異世界を巡った少年のヒーローアカデミア:Remake   作:白華虚

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34話 耳郎響香:ライジング

一悶着あったものの、レクリエーションを行う前に、無事に最終種目の組み合わせの抽選をことが出来た。

 

抽選を行った結果……驚愕かつ、中々に面白い組が揃ったようだ。

 

 

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「!」

 

「まさか……最初に出久とぶつかるなんて……!」

 

一試合目から恋人同士の対決。出久と耳郎の試合だ。いつか激突する覚悟はしていたものの、一試合目且つ初戦で激突することになるとは、誰が考えたであろう。

 

この抽選結果に、出久も耳郎も目を見開いた。こうなると、もはや余計な言葉は不要。いわば、拳で語る。互いの特訓の成果、その全ては最終種目で見届ければいい。

 

「出久」

 

「……うん」

 

緊張していない訳がないのだが、それを振り払うように勝ちを見出そうとする笑みを浮かべて、彼女は拳を突き出してくる。

 

出久は、微笑み返して拳を合わせることでそれに応えた。

 

「……俺、終わったかも」

 

そんな2人を見ながら、項垂れる男がいる。その名は、上鳴電気。彼はシード枠ではあるのだが、相手の抽選に運が無かった。

 

この体育祭に至るまで、出久のアドバイスに従って鍛え抜いてきた彼ではあるが……相手は出久、若しくは耳郎なのだ。

 

彼自身、耳郎の雰囲気が変わっているのには気が付いている為、決して彼女が弱いと決めつけて見下している訳ではない。しかし、それを鑑みても出久の方が勝利する確率は高いであろう。

 

上鳴は、出久と耳郎のどちらにも頭が上がらない。下手をすると、両者共にA組の女子を騙した自分に対して、復讐心を持っているかもしれない。

 

そう考えると安心してはいられない。自分がか弱いシマウマで、目の前にいるライオンに食べられかけている時のような……そんな絶望が彼にのしかかっていた。

 

そして。更に注目すべきは第二試合。

 

「……轟が相手か」

 

「っ、心操……!」

 

轟と心操の試合である。

 

轟自身、出久が耳郎や上鳴に負けるとは思っていない為、彼は必ずや勝ち上がってくると踏んでいる。それはいいのだが……問題は、初戦における己の相手だ。

 

騎馬戦の時、轟は心操の罠に嵌り、散々心を乱された。正直に言ってしまえば、轟にとって心操人使という存在はトラウマでしかないのだ。

 

(絶対……負けられねえ……!)

 

相手は自分にとってトラウマであることを悟られないよう、轟は拳を握りながら、体の大きな犬に対して必死で威嚇する、小柄な犬のように虚勢を張って心操を睨みつける。

 

そんな振る舞いをする轟は、心操にとって、社会から淘汰されないように弱さを覆い隠そうとする臆病な人間のようにしか思えなかった。

 

故に、心操が返した答えは……憐れみに満ちた瞳だ。

 

これまでの自分の人生を憐れむかのような瞳を向けられた轟の瞳は、再び揺らぐ。たまらず彼は、バッと顔を背け、心操から目を逸らした。

 

(……()()()()())

 

心操は轟の行動を見ると、自分の掌を見つめながら大いなる決意をしたのであった。

 

「1戦目免除のシードかよ……。つまんねえな」

 

一方、出久達とは別ブロックのシード枠となった爆豪は、とても不服そうに口を尖らせていた。

 

(だが、まあ……ブロック分けられたんなら、好都合だ。決勝で出久と()れる)

 

しかし、誇りに思う幼馴染と決勝戦で激突出来るとなれば、シード枠に選ばれた不満などどうということはない。暴風に吹き飛ばされた紙切れのようにして、彼の不満もまたどこかに吹き飛び、跡形も無くなってしまった。

 

最終種目に出場する者達のレクリエーションの過ごし方は、人それぞれであった。

 

相手の攻略を練る者に、平常心を保つ者。戦いに備える者に、神経を研ぎ澄ます者。中には、レクリエーションを普通に楽しむ者もいた。そして……緊張を解きほぐそうとする者に、戦いに備えて闘志を昂らせる者までもいた。

 

充実した時間を過ごすからこそ、時は早く流れ去る。いよいよ、雄英体育祭の最終種目開催の時が訪れた……!

