!ぜぇ・・!れ、”零夏さ~ぁん”、何時になった許してくれるんですかぁ~?」
「黙れクソガキ。俺がいいって言うまでずっと走れ」
「も、もう15週走ってますってば~」
「よし。あと500週走れ」
「ひ、ひぃ~」
ちなみに俺が走らされているのはIS学園グラウンドだ。一周5キロメートルもある所をもう15週も走らされていた。簡単に言えば70キロも走っている事になるが、相変わらずの体力馬鹿だと自分でも思う。
と言うかあと500も走らされたら文字通り俺は死ぬ。
「貴様が俺のかわいい千冬のファーストキスを奪ったからだ。殺さないだけありがたいと思え、エロガキ」
「じ、自分は束さんともっと――――」
ズドゴオッ!!
「ウボァーーー!!??」
「下手なネタぶち込むな。お前が束の名前を言うな、穢れる」
真上からの拳骨で視界がにじむ。零夏さんは俺がサボらないようにISを持ち出して監視している。大丈夫かIS学園。
というかこの人シスコンすぎて手の施し様がない。の割りには束さんを嫁に貰っているとか、かなりハチャメチャ。でも強い。強すぎる。
千冬がクラス代表トーナメントで無人機に襲われたとき、アリーナを半壊させてまで守るようなほどとんでもない。過保護すぎるところもあり、普通なら叩きのめされるような事でも、千冬には何もしない。しいて言うなら、頭をなでるのが罰だとか。
千冬の恋人ですと挨拶に行ったときなど、気が付けば病院だった。
「秋羅、さっさと走れ。この後に俺とブレオンのガチを10000回やるからな。弱音言ったら100000追加だ。出来なきゃ千冬と接触禁止だ」
「ちょ!?ひどすぎ!」
「ふん、妹は俺のものだ。貴様に言われる筋合いはない。それに束も俺のものだ。異議は認めない、つか言ったら殺す」
理不尽だ。
「に、兄さん!?何やっているの!?秋羅が死んじゃうからやめてよ!」
「仕方ないな、千冬に免じて許してやる」
「た、助かったぁ~!」
「(命拾いしたな、クソガキ)」
もう嫌だこの人。将来の義兄とか怖すぎる。
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