精霊の使い魔   作:ちっぱい眼鏡っ娘が好き

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50のオッサン異世界に行く (完結済み)

ēエブリスタで公開中。良ければ読んでください


邂逅

西暦 2020年 3月6日

 

めでたく、俺はリストラされた。

 

 

七五三(しのしめ) 芳乃(よしの) 50歳。 独身。

 

 

結婚歴無し。 家族も居ない。

 

天涯孤独と言えば聞こえは良いが。

 

ようは、ボッチ人生まっしぐら。

 

両親は、既に他界して居ない。

 

妹が居て結婚したのは知っているが。

 

正直、30年ほど顔すら合わせても居ない。

 

まぁ、だからと言って、特別逢いたいと言う訳では無い。

 

公園のベンチに腰かけてボーっとしていると。

 

目の前を小さな子供を連れた家族が通り過ぎて行く。

 

結婚願望が無かったわけではない。

 

相手がいなかったと聞かれれば居なかった訳でもない。

 

付き合った女性はいたし、結婚話も出た事も在った。

 

ただ、機会を逃した。と、言えば判るだろうか。

 

気が付いたら、40台を過ぎていて。

 

付き合っていた女性とも疎遠に為って居た。

 

ただ、それだけ。

 

50に為ろうと言う今でも、見かけは結構いけてる方だと思う。

 

なにせ、見かけだけは若く見られる。

 

手に持つ缶コーヒーを飲み干しベンチを立つ。

 

リストラされて、2週間ほどは何もせずに暮らしていた。

 

先程済ませた面接。

 

雑居ビルに在る小さな派遣会社。

 

人手不足なのか、何と即採用されてしまった。

 

まぁ、週明けからの出勤に為るので。

 

今日と明日は、何の用事もない。

 

駅に向かって歩いていると、小さな女の子が泣いているのが見えた。

 

年の頃は、幼稚園か小学生の低学年くらいだろう。

 

(そば)には、同じ年ごろの男の子が女の子を慰めている。

 

《迷子か?》

 

ふと、足を止めて、子供たちを見る。

 

子供が泣いているのに、通行人たちは誰も気に留めようとはしない。

 

まぁ、今の御時世(ごじせい)

 

下手に声をかけると、誘拐犯に不審者にロリコンとかと勘違いされて通報されかねない。

 

関わらないのが、一番なのだ。

 

しかし、派手な髪の色だ。

 

赤色に、緑色って・・・。

 

染めているんだろうけど。 ちと派手過ぎないか?

 

まぁ、人様の家庭に口を挟むのも間違っているかもしれないが。

 

 

「はあぁ・・・。」

 

大きく溜め息をつきながら頭を掻き、子供たちの方に向かって歩き出す。

 

「迷子になっちゃったのかな?」

 

子供たちに、視線を合わす様に腰を落として話しかける。

 

「うん。」

 

男の子方が、女の子を庇うように前に出て言う。

 

「そっか。 おじさんと、おまわりさんの所に行くかい?」

 

出来るだけ怯えさせないように優しい口調で聞く。

 

「お母さんがいい・・・。」

 

小さな声で、女の子が答える。

 

「そっか。 お母さん。 どこだろうねぇ。」

 

「わかんない・・・。」

 

目に涙を溜めながら答える少女。

 

「お名前は言えるかな?」

 

2人の子供に聞く。

 

「%&@*$ωλ」

 

「γ?@#%$&¥ν」

 

《あれ? 何て言った?》

 

そう、俺が思った瞬間だった。

 

目に見えているものから音と色が消えた。

 

いや、正確には。 俺と子供たち以外の景色の色が灰色一色になった。と、言った方が良いだろう。

 

そして、次に気が付いたのが。

 

人が居なくなっていた。

 

あれ程、多くの人たちが往来していたのに。

 

目の前の子供2人以外の人が全て消えていた。

 

 

「なんだ・・・。これ・・・。」

 

周囲を見渡すが、子供たち2人以外は誰も居ない。

 

 

更に、少し向こうには。 何かが見える。

 

 

いや、多分。 何が見えているのかは理解できている。

 

ただ、自分の思考が、それを拒否している。

 

「マジかよ・・・。」

 

向こう側に見えるのは、全身緑の色をした小さな鬼が見える。

 

和風に言えば小鬼に餓鬼。

 

西洋風なら、ゴブリンと言えばいいだろう。

 

それが、5匹。 こちらを見ている。

 

子供たちが、俺の身体の後ろに隠れて小さな手で服を握りしめる。

 

ゴクリ。っと、いつの間にか、口の中に溜まっていた唾を飲み込む。

 

「ギャギャギギ!」

 

少し大きめの小鬼(ゴブリン)が声を上げた。

 

すると、他の4匹は、腰にぶら下げていた短い剣を抜いて、こちらに近寄って来る。

 

等間隔に広がり、俺たちを包囲するかのように。

 

少しずつ、少しずつ。

 

此方へと間合いを詰めてくる。

 

右腕に女の子を。左腕には男の子を抱えて、一目散に逃げだす。

 

戦う? ぜってええぇ無理っ!

 

そして、走り始めて驚く!

 

両腕に子供を抱えて走っているのに、まるで一流のアスリートの如く物凄いスピードで走れているからだ。

 

余りの驚きに、目の前に壁が迫ってきているのに気付くのが遅れて。

 

「うおっ!」

 

咄嗟に、身体を反転させて、子供たちを守る様に背中から壁に激突。

 

「いったあ・・・・くない?」

 

壁にまともに激突したのに、思ってたよりも身体に痛みが伝わってこない。

 

益々混乱する思考。

 

だが、小鬼(ゴブリン)たちは走って俺たちの方に来ている。

 

慌てて、姿勢を戻して、小鬼(ゴブリン)どもから逃げようとする。

 

「おい。おっさん。」

 

男の声が聞こえた。

 

 

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