IS Let's make you a happy days 作:AK74
「1025・・・1025・・・お!ここじゃんやっとめっけた」
山田先生と別れ寮に到着してから約1時間弱。やっとこさで寮の割り当てられた部屋へとたどり着いた。
新聞部部長とか言う奴が取材させろと言って追い掛け回されたり、暴君に憧れていたとかでサイン暮れうるさい奴等から鬼ごっこしたせいでとんでもねぇ位時間食った。
もう二度とあんな体験はしたくない。
アイツ等絶対におかしいぞ。女か?というほどの速度で走ってくるわ、先回りしたりととてつもないチームプレイをしてきやがった。まぁ一人ずつ手刀を叩き込んで事なき事を得たが。
今頃騒ぎになっていることだろうな。廊下に倒れている大量の生徒!?とかで。
至極どーでもいい。追っかけまわしてきたあいつらが悪い。
ということでドアノブに鍵を差し込んでガチャリ・・・・・・ってあいてるし。
この時間帯だし相部屋の奴が居るってわけか、ホント誰だよ簪か本音だといいな。
「わぁお」
思わず口に出してしまうほど、部屋は豪華というか広かった。入ってすぐのところに洗面所兼シャワールームが有り、その奥の部屋にベット二つにそれぞれの机がある仕様だが、二人で使うには少々広すぎる感じがする。
とりあえず、部屋にあがることにした。一時間近くそれなりに早く走っていたから疲れたからだ。
一時間走り続けるのは案外疲れる、制服というのもあるかもしれないな。
「あー最悪だよ全く」
カバンをベットの上に投げつつぼやく。今日は最悪のことが多すぎた、ただいい事もあったけどな。
さっき姉さんに言われた通り荷物はダンボールに入れられてきちんと届いていた、ただ必要最低限としか言ってないから下着数着に洗面用具そしてスマホの充電器なだけがする。姉さんは生活破綻者だからなぁ仕方ないっちゃ仕方ない。
「誰かいるのか?」
「っ!?」
シャワールームの方からガラス越しに声が聞こえた。
(やばくね?)
そう直感で思う。なんで俺はこんな中途半端な時間帯に来ちまったんだ、とんでもないな。
「悪い、一応同じ部屋になった織斑い――――」
「なぁっ!?」
「なんでテメェがここにいるんだ!」
そこにはバスタオル姿の顔を見るのも嫌な篠ノ之がいた。
反射的に構え、戦闘態勢を取る。
「み、見るなぁっ!!」
――――っ!?
いきなりコイツは近くにあった竹刀を手に取り、あろうことか振りかぶってきた。
構えていなかったら絶対によけられなかっただろうという速度で振り抜かれるが、戦闘態勢をとっていた為造作もない、剣筋から体をそらす。
(・・・遅い)
この状態からならば、よけられないわけがない。これよりもっと早く、重い一撃を繰り出す人に鍛えてもらった。
ガツンッ!!と竹刀がベットに直撃したところで、それを持つ手を真上に加減はしたが蹴り上げ、2擊目を繰り出される前に防ぐ。
「ぐっ!?」
本来なら怯んでいる内に鳩尾に拳を叩き込みたいところだが、あいにくコイツはバスタオル一枚
だ。ここで気絶でもさせちまえば大変なことになるのは目に見えている。
蹴り上げた手をつかみひねり上げ、背中へ回させベットにうつ伏せに、いわゆる警察が犯人を無力化させる時のようにしたわけだ。そして首元には手刀を。
コイツが体にタオルを巻いていて助かった。
「なんの真似だ?いきなり振りかぶってきて、俺じゃなかったらどうするつもりだ。死ぬぞ?」
「っ!は、離せっ!」
「お前が繰り返さないという保証はない」
あたりを見渡すが、武器になりそうなのは俺のカバンくらいだが、こんなものを使うアホではないだろう。武器以前に射程に対して動作が遅くなるからだ。
竹刀ももうひとつのベットの向こう側にあってすぐには使われなさそうだ。
「繰り返したら、問答無用で叩きのめす。いいな」
「わ、分かった・・・」
念を押してから篠ノ之を解放する。ただ気を許したわけじゃない、いつでも反攻してきてもいいように、気は緩めないでおく。
「・・・・・・いきなり悪かった」
「そういう前に何か着ろ。そんな姿でいると湯冷めするぞ、苦労するのはお前の方だ。さっさとした方がいい」
「っ!?分かった!」
はっ!?と気がついたように慌てて洗面所に戻っていった。
