IS Let's make you a happy days   作:AK74

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久しぶりにこっちを書いたせいで、キャラの感覚を結構忘れていた・・・・・
気を付けよう。


 第二十一話

 お天道様が空のにのぼり、らんらんと地球を照らしているその頃。

 なぜかIS学園一年一組の教室はカーテンを締切り、薄暗い、とてもじゃないが説明し難い異様な教室に変貌していた。

 普段ならありえないのだが、一年一組にとってこんな事は序の口だったりする。

 なぜなら、

 

 あの一組である。

 

 いつもの一組である。

 

 やっぱり一組である。

 

 何が言いたいかというと、一年一組は学園きっての問題児クラスだからだ。騒動を起こすのは最近日課になりつつあり、職員会議ではいつもいつも話題に出るほどだ。

 と言うか大抵の問題には一組が少なからず関係している。

 クラスの大半を占めるのが当然ながら問題児であり、ソレをまとめるのが超問題児、いわゆる番長が1名、言わずもがな一夏である。

 そして残りの生徒はまともかといえばそうでなく、真面目そうに見えるけど本当は問題児という、準問題児というとんでもクラスである。

 ほんの数名はそうでもない生徒もいるとここに記す。

 千冬が担任だからということで、学園長が面白そうというだけでそうしたのは内緒である。

 そんなクラスだからこそなのか千冬も、麻耶もちょっとのことでは受け流せる鋼鉄の精神を手に入れたが、それがいいことなのかは誰も知らない。

 学園の教師もまた、「あぁ・・・・いつもの一組ね」と終わりにしてしまうほどまでに。一組だけで通じてしまうのだから、想像つくだろう。

 やる気になった時の統制力は軍隊もびっくりすることだろう。

 

「秋羅兄ぼころうぜ!!」

 

「「「「イェェェェェェェェェェェェェェェェイッ!!!!!」」」」

 

 異様な雰囲気の一組内。

 そこには金属バットを肩に担いだ一夏と、凪沙たちがイイエガオを浮かべて、とても原始的な拷問―――-正座して、その膝の上に石畳を乗せられるというもの―――を受けている秋羅の姿が。

 見学者に哀れみながら秋羅を眺めるラウラが、助けようともせずいる。端っこの方では未だ火花を散らしあっているシャルロットと千冬の姿が。

 ほかの生徒は今頃麻耶の先導によって、図書室にいることだろう。麻耶も成長したものである。

 

「なんで理不尽な暴力を受けなきゃいけないんだっ!!」

 

「黙れよ。(ACV主任のごとく)テメェのせいでこっちが理不尽な暴力受けたんだ。4の5うるせぇ」

 

「ちょーっとコレは」

 

「我慢の限界かなぁ」

 

「とゆうわけでぇ~」

 

「秋羅さん黙ってぼこられてください」

 

 叫ぶ秋羅をイイ笑顔で見つめる虚。一般人なら失神すること間違いなしだ。

 ちなみに、それぞれ手に持っているのは

 数年前にあまりの威力に発売禁止になったはずの、超威力ガスガン。

 インド像も・イ・チ・コ・ロ・のキャッチコピーがついたこれまた発売禁止の超電圧スタンガン。

 目が痛くなるほどの刺が散りばめられたナックル。

 そしてドクロマークの箱。

 

 警察が居たら即逮捕になること間違いなし。 

 

 本当に何がしたいのだろうか。多分2、3回は死ぬのだろう。

 

「頼むからやめてくれ!!死んじまう!!さっきから誤ってるだろ!?」

 

「おーい、秋羅クーン。誠意が足りねぇんだなぁ。わかる?誠意、せ い い。それが足りねぇの」

 

 無慈悲に許しをこう秋羅の言葉を耳に求めず、石畳を5キロほど追加。これで総重量15キロ足が可笑しくなっても不思議ではない。

 それどころかその足をかかとでぐりぐりとえぐる始末。

 ドS一夏降臨。そのあざ笑う顔は、まさしく暴君。

 

「ねぇ一夏~。さっさと秋羅さん殺っちゃおうよ。私たちの被害に比べたら軽いし、ね?」

 

「・・・・・ま、話聞くだけ聞こうか。聞くだけ」

 

「・・・・・・仕方ないなぁ」

 

 まさか生徒会長がそんなことを言うはずもないと思っていたのか、ラウラの顔が盛大に引きつった。

 だが、残念としか言い様がない。

 なにせあの楯無の娘なのだから。

 

 必殺遊人更識楯無の遺伝子を受け継いでいるのだから仕方ないのだ。あんなのが父親だったら、大人しい子供に育つわけがない。

 もし、そうなった場合奇跡である。

 

「言い残すことは?」

 

「俺は悪くないっ!!!」

 

「おい。殺っちまおうぜ」

 

「「「「イェェェェェェェェェェェェェェェェイッ!!!!!」」」」

 

