異世界を巡った少年のヒーローアカデミア:Remake 作:白華虚
爆豪らが物間チームと対峙し、彼らを一方的に蹂躙していた一方。出久によって出現させられた氷壁の外側でも、激戦が繰り広げられていた。
周囲の騎馬は全て足元を凍らされて動きを封じられているのだが、これらは全て轟の仕業である。八百万が、先の尖った形状の鉄の棒を創造して走行しながら地面に掠らせた。
轟は、上鳴の無差別放電で自分達以外の騎馬の動きを止めると、八百万の創造した棒を握り、それを通じて広範囲を凍らせる。それによって、周囲の騎馬を行動不能にした訳だ。
そうして、四面楚歌を抜け出し、彼は自分達の騎馬と目の前に立つ騎馬との一騎打ちに挑む。
その騎馬こそ……心操チームの騎馬であった。何故、彼らが上鳴の電撃から免れたのか。それは、騎手の心操が霞の呼吸の参ノ型、霞散の飛沫によって大気を裂き、上鳴の電撃を見事に防いだからである。
――出久が共に経験を共有した、無一郎。彼と同じ柱で、恋の呼吸を扱う少女がいた訳だが……彼女に至っては、上弦の肆である半天狗の呼び出した最強の分身、僧珀天の放った怪音波や雷すらも叩き斬っている。使用者によってはそのような芸当が可能なのだから、心操がこのくらい出来ても、何の違和感もないだろう――
正直に言うと、轟は鷹を括っていたのかもしれない。いわば、普段は無口で控えめで、運動が下手に見せかけている少年が、実は運動神経がクラスの中で一番良いというのに、彼の実力を見抜けない時のような。
(緑谷と爆豪ならまだしも、心操は大した障害にはならねえ。早いところ突破しねえとな)
そう考え、彼は侮っていた。そもそもの話、彼はエキシビションマッチの時に多少心操と関わりのあったくらいで、彼の強さや努力を知らない。確かに出久と心操は多少互角に張り合ってはいたが、それも一時のみ。
出久自身も彼らのレベルに合わせた全力を引き出していたのみであって、轟は彼の本当の強さを知らないのだ。
加えて、彼の視野は狭まっている。出久と爆豪に対して宣戦布告はしたものの、彼が見ているのは己の父親、フレイムヒーロー"エンデヴァー"のみだ。
鳥の目虫の目魚の目という三つの視点があるが、轟の場合は、先の動向を掴む魚の目のみしか持ち合わせていないというところだ。
それを考えれば、ある意味こういった判断をするのは仕方ないのかもしれないが……たった今。轟はその判断を後悔していた。
自分の周囲を氷で覆い尽くしたフィールドの中で、轟の氷結が山の如く心操チームに押し寄せる。
「ッ、また来た!」
戦闘訓練の際、足を凍らされたトラウマがあるのか、怯み気味にその脅威を警戒するのは、心操チームの騎馬の先頭である尾白だ。
「上鳴君の電撃で発目さんのベイビーもイカれちゃったし……どないする、心操君!」
怯むことなく声を上げ、騎手の心操に尋ねるのは、左翼の麗日。
麗日の問いに対し、心操は……出久や爆豪を意識したのか、真っ向から1000人もの敵を薙ぎ払わんとする戦士のように、不敵かつ凛然とした笑みを浮かべて拳を構えた。
「まだ全然いけるね。任せとけ、麗日」
フゥゥゥゥ……という、辺り一体に漂う霞そのものらしき呼吸音を口から発しながら呼吸を整えた心操は、最大のコンディションで攻撃を繰り出す。
「霞の呼吸・弐ノ型、八重霞」
繰り出されたのは、霞を引き裂くが如し幾重もの連撃。発目から渡された籠手を装備した状態で繰り出されるそれは……轟の放った氷結を後欠片もなく粉々にした。
……心操は、轟の想像以上に強敵だったのだ。事実、彼と対峙してから1分近くが経過しているものの、ここまでずっとこうして粘られている。
籠手の性能に感心し、礼を言う心操と誇らしげに言葉を返す発目の姿を見ながら、轟は拳を握りしめていた。
そんな轟の様子をチラリと見たのちに、飯田は言及する。
「心操君達は、常に轟君から見て左側に位置取っている……。轟君が左側の炎を使わないということ、見抜かれているんじゃないのか……!?」
飯田の発言に、八百万と上鳴もハッとしながら轟の方を見た。
飯田の発言は、全くもってその通りであろう。轟本人がどう足掻いたって炎を使う気がないというのなら、なんの危険もない。誰であろうが、これを利用しない手はない。
それに加え、この状態のまま、最短距離で凍結させようとすれば飯田を巻き込むことになる。
轟自身もそのことは自覚している。心操によって自分の繰り出した氷が後欠片もなく砕かれているからいいものの、無闇に凍結させるのは自分の首をも絞める。そのことも自覚済みだ。
