異世界を巡った少年のヒーローアカデミア:Remake   作:白華虚

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9話 合否通知と入学

雄英の入試から約1週間が経ち、後は合否通知を待つのみとなった。

 

己のやるべきことは全てやった。出久には、何も憂いはない。爆豪曰く、オールマイトとの連絡が取れなくなったらしいのだが……彼自身も、「No.1ヒーローだし、色々忙しいんだろ」と結論を出し、特に心配はしていなかった。

 

そして、その日の夜。

 

「い、出久!」

 

「ん?どうしたの、お母さん」

 

「来てた、来てたよ!雄英から通知!」

 

とうとう出久の元にも合否通知が届けられた。

 

「さてと……早速開けますかね」

 

"合否通知"とデカデカと書かれた茶封筒を開けると、中から丸い装置が出てきた。

 

「……紙じゃないんだ」

 

出久は、1人ボソッと呟いて色々と模索しながらその機械のあちこちを触ってみることにした。そして、真ん中のボタンを押すと……。

 

『私が投影された!』

 

「!?オールマイトォ!?」

 

なんということか、ホログラミングで、黄色いスーツをきたオールマイトの姿が映し出された。

 

「えっ……なんで雄英に……!?」

 

『HAHAHA!驚かせてしまったようだね。実はだな、春から雄英高校に教師として勤めることになったのさ!最近はその準備で色々と立て込んでいて、君達に連絡出来なかった。済まない!』

 

「オールマイトが教師か……」

 

彼本人から、雄英に勤めることを聞いた出久は、余計に雄英に通うことが楽しみになった。

 

オールマイトは、まだ話したいことがあるとのことだったが、何にせよ通知を届ける人数は多くなる。故に「巻きで」とお願いされ、早速合否結果の発表に移った。

 

『まずは筆記試験!結果は……全教科文句無しの満点だ!HAHAHA、全く君はとんでもないな緑谷少年!勉強も出来るとは……!ますます君の将来に期待しちゃうぜ!』

 

「よし、無事満点!」

 

筆記試験の結果にガッツポーズを取りながら、出久は実技試験の結果発表を待った。

 

自分の予想通りであれば、この結果発表で初めて明かされる真実があるはずだ、と彼は考えている。

 

『さあ、お次は君も待ち遠しいであろう実技試験の結果発表だ!緑谷出久、獲得ポイント数は150P!驚かされたよ!まさか、(ヴィラン)ポイントのみで3桁を叩き出すなんてね!』

 

「!やっぱり……そういうことか!」

 

たった今のオールマイトの発言に、結果を喜ぶよりも先に、出久は自分の予想を確信に変えた。

 

『さて、緑谷少年。君には、今の私の発言に気になるところがあったんじゃあないかな?そして、君自身ある程度予想しているように思えるね!それじゃあ答え合わせといこうじゃないか!我々が見ていたのは、(ヴィラン)ポイントのみにあらず!救助活動(レスキュー)ポイント……ヒーローの本質である"救けること"にも着目していたのさ!』

 

「よし、こっちも予想通り……!」

 

救助活動(レスキュー)ポイントは、厳粛な審査制で判定が出される訳なんだけれども……君の救助活動(レスキュー)ポイントは、100Pだ!そういう訳で、緑谷出久。合計点250Pで、文句無しの首席合格!』

 

「ッ!首席……!やった!」

 

『来いよ、緑谷少年。ここが君の……ヒーローアカデミアだ!』

 

「っっしゃあああ!!!」

 

結果として、出久は宣言通りにトップを勝ち取った。映像が終わってもなお、出久はいつまでも首席合格を噛みしめ、その嬉しさに浸った。

 

そして……母親は、出久の首席合格をして、喜びの涙を滝の如く流したのだそうだ。

 

その後爆豪とも連絡を取り合ったが……彼の入試の順位は2位であり、見事彼らはワンツーフィニッシュを果たしたのであった。

 

 

一方。無事に合格を果たしたのは彼らのみならず。

 

彼女も……耳郎もまた、無事に合格を果たした。

 

「はあっ……良かった、ウチも受かってた……」

 

自分の合格を知って安堵すると共に、あの事件の時に自分を救けてくれた少年、出久の顔が浮かんだ。

 

『君がヒーロー志望なら、また会えるさ。必ずね』

 