 

 

 

 

 

 

 

 

セメントスが"個性"を用いて、みるみる内に闘技場を形成していく。場外の境目も地面となる物質を変化させることで分かりやすくなっていた。正直、全身全霊の勝負の中で足元を気にする余裕はあるのか、と聞かれると容易く頷けはしないものだが、ここまで分かりやすく境目が示されているのはありがたいものである。

 

その広さはというと、バスケットボールの試合を行うコート一つ分はあるように思われる程だ。バスケットボールの試合の場合は、1チーム5人ずつの計10人がコート上を立ち回る訳だが、今回のトーナメント戦においては、その上に立つのはたった2人。見方によっては広すぎるとも思われるだろうが、"個性"を存分に用いることを考えれば、これくらいが丁度いいものだろう。

 

これぞ、やり過ぎるくらいがちょうどいい……である。

 

闘技場が形成されると共に、観客達のボルテージも徐々に引き上げられ、加熱されて温度を上げていく水のように、会場中が熱を帯びていく。

 

 

 

 

彼らの歓声を聞きながら、出久は入場口にて目を閉じていた。

 

単に精神統一しているだけではない。彼は精神世界にいる仲間達から声援を受け取ってもいる。

 

ここまで共に歩んできた9人だけではない。体育祭の日までに巡り会い、修行をつけてくれた者達からもだ。

 

(いつの間にか凄い賑やかになったなあ……)

 

そんなことを呑気に考えながらも、出久は内心で1人ずつに礼を返す。

 

そして、彼は器用にもスイッチを戦闘する際のものへと切り替えていく。

 

そんな彼の様子を察した仲間達は、それ以上の声援は声に出さなかった。

 

(お気遣い、感謝します)

 

仲間達の気遣いに感謝しながら、出久はそっと目を開く。

 

「障害物競走から一貫して絶好調だね、緑谷少年!」

 

「オールマイト」

 

背中越しから聞こえた快活な声に振り向いてみれば、そこには藍色のスーツ姿のオールマイトがいた。赤いネクタイを付け、それを着こなす姿は入試の合格発表や入学当初に見た時には違和感こそあったものの、今となってはだいぶ様になってきたものだ。

 

「君自身もこの2週間で更に磨き上げてきたようだね。これまでに見たこともないような芸当も披露していたし。……君にとっては、ここからが本番なんだろう?」

 

マッスルフォームへと変化し、出久の瞳を見据えながらオールマイトは言う。

 

「……いつでも全力なのは変わりませんけど、仰る通りです」

 

眩しく輝きを放たんばかりの白い歯を見せつけてニカッと笑いながら尋ねたオールマイトの、淡くも強く蒼い光を放つ瞳に映ったのは、微笑みを浮かべた出久の顔だ。

 

彼の佇まいはまさしく強者のそれで、体から不可視であれど闘気が溢れ出していると……オールマイトはそう感じていた。

 

「HAHAHA!」

 

微笑みを浮かべた出久を見て、オールマイトは高らかに笑った。

 

「いい笑顔だ、緑谷少年。私達ヒーローは、ピンチの時やどうしようもない時だからこそ『自分は大丈夫だ』って笑うのさ。怖い時、不安な時こそ笑っちまって臨む!覚えていて損はないぞ!」

 

そして、彼は出久の両肩に手を置き、平和の象徴としての眩しい笑みとは違った……暖かみのある笑みを浮かべる。

 

「緑谷少年、君を追い込んでしまった私がこう言う資格はないのかもしれないが……胸を張ってほしい。君は、まぎれもなく平和の象徴である私が見込んだ男なんだからな!」

 

瞬間、出久の心に一陣の春風が吹き抜け、暖かいものを満たしていく。……少なくとも、本人はそれ程の衝撃と嬉しさを噛み締めていた。

 

何を言われようが、どれだけ否定されようが……オールマイトが憧れであることに変わりはなかったのだ。

 

それに、明確に「見込んだ」と本人から発言されたのは初めてだったりする。――勿論、発言しなくとも見込まれているのは分かってはいたが――

 

例えると、書道の神様だと言われる菅原道真によって書道の才能を見込まれ、弟子にしてもらうようなものだ。

 

オールマイトに見込まれるのは、出久にとってそれ程の価値がある。

 

オールマイトのような偉大な人物に「見込んだ男だ」と言われて、嬉しくない男がどこにいるだろうか?いや、余程のことがなければ誰であれ嬉しいはずだ。

 

出久は、ジャージの胸部にあたる部分をぐしゃぐしゃになる程に握りしめ、目尻を下げては微笑んだ。

 

「嬉しくない訳ないでしょう……。貴方のような人に見込まれて……!ありがとうございます、オールマイト」

 

「!緑谷少年……!」

 

平和の象徴からの激励は、やはり頼もしすぎる。体内に沸々と心地いい力が満ち溢れ、なんでも出来てしまう気さえした。

 

「……そろそろ始まるね。行っておいで、少年。君を……緑谷出久を見せつけてこい!」

 

「はい!」

 

オールマイトは、出久に入場口の方を向かせ、軽く背中を一押しする。

 