……強いて言えば、
さながら、今の状況はプロのスポーツ選手が、スポーツの初心者に負けているようなものであり、轟の内心には怒りやら、屈辱感やら……様々な感情が立ち込めていて、彼の心はぐちゃぐちゃになっていた。
聴覚というのは、最期まで残る感覚だというのはよく言われることだが、それは気絶した際も同じである。
アニメやドラマ、小説などでよく見るシチュエーションではあるが……。
普段はツンデレなヒロインが、主人公が気絶している間に思い切りデレて、気がついていないことを良かれとして本当の想いを述べた所……目を覚ました主人公に「あれって夢だったのかな」というような感じで、本当の想いを述べられたことを吐露して、ヒロインが顔を真っ赤に染めるといったようなものだ。
もしかすると、心操も気絶していながらエキシビションマッチの際の出久と轟のいざこざを聞いており……それが記憶に残っていたのかもしれない。その可能性を考えると、心操が取る行動も自然であろう。
閑話休題。自覚しているが故にむしゃくしゃした思いが更に募り、気持ちが
それも全部分かっている、と言わんばかりに心操は不敵な笑みを深めた。
そして、出久達の揚げ足を取らんとした物間程ではないものの、悪意に満ちた、聞くだけで怒りを煮え滾らせそうな声で言い放つ。
「推薦入学者にしちゃ、大したことないよな轟。氷結の一辺倒か?それに、
"左"というワードに、轟は肩をピクリと跳ねさせて反応を示す。
そんな彼を見て、心操はしてやったり、と微かに笑みを浮かべて続けた。
「そんなんで緑谷達に勝つつもりってか?100億年くらい早いだろ。緑谷達をナメてるってこと?」
轟は、ワナワナと体を震わせ始める。今にも噴火しそうな火山のような様であり、最早誰にも彼を鎮めることは出来なさそうだ。
「俺程度に苦戦してるんじゃ、彼奴らには絶対勝てねえよ。……なあ?分かってんだろ、轟」
心操人使……。彼は、"洗脳"という
この後の結末は、誰であれ察しが付いていた。だからこそ。
「ダメだ、轟君ッ!乗るな!」
飯田は必死の形相で声を張り上げて轟に呼びかけたのだが……結論から言うと、通じなかった。
今の轟は、
理性を失った人間が、相手の策まで察して頭を回す余裕があるのかと聞かれれば……その答えは否。
「煩え……煩えッ!俺は、俺は……クソ親父の力を使わずに……っ」
だから、轟は心操の問いに答えてしまい、彼の策にまんまと引っかかってしまった。
「ああっ!轟さん!」
「轟ぃぃぃ!やっちまったぁぁぁ!!!」
虚な目になって硬直し、死んだ魚のようにして動きを止めてしまった轟を見て、八百万は悲痛な声を上げ、上鳴は項垂れる。
そんな彼らを見た、プレゼントマイクからの実況が耳に届いた。
『なっ、なんだァ!?轟チームの騎馬、上鳴がやらかしたと言いたげに項垂れてんぞ!?心操、何した!?』
生徒の"個性"くらい事前に把握しておけよ、馬鹿と言わんばかりの白い目を向けた後、相澤は解説を始める。
『"洗脳"。それが心操の"個性"だ。洗脳する意思を持ってした問いかけに答えた相手を文字通りに洗脳する。一度答えてしまえば、その時点で詰みだ。
洗脳を解く方法はあるにはあるが、それ以外のことをしても一切解けない。
相澤の解説を聞きながら、彼の「
そして、それに対して観客のプロヒーローや一般人の反応はどうか。
心操が耳を澄ましてみると、「イレイザーヘッドの言う通り、いい"個性"だな」だとか、「心操をヒーロー科に入れるとは、流石雄英。見る目があるな」という声が聞こえてくる。
その一方で、「うわ、
麗日や尾白も、そんな愚かなプロヒーロー達や一般人に何か言ってやりたくなったが……2人が動き出す前に相澤が動いた。
彼は、先程までの気怠げな様子から一変。紅い眼光と殺気を放ち、髪を逆立てる。
『んで、俺の説明を聞いてもなお、心操の"個性"を
お前らには雄英の体育祭を観戦する資格はない。プロヒーローに関しては、ヒーローをやる資格もない。不愉快だ。とっとと回れ右して、自分の家のテレビでバラエティ番組見るか、転職サイト覗いてろ。大の大人が"個性"一つで人の人格を決めて、差別するようなことをするなよ。恥を知れ』
そして、彼は殺気を収めて席に着き、一息つくと同時にもう一言言及した。
『それと、もう一つ言っておく。今年の雄英ヒーロー科、1年A組にはお前らのやるような"
相澤の魂の叫びにも等しい訴えを聞いた心操は……涙が溢れそうになった。彼の訴えは、あまりにも暖かみに溢れていた。
