「浄化。」
十花《とうか》の言葉に反応し。 手に持つ1枚の紙が消えて
「解。」
残りの1枚の紙も消え。 次の瞬間には、灰色一色の景色から、色の有る景色に変わり。
多くの人が往来していた。
「こっちです。」
全員が乗り込むのを確認して、
「実家の方へ。お願いします。」
「分かりました。」
運転手の男性は、短く返事をすると車を走らせる。
* * * * * * *
移動中の車の中。
孝也と美優紀は
「よほど、貴方の事が気に入ったみたいですね。
母親のジンが、孝也と美優紀を見ながら言う。
「子供。 好きですから。」
優しい手つきで、
「ご結婚は?」
「残念ながら。 機会を逃してしまいまして。」
「そう。」
「それで。 お前は、一体何者なんだ?」
ジンと
「何者って言われても・・・。 ただの一般人ですが。」
「
「えっと・・・。 認識できるはずがない?
それって、普通は見えないって事ですか?」
「その通りだ。 孝也と美優紀には、普通の人間たちには見えないように結界を張っている。
2人を認識できるのは、姫宮の様な特殊な血筋の者か。
魔の者と契約を交わした者たちだけだ。」
そう言って、
「イフリート。 少なくとも、魔の眷属では無いですよ。
なにせ、孝也と美優紀の加護が付いているのですから。」
2人の顔を見ながら言うジン。
「あの・・・加護って?」
「お前。 孝也と美優紀の真名《しんめい》を聞いただろ。」
「え?
「孝也と美優紀の名前を聞いた時に、意味不明な言葉が聞こえませんでしたか?」
「あ・・・。 ああぁあ! 聞こえました。 言葉と言うよりも、何か音の様な物が?」
「それが、真名《しんめい》だ。
俺たち精霊の言葉は、人間には解釈できず。 意味の分からない音として認識される。」
「そして、私達が真名《しんめい》を明かすと言う事は。
その者に、命を預けると言う意味でもあるのです。」
ジンの言葉に、ポカンと為る
「孝也と美優紀。 2人は、お前に命を預けたと言っても良い。」
「はっ?」
「その代わり。 お前は、孝也と美優紀の
「へ?」
余りにも、突拍子の無い事柄に、思考が飛んで固まる
「着きました。」
* * * * * * *
着いて最初に驚いたのが。
家の大きさ。
もうね、どう口で説明すれば良いのか分からなくなく位にデカい。
何せ、玄関で靴を脱いで、目的の部屋に着くまでに歩いて10分・・・。
オカシイだろ。 この大きさは・・・。どこのダンジョンだよと言いたくなってしまう。
方向感覚には自信はあるが。 トイレに1人で行ったら確実に迷う自信がある。
孝也と美優紀は、俺の腕の中でスヤスヤ寝息を立てている。
途中で、女性の方2人が。 孝也と美優紀を起こさない様に俺から引き離してくれた。
そして、案内された部屋に入り。中を見渡す。
そう。見渡す。
おおよそ、50畳以上は在るのじゃないかと思われる部屋。
そして、何処に座れば良いのか迷っていると。
「こちらに。」
女性の方に言われて着いて行くと。
上座寄りの座布団の位置に案内される。
訂正する。
上座寄りでは無く。 上座の正面の位置だ・・・。
そして、右側にイフリート。
左側にジンが座る。
そして、目の前に茶を出される。
出された茶を、遠慮なく喉に流し込む。
適度な冷たさが気持ち良い。
「ふぅぅぅ。」
一気に飲み干して、息を吐き出す。
なにせ、緊張しっぱなしで。 喉がカラカラなんだ。
直ぐに替わりの茶が出てくる。
「ありがとうございます。」
茶を持ってきてくれた女性に礼を言う。
女性は軽く頭を下げて後ろに下がる。
時間的には10分ほどだろうか。
上座の席に、1人の男性が座る。
年の頃は40代半ばと言った所か。
威厳と風格を兼ね備えている。
「初めまして。 精霊の王と女王に祝福されし者よ。
私が
そう言って、軽く頭を下げた。