IS Let's make you a happy days   作:AK74

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 ホントすみませんッ!!
 最近更新できなくて、挙句には本編を更新しないで。
 言い訳になるかもしれないんですが、書いていたデータが
 数回パーになったりしたり、学校が忙しくてこうなってしまいました。

 できるだけ早く本編を上げますので、どうか愛想をつかさないで欲しいです。

 

 それでおまけというのは、前に勢いで書いたネタという物(?)です。
 連載予定なし。
 単発投稿です。
 後グロ注意です。
 おまけというには長いと思いますが、気にしないでもらえると嬉しいです。

 かんたんに言ってしまえば今回のは時間稼ぎと同じだと思います。


ちょっとしたお知らせ+おまけ

 At that time, which marks the end, the last message to the world

 

――――コロセ

 

 あぁ、分かっているさ。

 ”俺たち”はもう後には退けない。

           (ファイナルフェーズ)    

 俺たちには計画の本当の 最終移行段階  を選択した。

 だから殺すしかないんだ。

 それも一人や二人じゃない。

 世界のニンゲンをひとり残らず殺すしかない。

 俺の仲間だった皆が、俺に計画を託して死んでいった。

 皆、最後は笑っていた。

 悔しいほどに笑っていた。

 思い返せばアイツも、俺が唯一愛したアイツも、最後は笑っていたっけな。

 一人にしないでくれたって。それだけで満足だって。

 俺の腕の中で、確かに微笑んでくれて、キスをして、ゆっくりと冷たくなっていった。

 俺の私情で何時も寂しい思いばかりさせて、殆ど一緒にいてやれなかったというのに。

 アイツはハッキリと幸せだと言ってくれた。 

 だからなんだろうか。

 あいつが死んでから俺は、いつの間にか世界をそれ以上に憎むようになった。

 世界は俺から全てを奪って、全てを壊した。

 ならば俺も世界から全てを奪い壊してやろう。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 そこらじゅうから悲鳴が、絶叫が、泣き叫ぶ声が聞こえる。

 視界に映る人間どもは皆、逃げ惑うのみ。

 

「や、やめっ―――――」

 

 足を撃たれうずくまる男を見据え、左手に持つデザートイーグルを突きつける。

 

「悪いな。恨むならあの世でしろ」

 

 ズガンッ!!と銃声を響かせ、火を噴く。

 ハンドキャノンと言われるような破壊力を持つソレは、男の頭を貫きグシャグシャにする。

 肉片が飛び散り、血の匂いがする。

 普通なら嘔吐するなり、目を背けるのだろう。

 だが、小さい頃からこんなことをしてきた俺にはどうという事はない。

 逆に当たり前すぎることだ。

 殺らなければ殺られるような、過酷なところで生きてきたのだからこんな事は日常だ。

                   (役たたず)

 視線を横に向けるといつの間に来たのか、警察官 どもがチャチなリボルバーをこちらに向けている。

 

「直ちに武器を捨て投降しろ!今すぐ投降するなら我々は危害を加えない!」 

 

 在り来り過ぎた。

 平和ボケした日本人にしか言えないような、子供騙しのような言葉。

 いくら警察がリボルバーを持っていて訓練をいようが、素人なのには変わりない。

 銃弾一発で始末書を書かされる位だ。

 ただ持っている過ぎず、人を撃つなどもっての他。

 こいつらは自衛隊ですらない。

 よく見れば、両手で構えているのにも関わらず銃口が震えていて、狙いが定まっていないのが一目瞭然だ。

 当たるわけがない。

 違うな。もし狙いが定まっていても俺には当たらない。

 今の俺はこいつら如きどころか、世界を総動員させても勝つことはできない。

 たとえ核を使おうとも、だ。

 

「聞こえているの―――」

 

「煩いんだよ。大人しく殺されろ」

 

 ”異能”を発現、その力をもってして警察官どもをひとり残らず爆散させ、肉片に変える。

 

 血が霧のように漂い視界を真っ赤に染め上げる。

 全員死んだのを見計らい、”異能”の発現を止める。

 それに反応するかのように、銀髪が紅い瞳が元に戻る。

 

