異世界を巡った少年のヒーローアカデミア:Remake   作:白華虚

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15話 真昼のマスコミ騒動と......

戦闘訓練の日の翌日。

 

「……何これ」

 

雄英高校に登校した出久は呆然と呟いた。

 

その原因は、目の前の光景にある。

 

「オールマイトの授業について教えて!」

 

「へ!?え、えっと……」

 

「なんなんすか、いきなり!?っちょっ、押さないでっ!ウェイッ!?」

 

「か、上鳴ー!?」

 

「それより、君達はカップルなの!?」

 

「違います」

 

「そっ、即答!?酷くね!?」

 

「何も酷くなんかない」

 

自分の通う雄英高校。その校門前に、大量のマスコミ達が(たむろ)しているのだ。

 

その渦中には……マスコミ達に囲まれ、揉みくちゃにされる耳郎と上鳴の姿がある。

 

周りを見渡せば、他の生徒達も困った様子を見せており、校門に近づこうにも近づけないといった様子が(うかが)えた。

 

(典型的なマスゴミの図だなあ)

 

情報を聞き出すことだけに集中して、周りの見えていないマスコミ達の様子に出久は溜息を()きながらそう思い。助け舟を出すことにした。

 

「あのー、マスコミの方々」

 

出久が声をかけると、耳郎と上鳴に集まっていたマスコミ達は一斉に出久の方を振り向き、彼に集まっていった。

 

「君!数ヶ月前の事件で、単騎で(ヴィラン)を倒したっていう緑谷出久君よね!?オールマイトの授業について聞かせてほしいんだけれど!」

 

情報社会間でも出久は有名人であるが故、マスコミ達は嬉々として彼の元に集まっていき、彼らの筆頭である1人の女性レポーターがそう尋ねた訳だが。彼女の発言を聞いた出久は小さく息を吐きながら、メルエムの持つ、王としてのプレッシャーを微かに滲み出させて言葉を紡いだ。

 

「あのですね。せめて、『一言お聞きしてもよろしいですか』くらいは確認を取るべきなんじゃあないんですか?皆さん、周りを見渡してみてくださいよ。貴方方、さっきからずっと通路を塞いでますよね。分かりませんか?他人に迷惑をかけていることが」

 

出久から放たれる微かなプレッシャーだけでなく、周りを見渡したことを理由にして、「やべっ」と言いたげに冷や汗を流すマスコミ達が少しずつ増え始めた。

 

しかし、出久は止まらない。

 

「ああ、報道の自由云々なんて意見は受け付けませんよ。取材するな、とは言いません。"自由"は行使しなければ"自由"として形を成せませんからね。自由に関して言及したければ、まずは世の中の最低限の常識やルールくらい至極当然に守ってください。貴方方は、そこが出来ていないので話にすらなりません」

 

未だポカンとしているマスコミもいる中、出久は少し間を置き……「そうだ」と声を上げた。

 

「こんなことが続けばどうなるか、実例を挙げましょうか。よく考えてみてください。……雄英の生徒達や、雄英の前を通る一般人の方に貴方方の行動に不満を持った方がいます。彼らは、こうやって校門前にいつまでも(たむろ)して、人々に迷惑をかける貴方方の写真を撮り、SNSにその写真を自分の不満と共にアップしました」

 

「後はどうなるかお分かりでしょう?貴方方はあっという間に炎上します。『マスコミ最低』、『大人としての自覚がないのか』、『常識くらい守れ』、『いい加減にしろ、マスゴミ』等々……様々な批判が押し寄せるでしょうね。そして、それをきっかけに自分の勤める会社の評判はガタ落ち」

 

真顔でツラツラと予測を述べる出久自身にも恐怖したのか、その状況を危惧したのか、はたまたその両方かは定かではない。しかし、マスコミ達の全員が顔を真っ青にしてガクガクと震えていた。

 

