IS Let's make you a happy days   作:AK74

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感想・・・欲しいです・・・(切実)


 第十四話

「ほーら、私に任せっきりにしないで自分でも歩く!」

 

「いやそんなこと言っても引っ張りすぎだって・・・・・・」

 

「細かいことは気にしちゃダメだよ?」

 

「・・・・・・凪沙が言うか」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 小学生に満たない子供二人が手を繋ぎあって歩いていた。

 いや、歩いていたというのは少々違うのかもしれない。

 男の子の方が、妹であろう女の子に手を引っ張られている。と言ったほうがよかったかもしれない。

 そんな眺めだった。

 

「兄さん、早く早く!」

 

「痛いよ□□□、そんなに強く引っ張んないで?そんなに急がなくても大丈夫だって・・・・・・」

 

「だってプリンだよプリン!!おかーさんの作ったのは美味しいのは兄さんだって分かるでしょ?」

 

「分かるけど、逃げたりなんかしないよ?」

 

「時間が逃げるっておとーさんが言ってた!」

 

「・・・・・・パパぁ。□□□に何教えてる訳・・・・・・・?」

 

 男の子のほうが浮かべた悲痛そうな顔は、とても幼稚園生ができるとは思えないようなもの。

 だが、決してそのままではない、幸せからくる呆れが少なからず混じっていた。

 

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「一夏?ぼーっとしてるけど大丈夫?」

 

 気がつけば、すぐ目の前に凪沙の顔があった。

 ・・・・・・・・・近いな。

 

「あ、いや・・・なんでもない。ちょっと疲れただけだから・・・・・・心配しなくていい」

 

「そう?」

 

「おう」

 

 凪沙にさっきと同じように内心を悟られたくはない。だから、一応心配かけまいと笑っておく。

 内心を凪沙に悟られたら、絶対凪沙は心配するからだ。

 できれば、だけど心配なんてかけたくないからな。

 

「・・・・・・嘘つき」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「え?何言ってるの一夏。聞き間違いでしょ。ほらもう着いた」

 

 凪沙に言われて前を見ると食堂の入口がすぐそこにあった。凪沙が何を言っていたのか気になるところだけど、今言っても無駄なはずだ。 

 引っ張られて少し痛くなった手を確かめつつ食堂に入った。

 

(夕飯何にするかな)

 

 そんな他愛も無いことを思いながら、な。

 

「「「「「「「「「「ごめんなさいッ!!」」」」」」」」」」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

 そんな思いはコンマ一秒後に完璧に破壊されたが。

 後ろにはしてやったりという顔の凪沙。

 

 ・・・・・図ったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生ッ・・・・・・!!!あの新聞部のクソアマやりやがってェ・・・・・・!!!」

 

 食堂であった出来事は、仲直り?したいというクラスの奴らがしようとしていたことで、別にそれは悪いことじゃないと思ったさ。

 女なんか嫌いだったが少しは認識を改められると思える位にはな。

 だけど俺は新聞部のクソアマが一枚の写真をデカデカと公開した瞬間、俺は脱皮の如く誰もいないであろう屋上に逃げたさ。というかあの場所で逃げなかったら、俺は精神的に死んでた。

 クソアマは俺より一枚うわてだったんだよな。

 インタビューを俺が鼻っから受ける気がないのを見通して、最終兵器たるものを用意していやがった。

 それはまさかまさかのあの時のもの。

 分かるか?あの時って入学当日の夜のことだぞ?

 あの時の出来事がバッチリと(高解度)で写真に収まっていたんだ。誰にも見られていないと思っていたはずのがな。しかも撮られているなら尚更。

 

(ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!今!すぐ!首吊りてェェェェェェェェェ!!!!) 

 

 明日からどんな顔で学校に登校しろと言うのか。

 クソアマぜってぇヤるわ。完璧に塵も残さず完璧に近くなるようにケす。秋羅兄に教わった体術とかその他諸々を総動員してアイツを木っ端微塵にしてヤる。

 今頃あの写真を目撃した奴らは、虚さんの手によって他言無用の印を徹底的に押されて、データ類は簪のハッキングで決されているはずだけど、やっぱり見られたことには変わりはない。

 絶対いつもと違う目で見られるに違いない。予想だが温かい目で。

 と言うか食堂の件は貸切じゃなかったみたいらしく、となれば他クラスに始まり他学年のやつも少なからずいた訳で。しかも、虚さんの他言無用の印を押されてない人も出てくる訳で。

 うん。学園中で噂にはならないだろうけど有名になるだろうね。多分。

 俺、家にガチで引きこもって良いかな?