あの格好でいるとかバカすぎる。いくら春だといってもまだ夜は冷える、風を引く可能性がないわけじゃない。
(って。何嫌いな奴の心配してんだか)
家族が何かとズボラでいつも注意していたからその癖が出たのかもしれない。
思わず苦笑が飛び出た。
篠ノ之が洗面所の戻ること数分、着物姿といっても簡素なものだろう。着物の知識など皆無だからよく分からないが、寝るときもそれなのだろうか?寝づらいと思うが。
篠ノ之が対面のベットに腰掛けたのを確認し聞く。
「なんでここにいる?」
「私はこの部屋も割り当てられたらだが、一夏は?」
コイツに名前を呼ばれると虫唾が走るがそんな事を言っていたら話が進まない、我慢するしかないな。仕方ない。
「俺も似たようなもんだ。んじゃ俺はでで行かせてもらう、お前と同じ部屋になど住みたくもない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
篠ノ之は下を向いて黙っているだけ。無言は肯定と受け取り荷物を確認していく、拒否されても強行する予定だったが。
(うげ・・・マジで必要最低限じゃないかよ。思った通りの内容じゃないか・・・・・・・)
エナメルバックに収めるほど少ない。
本当に俺の姉は大丈夫なのか?秋羅兄もそうだが、二人共生活スキルが低すぎる。俺が自立して行った時どうするつもりなんだ。
「あ・・・一夏・・・・・・。もう戻れないのか?昔のようには」
「・・・・・・随分と面白いことを言う。俺らが昔は恋人同士のような言い方だな」
「っ・・・・・・仲良くしていた頃のよ――――」
「無理だ。お前があの事件を起こさなければこうはならなかったかもな、過ぎ去った事を後悔してもなんにもならない、諦めろ」
きっぱりとコイツに言う、そうでもしない限りまた今日のように繰り返すに違いない。落ち着いて入れるのが不思議だ。
コイツが仲良くしていたと言いたいのだろうが、あの時のはコイツが一方的なだけ。仲良くしていたとは思えない。
「s――――」
「済まなかった。と言うんじゃないんだろうな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前がしたことは済まなかったじゃ済まされないことをしたんだから諦めろ。お前のせいでこの傷が残ったんだからな。この醜い傷がな」
そう言い、上の服を脱ぎ捨て篠ノ之に背中を見せつける。
「っ!」
右肩から左腰にかけて残るバッサリと切られた傷跡。今でも切られた時の激痛を思い出せる。深い所まで刃物が届き、俺は生死をさまようほど。緊急手術で一命はとりとめたが、この怪我が消えることはなかった。
ワイシャツを羽織りながら現実を突きつける。
「いつまでも甘い夢に浸るな。現実と見分けがつかなくなる、いい加減諦めろ。もうお前と仲良くすることない。それだけだ」
荷物を手に取り部屋から出ていく。
「二度と、俺を名前で呼ぶな」
篠ノ之がどんな反応をしたのかも見ないで部屋を出る。
ドアを閉める音がやけに冷たかった。
「ちくせう。啖呵きったはいいけどどうすりゃいいんだッ・・・・・・!」
思わぬ盲点発見。なんか既視感あるけど気にしたら負けだろう。
啖呵切って部屋を出てきたはいいものの、その後の事を全く考えてなかった。しゃーない飯食いながら考えるかと、迷い迷い食堂に行ってみれば既に閉まっていたというなんたる不幸。
放課後になってあまりにも時間が立ちすぎてた。畜生弁当持ってくるべきだったよ。
つうか弁当持ってきてたらすごいと思う。
ということで30分近くさまよい見つけた休憩スペースで腹のたしにでもと思い、ジュースを飲んでいるが当たり前のように足しになるわけもない。
昼も大量の視線のおかげであまり食えなかった。いい迷惑だよ全く。
腹が減ってこの上仕方ない。
抜け出すか?と思ったけども、バレないという保証はどこにもないしバレたら俺がオワタになる。
手段が朝を待つだけと言う悲しい事実。
さっき現実突きつけたからと言うのか。
なんていうんだっけ、因果応報だっけか?
ごくごく、泣けるゼ。
今の俺なら泣ける自信があるね。大号泣は分からないが。
(腹へったなぁ・・・・・・)
男子高校生が一食抜くと言うのは、死ぬよりも辛い。そして俺は昼も合わせてまともに食えちゃいない。辛すぎる、今日は寝れねぇんじゃね?