――――イイゾ。オモシロイダロウ?コロスノハ

 

 そうだな。楽しいな、殺すっていうのは。

 

 俺の中の獣が囁きかけてくる。

 確かに楽しい。有り得ないくらいに、この世のものとは思えないくらいに。

 

 俺はその楽しさに身を任せデザートイーグルを格納、変わりに両腕に7,62mm口径ガトリングを展開する。

 通常の規格に加え、60kgはあろうかと言う外付け弾倉を付けている。

 普通なら人間には到底扱えるものではない。

 そう”普通”の人間なら。

 俺は人間じゃない。元人間だ。

 人から創られた存在。簡単に言ってしまえば改造人間。

 超能力を使え生身で容易くISを破壊できる人を超える存在。

 

 そう。世界は自分たちが作り上げた兵器一つに終わらされる。

 俺の意思で終わらせる。

 

「死ね。ゴミ共」

 

 その言葉とともにトリガーを引く。

 毎分2000発を超える弾丸が二つのガトリング砲から、怒涛の勢いで放たれ、ブレることなくニンゲンを打ち抜いていく。

 手足がちぎれた者、頭を吹き飛ばされた者、内蔵をぶちまけた者、一瞬で死んだ者。

 死体を綺麗に残して殺すという事はしない。

 そんなことは面倒であって楽しくない。

 この殺戮に情けなど存在しない。

 情けが存在しているなら、こんな事はしない。

 

 

―――――モットコロセ

 

 

 人殺しの獣の言うように次々に殺していく。

 弾薬が切れたガトリングを放り捨て、ISを展開する。

 最初からこうすれば良かったのだろうが、それじゃあつまらない。

 俺の手で殺してこそ意味がある。

 

 狂っている。俺は。

 

 今更すぎることを不意に思う。

 本音を言えば、今俺は何でこんな事をしているのかすら分からなくなる。

 何が何だか分からない。

 でも、教えてくれる人は誰もいない。

 皆死んだ。

 俺の家族を全てを奪われた。

 俺たちは、自由が欲しかっただけだ。

 世界は俺たちからすべてを奪い、自由を得ることを拒んだ。

 

 許せない。

 

――――ソウダ。ユルスコトナドナイ。

 

 グレネードキャノンを展開。

 ゴミが密集しているところへ撃ち込み、殺す。

 

――――ウバワレタナラ、ウバエバイイ

 

 殺して、殺して、殺してやる。

 

 レーザーライフルで黒焦げにする。

 

――――ミナゴロシニシテシマエ。ゼンインガ、ミテミヌフリヲシタヤツラダ。

 

 誰も、助けてくれなかった。

 泣き叫ぼうとも、絶叫しようとも。

 

 プラズマブレードで焼き切る。

 

――――オマエノアネモソウダッタダロウ?

 

 そうだった。

 いくら名前を呼んでも来てくれなかった。

 それどころか、俺の存在すら忘れ去られていた。

 

――――ニクイカ?

 

 あぁ。憎いさ。

 アイツも、皆殺された。

 だから俺も、クズどもを皆殺しにしたんだ。

 

――――サァ、コロソウ。ゼンインコロシテフクシュウシヨウ。

 

 ISを展開したアマ共が2人見えた。

 見た所国産IS打鉄と言ったところか。

 武装は今のところ展開はしていないが、近接ブレードだろう。

 格納に射撃兵装がないわけじゃないとは思う。

 だが打鉄の性能ゆえにせいぜいアサルトライフルが良い所だろう。

 重火器はないと思っていい。

 近接よりの防御タイプ。

 そんな機体が満足に射撃兵装を扱えるとも思えない。 

 ま、俺にはそんな事はあまり関係ない。

 兵装に合わせて、戦闘方法を変えれば良いだけだ。

 

――――ドウスル?