競技の最中である上に、轟の後ろに控える相手こそが本命だ。
こんな情けないところは見せられないと、心操は必死で溢れかけていた涙を拭って、目の前の相手に目を向けて気持ちをリセットしようとした。
そして、気持ちを落ち着かせてから、自分の策にまんまと引っかかった轟を見て、心操は正直に思った。
(こいつはこのままじゃダメだ)
と。
心操自身、これは明らかに分かりやすい挑発だったと自負している。
そもそも、クラスメート達は自分の性格を有難いことによく分かってくれているし、自分の"個性"を聞こうが、誰一人として「
ヒーローをやるには余りにも視野が狭すぎる上に、精神が未熟過ぎる。
彼が父親のことを「クソ親父」と呼んでいる故、父親に酷い目に遭わされてきたのだろうということは察しがついたが、それ一つの私情にあっさりと囚われて他のことが手につかないのはあまりにも酷過ぎる振る舞いである。
轟は競い合うライバルなのだから、洗脳を解く方法を教える義理はない。スポーツの試合をやる上で、わざわざ大声で作戦会議をして相手に戦略を伝えるなんてことはしないのと同じだ。それに、相澤の言う通り、相手の"個性"の弱点を自分で見抜くのもまたヒーローに必要な技術である。
ここにいる面子の中で、洗脳を解く方法を知っているのは麗日であるが、彼女も教えるつもりはないらしい。
「八百万や飯田には悪いが……轟はそこで大人しく立ち止まっててくれ。他が0Pばかりだし、その上に全部動き止めてるし、上位4位内には確実に入る。お望みの最終種目には出られるだろ。……俺達は本命に挑みに行く」
心操が1人の武闘家のように、拳を鳴らしながらやる気満々な様子を見せる。それに、彼の騎馬にいる3人もやる気満々に笑みを浮かべて、頷いていた。
その一方で、轟の騎馬である3人が洗脳を解く方法を模索していたその時だった。
何かが燃え尽き、焼け散るような音がすると共に、爆風が吹き荒れる。
その凄まじい風圧に、心操達は反射的に踏ん張り……それを一種の強い衝撃として、轟の洗脳も解けた。
「!轟さん!解けたのですね!さあ、まだ勝負は終わっていません!本命が来ましたわ……!」
彼を見て、自分のピンチにヒーローが現れた時のような希望に満ちた笑みを浮かべた八百万。彼女の言葉にハッとしながら、轟も風圧を感じた方向に目を向けた。
その標的は、ジリジリと燃え盛る橙色の炎の中に、戦場の中でたった1人生き残った屈強な戦士のようにして威風堂々と立っている。
そして、その騎馬の騎手……爆豪の叫びが耳に届いた。
「待たせたなァ、心操、轟ィ!逃げやしねェ!真正面から迎え撃ってやるからよォ……かかってこいやァァァ!!!!!」
叫び一つで、大気が震えているかのような感覚さえする。
心操達は、今まさに自分達がラスボスの魔王に挑む直前のような、そんな瞬間に置かれていると錯覚した。
心操達の騎馬戦は……ここからが本番である。
★
とうとう現れた本命、爆豪チームの騎馬に挑む、心操チームと轟チーム。
2つのチームが同時に挑む上、どちらも彼らなりの最大限を引き出す為の面子なのだ。いくら一位の爆豪チームであろうが、苦戦は免れない……。観客達は、少なくともそう考えていたはず。しかし、そうはならなかった。
「麗日、浮かせ!」
「おっしゃあああ!」
麗日の"個性"によって、自分を含めた3人を浮かせ、今出せる最大の速度で突っ込む心操チーム。近づかんとする彼らを中距離戦闘上は無敵と言っても過言ではない、常闇の
「ゆけ、
「っ、常闇の
「おう!」
目には目を、歯には歯をならぬ、手数には手数をだ。心操チームの騎馬、その先頭である尾白が
己の鍛え上げた肉体で繰り出す格闘術と、自在に動く尻尾を用いて、超繊細な操作の元で攻撃を繰り出してくる
(突破は簡単にいくことじゃない。そりゃ分かってる。緑谷や爆豪が率いてんだ。上手くいくわけがない)
心操は、尾白と
多くの騎馬から鉢巻をもぎ取った爆豪の行動から察するに、彼らは全部の騎馬からポイントを奪い取って、自分達を更なる逆境に追い込もうとしている。そうなれば……。
「!鉢巻、取られないように気をつけてください!」
「当然奪いにくるよな……!」
爆豪チームの方針を分析している最中、発目の声が聞こえて咄嗟に身を屈めると、先程まで自分の首があった位置に、細長い何か……プラグが伸びてきていた。
視線をその先に向けてみれば、そのプラグは耳郎のものだということが分かった。
「心操、悪いけど牽制も兼ねて容赦なく奪いにいくから……ねっ!」