「悪かった悪かったってば!!!きちんと言うから!頼むからソレを下ろしてくれ!!」

 

「「「「「チッ」」」」」

 

(舌打ちしやがったよコイツ等・・・・・)

 

 一夏の息がぴったり過ぎて、拷問されながらも呆れてしまう秋羅。今この時も石畳の重みがずっしりと来て、感覚がなくなってきている。と言うか血流が止まってもおかしくないレベルに達しつつある。

 ジリジリとゆっくり歩み寄って来られるのは、はっきり言って恐怖いがいのなんでも無い。

 

「あのな、少しだけ話聞いてくれ・・・・・」

 

 

 

 

 秋羅曰く2年前、”たまたま”フランスに出かけたら、”たまたま”子連れ女性がいきなり倒れてしまうという現場に遭遇してしまった。心優しい秋羅は、ソレを見捨てる事が出来ず救急車をよんで、女性を助けた。

 その助けた子連れの女性は”たまたま”シャルロット親子たっだ。

 病院の検査の結果癌と判明。手術すれば充分助かるが、しなければ死んでしまうという診断がくだされた。

 シャルロット親子はそこまで貧しくないものの、流石に手術代や入院費用を払えるほどの余裕はなく、ただ死ぬのを分かっていながら、何もできずにいた。

 母が死ぬという現実を受けいることが出来ず、泣きじゃくるシャルロットや、一人娘を残して天国に行こうとしている母親があまりにも見ていられず、日本円をフランスの通貨に換金してまで全額負担して、手術を受けてもらったということ。

 シャルロットと母親の姿を見て、親無しだった自分と同じ思いをさせたくなかったための行動らしい。

 そして”たまたま”シャルロットの出生について知った秋羅はデュノア社に殴り込み、デュノア社長の本妻の大量の不正を徹底的に暴き、豚箱へと問答無用に送り込んだ。

 元気になった母親は、本妻に引き裂かれた仲を取り戻し再婚、あえなかった時を埋めるかのように元気に仲良く幸せに暮らしているらしい。

 デュノア社の方も、愛妻弁当により元気ハツラツな社長のアイディアにより、とんでもない黒字をたたき出しているとか。

 フランスは安泰である。

 

 

「と、いうわけなんだよ。シャルには、泣きじゃくってる時なだめたら何か、懐かれた」

 

「・・・・・・・たまたまが多すぎるけど、いいことしてたんだなぁ。てっきり遊んでたのかと思ったよ・・・・」

 

「ど、同感・・・・・・」

 

「(ぐすっ)」

 

「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」←大号泣

 

「・・・いい話ですね」

 

 一夏の言葉が一部ぐさりと来たものの、とりあえず誤解が解けたことで一安心な秋羅。これでシスコン呼ばわりはなくなるだろうと信じたい。

 シスコン呼ばわりされる人物は既にいるのだから、もう十分。

 本音など大号泣してうるさいくらいだが。

 

 ひとつだけ注意して欲しいのは”たまたま”が多すぎるとツッコミを入れてはいけない点である。もしそんなことをした場合、秋羅が受ける羽目になったことを、代わりに受ける羽目になってしまうのだから。

 

 

「なぁ、一夏。誤解が解けたんだしさ?これ(石畳)どけてくれね?」

 

「それとコレは別だ。1時間ぐらいそうしていれば終わりにするから我慢しろ」

 

 どさくさにまぎれて助かろうとするも、けろっと普通にもどった一夏に軽く受け流されてしまう。やっぱり恨みはなくならないらしい。

 そりゃ、理不尽な暴力を数週間受け続ければ仕方ないことである。

 

「・・・・ところで、お前はもういいのか?連行されたじゃないか」

 

「・・・・あぁ」

 

 秋羅が言っているのは拷問される前のこと。凪沙に首根っこ掴まれラウラと一緒に連行されていったのだが、帰ってきてもかわりないのを疑問に抱いていた。

 ソレを今聞いてみたわけである。

 秋羅が知る余地もないが、生徒会室に連行され、お互いに責任を押し付け合い見にくかった。

 

 どんな感じかというと・・・・・・・・・・

 

一夏「おい。てめぇのせいでこうなっちまったじゃねぇか。どうしてくれるんだよ」

 

ラウラ「は?貴様何を言うか。元々貴様が喧嘩を売らなければよかっただけのことだろうに」

 

一夏「・・・・・なんだと」

 

ラウラ「やられたいのか?」

 

一夏「やってみろよ・・・・!」

 

ラウラ「やってやろうか・・・・!」

 

一夏「ドチビ!!」←身長180cm

 

ラウラ「デカブツ!!」←身長148cm

 

一夏&ラウラ「上等だ貴様ァ!!よろしい!!ならば戦争だ!!!」

 

 という具合である。

 

 どう見ても仲直りする光景ではない。

 でも、仲悪いんだか良いんだかよく分からなくもない。

 