背中を押された出久は、少しだけ口の端を吊り上げると、オールマイトに対してサムズアップを返す。そのまま、彼は一歩一歩地面を踏み締めながら、スタジアムに足を踏み入れた。

 

「ほんっとうに逞しいな……緑谷少年……!巣立った雛を見送った気持ちだ……。それと……」

 

――ありがとうな。

 

彼を見送ったオールマイトは……トゥルーフォームに戻り、一言呟きを残しては、罪を許され、救済された罪人のように優しい笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

『さあさあ、ここまで色々とやってきたが、結局はこれだぜ!真正面からのガチンコ勝負!オーディエンスにとっても、こいつがメインディッシュだろう!?頼れるのは己のみ!高みを目指すゴールデンエッグ共、心技体に知恵、知識!総動員して駆け上がれ!』

 

プレゼントマイクの口上が最終種目開始の合図だ。観客達は引き上げていたボルテージを一気に高め、天高く腕を掲げながら大爆発させる。大砲から轟音を立てながら弾を発射した時のように、彼らの歓声が弾となって高らかに響いた。

 

『それじゃ早速、第一試合いくぜ!第一試合は……こいつらだ!』

 

『まずは、選手宣誓からとんでもねえプレッシャーを発揮するわ、障害物競走でエゲツねえ力の片鱗を見せつけるわ、騎馬戦では他を寄せつせない活躍を見せつけるわ……俺らの期待を裏切らず目立ってくれている、期待の新星!A組ヒーロー科、緑谷出久!

 

入場前の微笑みを浮かべたまま、悠然と歩みを進める出久。彼の威風堂々たる立ち姿は、歓声に入り混じって感嘆の声を漏れさせる原因となった。

 

VS(バーサス)!騎馬戦では緑谷を支えたロッキンガール!一試合目から最強候補とぶつかるとか、大丈夫か!?緑谷には申し訳ないが、俺はこっちを応援したい!大怪我だけはしないでくれよ!同じくヒーロー科、耳郎響香!

 

「……出久相手にどこまでやれるかは分かんないんだけど、ウチは……そこまでか弱くはないと思うんだけどなあ」

 

出久とは真反対の入場口からやって来た耳郎は、準備運動で手首を回しながら不服そうにつぶやいていた。

因みにだが、私情を混ぜ込んだプレゼントマイクは、相澤にチョップを喰らった。

 

「ケロッ……いきなり緑谷ちゃんと当たるなんて……。響香ちゃん、大丈夫かしら?」

 

観戦席で、蛙吹が口元に人差し指を当てながら呟く。

 

彼女はどこか心配そうな様子だが、彼女の言葉はA組の生徒達の思っていることを代弁したものだ。多くの生徒達も、心配そうに耳郎を見守っている。

 

しかし、彼らだけは違った。

 

「心配すんな、梅雨ちゃん」

 

その彼らの内の1人である爆豪が口を開く。

 

「耳郎は……心配する程にか弱い女じゃねェ。ここ2週間近くで、彼奴は化けた。敵わなかったとしても、見てりゃ分かる」

 

「……そうだな」

 

爆豪の発言に、心操も発したのはたった一言であれど同意する。飯田に麗日も、暗黙の了解のようにして無言で頷いていた。

 

それを見た他の生徒達は、何が起こっても耳郎の勇姿を見届けることを決めて、再び闘技場に目を落とした。

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする!あとは「参った」とか言わせても勝ちのガチンコだ!怪我上等!だが、命に関わるようなやつはアウト!ヒーローは、(ヴィラン)を殺すんじゃなく、捕まえる為に拳を振るう!そこはお忘れなきように!』

 

ルール説明の中、長方形である戦いのステージの四隅にある燭台に点火された朱色の炎が、対峙する2人の顔を明るく照らし出す。

 

片や緊張、片や相手の成長に対する楽しみ。顔に出ている表情は違えど、この最終種目に対するやる気は共通していた。

 

(凄いな、出久)

 

威風堂々たる立ち姿の出久を見ながら、耳郎は感心して目尻を下げながら微笑む。

 

ロックがモットーな耳郎からすれば、そんな彼の振る舞いは好みという的を的確に射抜いているから、そうこなくちゃ、とも思っている彼女もいる訳だが。

 

今の緊張気味な自分を見たら、肩の力を抜くよう促してくるだろう。そんな気遣いさえしてしまう男が緑谷出久だ。

 

少なくともだ。たった今、彼が目でそう訴えてくれている気がしている。

 

取り敢えずは緊張を吹き飛ばす為、事前にヘヴィメタルを聴いて気持ちを高めてはきたが、いざ本番が近づくと再び緊張してしまうものだ。

 

能力を十分に発揮する為にも適度な緊張が必要だとは言うが、今の自分は些か肩に力が入り過ぎている。

 