次の瞬間、耳郎は自分の手足でもあるかのようにして凄まじい操作技術でプラグを動かし始める。
その様は、荒野で暮らし、鞭や縄を自在に操るカウガールのようだ。
そのプラグから繰り出されるのは、正確さと不意打ちによる凶悪コンボ。それに加え、それを操る速度自体も非常に速い。
制裁的なアレで、彼女が峰田や上鳴にプラグを突き刺して心音をお届けしているのを何度も目にしてはいるが……彼らが見切って避けられないのも当然だ。彼女が操るプラグを見切るには、これ以上の速さで目を慣らしておく必要があるのだから。
突破はほぼ不可能。相手は自分のポイントを奪わせる気はないが、こちらのを奪う気はある。ならば……方針は一つ。
「麗日、発目、尾白!凌ぎ切るぞ!俺達の持ち点は、絶対に奪わせない!」
「「おう!(はいっ!)」」
一流のヒーロー顔負けな、司令塔の如く相手の脅威に気圧されずに心操は叫ぶ。彼のチームメイト達も改めて鼓舞されたようで、心を一つに爆豪チームに立ち向かう。
心操は、耳郎のプラグの伸びてくる位置を予測しながら避け、尾白は
一人一人が必死であるその様は、プロヒーロー達を感心させたし、その他の観客達を噴き上がる温泉の水の如く、盛大に沸かせた。
そして、その一方。
「おいおいどうした、轟ィ!氷の勢いと威力が弱まってんじゃねェのか!?ついでに、酷え面してんな、オイ!」
『あああああッ!?爆豪、やはり騎馬を離れて己が攻めていくゥ!お前は武士か!?そうなんだろ!?』
『もはや騎馬戦じゃないが、彼奴らしいやり方だ。見ている方は面白いだろうな』
残った爆豪と出久は、プレゼントマイクの実況と相澤の解説が行われる中、轟チームに猛襲を仕掛けていた。
轟達の周囲を、立体移動を繰り返しながら、隼の如く飛び回る爆豪。
「っくそっ……!」
轟は、心操との戦いで思った以上に凍結を放った影響か、体温が低下していた。
そもそも、彼の氷や炎は、出久のようにしてポンポン放てる訳ではない。彼の"個性"の発動には、必ず体温が関わる。
右、即ち氷の力を扱えば、体温がみるみる低下して低体温症を起こすし、左、即ち炎の力を扱えば、体温が上がると共に身体中に熱が籠って動きが鈍る。
裏を返すと、二つの力を状況に合わせてバランスよく扱いさえすれば、そのデメリットを自分自身で打ち消せるということだが……それをしなければ、デメリットを抱えたままになるのだ。ゲームで例えるならば、MPである。
HPは自然回復することもあるが、MPは大抵自然回復せず、特定のアイテムを使わなければ回復が不可能な場合が多い。
つまり、その例えに当てはめるとするなら、二つの力を状況に合わせて使い分けるということが、MPの回復アイテムなのだ。
轟は、父親であるエンデヴァーにとある恨みがある故、否が応でも炎の力を扱う気はない。
それならば、体温が上昇しないのは自明の理。
体温が低下すれば、酸素の働きが弱まって体全体の機能が落ちる。そんな状態で最大のコンディションを発揮出来る程、普通の人間の体は上手く出来ていない。__サイヤ人達ならば、このような逆境を糧に力を増してしまうのかもしれないし、承太郎達ならば頭を使って難なく乗り越えるのだろうが__
閑話休題。今は、互いに全力を出し合うべき勝負の場。そんな相手の体調なんざ、知ったこっちゃないという話だ。
それに、轟の場合はある意味自業自得である。いつまでも現実から目を逸らし続け、自分の我儘を優先した結果がこれなのだから。
相手が誰であろうが容赦はしない。それが爆豪勝己という男。彼は、当然ながら轟の鉢巻を取りにいく。
……はっきり言って、轟の心とプライドはズタボロだ。格下だと鷹を括っていた心操に持ち堪えられ、自分のプランが全て崩れ去った。加え、どう足掻いたって炎の力を使いたくない。しかし、それを使わなければどうしようもない。
どうするのが正解なのか分からない、というところだろうか。轟の顔は、爆豪の指摘通り「酷え面」をしている。
家族を失った絶望に打ちひしがれた少年のような顔で、今にも泣きそうだった。
(俺は……俺は……!こんな所で負けてられねえんだ……!氷の力だけで勝ち抜いて、彼奴を否定して……ッ!)
もはや、自分を鼓舞するので精一杯だ。司令塔も為せない程に、彼の心はぐちゃぐちゃで、メンタルもやられていた。
飯田は、轟の様子からそんな状態であることを察していたのかもしれない。
(詳しくは分からない。でも……轟君が精神的にやられているのは間違いない!俺は、爆豪君達の強さを知っている……!だからこそ、だからこそ……!俺が、しっかりしなければ!)