「まぁ、大丈夫だ・・・・・・」

 

「・・・・・証拠見せろ」

 

 疑心半疑な秋羅に内心舌打ちをする一夏。

 誰があんな奴と・・・・・と思うのだが、自分のことを疎かにしておきながら、他人をいじっていると知られたら、後で何を言われるか溜まったもんじゃないのである。

 そのため、仕方なく、仕方なーく、ラウラを呼ぶ。

 

「オイ。ボーデヴィッヒ」

 

「・・・・・・なんだ」

 

 いきなり呼ばれで一瞬ビクッとなるものの、すぐに正す。隙を見せたら終わりなのだから。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 二人の間になんとも言えない空気が流れる。

 周りにはにらみ合っているようにしか見えないが実はこのふたり、アイコンタクトで会話していたりする。

 

「(オイ。ちょっと協力しろ)」

 

「(なんで貴様に)」

 

「(後で皆がうるさいぞ)」

 

「(・・・・・仕方ない貸一だ。ちょこぷりんで許そう)」

 

「(・・・・・ぷりん好きなのか。おこちゃまねぇwww)」

 

「(ばーかばーか!!ぷりんこそ最高のスイーツに決まっている!!)」

 

「(はいはい。おこちゃまラウラちゃん?)」

 

「(ラウラちゃんいうなっ!!)」

 

 高度って言えば高度かも知れない二人の会話。

 罵り合いながらも、表情を変えないふたりはある意味超人だろう。

 

「おーボーデヴィッヒ、俺らスゲー仲いいよなぁ?なー?」

 

「あぁ、そうだなー!誰もが羨むほど仲がいいのだからなー?」

 

 ガッチガチにぎこちないものの肩を組み合い、これまたぎこちない作り笑いを浮かべる二人。

 仲悪いことが一発でわかるのだけれども、肝心の二人が気づいていないのだから意味がない。

 いっそのこと微笑ましく見えてくるほどだ。

 

「仲がいいなぁお前ら」

 

 にやーと笑う秋羅。

 そして身長差があるものの、肩を組み合い仲がいいですよアピール。やっぱりぎこちない。

 

「あったりまえだろうがー!」

 

「私たちの友情を断ち切ることは不可能だー!」

 

「なら握手もできるよな?」

 

「「ッ!?」」

 

 まさかの秋羅の言葉に固まるラウラと一夏。

 真面目な話をすると、肩を組み合うので精一杯で、もちろんお互いが嫌いなわけで、お互いの肩に回している手は、血管が浮き出るほど掴んでいるわけだ。

 手と手を重ねるのは嫌だが、覚悟を決めるしかないらしい。

 

「(やるか)」

 

「(あぁ)」

 

 二人共、後で見ていろロリコンが!!と罵りつつお互いの手を差し出す。

 

「バッキャロー!!握手ぐらいヨユーだ、ばーか!!」

 

「何、当たり前のことを聞いているんだ貴様は!!」

 

 にやーと笑う秋羅の目の前でゆっくりと、内心ふざけるなと思いつつ重ね合わせる。

 

 そして・・・・・・・・・

 

「「ふぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ!!!!!!」」

 

 どうやら限界だったらしく、お互いの手を握りつぶそうと全力を込めて握っている。途方もない握力を込めているせいか、真っ青になりつつある。

 

 仲良くなるのは、まだまだ先のことらしい。

 

 とりあえず、彼らには「喧嘩するほど仲がいい」という言葉がお似合いなのは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園の図書室。

 そこになぜか二組の鈴の姿があった。

 

「ねぇ、アンタが篠ノ之箒?」

 

「え、あ・・・・・そうだが・・」

 

「鳳鈴音よ。鈴でも、鈴音でも好きに呼んで構わないわ。で、こっちが」

 

「セシリア・オルコットですわ。気軽にセシリアとお呼びください」

 

 鈴や、セシリアの気軽な態度に少し縮こまってしまう箒。今まで誰とも関わりは持たず、孤立した存在だったために、セシリアのようにグループの中心になるような人物に話しかけられる理由が分からない。

 クラスの輪に入れようとする人は断り続け、最近は来なくなっていたからますますのことだった。

 

「あの・・・・何か用でも・・・?」

 

「あんたねぇ、用がないと話しかけちゃダメ?」

 

「イヤ、そういう・・・ワケじゃないが」

 

「箒さんそんなに縮こまらないでくださいまし。わたくしたちはお手伝いをしたいのです。よければお手伝いさせてもらってもよろしいですか?」

 

「ちょっと待って欲しい。お手伝いって・・・何を?」

 

「あーめんどくさいわねぇ。単刀直入に言うから、耳の穴かっぽじって聞きなさい」

 

 頭を書いた鈴が、女子が使わないような言葉を言い、まっすぐと箒を見つめる。

 

「単純なことよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――一夏と仲直り、したいんでしょ?ソレをあたしたちが手伝う。それだけよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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