 

 殺すに、決まっている。

 当たり前のことだろうに。

 

 

 

 

 

”目標を確認。これより戦闘態勢に入る”

 

「了解」

               (クル-ズ)(ミリタリー)

 お互いに目標を確認しあい、ISを巡回状態から戦闘状態へと移行させる。

 武装のセーフティを解除、得意武器の近接ブレードを一本展開する。 

 

<情報によればIS学園を制圧した武装グループの一員と見られますが、IS学園からの敵性情報はなく、学園からの情報収集も不可能でした。

 相手の戦力は未知数です。

 ですが、かなりのISがあった学園を陥落したことを踏まえると、2機での迎撃は厳しいことになるでしょう。

 増援到着までどうか持ちこたえてください>

 

 オペレーターからの通信が再度入り、もう一度敵戦力のデータを伝えられるが、あまり意味がない。

 かなりの戦闘能力がある存在ということ以外には、有効な情報はない。

 今のところ一人しか見えないが、尖兵が居るかもしれない。

 迂闊な行動は命取りになると嫌でもわかる。

 

「増援到着までの予想時間は?」

 

<予定通りと仮定するならば早くて10分と言った所です。なので戦闘を主軸に置くのではなく、民間人の避難を優先する形でお願いします>

 

 10分。

 かなり長いように思えた。

 敵戦力が不明とは言え、IS一機にオペレーターがついているのは今までにはないことだ。

 厳しい戦いになるとしか思えない。

 それでさえ、初めての敵に、命のやり取りだ。

 いつかは体験することだろうとは思っていたが、これほどまでに精神的負担が大きいとは思えなかった。

 

 ブリュンヒルデが居てくれれば・・・・

 

 そんな甘い考えに囚われるもすぐに捨て去る。

 いない人に頼っても意味はない。

 

「貴様、今すぐISを解除して武器を捨てろ。これは命令だ。再度言う、今すぐISを解除し武器を捨てろ」

 

 人を大量に殺害している今、警告を出すまでもなく攻撃する名目はある。

 一応の形でしなければいけない決まりがあるため、それに習う。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・了解。ISを解除する」

 

 マシンボイスだった為に、感情は読み取ることはできなかったがこちらの要求はなぜか聞き入れた。

 裏があるとしか思えない。

 ここまでしておいて抵抗しないというのはなぜだ?

 そんな考えが頭の中をよぎる。 

 だがそんな考えはすぐに打ち消された。

 

”ッ!?”

 

「き、貴様は!?」

 

 相棒の声と自身の声が重なる。

 

 有り得ない。

 

 有り得ないはずなのに、それはソコに確かに存在していた。

 

「織斑・・・・・・一夏・・・・!?」

 

<どうゆう事です!?なぜそこに織斑一夏が!?>

 

 オペレーターまでもが驚きを隠せずにいた。

 

 ”織斑一夏”

 

 世界最強:ブリュンヒルデの唯一の家族であり弟。

 そして今年春に発生したISを動かせるイレギュラー。

 入学1週間にて代表候補性を撃破。

 それからも次々に実力を付け、中国の候補性と互角に持ち込み、ドイツの候補性のISに仕込まれていたVTシステムに対して、ISの部分展開だけで対処。

                    (シルバリオ・ゴスペル)   

 終いにはアメリカからの要請があった、 軍用第三世代IS銀の福音 を仲間の援護があったとは言え、最終的には撃破した経歴を持つ。   (セカンド・シフト) 

 その際には僅か2ヶ月と少しという短期間で、  二次移行   を完了させた人物。

 

 

 そんな人物がIS学園を陥落させたテロリストに加担していた?

 

(世界最強)

 織斑千冬はどうなった?

 

”テメェ。ブリュンヒルデはどうした。なぜテメェが人殺しをしている”

 

 言おうとしていた事を相棒にそのまま取られる。

 

「織斑千冬か。あいつなら死んだ」

 

「ッ・・・」

 

 驚きを隠せない。

 織斑千冬が死んだ?

 敵はなしと言われているあの人物が?

 信じられない。

 

「いや、違うな。俺が殺した」

 

”キサマァァッ!!”

 

 激高する相棒とは対照的に冷静に判断していた。

 

 織斑千冬は、織斑一夏に殺された。

 

 ということは負けた?

