精霊の使い魔   作:ちっぱい眼鏡っ娘が好き

4 / 13
姫宮

十花(とうか)が、ポケットの中から2枚の札を取り出す。

 

「浄化。」

 

十花《とうか》の言葉に反応し。 手に持つ1枚の紙が消えて十花(とうか)の服と顔に付いていた血が消える。

 

「解。」

 

残りの1枚の紙も消え。 次の瞬間には、灰色一色の景色から、色の有る景色に変わり。

 

多くの人が往来していた。

 

「こっちです。」

 

十花(とうか)に着いて行くと、黒色のワゴン車の前で止まる。

 

十花(とうか)は、車の後部座席のドアを開けて中に入るように促す。

 

全員が乗り込むのを確認して、十花(とうか)自身は助手席の方に乗り込む。

 

「実家の方へ。お願いします。」

 

「分かりました。」

 

運転手の男性は、短く返事をすると車を走らせる。

 

 

 * * * * * * *

 

 

移動中の車の中。

 

孝也と美優紀は芳乃(よしの)の膝の上で寝ていた。

 

芳乃(よしの)の服を、ギュっと握りしめて。

 

「よほど、貴方の事が気に入ったみたいですね。

 

母親のジンが、孝也と美優紀を見ながら言う。

 

「子供。 好きですから。」

 

優しい手つきで、孝也(たかや)と美優紀《みゆき》の頭を撫でる。

 

「ご結婚は?」

 

「残念ながら。 機会を逃してしまいまして。」

 

「そう。」

 

「それで。 お前は、一体何者なんだ?」

 

ジンと芳乃(よしの)の会話に割って入るイフリート。

 

「何者って言われても・・・。 ただの一般人ですが。」

 

戯言(たわごと)を言うな。 ただの一般人が、孝也と美優紀の姿を認識出るはずが無いだろう。」

 

「えっと・・・。 認識できるはずがない?

 

それって、普通は見えないって事ですか?」

 

「その通りだ。 孝也と美優紀には、普通の人間たちには見えないように結界を張っている。

 

2人を認識できるのは、姫宮の様な特殊な血筋の者か。

 

魔の者と契約を交わした者たちだけだ。」

 

そう言って、芳乃(よしの)を少しきつめの視線で睨むイフリート。

 

「イフリート。 少なくとも、魔の眷属では無いですよ。

 

なにせ、孝也と美優紀の加護が付いているのですから。」

 

2人の顔を見ながら言うジン。

 

「あの・・・加護って?」

 

「お前。 孝也と美優紀の真名《しんめい》を聞いただろ。」

 

「え? 真名(しんめい)?」

 

「孝也と美優紀の名前を聞いた時に、意味不明な言葉が聞こえませんでしたか?」

 

「あ・・・。 ああぁあ! 聞こえました。 言葉と言うよりも、何か音の様な物が?」

 

「それが、真名《しんめい》だ。

 

俺たち精霊の言葉は、人間には解釈できず。 意味の分からない音として認識される。」

 

「そして、私達が真名《しんめい》を明かすと言う事は。

 

その者に、命を預けると言う意味でもあるのです。」

 

ジンの言葉に、ポカンと為る芳乃(よしの)

 

「孝也と美優紀。 2人は、お前に命を預けたと言っても良い。」

 

「はっ?」

 

「その代わり。 お前は、孝也と美優紀の能力(チカラ)を使う事が出来る。

 

「へ?」

 

余りにも、突拍子の無い事柄に、思考が飛んで固まる芳乃(よしの)

 

「着きました。」

 

十花(とうか)が、芳乃《よしの》たちに伝える。

 

 

 * * * * * * *

 

 

着いて最初に驚いたのが。

 

家の大きさ。

 

もうね、どう口で説明すれば良いのか分からなくなく位にデカい。

 

何せ、玄関で靴を脱いで、目的の部屋に着くまでに歩いて10分・・・。

 

オカシイだろ。 この大きさは・・・。どこのダンジョンだよと言いたくなってしまう。

 

方向感覚には自信はあるが。 トイレに1人で行ったら確実に迷う自信がある。

 

 

孝也と美優紀は、俺の腕の中でスヤスヤ寝息を立てている。

 

途中で、女性の方2人が。 孝也と美優紀を起こさない様に俺から引き離してくれた。

 

そして、案内された部屋に入り。中を見渡す。

 

そう。見渡す。

 

おおよそ、50畳以上は在るのじゃないかと思われる部屋。

 

 

そして、何処に座れば良いのか迷っていると。

 

「こちらに。」

 

女性の方に言われて着いて行くと。

 

上座寄りの座布団の位置に案内される。

 

訂正する。

 

上座寄りでは無く。 上座の正面の位置だ・・・。

 

そして、右側にイフリート。

 

左側にジンが座る。

 

そして、目の前に茶を出される。

 

出された茶を、遠慮なく喉に流し込む。

 

適度な冷たさが気持ち良い。

 

「ふぅぅぅ。」

 

一気に飲み干して、息を吐き出す。

 

なにせ、緊張しっぱなしで。 喉がカラカラなんだ。

 

直ぐに替わりの茶が出てくる。

 

「ありがとうございます。」

 

茶を持ってきてくれた女性に礼を言う。

 

女性は軽く頭を下げて後ろに下がる。

 

時間的には10分ほどだろうか。

 

上座の席に、1人の男性が座る。

 

年の頃は40代半ばと言った所か。

 

威厳と風格を兼ね備えている。

 

「初めまして。 精霊の王と女王に祝福されし者よ。

 

私が姫宮(ひめみや)の現当主。 姫宮(ひめみや) 喜一《きいち》。」

 

そう言って、軽く頭を下げた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。