「更に、貴方方が先程囲んでいた2人に怪我をさせた……なんてことがあったら、より酷評が押し寄せるでしょう。貴方方の行動から、ここまで先の展開が予想出来るんですよ。……お分かりでしょう?自分達の行動一つで、如何に影響が広がるのか。自覚したなら、せめて小脇に退()くか、大人しく帰るかくらいはして頂きたいです」

 

出久の発言に何度も頷きながら、ビビり倒して小脇に行くマスコミ達を見て一安心したところで、出久は「それと」ともう一言付け加えた。

 

「ここまでの情報に対する執念を、正しい情報を手に入れることに対して向けてくださったら嬉しいですね。発信する情報次第じゃあ、皆さんも誰かのヒーローになれるんですから。……長々と失礼しました。大して権利も影響力も持たない一市民の声な訳ですが、素直に受け止めてくださると嬉しいです。……行こう、上鳴君、耳郎さん」

 

言いたいことを全て言い終えた出久は、2人に優しい笑みを向けた後、マスコミ達に背中を向けて校舎内に入っていった。

 

「……緑谷、かっこいい……」

 

「耳郎、やべえ。俺……緑谷に惚れちゃいそう」

 

「……あっそ。まともな感想をあんたに期待した、ウチが馬鹿だったわ」

 

「ウェッ!?耳郎さん!?なんか、更に俺への対応が冷たくなってないっすか!?俺、なんかした!?なあ、無視しないでくれよぉ!」

 

見事マスコミを退けた出久の行動はSNSにアップされ、彼が更に有名になると同時に称賛を受けるのはまた別の話だ。

 

 

その後、マスコミの一部が懲りずに無理矢理雄英の敷地内に足を踏み入れようとしたことで、雄英高校のバリケード……通称雄英バリアーが作動し、朝からの騒動は一段落した。

 

マスコミへの対応の後なのか、それとも彼らへの呆れか、少し疲れた様子の相澤が教室にやって来た。

 

「朝のホームルーム始めるぞ。取り敢えず、戦闘訓練の模様はビデオで見させてもらった。まだまだ未熟な点もあるが……最初にしちゃ、及第点と言ったところか。これからも精進するように。それと、緑谷」

 

「はい」

 

「突然、エキシビションマッチという形を取った訳だが……引き受けてくれてありがとうな」

 

「いえ!こっちも良い経験になりましたし」

 

「今後の戦闘訓練でも、生徒達の実力を合理的に伸ばす為にこうした形を取るかもしれないが……その時はまた宜しく頼む。ついでに、マスコミの件もありがとう。だが、あまり無茶はしてくれるなよ。んじゃ、本題移るぞ。急で悪いが、今日は君らに……」

 

"急で悪いが"の一言に、生徒達の多くがまた急にテストでも始めるんじゃないか、と警戒心を持ったが……。

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

『学校っぽいのキタァァァ!』

 

その後の相澤の一言で警戒心は完全に消え去り、皆が大騒ぎだ。

 

「委員長!やりたいです、それ俺!」

 

「俺も俺も!」

 

「ウチもっす」

 

「僕のためにあるや……「リーダー、やるやる!」

 

「俺にやらせろォ!」

 

「オイラのマニフェストは、女子全員膝上30cm!」

 

普通科では雑務になりがちな学級委員長だが、ヒーロー科においては、集団を導く能力……即ちリーダーシップを培える大事な仕事だ。それ故、皆が自主的に挙手している。

 

勿論、出久だって挙手をしていた。自主的なのは大変宜しいことだが、当然皆が皆挙手をしていてはいつまでたっても決まらない。

 

「静粛にしたまえ!」

 

そこで声を上げたのは、飯田であった。

 

彼曰く、学級委員長は他を牽引する重要な仕事なのだから、民主主義の規則に則って投票で決めるべき議案なのではないか(意訳)、とのこと。__ただし、そう発言する本人も挙手をしていたので台無しではあったのだが__

 

因みに相澤は、時間内に決まれば決め方はなんでも良いらしかった。「入学したばかりだから、信頼も何もない」、「それなら皆自分に入れる」といった意見もあったが、このままではキリがなさそうなのは明らかであった為、投票制で学級委員長を決めることになった。