 実力で?

 それとも精神を揺さぶられた?

 

 家族ならば、織斑千冬を揺さぶることなど容易いハズ。

 だが、殺す理由がまるで分からない。

 聞いた話は皆仲が良い姉弟としか思えないようなものばかり。

 

<・・・・情報更新。増援到着まで後11分。予定より遅れています>

 

 怒りをどうにか隠した声でオペレーターから情報が入った。

 ・・・遅れているか。

 

「余りにも呆気ない最後だった。左腕を飛ばしただけで戦闘続行不可。後は簡単さ、頭を打ち抜いてやれば済んだ。あっけないだろ?」

 

 その声は殺しを楽しんでいる人間そのもの。

 

 殺人狂かコイツは。

 

「つまらなかった。ずっと殺したかったのに、蓋を開けてみるとどうだ?何もできないただの女だ。くだらないな、こんな事を望んでいたんて」

 

「だからさ―――――」

 

「ッ!?」

 

 一瞬で、生身の人間が出来るはずがない速度で目の前に接近していた。

 

「―――――お前らを殺すから」

 

 ISのセンサーですら捉えられない速度の蹴りが繰り出された。

 

「ごがッ!?」

 

 絶対防御がそれだけで発動し、エネルギーシールドが一瞬で大量に減る。

 ISのシールドがいくらか衝撃を緩和している上でのこの衝撃。

 生身で直撃したかのような錯覚に陥り、そのまま飛ばされビルにぶつかり壁を壊していく。

 数枚の壁を破ったところでやっと止まる。

 しかし腹部に食らったせいでまともに息ができない。

 動くことも出来ない上、しゃべることすら出来ない。

 内蔵にダメージがかなりあるのが違いないような痛みだった。

 

「ぐッ・・・が・・・ぁ・・・・・ッ」

 

”オイ!大丈―――――くッ!邪魔すんなよ!”

 

<しっかりしてください!!もう少しで増援が来ます!それまで耐えれば助かりますから!!>

 

 相棒から、オペレーターから声をかけられるが、返事が出来ない。

 口からは、声が出ない代わりに大量に吐血する。

 咳き込むたびに吐血し、既に無視できそうもないようなくらい大量の血液を吐いた。

 

 内蔵にダメージが残っているどころか、破裂しているようだ。

 

”こんのッ!!さっさと落ちやがれェェェェェェェェェェェッ!!”

 

 オープンチャンネルを開いたままなのか、相棒の激昂した声が聞こえてくる。

 閉じるのを忘れている、と言いたいが声が出せない。

 こんな場面にまで世話をかけさせるのかと思わず苦笑してしまった。

 

”アイツの所に行かなきゃいけないんだよッ!!邪魔するな!!”

 

 馬鹿が。

 そう言ってやりたい気分に陥った。

 死ぬかも知れない戦闘をしているのに、自分の事を考えているのか。

 単純で、性別が女なのに男勝りと言わんばかりで。

 そこらへんの男より男らしく、細かい事は気にしない性格で。

 本当に男なんじゃないかと思ったり。

 その割には胸が小さいことに愚痴をこぼして来たり。

 

 いかんな。走馬灯を見かけている。

 

”オレが行くまで絶対死ぬんじゃねぇぞ!ぜってぇだかんな!死んだら許さねぇからなッ!!”

 

 やっぱり、馬鹿だ。

 大馬鹿者だ。

 視界が歪んだ。

 

 泣いているのか。私が。

 

 信じられない。

 相棒と出会った頃からは想像も出来ないやり取りだ。

 

 IS操縦者候補性としてIS学園第一期生として入学して、同じクラスの、同じ部屋になったあの時が始まりだった。

 性格も何から何まで正反対だった私たちは反発し合っていた。

 喧嘩ばかり。

 くだらない理由で喧嘩して。

 ISの実習では競ってばかりで、勝ったほうが負けた方を馬鹿にして。

 周りのクラスメイトたちに呆れられようが競い合って。

 

”返事をしろよ!!死んだわけじゃねえんだろ!?生きてんだろ!?うめき声でもいい。なんだっていい!!声を聞かせろよ!!”