 

「あ、一夏ここに居たんだね」

 

 突然かけられた声に振り向くとそこには凪沙がいた。

 食堂のことがあってなのか、少し顔が赤い。

 

「星、全然見えないね」

 

「へ?」

 

 凪沙が俺の隣に座り込んだかと思うと、突然そんなことを言い出した。

 言葉の意味が分からなくて間抜けな声を出してしまうが、凪沙が空を見上げているのに気づき、俺も空を見上げた。

 

 ――――確かに全然星が見えなかった。

 

 

 ここが都会で、日本の首都の、それも23区に接しているIS学園なら、夜だろうと消えることのない光で、星の光がかき消されるのは誰だって知ってる。

 星の光なんて何億光年という時間を経て地球にたどり着くなんてことは、高校生になった俺には当たり前でしかない。

 そんな長旅を終えてたどり着いた地球で、全く旅をしていない人工の光に邪魔される。

 ちっぽけな、だけれど気が遠くなるほどの長い歴史を知る光。

 そんな神秘的に感じることができる星の光。

 なんだか、さっきまでの高揚していた気持ちが自然と収まっていくのが分かる。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 お互い静かに空を見上げていた。

 1分だか、10分なのかは分からないけど、しばらくの間そうしていたのは確かだ。

 ふと、こうして空を見上げていることが懐かしく感じ、思い出す。

 

「懐かしい、な」

 

 無意識に誰に言うまでもなくそう声を発していた。

 

「ん?」

 

「なんだかさ、皆で星を見に行ったことを思い出したんだ。・・・・・・・・・・・・・綺麗だったな、あの星空」

 

 脳裏に映るのは今までに見た星空の中で、一番綺麗で、神秘的な、最高と胸を張って言えるもの。

 

「そう、だね。もうあれから3年か・・・・・・早いね、時間・・・流れるの」

 

「でも、3年経ってもはっきりと思い出せるよ。星見るだけで2泊3日の東北旅行」

 

 クスクスと凪沙は笑うと口を開いた。

 

「それってお父さんたちがしでかしたこと?」

 

「あ―――、ま、それもあるんだけど。やっぱあの時見た星空は忘れられないよ。”初めて”だったんだよな、”綺麗だな”って思えたのが、さ」

 

「・・・・・・・・・一夏」

 

 俺の言葉を聞いた瞬間、凪沙の顔が不意に辛いことをこらるように歪んだ。

 本当ならこんな顔をしてもらいたくなんてない。

 

「そんな顔すんなって。昔はどうとあれ、今が楽しいからいいんだよ。終わりよければ全てよしってな。ま、まだ終わりじゃないけどな」

 

「楽しい?」

 

「当たり前だろ?凪沙がいて、虚さんがいて、簪も本音だっている。前も言ったかもしれないけどさ、俺はひとりじゃないしみんなが居る。これで楽しくなかったらなんていうんだ?」

 

「ありがとね一夏。そう言ってもらえると嬉しい」

 

 辛い顔から一転していつも通りに凪沙が微笑んでくれる。

 やっぱり凪沙には笑顔が一番似合う。根拠なんて何もないけどそう思える笑顔だ。

 俺はその言葉に頷き、そしてまた沈黙が俺たちを包む。

 10秒に満たない沈黙は俺が破った。

 

「また、行きたいな。東北にみんなでさ」

 

「そうだね・・・・・・だけど私はお父さんたちがちょっと心配かな?」

 

「・・・・・・否定できないぞ、それ」

 

「でしょ?お父さんたちって子供っぽいから・・・・・・、また旅館に迷惑かけないかなってね・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 思い出したのは東北旅行の夜、詳しく言えば旅館での出来事。

 旅館に泊まる。しかも親しい仲でとなれば、燥ぎたくなるのは当たり前のことだろう。だけどそれは学生頃までだと俺は思ってる。

 だが、そのフツーな常識を破るのが楯無さんたちであって。子供たち、つまり俺らに心配されるくらいはしゃぎ回り、それを見守るのが女性陣であって。

 つまり何が言いたいかといえば、

 

”楯無さんたち更識家の人に常識たるものを求めてはいけない”

 

 

 ということだ。

 ぶっちゃけてしまえばアレだ。おっぱじめたんだよ”枕投げ”を。

 そう、旅館で学生が泊まった時の鉄板行事とも言われる”枕投げ”だ。MAKURANAGE。

 楯無さんたちは立派な大人だけど、そこに常識が存在しないのが更識家。

 最初はまぁ、よかった。フツーな枕投げだったさ。だけど熱が入ってスイッチがONになってしまったらしく、すげー所までエスカレートしたんだ。

 いつの間にか気合声が入り、怒声に変わり、なぜか上半身裸になる人が出てきて、枕がとてつもない速度で飛び交うようになり、羽が舞い始め、なぜか菓子類の箱が飛び、なぜがカバンが飛ぶようになり、旅行かばんまでも、枕投げが枕投げとして成り立たなくなり、武器を取り出す猛者が現れ、最終的には取っ組み合いの喧嘩が始まるまでに至るという。