 

結果。

 

「……えっ、僕に18票も集まってるんだけど」

 

「あら?1票……?どなたが投票してくださったのでしょうか?」

 

「!?い、1票入っている……!?」

 

「飯田ちゃん、他の人に入れたのね」

 

「何がしたかったんだよ……。まあ……あんなこと言いながら、緑谷に入れた俺達も人のこと言えねえか!」

 

「ケロケロ、切島ちゃんの言う通りかもしれないわね」

 

出久に18票、八百万に1票、飯田に1票が集まった。

 

無論のこと、文句無しで出久が学級委員長に決まり……八百万と飯田でじゃんけんを行った結果、八百万が副委員長に決定したのであった。

 

 

「委員長か……。いざやるとなると、なんか緊張するな」

 

「そっか、中学校とか小学校の時は……」

 

「うん。状況が状況だったからさ。からっきしだよ」

 

「そういや、出久は誰に入れた?」

 

「僕?飯田君だよ」

 

「!君だったのか!」

 

爆豪から尋ねられれば、出久は自分が飯田に投票したことを説明し、その理由も明かした。

 

「あの場で、君は即座にクラスの皆をまとめようって動き出したからね。君には、他人をまとめるために自分が動こうっていう積極性と勇気があるし。それと、咄嗟の判断力って点でも最適だと思ったんだ」

 

「み、緑谷君……!」

 

出久が自分のことを認めてくれているのが嬉しかったのか、飯田は胸をぎゅっと押さえながら惚れ惚れとしていた。

 

「因みにだけどさ、皆は誰に入れたの?」

 

「は?出久に決まってんだろ」

 

「緑谷君!」

 

「緑谷」

 

「ウチも」

 

「俺もだ」

 

「ですよね」

 

予想通り過ぎる展開故か、特に驚きもしなかった出久は尋ねた。

 

「理由は?」

 

「知名度もある。後、ヒーローらしさも。こんな奴に付いていかねえ奴はいねェだろうよ」

 

「とにかく緑谷君は凄いもん!戦闘訓練の時の圧倒的強さは、皆を引っ張っていくのに丁度良いかなって」

 

「お前になら喜んでついていくし、お前になら俺らのクラスを任せられる。そう思った」

 

「君には、動画や入試の時のようにここぞという時の判断力や胆力がある。それが他人を牽引するに値すると僕は思ったんだ」

 

「ウチは……誰かを救ける為に命も賭けられるようなあんたになら、任せられるって思った」

 

「……成る程」

 

上から順に、爆豪、麗日、心操、飯田、耳郎。自分が認められているのは、やはり嬉しくて出久は微笑む。

 

「ところで飯田君!今、"僕"って言ったよね!普段は"俺"なのに。もしかして、飯田君って……坊ちゃん!?」

 

「ぼっ……!?」

 

飯田の諸事情にざっくりと切り込んでいく麗日を、出久達は苦笑しながら見守っていた。

 

__さて。急な話なのだが、出久の見聞色の覇気における未来予知には、二つのモードがある。戦闘モードと、通常モードの二つだ。

 

前者は数秒単位に固定した範囲での未来予知、後者では数秒から5分単位での未来予知。後者の方は、普段から無意識の内に発動して体に馴染ませている。ただし、予知出来る範囲が固定されていない為、大きいブレがある。

 

何故、急にこの話を振ったのかと言うと……出久の見聞色の覇気による未来予知が反応したからだ。

 

「!」

 

脳内には、風穴の開けられた雄英バリアーを突破したマスコミの姿が流れ込んできた。大人しく退くように忠告したはずなのだが、懲りていないらしい。

 

(……5分後!)