 

「・・・・・・かってに・・・・・・・こ‥ろす・・・・な」

 

 あぁ、言えた。

 満足感が心を満たす。

 

”・・・・・・・・ふんッ。生きてるじゃねぇか。待ってろソッコーで片付けてそっちに行くぜ。それまで藁にしがみついてでも生きてろ”

 

「あぁ・・・・・・・・・・」

 

 涙声になっていた。

 久しぶりだな。

 泣きそうになっている声を聞いたのは。

 

 

 いつからだったのだろう。

 私たちが今のような関係になったのは。

 

 考えるまでもなかった。

 あの日だ。

 10月に行われたトーナメントがきっかけだった。

 決勝で当たった私たちが、打鉄を使い物になるまで戦い続けそして決着がつかなかったあの日。

 あの日から、お互いを自然と認めるようになっていった。

 細かいところまでは覚えていないのに、認め合うようになったのは今でも覚えている。

 アレからだ。

 パートナーになって、お互いの弱点を補うように、守るように連携して、信頼は織斑千冬と篠ノ之束にも匹敵するようだと言われて。

 お互いを支え合い、支えられ、今日まで生きてきた。

 

 良かった。お前と会えて。

 最高の相棒だ。

 

 ゆっくりと目を閉じる。

 死ぬわけじゃない。

 疲れたから寝るだけ。

 約束したんだ。

 みすみす死んでなどいられない。

 

 いくらでも待ってやる。さっさと片付けろ、相棒。

 

 

”へっ。そうこねぇとな。さっさとかたずけてやらぁ”

 

 声に・・・・・・出していた、いや、出せたのか。

 

 ・・・・・・情けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ。起きろよ。いつまで寝ているつもりだ?」

 

「んぁ?」

 

 声がして目を開けると相棒が立っていた。

 なぜかISは装着されておらず、戦闘していたとは思えないほどだ。

 

「倒したのか?」

 

 起き上がりながら言う。

 不思議と痛みはない。

 

「・・・悪い。勝てなかった。死んじまったよ」

 

「・・・そうか」

 

 頬をかきながら言う相棒の言葉を受け取れば、私も死んだことになる。

 

 ココは死後の世界か何かか。

 

 それにしても、最強と言われているISが一撃で撃破される・・・・・か。

 

「すまねぇ。約束守れなかったな」

 

「いいさ。私だって約束を守れなかった。お互い様だ」

 

 座り込んだままだったから、相棒に手を伸ばす。

 一瞬驚くも意図を理解して、手を掴み立ち上がらせてくれるよう引っ張ってくれる。

 立ち上がるとそっぽを向いている相棒に声をかける。

 

「まぁ、死んでもこうして居るなんてな。私とお前には何か切っても切れない縁があるみたいだな」

 

「・・・・・・・・・・・・違いねぇ」

 

「死後の世界が本当に存在しているとはな。変な気分だ」

 

 視界には、蒼く澄み渡る空、どこまでも続いているような草原、そして海と思えるほど広い川が広がっている。

 綺麗な景色だ。

 今の日本じゃ見れそうにもないほど。

 

「そんなの誰も見たことねぇんだから仕方ないだろ。にしてもでっけぇなぁ、三途の川とやら」

 

「そうだな・・・・・・・」

 

「ン?どうしたよ?」

 

「コレからも宜しくな相棒」

 

「ふん。当たり前だ」

 

 言ったそばから恥ずかしくなり、そっぽを向く。

 柄じゃないな、こんな事は。

 

 ふと思う。

 死んだことを自然に受け入れている事に。

 死ぬ直前まで怖いと思うことはなかった。

 全く理解できない事だが、コレだけは言える。

 

 相棒といっしょならどこまでも行ける、と。

 

 自然と頬が緩む。

 出会ったばかりの私たちが、今の私たちを見たらどう思うのだろうか。

 それを考えると笑みが止まらない。

 

「・・・・・・いきなり笑いやがって。変な奴」

 

「思い出していたのさ。8年前の私たちをな」

 