「スゥゥゥ……ふぅぅぅっ……」

 

だから、深呼吸をして意識的に息を吐いてみた。

 

すると……どうだろう。

 

(……なんか、凄い落ち着いた)

 

過度な緊張が適度なものへと早変わりし、地球から月へと一瞬で移動したかのように体が軽くなった気さえしてきた。

 

息が整えば、精神的に落ち着くとはよく言われるし、緊張を落ち着ける方法として深呼吸が挙げられるのは俗にあるが、強ち間違いではないらしい。

 

(ウチは今から、1人の戦士。そういうつもりでいこう)

 

ここまで来たからには、堂々と構えていよう……。耳郎はそう考える。

 

劇やライブもそうだが、いざやると決まったからには、楽しむ気概で全力を尽くすべきだ。恥ずかしがったり、おっかなびっくりやるのが1番良くない。それが彼女の考え方である。

 

今回も同じだ。ここまで来たのだから、今までの特訓を経た自分を信じて挑む。ビクビクせずに全力を出す。それが1番いい。

 

(それが、出久に対する敬意)

 

呼吸をする為に閉じていた目を開く。

 

その先にいた出久は、変わらず笑みを浮かべていた。

 

……もしや彼は、緊張の「き」の字もないのだろうか?いや、彼は毎度ながら最高のパフォーマンスを発揮する。緊張していない訳ではないのだろう。

 

彼が、言葉は不要だとその目で訴えてきているのもなんとなく分かる気がする。

 

(……そうだね)

 

彼に対し、耳郎は頷きを返す。

 

互いに相手を見据えたその瞬間。

 

『レディィィ……スタート!』

 

プレゼントマイクが、腕を掲げながら試合開始の合図を出す。

 

次の瞬間。出久と耳郎は同時に右足を出して、一歩踏み込んだ。

 

出久は既に見聞色の覇気による未来予知と透き通る世界を併用して、未来視と耳郎の筋肉の動かし方で彼女の動きを予測している。一方で、耳郎も直感と観察力を併用する、ここ最近の特訓で磨き上げてきた予測を用いている。

 

互いの予測が複雑に絡まり合った結果、耳郎はフェイントを交えて繰り出した出久の右ストレートを避け、出久の方もフェイント混じりの耳郎の右ジャブを避けた上に、鳩尾に迫っていた彼女のプラグを指二本で挟んで止めるという形になった。

 

「流石だね、出久」

 

「そっちこそ」

 

たった一言だけ交わした後、先に動いたのは耳郎だ。

 

耳郎は、上手く距離を置いた後に出久の顔面に向けて左ジャブを放った。本来ならば、腕を伸ばすのみで顔面に拳が当たる距離。それが、耳郎の立った位置だが……出久は他とは訳が違う。

 

耳郎のそれよりも遥かに速度のついた拳を何度も見ている出久にとっては、人間がゆったりと歩いているところを見ているようなもの。故に対処は容易い。

 

出久は、顔を逸らすことで耳郎の左ジャブを避けるも、避けた先には右フックが迫る。

 

それを右掌で受け止めてみると、程よい衝撃と重さが伝わってくる。格闘技を数ヶ月は使い慣れた少女レベルの威力はあったと分かると同時に、出久はついつい感心気に微笑みを浮かべてしまった。

 

「もうっ!感心してる場合じゃない……でしょ!」

 

「仰る通りです」

 

そんな彼に向けて耳のプラグを振るいながら、耳郎は微かに頬を膨らませては次々とストレートパンチを繰り出す。

 

最短距離で繰り出されるパンチは上等な隙の無さと速度を誇るも、耳郎の予想通り出久には当たらないし、プラグを手ではたき落とす余裕もある。やはり、速度に対する慣れと予測能力の差であろうか。

耳郎はチンピラレベルなら軽く圧倒出来る程に強さは増したので、チンピラを地だとすると、耳郎は天。しかし、出久は更にその上をいく(そら)……即ち、宇宙なのだ。これこそ、まさに上には上がいるというやつである。

 

攻撃を(ことごと)く避けられているとは言えど、一見すれば耳郎は出久と渡り合っている。その事実は、観客達を戦いに見入らせ、更には沸かせた。

 

『おおっ!?耳郎、思った以上に緑谷と張り合っている!ロッキンガールは、バトルガールでもあったってか!?緑谷に攻撃の隙を与えない速攻で攻めていくが……どうする、緑谷!』

 

プレゼントマイクもその戦いに見入って、沸いている者の1人であり、ガッツポーズを取りながら実況する。心なしか、嬉しそうな声色だと思うのは……出久や耳郎の気の所為ではあるまい。

 