 

伝えられた予知は、5分後に起こる出来事だと分かった。ともなれば……誰か教師にこのことを伝える必要がある。__出久本人の懸念も含めて__

 

伝えるのは、やはり自分の"個性"やそれで得た力のことは全て把握している相澤辺りがいいだろうと判断した出久は動き出した。

 

「?緑谷、どしたの?」

 

何かを悟ったような表情になって席を立つ出久に、耳郎が声を掛ける。

 

「ん?ちょっと相澤先生に用事があってさ。少し行ってくるね」

 

「そうなん?いってらっしゃい!」

 

麗日と飯田はそんな彼を快く見送っていたが、耳郎はどうも心配だった。

 

そして。

 

「彼奴……何を視やがった?」

 

「……まあ、あの表情はよっぽどなことがこれからあるんだろうな。俺達がそれを知れりゃ力になれるんだろうけどさ」

 

出久の力に対して、他人よりもよく知っている爆豪と心操は彼一人に全てを任せるしかない事実を嘆いた。

 

「緑谷……」

 

二人の呟きを聞き逃さなかった耳郎は、出久の身を心配し、無事を祈らずにはいられなかった……。

 

 

「……成る程。見聞色の覇気とやらによる未来予知か」

 

「はい。5分後ですから、対策が出来るのかと言われれば『はい』と言えないんですが……」

 

職員室にて、相澤と出久が対話をしていた。勿論、その内容は出久の視た未来についてである。

 

「ただのマスコミにこんなことが出来るとは思えません。僕の懸念が正しければ、この騒ぎに乗じて(ヴィラン)が侵入してくるんじゃないかと」

 

「理には適ってるな。……ただのマスコミが、雄英バリアーに風穴を開けられるような"個性"を持つとは考えにくい。因みに、その予知の的中率は?」

 

「今までの経験から鑑みて、100%です。もしも相手が僕と同じやり方で、僕のものと同等以上もしくはそれに近い未来予知が可能なら……未来が変わってしまう可能性がありますが」

 

「分かった。お前の持つ技術は、俺らの知らないものばかりだしな。変わる可能性はほぼないと考えた方が合理的か。と、分かれば早いうちに……」

 

相澤が席を立ったその瞬間……。

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください。繰り返します……』

 

警報を伝える放送と共に、サイレンが校舎中に鳴り響いた。

 

「どうだ、緑谷」

 

動揺の様子を見せることのない相澤に言われ、出久は報告をする。

 

「タイミングピッタリです。それと……この学校の生徒若しくは教師のものではない、邪悪な気も感じ取れます」

 

「お前の懸念通りだったって訳か……!もしもの場合を考えて、同行してもらうが構わないか?」

 

「分かりました。侵入者は二人。意志と気配から掴んだ新しい予知によれば、二人は職員室に来るみたいです。気自体もこっちに移動してきているので間違いないです。一先ず隠れて様子を見ましょう」

 

「ああ」

 

出久の感じ取った気がこちらに向かっていることからも、侵入者達の狙いが職員室にあることを察することが出来た。

 

二人はそそくさと職員室を出て、そこの近くの廊下の角に身を潜めた。

 

すると……然程時間も経たずに、黒い靄のようなものが現れ、その中から身体中に手を取り付けた黒服の男が現れた。靄のようなものも、バーテンダー姿の何かに変化を遂げている。

 

「彼奴らか?」

 

「間違いないです、予知で見た顔通り」

 

出久は気を消した上に、"絶"によってオーラを全く出ない状態にしたことで己の凡ゆる気配を、完全に消し去ったまま話す。そして、二人の人物の顔を自慢の記憶力で脳内に刻み付けていた。

 

「……緑谷。予知で彼奴らの目的は分からないか?」

 

「分かると思います。探ってみますね」

 

出久は自分の意識内から、意志を読み取る対象である黒服の男以外の全てをシャットアウトする。

 

そして、その男の意志を読み取ってみたところ……彼が雄英のカリキュラムを盗み出す光景が視えた。

 

「雄英のカリキュラムを盗むつもりみたいです。奴からは、オールマイトに対する強い殺意が感じ取れます。復讐なのか、宣戦布告なのかは分かりませんが……」

 