「そうかい。それなら仕方ねぇな」

 

 考えることは同じだったのか、相棒の頬も緩む。

 

「まぁ、ここでずっと話しているのもアレだ。続きは川を渡ってからにしよう。未練は無いだろう?」

 

「おう。それには賛成だ。ま、アイツを倒せなかったのは残念だけどよ」

 

「大丈夫だ。皆が倒してくれるさ」

 

「ンー。そうだったらいいんだけどよ。俺ら6文銭持ってないぞ。そうじゃねぇと渡れねぇじゃん」

 

「ふむ」

 

 そう言えばそうだったな。

 まともな死に方をした訳でもないし、死んで数時間もないのに葬儀をされているとは思えない。

 どうすれば・・・・と思ったところで、妙案が浮かぶ。

 

「相棒。何とかするんだ。こういうのは得意分野だろう?」

 

「お、おい。いきなり無茶すぎんだろうが・・・・」

 

「まぁいい。ゆっくり考えるとするさ」

 

 そう言うと歩き出す。

 やけに遠いな、川までは。

 

 

 

 

 ふと、座り込む一人の少女を見かけた。

 織斑一夏に殺された娘か?

 だが、その顔には見覚えがあるような気もする。

 

「どうしたんだ、誰かを待っているのか?」

 

「うん」

 

 力なく頷く。

 見た所14~5歳位に見えるが、誰を待っているというのだろうか。

 でも、少し待っているとは思えない。

 何ヶ月単位で待っているように見えた。

 

「一夏を待ってる。ずっと」

 

「う、嘘だろ?アイツをぉ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 織斑一夏を待っているということはどういうことだ?

 情報通りなら、この様な少女は織斑一夏の周囲には確認されていない。

 

「私が、私が弱かったから一夏は歪んでしまった。一夏は生まれてから今まですべて奪われて生きてきた」

 

 ポツリと、続けていく。

 

「初めて一夏と会ったとき、名前すら奪われてC-003という識別する番号しかなかった。だから私が名前をつけてあげた」

 

 黙って聞く。

 

「ありがとう。確かにそう言ってもらえた。でも一夏には本当の自分になりたかったんだと思う」 

 

「だから私は、私だけは本当の名前で呼んであげていた。でも一夏はどこか歪んでいた」

 

「奪われて、奪い合う。そんな環境で過ごしてきたからだと思えた。でも私と一緒にいて幸せだっていってくれた」

 

「嬉しくて、笑いあったこともあった。自惚れかもしれないけど、一夏は私がいたから笑えていたんだろうと思う」

 

「でも、私は死んでしまった。ホンの少しのミスで私が死んでしまった」

 

「それが原因で、一夏は完全に歪みきってしまった。だからずっと見ていた」

 

「自分を偽り偽物の笑顔を作る姿。計画を遂行するために使える物は使う姿。そして使い物にならないのは捨てる姿」

 

「ずっと見守ってきた。でもそれしかできなかった」

 

「だから私はこうして待っている。私が唯一出来る償いだから」

 

 沈黙がその場を満たす。

 私も、相棒も、何を言っていいか分からなくなっていた。

 ただ人を殺すだけとしか見ていなかったあの織斑一夏に、そこまでの過去があったなんて思いもよらなかった。

 この少女は織斑一夏の彼女か何かのだろう。

 奪われて生きてきて、何もかもを失う。

 そんな中できた愛する、大切な人。

 それさえ失ってしまえばああなるのは必然だ。

 

 辛い、思いをしてきたんだな。

 

 成人にも満たないのに、そんな黒い部分をわかりきって。

 私たちは何をしていたんだ。

 そう、思わせるような物だ。

 

 ここに私たちがいてはダメだ。

 直感が告げる。

 

 相棒の手を取ると引っ張りながら歩き出す。

 

「お、おい」

 

 彼女は待っているのが償いだと言った。

 なら私たちはここにいないことが償いだろう。

 

 だが、最後に、コレだけは言っておきたい。

 

「会えると・・・いいな。彼に」

 

「・・・・・・うん。ありがとう」

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「?」

 