口に出していないと言えど、耳郎に勝ってほしいという思いが滲み出す実況をするプレゼントマイクにジト目を向けた後、相澤は解説をいれた。

 

『避ける以上、耳郎の攻撃は警戒するに値するもんだと……緑谷は認めている訳だ。まあ、当然だろうがな』

 

『へ?当然?』

 

相澤の発言に、キョトンとしながらプレゼントマイクが聞き返す。

 

もう一度彼にジト目を向けてから、相澤は耳郎の動きに今一度注目していた。

 

『耳郎が使ってる武術は、ジークンドーだからな。空手のように型が決まっているような武術と比べると、飛び抜けて厄介だ』

 

型の決まっていない武術の何が厄介なのだろうか?A組の観戦席にいる生徒達も、多くが疑問符を浮かべていたが……A組の中では、他に比べてより格闘技に詳しい尾白が何かに気がついた表情をした。

 

「尾白?何か分かったのか?」

 

「ああ。ジークンドー……『相手の拳を()つ道』って意味になるんだが、これって実戦での強さを追求し続ける武術で、空手とか柔道みたいに決まった型がないんだ」

 

上鳴に尋ねられた尾白は、分かりやすく噛み砕いて解説を続ける。

 

相手の拳を()つ……。即ち、相手の拳や攻撃を遮る方法であるジークンドー。その本質は、機先を制する、フェイントをかける、カウンターを入れるなどして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にある。

 

これは、実戦――更に詳しく言えば、路上での戦いだ――を想定しているからこそだ。単なる喧嘩のような路上での戦いに、型も決まりもない。実戦を想定している故、ジークンドーでは、「6秒以内に戦いを終わらせること」が目標とされているらしい。

秩序のない中で行われる、泥臭く私的な戦い。それを想定したのが、このジークンドー。

 

型や決まりがないのだから、当然攻防一体の自由な戦闘スタイルを取れるし、何でもありだ。

 

()()()()()

 

「『――つまりは、一般的な格闘技や武道で禁止になる目潰しや金的をやっても問題はない』」

 

尾白と同時に似たような解説を行っていた相澤も放った一言は……ジークンドーについて初めて知った、会場中の男性若しくは男子生徒諸君の身を震え上がらせた。

 

普段、寡黙な印象のある常闇や障子ですらも、微かに眉を(ひそ)めていた。

 

当然、彼らが反応しているのは後者の金的の方である。言わずもがな、()()()()()()()()()というのは人体における代表的な急所。金的が決まれば、子供や女性が相手でも男性を悶絶させることが可能だ。

 

大方、命中した際の痛みを想像してしまったのだろう。一部、顔を真っ青にしている者もいた。

 

ジークンドーのことは予め知っていた為、大して顔色を変えていない爆豪は依然目の前の試合に注目し続けていた。

 

「出久が耳郎の攻撃を警戒して避けてんのは、そういうこった。そこだけじゃねェ。時折、出久の鳩尾や顔面も狙ってる。プラグ使って目潰しもな。それに、見てみろ。出久の奴、体勢低くして耳郎との距離詰めてんだろ?ありゃ、それを防ぐ為の行動だ」

 

爆豪に言われて見てみれば、確かに彼の言う通りに出久が体勢を低くしたまま踏み込み、耳郎の回し蹴りを腕で防ぐ、若しくは彼女の足を払っていることが分かった。

 

『……耳郎、自分の組んだ相手に容赦ねえのな』

 

『急所を狙うのは、戦闘じゃ合理的手段だ。ある意味、「緑谷なら当たらない」という一種の信頼だろうな』

 

男にしか分からない恐怖を想像したのか、元気がないプレゼントマイクと顔色を一切変えない相澤とで評価は分かれているが……いずれにせよ、耳郎が何歩も先に歩みを進めたのは確かだ。

 

相澤の解説とプレゼントマイクの実況を聞きながら、尾白は思った。

 

(……ジークンドーのストレートリードって、ボクシングのジャブ並みの速度とストレート並みの威力を併せ持つはずなんだけどなあ……。それを避け続けて、受け切るって、緑谷はやっぱり凄い奴だよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

(……思った以上に楽しくなってきたぞ)

 

出久は、不敵な笑みを浮かべて、心地よい汗をかきながら微かに口の端を吊り上げ、白い歯を垣間見せながら笑っていた。

 

耳郎を弱いとは全く思わない出久だが、ここまで己に立ち向かい、粘ってくれるとは思いもしなかった。これぞ棚から牡丹餅。彼は、思ってもいない得をしていた。

 

――まあ、そんな表情を見せられる耳郎は、不服らしいのだが。

 

(可愛いなあ、響香さん)

 

微かに頬を膨らませ、眉を45度くらいに吊り上げている彼女の顔を見ながら、出久は思う。

 