「……あいつも、雄英受けたのかな?また……会えるかな……?会えたらいいな……」

 

実のことを言えば、彼女はあの日以来何度も脳裏に焼き付いていた出久の笑顔と、水鳥の如く美しいその姿を思い起こしては悶々としてしまっている。

 

「……ッッ!?違う違う違う!ウチはそんなチョロい女じゃないってば!た、確かにあいつかっこよかったし、ロックだったけど……ウチが持ってるのは憧れとかそういう感情だし!?」

 

再び悶々とし始めた感情を、耳郎は首をブンブンと振りながら振り払った。しかし、同時に疑問が浮かぶ。

 

__あれ?じゃあ……戦ってる時のあいつの笑顔を見てキュンってしたのって……?__

 

「っっ〜!違うぅ……違うのぉぉぉ……!ウチはそんなチョロい女じゃないの〜!あうぅ、さっきからウチ墓穴掘ってばっかじゃん!」

 

赤くなり始めている顔を覆った後、彼女は1人ボソッと呟いた。

 

「でも……会いたいのは……事実なんだよね……。ウチ、やっぱりあいつのこと……いや、また本人に会えば分かるか……」

 

一時の結論を出した耳郎は、プラグを指先で弄りながら、

 

「そういえばあいつの名前、聞いてなかったな……。何、『また会える?』って……。おかしいじゃん……」

 

と出久と別れる時の自分の発言を思い出して、恥ずかしさで顔と耳を赤くした。

 

 

辺りはすっかり春のしつらえを整え、桜の咲き誇る今日この頃。雄英高校の入学式の日を迎え、出久は真新しい雄英の制服に身を包んでいた。

 

「出久!ティッシュ持った!?ハンカチも!?ハンカチは!?ケチーフ!」

 

「全部持ってるよ。心配性だなあ、お母さんは」

 

靴を履きながら、心配性である己の母に持ち物の心配をされている出久。彼は今まさに幸せを感じていた。

 

「出久!」

 

「今度はなあに?」

 

「……超かっこいいよ!」

 

「!……ありがとう。行ってきます!」

 

そして、瞳を潤ませながら母の言った「かっこいい」の一言にどうしようもなく嬉しくなりながら、彼は元気に家を出た。

 

……電車を使って移動すること大体1時間近く。出久はとうとう雄英高校に辿り着いた。

 

「何度見てもでかいんだよなあ。僕、これからここでヒーローになる為の勉強を積み重ねていくんだよな。あー……武者震い止まんない。凄いワクワクしてきた」

 

高校生活にワクワクしながら校舎内に入り、自分のクラスを確認すると、出久のクラスは A組であることが分かった。

 

それを知った出久は早速教室まで向かうのだが……何にせよ雄英の校舎は、超が二回付くほどには広い。故に、1年A組の教室に辿り着くまでに思った以上に時間をかけてしまった。

 

「早めに来てよかったあ……。ってか、ドアまででかいんだ。バリアフリーってやつなのかな」

 

(多くの受験者達の中から選ばれたエリート達……。どんな人がいるんだろう?)

 

自分は一体、どんなクラスメート達と過ごしていくことになるのか。それにもまたワクワクドキドキしながらドアに手をかけ、それを開くと……。

 

「あああああ!一体何人俺を囲みゃ気が済むんだよォ!そんなに本人に会いたきゃ自分で会えや!」

 

「バクゴー、そんなこと言わずに頼まれてくれよ!俺、まじで緑谷のファンなの」

 

「素晴らしくお強い上にヒーローとしての本質を(わきま)えていらっしゃる方……!そんな方と幼馴染だなんて、羨ましいですわ!」

 

「俺も入試の時に彼の活躍を間近で見たが、とにかく強いの一言だ!」

 

「緑谷の奴、漢らしいよなァ!ロボを一撃でガンガンぶっ壊していってさ!怪我した奴のことも絶対見捨てなかった!」

 

「0Pを破壊した彼は、凄くキラめいていたね☆」

 

そこには、殆どのクラスメート達に囲まれてむしゃくしゃする爆豪と、それに詰め寄るクラスメート達……という混沌とした光景が広がっていた。

 

「……何がどうしてこうなったの」

 

「俺がお前と知り合いだっつったらこうなったんだよ……ってマジで出久か」

 

『!?』

 