自分がしっかりしなければ、と使命感に駆られ、その瞳には未だに勝利を掴むことに対する執念が燃えたぎっていた。
再び爆豪達との戦いに視線を向けてみれば、とうとう爆豪のみならず、出久もスタープラチナを通じてこちらに攻撃を仕掛け始めている。爆豪の援護に徹していた彼も動き出したとなれば、一瞬でも気を抜いたら全てが終わりだ。
チームメイトのカバーをするのは、ヒーロー志望として……否。人情のある人間として当然のこと。飯田は、率先して轟の代わりを為さんとする。
「上鳴君!頼んだ!八百万君も、絶縁体のシートを!」
「おっしゃあ、任された!」
「はいっ!」
轟の様子を見て戸惑っていた2人も、飯田の声で士気を取り戻す。
(常闇君や響香さんには、心操君達の方に集中してもらいたい)
上鳴と八百万の行動と、意志から未来を視た出久もまた、行動を開始。八百万の"創造"によって絶縁体の手袋を創ると、それを2人に手渡した。
「出久?何する気なの?」
そんな行動を取った出久を、常闇と耳郎は不思議そうに見つめる。その瞳には、5割の好奇心と5割の未知に対する疑いが宿っていた。
「見ていれば分かるさ。君達は、心操君達の相手に集中していてくれ」
心配ない、と言わんばかりに穏やかさと不敵さを併せ持った笑みを浮かべた出久。
彼が言うのであれば、何も問題はない。出久にそれ程の信頼を置いている耳郎と常闇は、再び心操チームの方に目を向けた。
「かっちゃん!俺のスタープラチナの後ろに!」
「おう!」
これで、準備は整った。爆豪がスタープラチナの後ろに下がった後……完璧なタイミングで上鳴が攻撃を仕掛けてきた。
「心操の方まで封じられれば一石二鳥……!悪く思うなよ……無差別放電、
上鳴を中心として瞬く雷光。迸る電撃は、出久のスタープラチナに迫り、それに命中する。
……さて、スタンドは、基本それを扱う者本人と感覚を共有している。スタンドの腕が傷付けば、それを扱う本人の腕も傷がつくし、足が傷付けば同じように足が傷つく。
つまりだ。スタープラチナに電撃が流れれば、出久本人にも電撃が流れるのだ。本来ならばそれで動きが止まるはずだが……出久の場合は違う。
「ウェイッ!?な、なんだ!?緑谷が俺みたいにバチバチ光ってんだけど!?」
出久には、メルエムの能力によって拝借した上鳴の個性因子があるのだ。彼は、"帯電"を使用することでその電撃を己の体に纏わせていた。
そして、メルエムの能力によって学んだ"個性"というのは……基本、本人達を遥かに上回った性能で扱える。
その辺の話は、飯田達も個性把握テストの後の団欒で全て聞いている。なんとなく、出久がやろうとしていることにも想像がついてしまった。
咄嗟に嫌な予感がした飯田は叫ぶ。
「八百万君!絶縁体のシートで俺達を覆ったままにしてくれ!」
「は、はい!」
その行動を見た出久は、不敵に笑って飯田を称賛した。
「正解だよ、飯田君。予測能力に随分と磨きがかかったじゃないか。この後が余計に楽しみだね」
そして……受け止め、纏わせた上鳴の電撃に、上鳴のそれを超えた電圧を上乗せして、解き放つ。
「さて、お返しだよ。上鳴君……ッ!ついでに、こうすると技名のセンスも出るんじゃあないかな!!!250万Vの……ボルテック・バースト!」
「「「「うわぁぁぁっ!?」」」」
上鳴の放った電圧の、2倍の電圧を誇る出久の電撃が轟チームや心操チームの騎馬を襲う。
あまりの勢いで放出された電撃は、本当の雷が炸裂した時のように轟音を響かせて地面を震撼させた。
まさに、天変地異を錯覚させるような威力だが……轟チームは絶縁体シートでことなきを得たし、心操チームは心操が死に物狂いで放った型によって電撃の進行を阻むことが出来た。
「っはは、凄え……!」
一方、スタープラチナの後ろで、爆破を起こしてホバリングを行っていた爆豪は、武者震いした。
(やっぱりこいつはとんでもねえ)
ここに来て、改めて出久のヤバみと凄みを味わいながら、爆豪は己の騎馬に降り立つ。
『おわっ、時間経つの早っ!?もう残り時間は1分だぞ!まさしく、こっからがデッドヒート!果たして、爆豪チームが1000万を守り切るか!?他のチームが奪い取るか!?どうなるってんだ!?』
そうこうしている内に、残り時間が1分となったようだ。プレゼントマイクの実況を耳にしながら、この場にいる全チームが最大限に燃やした闘志をその瞳に宿した。
そして、いよいよ……飯田が勝負に出る。
能ある鷹は爪を隠す。ここに来て、彼は隠し続けていた切り札を切ることにする。
「皆。この後、
如何にも意味深長な言葉を放った飯田。これには、先程まで取り乱していた轟もハッとして幾分か調子を取り戻しながら、訝しげに彼の放つ言葉の続きを待ち受けていた。
「しっかり掴まっていろ!獲れよ、轟君!」
その鍛え抜かれた左脚で、飯田は強く地面を踏み締める。
それと同時に、出久は飯田の意志に注意を向けることで彼の未来を察知した。
(……ただで獲らせないぞ)
出久もまた、己の内心でその策を施す。
準備段階として、彼に協力を要請する必要がある。
(綱吉君、頼んだ)
『了解です。意図は察知しましたから、すぐに繋ぎます』
協力の要請者は綱吉であった訳だが……これで、問題はない。
爆豪らが警戒態勢を取る中、出久も光り輝く碧眼で飯田に視線を向けた。
「トルクオーバーッ!」
飯田の放った一言と同時に、
明らかに今までとは訳が違うのは確かだ。標的を鋭く睨む、飯田の青い双眸。これには、流石の爆豪も一瞬硬直した。
「レシプロバースト!!!」
次の瞬間、不敵に笑みを浮かべた飯田は、スポーツカーさながらのスピードで、溜め込んだ力を爆発させて猛進する。
(間に合わねェ……!獲られるッ!)