自分でも笑ってしまうが、どうやら耳郎を間近で見られるこの状況を楽しんでいるらしい。逆境という程逆境でもないが、その中に楽しみを見出しているのだ。

 

「逆境を楽しむ者が、最後に勝つ」という例で、かのナポレオン・ボナパルトが挙げられる訳だが、いっそのこと彼のように今の状況を楽しんでしまおうとも思っている。

 

「ほんっとうにもう……!そういうところも好きだけど……余裕だね!」

 

出久の腕を片腕で掴み、耳郎が声を張り上げながら右拳でストレートリードを繰り出してくる。

 

「いいや……驚きの連続さ」

 

出久は、武装色硬化を発動させる。そして、掴まれた方とは反対の方の掌で耳郎の拳を受け止めた。

 

「っつ……!何に……驚いたっての!?」

 

硬化した掌の硬さに、耳郎は思わず顔を(しか)めるも、受け止められた方と反対の拳を振るってアッパーカットを繰り出す。

 

出久は、耳郎のアッパーカットを顎に喰らい、宙へと打ち上げられるも、すぐに受け身を取って着地した。

 

『おおっ、耳郎の強烈なアッパーカットが炸裂したぞ!ここまで絶えず続けてきた速攻が功を奏したか!?』

 

打ち上げられた出久を見たプレゼントマイクが、再びガッツポーズを取りながら声を上げた。

 

彼と同じように、観客達からも「おおっ!」という感嘆の声が漏れる。

 

プロヒーローや、解説を行う相澤からも感心気な声が聞こえた。相澤からそんな声を聞けたのが意外だったのか、プレゼントマイクがちょっかいを出しながら尋ねる。

 

『耳郎の攻撃は、イレイザーにも気に入られるものだったってか!?やるじゃねえか、耳郎!』

 

肘で小突かれる相澤は、呆れ気味にプレゼントマイクにデコピンを喰らわせてから発言する。

 

『気が早い。確かに、ここまで戦闘力を引き上げた耳郎も十分に凄いが……()()()()()()()()()()()()()。緑谷は……敢えて耳郎の攻撃を受けたのさ。ボクシングの防御法の一つに、スリッピングアウェーってのがある。こいつは、顔面にパンチを受ける瞬間に力を加えられたのと同じ方向に敢えて顔を背けることで、攻撃の威力を受け流す技術だ。

緑谷がやったのはそれと同じ。アッパーカットを喰らう瞬間に合わせて顔を背けることで威力を抑え、腕が振り抜かれるのに合わせて跳躍し、更に威力を受け流したのさ。その証拠に見てみろ。顎にボクシングのストレート並みの威力はあるアッパーを喰らってるのにケロッとしてるだろ』

 

顎……特にその先端は人間の急所の一つだ。強打されると脳震盪を起こすものなのだが、言われてみれば出久には何の影響もなかった。今も、彼は息を吐きながら拳を鳴らしている。

 

「道理で手応えないなあって思ったら……」

 

出久は、そう簡単に勝てない相手だと分かっているからこそ、先程のアッパーカットは効いていないと耳郎は予感していた。おかげで、ぬか喜びで余計な動揺をせずに済んでいる。

 

武装色硬化した状態の掌に拳を打ちつけた余韻が残り、未だにビリビリと痺れている右手をぶらぶらとさせる耳郎を見ながら、出久は額に大空の炎を灯して言う。

 

「響香さん。君は……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね」

 

出久の言葉に、耳郎は肩をピクリと跳ねさせる。その後に観念したように笑みを浮かべる辺り、図星らしかった。

 

戦いを繰り広げる中で、出久は自分の言及したような行動を耳郎が取る際、見聞色の覇気による未来予知が発動しないことに気が付いたのだ。

 

見聞色の覇気の未来予知は、対象の気配や「こうしよう、ああしよう」と言った、対象の意志を読むことで初めて発動するもの。無意識になるというのは何も考えないのと同じ。そこには意志が介在しない為、未来予知を発動させることは出来ない。

 

箸を使い慣れない子供が、最初は持ち方を頭の中で模索し、振り返りながら一生懸命に持っていたが、長い時間が経つと何も意識せずとも、箸の握り方が頭にインプットされて自然に出来るのと同じことを耳郎は行っている訳だ。

 

「正直大変だったよ。体の一部分とは言え、そんなにプラグを自在に操ったりしないし、ヒーローである以上、急所への攻撃みたいな卑怯な手は無しだって偏見染み付いてたし」

 

頬を掻き、はにかみながら耳郎は言う。

 

確かに一般的に言えば、長年染み付いた癖を直すのには多大な時間を要するし、これまでやっていないことを体に染み付かせようとすると、それと同じではなくとも結局時間を要するものだ。

