十花との、共同生活が始まって三週間が経つ。
結論から言おう。
俺は、十花に指一本触れていない。
いや、 十花どころか。
十花《とうか》の支配下の式神の紅葉にも勝てていない。
式神の紅葉。 見た目は10歳くらいの少年。
しかし、見た目に反して紅葉君。 めちゃくちゃ強いのだ。
最初こそ、その見た目に騙されて、舐めてるのか? っと、思ったのだが。
紅葉君と相対して、僅か三秒で、俺は地面に寝転がされていた。
「10秒くらいは頑張れると思ったのですが・・・。」
紅葉と対戦した時の、十花の発した言葉がコレだった。
しかも、物凄く残念な物を見る目で。
まぁ、俺も。 この三週間で、かなりの成長はしている。
精霊の能力の使い方や、鈍りきった身体を鍛え直している。
そうそう。 紅葉君と手合わせした時に。
精霊の能力を使おうとしたんだ。
十花の作った異相空間(色の無い世界)の中で。
異相空間とは。 符術と魔術を組み合わせて作った結界の事で。
時間軸は同調させたままで。 空間軸だけを別の(ずらした)所(違う次元)に作って、現実の世界に被害を出ないようにする結界で。
発明元は、世界魔術士協会の結界術らしい。
この世界魔術士協会とは魔術だけではなく。
要は、占星術、陰陽術、退魔師、魔術師、聖職者、仙人などと呼ばれる人たちの集まりの集団の総称の事で。
世界中から、優秀なその関連の人材が集まって、世界各地での人ならざる者どもと戦っているのだとか。
勿論、戦うだけじゃなく。 結界術の様に新たな術式の開発もしているのだとか。
そして、肝心の俺。
精霊の能力を行使しようと、十花の作った結界の中で精霊の能力を発動させたのだが・・・。
結果。
火の大精霊の能力を制御しきれずに。
危うく結界ごと壊しそうになって、大惨事一歩手前と言う所で。
十花と紅葉君と2人掛かりで、俺の意識を刈り取って何とか無事故で終わらせてくれたと言う結末に・・・。
意識を取り戻してから、十花に延々と説教されたのは言うまでもない。
15歳の少女に説教される、50のおっさんの立場って・・・。
まぁ。 そんなこんなで三週間。
大精霊とはいかないものの、下級精霊の能力《ちから》は何とか制御できるようになっていた(少しだけだが)。
紅葉君とも、10分ほどならやり合える様になった(手加減されて)。
因みに能力を制御と言っているが。
大精霊たちから言わせると、精霊の能力を制御して使っているのではなく。
精霊たちから能力を分けて貰って使わせて貰っている。
と、言うのが正しいらしい。
そもそもにして。
物質世界と、精神世界では。
精神世界の方が高位に存在しており。
物質世界の方が下位に為るらしい。
なので、漫画や小説やアニメ等でよく使われる言葉。
精霊使い
と言うのは間違いであって。
人間が精霊を使役するのではなく。
精霊の能力を、人間が使わせて貰う。
と、言うのが正しい見解らしい。
よって、精霊使いではなく。
精霊の使い魔。 と呼ばれる方が正解だとか。
そして、俺の正直な感想。
どっちでも良いよ。