初日から災難ばっかし、俺って幸運のステータス0?
”使えるものは最大限に使え”
ふと、姉さんが言った事を思い出す。うん、姉さんはいいことを言ってくれた。使えるものは使って野郎じゃないの、その先がどうなろうと俺は知らねー。空腹を満たす方がすっと重要だ。(ヤケで吹っ切れた)
「よっしゃ使えるものは使って――――」
「・・・・・・何しているんですか一夏君」
「おわっ!?い、いきなり声をかけないでくださいよ!」
「いえ、ガッツポーズをしてたものですから」
「あ、あはははは・・・・・・・」
そりゃそうだ。いきなり立ち上がってガッツポーズをする奴を見たら変人としか思えない。でその変人が俺、全く同じことしてた。
(やけになりすぎた・・・・・・)
「まぁ、久しぶりですね。元気そうで何よりです」
「虚さんも元気そうで。まぁ、あの事は衝撃的でしたけど・・・・」
アレというのは言わずもがな三時間目のことだ。あれはかなり驚いたよ。後で聞いたんだが、あの放送無許可らしかった。
「何言って言っているんです?家族を悪く言われて黙っているわけないじゃないですか。あれでも軽い方なんですから感謝して欲しいくらいですが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
(え?嘘だろ!?あれ程しておいて軽いィ!?)
やばい。俺はとんでもない所に出くわしたのかもしれない。なんか虚さんの後ろに炎が見える。
ちなみにオルコットなんだが、帰ってきたのは6時間目が終わるか終わらないかくらい。完全にオルコットは壊れていて「コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ・・・・・・・・・・・・・」とつぶやいていた。オルコットが呼び出されてからしばらくの間、悲鳴が聞こえてきて何されてるのか考えるだけで恐ろしかった。
それを軽いということは、本気を出したらどれくらいなんだ・・・・・。
「本当なら悠一様、楯無様にお父様お母様もお呼び出ししたいほどだったんですから」
「なん・・・・・・だと・・・・・・?」
ちなみに悠一さんと楯無さんは凪沙と簪のご両親。そしてお父様とお母様は虚さんと本音のご両親って訳。
んで、切れたら敵なしと言われるほどの最強。姉さんと秋羅兄を黙らせることができるほどだ。
切れた時の怖さを表すと。
簪<本音<<<<<<<<<<凪沙、虚さん<<<超えられない壁<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<姉さん<<<<<<<秋羅兄<<<<<<超えられない壁<<<<<人には超えられない壁<<<<<<<神でも超えられない壁<<<<悠一さん楯無さん虚さんのご両親。
おかしいと思う所があるかもしれないがこういう事だ。
オルコットが被害にあったら、まともに生きていくことは絶対に不可能だ。これは確信を持って言えるね。
「あ、あのですね?オルコットを殺す気で・・・・・・・・?」
「当たり前ですが?(ドヤッ)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんと反応していいのか全くわからない。
「ところで」
「はい?」
「今日の放課後にたくさんの生徒が倒れていた事件があったんですが、知りませんか?(ちらっ)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)」
やばい。心なしか虚さんの後ろの炎が強くなった気が・・・・・・
「し・り・ま・せ・ん・か・?(ぎろっ)」
「すみません。やったの俺です・・・・・・・・」
「そうですかそうですか・・・・・・・・じャァちョっと来てもらおうか?」
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
さっきのニコニコ笑顔は何処へやら、一転して鬼の顔に。
あはははは・・・・・・こわいなぁ・・・・(現実逃避)
「お嬢様に言われている時間まではまだたっぷりありますし、O・HA・NA・SIしようかァ?」
「ああああああ、あのですね!早めに行動しても問題はないと思います!」
「大丈夫ですよ一夏君。間に合うようにはするから安心しろ、痛いのは一瞬だからよ」
逃げ―――――
がしっ!
「逃しませんよ一夏君♪逃げたらどうなるか分かってンのか?」
「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
ズルズル
「女の子に手を下すのがどれだけ悪いのか、レクチャーしないといけませんね♪」
「俺はただ追いかけられただけで!」
「言い訳なんて男らしくないですよ?男なら4の5言わないで死ね」
「弁解の余地なし!?」
(あぁ俺死んだな・・・・・・)
引きずられていく中思う。
アハハハハハ・・・・虚さん怖いなぁ・・・・・・。
「腕はそっちの方には曲がらな―――――――――――――ッ!!!???」
「えいっ♪」
かきょっ
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!???」