 

それを無意識で行える芸当に落とし込むという偉業を、耳郎はこの2週間近くで成し遂げた。

 

彼女が、どこか「褒めて」と言いたげな振る舞いをしているのも納得がいった。

これも恐らく、爆豪仕込みだろうが……このような高難易度な芸当を2週間近くで身に付けさせるとは、彼の天賦の才が遺憾無く発揮されているのが分かる。ヒーローをやりながら教師を兼務……それこそ、将来的に雄英の教師になったりしたら、優秀なヒーローが瞬く間に溢れ返ってしまうのではなかろうか。

 

額に橙色の炎を灯したまま、出久は満足気に笑った。

 

「本当に……この体育祭までによく磨き上げたね。俺も嬉しいよ。……だからこそ、ここからは敬意を払って本気でいく

 

しかし、その直後。出久の表情が容赦無しに戦闘を行う時のそれに変化する。

 

(っ、来る!)

 

耳郎がそう感じ、本能のままに体を捻って出久の攻撃を避けようとした瞬間、皮膚と皮膚とが擦れ合う音が彼女の耳に聞こえる。

 

「っ……ヤバ……!」

 

分かってはいたことだが、やる気になった出久の速度は、目で追おうとして追えるものではなかった。

 

皮膚同士が凄まじい速度で擦れ合ったことで、摩擦が起きて頬が軽く火傷している。ヒリヒリとする感覚を明確に肌に残したまま、耳郎は距離を取ろうとするも、彼女が動き出すよりも前に出久は距離を詰めてきた。

 

そのまま彼は一歩踏み込み、暴風が吹き付けるかのような怒涛の乱打を繰り出す。

 

形勢逆転。先程までとは真逆に、今度は耳郎の方が攻撃する隙がない。

 

もはや、避けることに専念しなければ出久の拳に命中してしまう。それを分かっているからこそ、回避に重しを置くが……避けきれないし、受け流しきれない。

 

『み、緑谷が本気出してきたァ!?』

 

『今までも本気っちゃ本気だ。さっきまでと違うのは、恐らくは……耳郎の行動パターンを把握したか否か。緑谷は、これまでの戦いで耳郎の行動パターンを把握しきったんだろう。だから、こうまで憂い無しに動ける』

 

プレゼントマイクの実況と相澤の解説を耳に挟みながら、観客達は固唾を呑んで戦いを見守っていた。「見守っている」というよりは「見入っている」であり、今や、その多くが歓声を上げることも忘れている。

 

(速い……!ウチ以上に、プラグを上手く使ってるし……!)

 

大蛇の尾の如く振り回されるプラグまでもが耳郎に襲いかかってくる。

 

回避に重しを置くどころか、彼女はいつの間にか回避することだけを考えていた。

 

それ故か、いつもは何も考えずともやれているはずの呼吸をするのも忘れてしまった。更に言うと、無意識のうちにそういう状況になっているからか、耳郎自身はそれに気が付いていない。

 

人間は、生きていく上で必ず酸素を必要とする生き物だ。およそ18%の濃度を下回った時点で酸素欠乏症が起き、筋力の低下や記憶喪失を経て、最悪の場合は死に至る。

 

今の耳郎はある意味呼吸停止の状態でもある。このまま酸素を取り入れられないのは非常に危険だ。

 

透き通る世界も併用しているからか、肺が普段通りに動いていないことも出久は気が付いている。

命を賭ける程の覚悟……。それは素晴らしい輝きを秘めるものだが、死んでしまっては元も子もない。

 

「はあっ!!!」

 

「っ!?」

 

勝負云々よりも耳郎の命を優先した出久は、耳郎の懐に潜り込むと、気弾をゼロ距離で放って彼女の体を押し出す。

 

息の止まった状態で動くにも限界があり、耳郎は咄嗟の攻撃に何も対処が出来ず、気弾に逆らうことなく場外へと吹き飛び、リング外の芝生に転げ落ちた。

 

「……ふう……っ」

 

戦いを終えたのと、彼女の命を救えたことによる二つの安心で出久がゆっくりと息を吐く。

 

数秒の沈黙が流れた後、ミッドナイトが腕を掲げながら宣言した。

 

「耳郎さん、場外!緑谷君、二回戦進出!!!」

 

「「「「「おおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」

 

主審である彼女の宣言で自覚が湧いたのか、観客達も一斉に歓声を上げた。

 

『耳郎、惜しくも敗北!だが、最強候補相手によく粘ってくれた!一試合目から、グレートな試合を見せつけてくれた2人に、クラップユアハンズ!!!!!』

 

更に、プレゼントマイクの促しによって、大砲が次々と撃ち放たれるかのように拍手喝采が巻き起こる。

 