硬直から立ち直った後、爆破を起こして空中に逃れようとしていた爆豪だったが、間に合わないということを察した。
正直、爆豪は、今の彼が出しているスピード……それ以上のものを出久との鍛練によって見慣れてはいる。しかし、飯田がこれ程のスピードを出せるかもしれないという可能性自体が頭から抜けていたのだ。それに加え、彼から放たれる執念と闘気のような何かに一瞬だけでも、体を硬直させてしまったのが祟った。
死を錯覚した時のように、爆豪の肌に冷や汗が吹き出す。そして、死の危機に瀕した訳でもないのに、走馬灯が見えて、これまでの人生の経験が頭の中に流れ込んできた。
走馬灯が見えるのは、過去の経験からピンチを乗り切る方法がないか、脳が必死に探し出しているからだと、死の直前に見るものだと俗に言われるが……どうやら、今の状況は自分にとって、死にも等しい極限状態らしい。
それを察しながら、爆豪は最後の抵抗で顔を庇うように両腕を構える。
会場の観客達も、誰もが思ったはずだ。轟チームが、爆豪チームから1000万を奪い取ると。
……しかし、そうはいかなかった。
「っなっ!?なんだ、これはっ……!?」
突如、想定外の事態に見舞われた時のような、驚愕に満ちた飯田の声が耳に届いた。
爆豪も、その声にハッとしながら両腕を退けると……内側が蒼く染まった橙色の炎に飯田の肉体が覆われており、そのスピードがみるみる内に落ちていく光景が目に入った。
そして、その後……飯田は、マフラーから黒い煙を立ち昇らせながら、完全に停止してしまう。
『なっ、なんだ!?飯田がとんでもねえスピードを披露したかと思ったら……今度は、変な炎に覆われてスピードが落ちた!?何が起こった!?』
彼以外の轟チームのメンバーは、彼が出したスピードに加え、それが急に衰えたという二重の現象によって、重ね重ね襲ってくる驚愕によって唖然としている。
実況のプレゼントマイクも混乱している訳だが、彼の言葉は全ての観客の言葉を代弁してくれていることだろう。
一方、特に不調は無かったはずだ、と焦った様子の飯田は……自分の目の前を覆い尽くした景色から、この現象を引き起こした男の正体を察した。
「はっ!?そうだ……!この、俺を覆っている橙色の炎……それと似たものを扱えるのは、俺達のクラスに1人しかいない!緑谷君……!?まさか、君なのか!?」
飯田の声に、それは本当か、と言わんばかりに振り向いてくる爆豪、耳郎、常闇。
出久は、手品を明かす奇術師のようにして不敵に笑みを浮かべた。
「正解だ、飯田君。俺の扱う死ぬ気の炎。それには色々と属性があって、俺の橙色の炎は大空の炎って呼ばれている。この性質は、"調和"。周囲の凡ゆる物質や、異なる属性の死ぬ気の炎と"調和"することが出来る」
残り時間が少ないというのに、心操チームに轟チーム。その両方が固唾を呑んで、動きを止めて彼の言葉の続きを待ち受けている。
__それは、観客やプレゼントマイクに、相澤も同じことであるが__
「この2週間、俺は"個性"で出来ることが増えた。それで、ちょっと協力を要請したのさ。元々大空の炎を扱っていた子に、凡ゆる力を鎮静させる性質を持つ、雨の炎を扱える友達を連れてきてほしいってね」
ここまで言えば、死ぬ気の炎のことをよく知らない爆豪らでも理解が可能だった。
「つまり、お前は……自分の扱う炎を、その雨の炎っつーのに"調和"させて、その性質をそっくりそのまま……ッ!?」
解けない計算問題の答えがようやく閃いた時のようにして、爆豪が問う。
出久は、微笑みを浮かべたまま頷いて、それを肯定した。
『すっげェェェ!緑谷凄えェェェ!言ってること、やってることがよく分かんねえけど、とにかく!1000万ポイントの奪取を阻止した!予選1位突破は伊達じゃねえぜ!!!』
沈黙を破るように放たれたプレゼントマイクの実況。それと同時に、観客達は津波のように盛大な歓声を巻き起こす。
こうして歓声が巻き起こったのは、何度目だろうか。マジシャンの場合も、手品を成功させたらこうして歓声やらなんやらを受ける訳だが……彼らもこんな清々しい気持ちになるのだろうか、と出久は思う。
「ふっ……あはははははっ!」
そして、飯田はというと、突如吹き出しては高らかに笑い声を上げた。
何かおかしなことがあったろうか、と出久が不思議そうな目で見つめていると、彼は一息ついて落ち着かせた後に爽やかな笑みを向けた。
