IS Let's make you a happy days   作:AK74

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 第十三話

 更識さんちの日常。

 

 ~楯無さんの娘さん(凪沙)をくださいという人がやってきた~

 

 極東と呼ばれる小さな島国の某所に建つ、日本でも屈指の豪邸。

 そこには古より日本の裏を支えてきた、更識家が住まいとしていた。

 更識の当主は代々”楯無”の名を受け継ぎ、楯無の名をもってして更識家を束ねる。

 そして16代目となる現当主の楯無もまた、自身の妻とともに部下たちを絶対なるカリスマ性で束ねており、部下たちからの信頼もまた高い。

 16代目楯無はそれだけでは終わらない。

 武芸にも抜きん出た実力を保有しており、その強さは人をも超えると言われ、全てにおいて歴代最高の楯無とされている。

 だが、いくら優秀とは言え結局のところは人でしかないため欠点など探せばさがすほどある。ここで挙げるなら、よく言えば考え方が柔軟、悪く言うならば子供っぽいところがそうだ。

 そんな当主を持ちながらも更識家は、代々仕える布仏家とともに暗部の家とは思えないほど賑やかに、日々を送っている。

 

 そして今日、更識家に一つの情報が流れた。

 次代当主候補とされる、現当主の長女をくださいという男が来たと。

 

 

 

 

 

「・・・どうぞこちらに当主様がございます」

 

「ありがとう」

 

 男は案内をしてくれた執事が少々怒気を含んだ声にもかかわらず、気にした様子は微塵も感じてはいない。

 なにせ、更識凪沙を嫁にもらうためにここに来たのだ。これくらいでへこたれてなどいられない。

 情報によれば更識凪沙には織斑一夏という想い人がいるらしいが、所詮はブリュンヒルデの弟というだけで姉のおかげで有名になっている程度。今はIS操縦者だと言ってIS学園に行っているらしいが、姉のおこぼれを貰って生きている奴がまともに操縦できるとは思わない。中学時代は荒れていたという、男には自分より劣った存在という認識しか織斑一夏にはなかった。

 どうせ織斑一夏は庶民の出身でしかない、家柄の問題で将来を共にするのは自分だ、ということか来る自信が男の中にはあった。

 男は部屋の中に入る前に身だしなみの最終チェックをする。

 180後半の長身に、スラリと伸びた長い脚。整った顔立ちは紛れもないイケメンという分類に入るものだ。

 身だしなみを整えた男は案内された部屋の襖を開けた。

 そこには・・・・・・

 

「楯無ぃ!!今までさんざんさんざん打ち負かしてくれたが、今日はそう簡単にはいかねぇ!!ぜってぇぶちのめす!!愛情をかけて育てた”グラードン”で焼き尽くしくれるわ!!!」

 

「ふははははは!甘い甘い、甘いぞ翔太ァ!!私の”ブイゼル”の前には伝説だろうが幻だろうと関係ないのだよ!!!行け”ブイゼル”!!”アクアジェット”じゃぁ!!!!」

 

「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!???俺の”グラードン”を一撃だとぉ!!!!????」

 

「バカめっ!!私のLV100”ブイゼル”の前には”グラードン”などイチコロなのだ!!!素直に負けを認めたらどうだ!!」

 

「くそぅ!こうなったら最終手段の”ルカリオ”出撃!!」

 

「”ピカチュウ”の”ボルテッカー”で一・擊・必・殺じゃぁ!!!」

 

「ぎいゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???!最終手段がぁぁぁぁ!!!!」

 

「もっと強くなってからでおなおしてくるんだなっ!!」

 

「勝者!!更識楯無!!」

 

「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおっ!!!!楯無の強さは世界一ぃ!!!」」

」」」」」」」」

 

「ははははは!そんなに褒めないでくれ照れるじゃないか!!!」

 

 DSを手に、某ポケットなモンスターに熱狂するいい年した男たちと、それをニコニコと微笑みながら見守る女性陣の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・

 なんだこれは?