 なにやってんの?と言わざるを得ない状況だと思う。

 ちなみに枕投げ発展アリは、全員が疲労でぶっ倒れるまで続いた。

 全員が更識としての訓練を受けているとなれば、どれだけ長く続いたか分かってもらえると思う。

 まぁ、終わったあとの部屋は悲惨なことになっていて。

 後片付け+女性陣のちゃんと片付けて直しなさいという視線に、泣いた男たちが居たそうな・・・・

・・という出来事があったという訳。

 あれを出来事と呼べるのかは知らないけど。

 秋羅兄までまじっていたのは、気にしない方がいいのかもしれない。

 見てて楽しかったというのは事実だけど。

 

「けどさ凪沙。迷惑かけないのは普通だろうけど、楯無さんたちが迷惑をかけなかったら、この世の終わりに思えないか?」

 

 

 これは本心からな。

 

「・・・・・・それ言っちゃったらダメだよ一夏」

 

 お互いに顔を見合わせ、どちらともなく笑い合う。

 ま、言ったら終わりだって理解はしてたんだけどな。

 

 

 

「じゃあ、私は部屋に戻るね。一夏も早く帰らないと遅刻しちゃうからよ?」

 

 あの後。しばらく一緒に星空を見ていた時に凪沙が言い出し、立ち上がる。

 俺は声に出さず頷くだけで返事をした。

 立ち去ろうとする凪沙を見ていて、不意に紙が擦れる音が聞こえた。

 

 

「凪沙!」

 

「ど、どうしたの?」

 

 条件反射のように凪沙を呼び止める。いつの間にやら、俺は立ち上がっていた。

 思い出した。凪沙に伝えようとしていたことがあるんだって。

 つい数時間前に決心したことなのに俺は何をしているんだって、さ。

 

「あのさ・・・・・・」

 

 伝えたい想いは今心の中にはっきりとある。ドキドキして言葉にできないという訳でもないけども、俺は言葉に詰まった。

 続く言葉が出てこない。なんて言えばいいのかが全く浮かんでこない。

 考えてみれば当たり前のことだ。12より以前なんて地獄で自分の世界に閉じこもっているだけ、凪沙とあった後は毎日の出来事が楽しくてそんなことなど考えることなどなかった。

 俺の中の異性といえば、凪沙たちに鈴に弾の妹の蘭。後は山田先生くらいだ。姉さんは家族だから言うまでもない。

 世間で言う”恋”っていうのは、凪沙に想い始めたのが初めてだから経験なんてないし、コミュ二ケーション力に欠ける俺が、この場面でまともな事を言えるわけもなかった。

 

「一夏?」

 

 凪沙が俺の目の前にいて、顔を覗き込んで来た。

 

「これなんだけどさ」

 

「これって・・・・・・?」

 

 なんでそうしたのか分からないけど、俺は凪沙からもらった手紙を出していた。

 凪沙の顔が驚きに包まれてる。

 下手くそだけど、伝えたい。

 

「俺さ、ずっと返事がしたかった。俺、凪沙のこと」

 

 真っ直ぐに凪沙をみつめる。

 

「好きだよ。俺すごく嬉しかった」

 

 言い終わると同時くらいに凪沙は顔を伏せた。何を思っているのかは分からないけど、なんだか緊張する。

 そして、しばらくの後顔を上げる。

 

「ばか。返事が遅いよ?」

 

 口ではそう言っているけど、今までで最高とも言える笑顔をしていた。

 でも、それは凪沙がたまにする強がりなのを知っているから、

 

「ゴメン」

 

 謝って、凪沙が壊れないくらいの強さで抱きしめる。

 誰かが見ているとか、もしかしたら新聞部のやつがどこかでカメラを構えているかもしれない。そんな考えは一切捨てる。余計なことなんて考えたくもない。

 凪沙が背中に手を回してくれるのが分かる。

 その上で俺は温もりを、凪沙が腕の中にいるということを感じて居たくて、ただ抱きしめていた。

 




番外編ってアリですかね?
でも短編が書けないという現実。
なぜか話を長くしてしまうくせみたいなのがあるみたいです。
治すべきなのか大丈夫なのか、微妙なところです。


・・・・・・一夏くんと凪沙さんがくっつくという大事なところなのに
うまくできなかった(涙)
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