観客達に笑顔で手を振り、彼らに軽く応えた後、出久はすぐさま場外で座り込んでいる耳郎に駆け寄った。

 

「はあっ……はあっ……!けほっ……」

 

場外になった後、咄嗟に息を吸い込んだからか、耳郎は軽く咳き込んで上手く呼吸が出来ずに、動けないままでいた。

 

「響香さん、ゆっくり深呼吸」

 

「すーっ…………はーっ…………。すーっ…………はーっ…………。うん……だいぶ落ち着いた。ありがとね……」

 

隣に座って背中を撫でる出久に促されて、ゆっくりと耳郎は深呼吸を行う。それによって、ようやく調子が戻ったようで疲れを拭いきれない顔のまま彼女は微笑んだ。

 

耳郎自身が呼吸を止めたまま動いていたことに気が付いたのは、場外へと吹き飛ばされた後のことだった。酸素がまともに足りないことを脳で認識した瞬間、めまいがすると共に、視界がチカチカと黒く染まって意識が飛びかけた。このままではまずいことを悟った彼女は、死力を注いで呼吸に専念し、酸素を取り込まんとしたものだ。

 

調子が戻った耳郎を見た出久は、一安心してホッと胸を撫で下ろす。

 

(全部を懸けて挑もうとは思っていたけれど、まさか命を賭けることになるなんて)

 

想定外の事態に、耳郎は試合を振り返りながら苦笑した。

 

命を賭けても敵わない相手であることから、出久の強さを改めて認識した耳郎。もっと頑張らなきゃ、と意気込みながら立ち上がろうとした瞬間だった。

 

「ふぇっ?」

 

ガクンと彼女の体は、重りがのしかかったかのようにして再び崩れ落ちてしまったのだ。

 

突然のことで気の抜けた声が漏れ、どこか恥ずかしさを感じるが、それは一旦置いておいた。

その後、地面を手で押しながら立とうとするも上手く力が入らず、立てない状況が続いた。

 

そうして彼女は、ようやく自分が今までアドレナリンのおかげで動けていたことを察した。アドレナリンが分泌される時には、痛みや疲れを感じにくくなるというのは聞いたことがある。耳郎自身、凄い仕組みだなあという程度に感じていたが……たった今その偉大さと危険さを思い知った。

 

これが必要以上に分泌されれば、深刻な怪我をしてしまうこと間違い無しだろう。

 

出久に歯が立たないのは、それはそれで残念だったが、大事になる前に決着をつけてくれたことに安心した。

 

「どうしたの?」

 

出久がしゃがんで、耳郎と目線を合わせながら尋ねた。

 

すると、耳郎は人差し指と人差し指を合わせて、申し訳なさそうに言った。

 

「その……立てないの……」

 

チラチラと出久の方を窺いながら言った彼女を見て、出久は一瞬キョトンとするも、直後。彼は愛おしさに満ちた瞳を向けて微笑み、耳郎を横抱きにした。

 

「い、出久!?」

 

彼の突然の行動に、耳郎は顔を赤くしながら戸惑う。意中の相手に横抱きにされるというだけではない。全国中継される中で抱えられているのだから、公開処刑にも程がある。

 

「もうちょっとの辛抱。試合で散々頑張ってくれたんだし、このくらいはさせてくれ」

 

恥ずかしさから抗議しようとしたら耳郎だったが……。

 

(そんな言われ方されたら、断れないじゃん……。意地悪……)

 

出久の一言と、白い歯を見せながらの朗らかな笑みによって黙らざるを得なかった。

 

顔を赤くしたまま、心臓の動悸を感じて恥ずかしさの増した耳郎は、出久の胸に顔を埋める。

 

そんな彼女の可愛さで自分自身も動悸が止まらないことを気付かれないうちに、出久は耳郎をリカバリーガールの元へと連れていったのだった。

 

 

 

 

「……試合を楽しんでたろうに。欲より、他人の命を優先。流石は緑谷だ」

 

プレゼントマイクが耳郎に大して怪我がないことに安心して脱力している一方、相澤は感心したように薄らと笑みを浮かべていた。

 

プロヒーローとしての観察眼と言うべきか……。彼もまた、耳郎の様子に気がついていたようだった。

 

いつだってヒーローとしての振る舞いを忘れない出久には、彼ですらも頭が上がらない思いだ。

 

「先生っ!耳郎の体育服はボロボロになりましたか!?」

 

「煩え。お前、いい加減にしとけ」

 

「うぎゅっ!?」

 

(……峰田にも見習ってほしいもんだ)




毎度ながら、ご愛読ありがとうございます。34話でした。耳郎ちゃんの成長回でございます。

次回は、体育祭編の目玉の一つである心操君VS轟君を描きます。お楽しみに!
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