 

 

 男の心の中を埋め尽くしたのはこのことだけだった。

 予想ではテーブルの向かい側に厳格な表情で座る、現楯無と話をするというものだとばかり思っていたのが見事に外れてしまった。

 というより襖一枚ごときでここまで音を遮断していたと思うとゾッとする。

 男は知らないことだが、こうやって騒ぐガキ(男たち)がいるため防音設備は世界トップクラスの性能を誇っていた。

 

「ん?お前誰だ?」

 

 先程まで負けていた翔太と呼ばれた人物が、麩を開けていた男に気づいて言ったのだか、男の方は思わずズッコケそうになった。

 何日も前に伝えたはずなのにと男は内心思う。

 

「数日前に伝えたはずなのですが・・・・・・」

 

「「「「「「「「「「「「「「「はぁ?お前なんか知らねぇよ、クズ」」」」」」」」」」」」」

」」

 

 今回ばかりは盛大にずっこけた。

 一人どころかその場にいた全員が覚えていないというのはどういうものなのか。

 女性陣もまた「そんな人来るって知ってました?」「えーそんなの知らないですよー」「というかあの男いけ好かないですね」「私も思ってましたよー」[ですよねー]「キモい奴。ヤッちゃっていい?」「いいんじゃない?少なくとも私は賛成ね」とささやきあう始末。

 というか最後のやつは何なんだ!?と男は心の中でツッコミを入れた。

 

「こらこら。”一応”来客らしいみたいだからそんな事を言ってはいけないよ?」

 

[はーい]

 

「まぁ。座りたまえよ、少年。立ち話もあれだろう」

 

「は、はい!」

 

 騒いでいた一人が注意したかと思うと皆が一気にしずかになり、尚且つまともに接してくれた人に男は涙が出そうになった。先ほど勝利していた人だ。

 さんざんな扱いをされていた中言われたものだから、救世主に視えるほど。 

 男は言われるままに座る。

 

「あの・・・ありがとうございます。ところで楯無さんは何処に?」

 

「何をいうんだい少年?私が楯無だが」

 

「(ぃぃっ!!??)」

 

 まじまじと目の前の物腰が柔らかそうな人を見る。

 ダボっとしたジャージを着て寝癖が残っているような、フリーターやニートにしか見えないのが楯無だとは思えない。

 もっと厳格なる人物だとばかり思っていたのに。なんだかここに来てから出鼻をくじかれてばかりだ。

 

「でー、ここに来たのは凪沙をもらうためだっけね?」

 

「は、はい。絶対に幸せにするので娘さんを僕にください!絶対に幸せにしてみます!!」

 

 やっと話が進んだ。

 心の中で考えていたセリフをそのまま言う。小難しいことよりはシンプルの方がいいと思ってからだ。

 目の前の楯無はなんでいるのか、眉間に手を当てていた。気がつけば周りの全員にジーと見られていた。

 

「少年、その言葉に偽りは無いのかな?」

 

「当たり前です。そうでなかったらここには来ていません」

 

 脈アリかもしれない。そう思った。

 親が賛成してくれれば、あとはトントン拍子で話が進む。家が裕福だとこういうところは簡単だ。

 

「じゃあひとつ聞くよ少年?凪沙を幸せにしたらどうするんだい?」

 

「は?」

 

「分からなかったのかい?幸せにしたあとはどうすると聞いているんだ」

 

「え、いや・・・・・・」

 

 予想外の質問に男はどもる。

 最終的には更識家を手中に収めるのが目的なのだが、今そんなことを言え訳にもいかない。

 だが、そんなことがなくとも幸せにしたあとどうするかなど全く分からない。幸せにすればそれでいいのではないのか?といくら考えても、その結論にたどり着く。

 何を言いたいというのか。

 

「全く。君はそんな簡単なことも答えられないのかい?この質問に答えられたら考えようと思ったけど。少年、君には凪沙を幸せにするどころかその権利もないみたいだね」

 

「っ!?」

 

「ほら、そこで驚いたら意味ないじゃないか。下心丸分かりだよ?前に一夏くんに似たような質問をしたことがあるんだよ”好きな人を幸せにしてあげれたらその後どうする?”ってね。そしたら一夏くんはなんて答えたかわかるかい?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 そう尋ねられたが、男はそれどころではない。考えていたことを全て見透かされたのだ。悠長に答えることなどできない。