「いやあ……負けた。負けたよ、緑谷君。やはり、君は凄い人だ。能ある鷹は爪を隠す、ってよく言うだろう?俺も、その鷹のつもりだった。しかし、本当に鷹だったのは……君だったようだ。隠してる爪の数も俺よりも多いんだろうな」
それを聞いた出久もまた、朗らかな笑みを浮かべる。
「いや、そんなことない。君も立派な鷹だったさ」
会話を聞いていた爆豪もまた、思わず吹き出しては掌から火花を散らした。
「はは、2人揃ってナイスユーモアじゃねェか。だが……まさか、この程度で諦めたなんて言わねェよなァ!?」
これまで幾度も見てきた狂戦士さながらの笑み。今度はそこに、魔王さながらの威圧感を乗せてきた。
気分は、まさに獅子に狙いを定められた兎のよう。体が硬直し、冷や汗が噴き出るも……この程度で怯んではいられない。
「ああ……勿論さ。最後まで諦めはしない!」
「一つ策が通じないからって、諦めるのは言語道断ですわ!」
「ここで立ち止まっていられねえんだ……!」
「轟も持ち直したみたいだし……こっからだぜ!」
気圧された影響か、無意識の内に炎を使った轟を筆頭とする、轟チーム。
「もう一踏ん張り……。やれるか?」
「ああ、問題なしだ!」
「依然、警戒態勢よし!任せて、心操君!」
「どうせやるなら、最後までとことん付き合いますよ!」
覚悟を決めて、拳を握りしめた心操を筆頭にする、心操チーム。
その両者が、最後の特攻を仕掛けてくる。
二つのチームを迎え撃たんとしたその瞬間。もう一つのチームが殴り込みを入れてきた。
「俺達も忘れてもらっちゃ、困るぜぇぇぇぇぇ!!」
「!切島ァ……!来たか!」
先程、共に物間チームを撃退した切島チームである。退く選択肢はない、と言わんばかりに、猪の如く突進してきていた。
「三チーム一気に……か。うん、ロックだね」
「まさしく決戦……。全力で迎え撃つのみ」
「っしゃ、オラァ!これが最後だ……!」
「絶対獲らせはしない!守り切る!」
乱入してきた切島チームに触発され、気合を入れ直した爆豪チーム。彼らも、全力で三つの騎馬を迎え撃つ。
★
結論から言えば、四チームは互いに一歩も退かぬ激戦を繰り広げた。
吹き荒れる風に、巻き起こる氷結、それを溶かさんとする火花に紅い炎。戦乱の真っ只中とも言うに相応しい凄絶な光景が観客の目の前に広がっていた。
残った時間、20秒程の中でこのレベルの激戦が繰り広げられた。当然ながら、そこまで濃厚な激戦を見ていると時間が過ぎ去るのは早いものであり、この20秒はあっという間に過ぎ去った。
そして、爆豪達は……自分達の所持していたポイント、全てを守り抜いたのだ。
タイムアップを告げられた今、生徒達は今か今かと結果発表を待ち受けている。
『それじゃあ、早速残った上位4チームを見ていくぜ!まずは、栄えある第1位……見事に1000万を最後まで守り抜いた爆豪チームだ!』
「やってやったぞ、オラァァァ!!」
「宣言通りだね、この調子で行こう」
「やったね、出久!ほら、常闇も。こういう時は素直に喜ぶの!」
「お、俺は、そういうのは性に合わんのだが……」
こういう結果発表とは、だいたい下の順位から発表するものであるはずだが、自由が校風な雄英は順位発表の常識なんぞ知ったこっちゃないようだ。
結果が分かっていたとしても、やはり声に出して発表されると喜びは一入である。
2人揃って、天に腕を掲げる出久と爆豪に、満面の笑みでガッツポーズをする耳郎と、半ば耳郎によって、無理矢理ガッツポーズを取らされて、どこか気恥ずかしそうな常闇。
反応はそれぞれであれど、全員が喜んでいることは確かだ。
『続く第2位は……物間チームの所持ポイントを全部掻っ
「2位!?マジで!?」
「よっしゃあああ!やったな!」
「これも夜嵐のおかげだぜ」
「これで、物間にも文句は言われないね〜!」
予想外の結果に驚きながらもガッツポーズを取る切島、天高く拳を掲げて高らかに笑う夜嵐、存分に活躍した皆を労わるように笑顔を浮かべる瀬呂、胸の前で拳を握ってぴょんぴょん飛び跳ねる芦戸。
こちらは、全身全霊で喜びを表現する集団であるようだ。
『第3位は〜……心操チーム!』
「よし、取り敢えず緑谷達からポイントは守り切ったな」
「お疲れ、心操」
「男の友情……!いいね!私も混ぜて〜!」
「むむむ……ベイビーに更なる開発が必要ですね。今度は電気に対する耐性を……」