 相棒の声に少女が首をかしげる。

 

「一夏って奴はずっとお前を待たせてんだろ?」

 

「一応そうなる」

 

「会えたら問答無用でぶん殴ってやれよ。女待たせる男はサイテーなやつだからな」

 

「うん」

 

「それと一つ伝言頼む。”お前のことは恨んでない。酷いこと悪かった”そう伝えといてくれ」

 

 清々しいやつめ。

 そう思った。

 

「・・・・・・私、貴方の名前知らない」 

 

「ヘッ。打鉄に搭乗していた男勝りな奴ってでも言ってくれりゃ伝わる」

 

「・・・・・・自分で言うか」

 

「分かった」

 

 返事を聞くと私たちは歩き出す。

 振り返りはしない。

 未練など無いのだから。

 

 私たちは、せめて前を向いて歩いていこう。

 ひとりじゃない。

 相棒がいる。

 それだけで、どこまでも行けるような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 空は灰色に濁り、雨が降っていた。

 人の気配は無く、ISのセンサーを利用してもこの街からは生体反応は確認できない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 土砂降りの雨がすべてを洗い流していく。

 

 壁にこびりついた血や肉片。

 そこらじゅうに充満する血の匂い。

 火薬が燃え尽きた匂い。

 航空機燃料の匂い。

 タンパク質が焼けた匂い。

 死体から発せられる臭気。

 体に付着した返り血。

 

 すべて洗い流されてゆく。

 何も言えなかった。

 なんて言えばいいのか分からなかった。

 

 

――――ドウシタ。モットコロサナイノカ。

 

 分かってる。

 全員殺さなきゃいけないことは分かってる。

 

 カランと音を立て刀が手から滑り落ち、力なく座り込む。

 

 容赦なく雨が俺の体温を奪う。

 

――――ゲンキガナイナ。アノソウジュウシャガゲンインカ?

 

 多分な。

 

――――タノシンデイナイジャナイカ。コロシヲ。

 

 アイツ等を見て、思い出しちまったんだから仕方ないだろ。

 

――――オモイダシタ?

 

 オータムを思い出したんだよ。

 瓜二つって言ってもいいほど性格が似てた。

 

 懐かしい。

 

 アイツと喧嘩ばかりしてた頃が。

 

 それに。

 

――――ソレニ?

 

 ”マドカ”も思い出した。

 

 大切な人。

 

 マドカが付けてくれた名前があった。

 C-003としか呼ばれなかった俺が、名前を奪われた俺についた名前。

 嬉しかった。

 

 マドカと会えて本当に良かった。

 

 なのにもう隣にはいない。

 

 マドカを失いたくがないために作り上げた計画も、もう意味を成していない。

 

 一番失いたくない人は既にいない。

 

 オータムも、スコールも、□も、□□□も、もう死んだ。

 

 一人になった。

 誰も仲間がいない。

 

「会いてぇなぁ・・・・・・・」

 

 視界が滲む。

 

「会いてぇよ・・・・・・・・・」

 

 何でこんな運命だったのだろう。

 

 もっと、まともに生きたかった。

 

 普通の人としてみんなと笑って生きたかった。

 

「・・・・・・・・畜生」

 

 声が震える。

 

「・・・・・・・畜生ッ」

 

 心が痛い。

 

「・・・・・・・畜生ォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

 もしかしたら―――――

 

 そんな後悔の念が今更こみ上げてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 雨とは違う水滴がアスファルトの地面にこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆらりと立ち上がり、刀を手に取る。

 

 涙は枯れ、もう何も溢れてこない。

 

 雨は上がり空は晴れきっていた。

 

 だが雨が降っている時のように濁っているようにしか見えなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ゆっくりと歩き始める。

 

 もう、どうでもいい。

 

(ファイナルフェーズ) 

  最終移行段階  を完遂しないと。

 

”もう終わりにしよう”

 

 その言葉は終わりを迎える世界に向けて発せられた、最後のメッセージだった。

 

 

 

 

 

 そして世界は終わりを迎える。

 

 

 

 

 

 




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