 楯無はそうなることを分かっていたのか、気にした様子もなく続ける。

 

「簡単だ。それ以上に幸せにしてあげればいいんだ、と答えたんだよ?簡単な質問だってね。この質問答えられない君に凪沙をお嫁に出しはしないよ。出直してこい。元々少年に嫁に出す気なんてサラサラない」

 

「なら!なんで俺が来ることを許可した!!」

 

 化けの皮を剥がして怒鳴りつける。嫁に貰えないならどうでもよかった。

 

「落ち着きたまえよ、この質問に答えられるか試すためだ。まぁ、答えられても嫁にはやらない」

 

「ふざけるな。なら何処にやるつもりだ!?どこにでもやらないとでもいうのか貴様は!!」

 

「安心したまえ。そんな親バカじゃあないと思っているからね、私は。もちろん凪沙が望んでいる一夏くんのとこに出すさ。一緒に住んでいたこともあるから安心して送り出せる」

 

「庶民ごときに出すのか!?貴様ならわかるだろう!?良家なら良家同士で結婚させるのが当たり前だろうが!それもわからないのか!」

 

 やれやれと、楯無は肩を竦める。ここまでバカな人間を見たのは久しぶりだ。

 ひどく滑稽に視える。

 

「何言っているんだい少年?子供は親の人形じゃないんだ。子供が親のいうことを聞いていればいいというのが私は大っ嫌いでね。子供だって一人の人間なんだよ?凪沙が誰と結婚しようと凪沙の自由だ。相手が庶民だろうと、良家の坊ちゃんだろうと最後に決めるのは親の意見じゃない。子供の気持ちだ。親が口を出していいことじゃないよ。凪沙と結婚したければ私に認めさせるんじゃなくて、凪沙を認めさせてからにしろ。俺は一夏なんてやつよりよっぽどいい男だとね。本人じゃなく親を先に認めさせようとするなんてクズのすることだ。出直してこい」

 

 楯無が最後の言葉を言った瞬間、周りの部下たちが男を押さえつけ外へと連れ出していく。

 いくらさっきまで遊んでいたとは言え、結局は更識の人間。身体能力などそこらへんの人間の比ではない。

 抵抗などできるはずもなかった。

 男は最後と言わんばかりに口々にまくし立てる。

 だか、そんな負け犬のような言葉など楯無たち更識家の人達には届くことはなかった。

 

 

「んじゃ、続きをしますか。かかってこいやおまえらぁ!!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「負ぁけてたまるかぁぁぁっ!!!」」」」」」」」」」

」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ。今まで更識家の当主って襲名して楯無の名前を持つじゃん?でも私の子供は二人共女の子だろう?瑞希」

 

「ええ、あなたの代も同じように襲名してきましたがいきなりどうしたんです?」

 

「凪沙でも簪でもどちらかは襲名して楯無を名乗らなきゃいけなくなるけど・・・」

 

「?」

 

「楯無って名前女の子っぽくないじゃん?可愛げがないないっていうかなんていうか。女の子なのに女の子っぽくない名前を名乗るのはどうかと思うんだよね。二人共年頃だし」

 

「と、言いますと?」

 

「いっそのこと、襲名して楯無をなのるのを私の代でやめてこれからは称号のようにするのはどうだい?そうすれば、可愛げのない楯無を名乗らなくて済むぞ!」

 

「全く・・・あなたという人は、面白いことを思いつくのですね。いいのではないでょうか。私は賛成です」

 

「おぉ!!瑞希ならわかってくれると思ったよ!!よし善は急げ!早速皆を集めて宣言するんだ!

!」

 

「はいはい」

 

 

 

 更識家教訓

 

 一つ、子供心を忘れないようにしよう

 

 一つ、遊ぶということの重要性を思い出そう

 

 この二つは、現楯無が新たに作った教訓だった。

 これのおかげで皆が楽しく毎日を過ごしている。

 

 

 




いろいろとやってしまいましたが、後悔していません
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