互いを労わる意味と、健闘を讃えあう意味を込めて、心操と尾白は拳を合わせ、そんな2人を見ながら、麗日が目を輝かせながら混ざりに行くが……発目は彼らを置いておき、騎馬戦の中で故障したバックパックを弄って修理していた。
発目の場合は、自分のサポートアイテムをアピール出来ればそれでいいので、勝てたからちょっと得をした……くらいの感覚なのかもしれない。
『そして、4位!轟チーム!』
「っ……」
「念の為に、他の騎馬からポイントを奪っておいて正解でしたわね」
「それな〜。つか、飯田!切り札凄かったぜ!とんでもねえ速さだったな!」
「俺としては誤った方法だと思っているけれどね。でも……緑谷君が俺に対処を施したということは、少なくとも警戒してくれたってことだ。それが俺には何よりも嬉しいことだよ」
安心したように微笑みを浮かべた八百万に、彼女に同意した後に、目を輝かせて飯田に詰め寄る上鳴。
飯田は、上鳴に圧倒された様子ながらも自分の気持ちを素直に述べながら、発言通り嬉しそうに笑っていた。
全く悔しくないというのは間違いだろうが、彼らは最終種目に足を進められたことにホッとしている様子である。
しかし、彼だけは……轟だけは違った。
呆然と己の左手を見つめながら、彼は震えていた。寒くも何ともないというのに、肌寒い秋の終わりの季節に薄着でいるかのようにして震えていた。
極め付けに、4位という順位に落ち着いてしまった焦りだろうか。自分のバレてはいけない隠し事がバレたかのように冷や汗をかいていた。
そんな彼の背中を、出久は憐れみに満ちた瞳で見守っている。まさに、見ていられないと……そう言うに相応しい背中だ。
轟にこちらから声を掛ける為に一歩踏み出そうとした瞬間だった。
『ここでサプラァァァイズ!!!!!』
突如、会場中に溌剌としたプレゼントマイクの声が響き渡る。
その声を聞いた瞬間、悔しそうに歯を食いしばるなり、拳を握りしめるなりして俯いていたB組の生徒達も一斉に顔を上げる。
ニヤリと笑みを浮かべ、手品の種明かしを引き伸ばして観客を焦らす手品師のように、生徒達の顔を見渡したプレゼントマイク。
そこから、更にテンションを一段階引き上げて続きの言葉を放った。
『1位から4位までの4チーム!これが、最終種目に駒を進められるチームな訳だが……注目しろ、オーディエンス共!蓋を開けてみりゃ、A組だらけになっちまった!こりゃあんまりだ!B組に最終種目での見せ場が無いってのは可哀想だと思わねえか!?』
『教師陣での協議の結果、
「そ、それって……」
プレゼントマイクの発言に、泡瀬が震えた声で呟く。
そして一息おき……。
『上位の4チームに加え、鉄哲チームも、最終種目に出場決定だァァァ!!!!!』
最高潮のテンションで、鉄哲チームの最終種目出場決定を告げた。
「ッ……!?うおっしゃあああああああ!!!ありがとうございますッ!」
「ああ、これも神のお恵みなのでしょうか……?感謝致します……」
「そこまで大袈裟なもんじゃないだろうけど、流石雄英。柔軟だ」
真っ先に、空を穿つかのような雄叫びで喜びをアピールした鉄哲を筆頭に、チームの者達もまた喜んでいる様子を見せていた。
こうして……爆豪チーム、切島チーム、心操チーム、轟チーム。そして、鉄哲チームの5チーム……計20名の出場が決定したのであった。
「……爆豪少年、緑谷少年……!また1位で突破を……ッ!おじさんは嬉しいぞ!」
「貴方はさっきからどこ目線なんですか」
「師匠目線でしょうかね」
……第二種目も1位で突破した爆豪と出久に対し、オールマイトが多大な喜びで体を震わせ、涙を流していたのは余談である。
色々詰め込んだら長くなってもうた……。済みません。
因みにですが、大空の炎を調和させて雨の炎の性質を引き出すっていうのはオリジナルです。綱吉君より遥かに上手く死ぬ気の炎を扱える出久君だから出来る芸当です。
そして、轟君。私が思うに、彼は父親絡みになると精神の未熟さが目立つと思うんですね。この時期は、それが顕著だと思います。脆いし、一度プツンときたら、周りが見えなくなる。
その未熟さの名残りが、仮免試験の時の夜嵐君との衝突なんじゃないでしょうか。映画二作目の時も、明らかに素の実力で敵わない相手なのに、その背中を追おうとしていましたし(因みに、飯田君に止められて考えを改めましたが)……。
それもあって、こういう描写をさせていただきました。
では、また次回!