「カリキュラムを?くそっ、そんな重要なものを盗ませる訳にはいかないが……。ここで奴らを刺激して、生徒達全員を人質にされるなんてことになるのも合理的じゃない。このまま様子を見よう」

 

「了解です」

 

相澤の指示に従って観察を続けていると、黒服の手だらけ男の方が職員室に侵入し、侵入してから数分が経つと彼は書類を持ってそこから出てきた。

 

そのまま彼は、大層満足そうに邪悪な笑みを浮かべて、バーテンダー服の男が展開した黒いゲートに足を踏み入れ、姿を消した。

 

「……気づかれずに済んだな」

 

「ええ……一安心です。因みにですけど、相澤先生。彼奴らの個性因子、少し捕食して拝借しておきました」

 

「お前……いつの間に……。取り敢えず、緊急会議をこれからやることになると思うんだが、参加してもらってもいいか?」

 

「分かりました」

 

 

出久は相澤と共に緊急会議に参加して、侵入者達の顔と"個性"、彼らが騒ぎを起こした目的について話した。

 

「……以上が現段階で分かる情報です」

 

「ありがとう、緑谷君」

 

「"ワープゲート"……か。ただでさえ希少な"個性"なのに、よりによって(ヴィラン)側にいるなんてね……」

 

「それと、五指で触れたものを粉々に出来る"崩壊"……だったか。とんでもねえな」

 

教師達が次々に意見を交わす。そもそもの話、雄英内に部外者の侵入を許してしまったというのが初めてのことであり、異例の事態だ。会議が熱を帯びるのも当然である。

 

「セキュリティの強化も必要になるね。ところで緑谷君。君は……今後、彼らが再び雄英に来る可能性があると考えているのかな?」

 

根津が出久に尋ねれば、教師達の目が一気に彼に集まった。

 

「……成る程。わざわざカリキュラムを盗みに来てるレベルですし、用意周到にするつもりなのは明らかだと思います。仮に、二人が手下を引き連れて襲撃を仕掛けてくると仮定しましょう」

 

教師達は頷きながら、出久の話を固唾を飲んで聞いている。

 

「僕が(ヴィラン)なら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。そこに襲撃を仕掛けます」

 

『!』

 

その後も会議は続き……カリキュラムを出久と共に吟味しながらでなければ、予測が出来ても正確なタイミングは分からないという結論が出た。出久は、放課後に再び根津、相澤、オールマイトを交えて話をすることが決まり、一度会議を終えて解散となった。

 

「緑谷。教室に戻る前に渡したい物がある」

 

「?何でしょうか」

 

「緊急時ヒーロー活動許可証つってな。緊急時における時に限る話だが、こいつを持っていればお前はプロヒーローと同等の権限がある」

 

「仮免の仮免ってことですかね?」

 

「そういうことだ。……緑谷」

 

緊急時ヒーロー活動許可証を渡しながら、相澤は出久の肩に手を置く。

 

「お前はまだ、あくまでヒーローの卵だ。お前が強いのは俺らも勿論知っている。だが……どうしようもなくなったら、ちゃんと俺ら大人を頼れよ。俺達はプロでもあり、大人でもある。……立場上、お前を守る義務もあるんだからな」

 

自分を心配してくれているのが分かったし、彼からは優しさを感じ取れた。

 

「ありがとうございます、先生」

 

出久は優しい笑みを浮かべて会釈した後、手渡された許可証の重みを噛みしめながら、教室に戻っていった。

 

(緑谷出久。実力も志も真っ当なヒーローらしく、次世代の平和の象徴になるに相応しいと世間じゃ言われている男)

 

「ただ……やっぱ不安定だな。下手に目を離していると、確実に堕ちる。定期的にカウンセリングが必要だ……。……ふう、難儀な生徒の担任になっちまったもんだ」

 

そして相澤もまた、出久の持つ陰りに気がついており……眉間を押さえながらも彼を立派なヒーローになるまで見守ることを強く決意していた。




本日はここまでにしておきます!

最初の方に、朝からのマスコミ騒動に関しての描写を追加しました。
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