爆豪の口から出た名前を聞くと、彼の周りに集まっていた生徒達は一斉に出久に視線を向けて、詰め寄ってきた。

 

「わぁぁぁぁ!?ちょっ、なになに!?落ち着いて!?」

 

「緑谷君!君はやはり凄い人だったのだな!入試の時の活躍、素晴らしかったぞ!俺は聡明中学出身の、飯田天哉だ!」

 

出久が戸惑うのを他所に、件の眼鏡少年、飯田を筆頭に色んな生徒達が自己紹介をしていく。

 

「私、八百万百と申しますの!緑谷さんの活躍は動画で拝見させていただきました!素晴らしいの一言に尽きますわ。同じクラスになれて嬉しいです……!これから宜しくお願いいたしますわ!」

 

「俺ァ、切島鋭児郎!動画でも入試でもそうだったけど、お前漢らしい奴だぜ!気に入った!これから宜しくな、緑谷!」

 

「僕は青……「アタシ、芦戸三奈!動画見たよ〜!超イカすじゃん!」

 

取り敢えず、そんな彼らを前にして出久が思ったのは……。

 

(皆人当たり良いのと、押しが強い!)

 

であった。

 

(うぅ、ウチも話しかけたいのに……!なんでこんな人気者なの!?緑谷の馬鹿!)

 

因みにそんな風に囲まれている彼を見ながら、耳郎は可愛らしく頬を膨らませていたという。

 

「その緑髪のツーブロックは!超強い人!」

 

そんな風に揉みくちゃにされていると、背後からそんな声が聞こえたので振り向いてみると……。

 

「へっ?あっ、君は入試の時の女の子……!良かった、受かってたんだね」

 

そこにいたのは、件の茶髪ショートボブをした、朗らかな雰囲気を漂わせる少女だった。

 

「おかげさまで受かりました〜!私、麗日お茶子って言います。宜しくね!」

 

「うん、僕は緑谷。緑谷出久だよ。宜しく、麗日さん」

 

「それにしても初日から凄い大人気やね〜、緑谷君。何かあったん?」

 

「知らないの!?緑谷、超有名人なんだよ!(ヴィラン)を一撃で倒した動画に出てるんだよ!しかも、その張本人!」

 

「ええっ、そうなん!?いやあ、私の家は貧乏でございますから知らんかったわ……!そんな凄い人だったんやね。そりゃ0Pを簡単に破壊するのも納得だ!」

 

「と、取り敢えず……誰かこっちに来てるっぽいし……一旦席につこうよ、皆」

 

麗日とも挨拶を交わした後、出久に促されて、生徒達は全員席に着いた。

 

席に着いてから然程時間も立たずに……黒いヒーロースーツに身を包んだ、無精髭の男が教室にやって来た。

 

彼は、既に席に着いている生徒達を見回しながら言う。

 

「時間通りに席に着く……。時間を守る姿勢が(うかが)えて、合理的で大変宜しい。あ、因みに俺は担任の相澤消太だ。宜しくね」

 

(((この人が担任!?)))

 

あまりの小汚い見た目に、生徒達の殆どが衝撃を受けた。出久は1人、その正体に勘付いているようで動揺してはいない。

 

「いきなりで悪いけど、これから君らには……体操服(こいつ)を着てグラウンドに出てもらう。時間が惜しいからテキパキ行こう」

 

相澤は、そう一言だけ言い残してクラスの人数分の体操服を置くと、1人教室を出ていってしまった。

 

「グラウンドって……これから一体何が始まるんだ?入学式じゃないのかよ?」

 

「……まあ、行かなきゃ何も始まらないでしょ。ここでじっとしても仕方ないしさ。行こう、皆」

 

「流石緑谷……レベルが違え!よっしゃ、俺らも行くぞ!」

 

「ちょっと、勝手に司令塔みたいにするのやめてくれるかな!?」

 

そう賑やかに会話を交わしながら生徒達はそれぞれ更衣室に向かった訳なのだが……入学初日からとんでもない試練が待ち受けていることを、彼らは未だ知らない……。

 

__こりゃ、とんでもないことになるなあ__

 

否。未来を視れる出久だけが、この先何が起こるのかを知っているようだ……。




9話でした。出久君が皆に囲まれている間の耳郎ちゃんの様子を追加しております。ここは些細な変化ですので、もう何話か投稿しておきます!
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