指揮官はつらいよ~美女美少女ばかりの職場でいかに性欲を発散するか~ 作:サモアの女神はサンディエゴ
さあやって来ましたバレンタインデーだね!!
今年は皆も秘書艦からチョコを貰う予定かな?
作者も秘書艦からチョコをしっかりと貰う予定だよ!!
皆も大好きな秘書艦からチョコを貰ってその日はスーパーマッソーなトレーニングでカロリーを消費しよう!!
今回はそんな消費するお話だよ!!
それではレッツマッソー!!
今回はKAN-SENパートからスタートな特別編マッソー!!
綾波です。
今日は年に一度のバレンタインデーなのです。
各陣営の皆が大好きな指揮官に、愛情をたっぷり詰め込んだチョコレートを渡す日です。
あわよくばそのままお持ち帰りしてくれる事を願う人達もチラホラいるみたいなんですが……
「完成です。完璧な仕上がりです」
母港の学園にある調理室の一角で、調理台の上にある赤い包装紙に白いリボンで可愛くラッピングした小さなチョコレート。
たぶん指揮官なら2口くらいで食べられる大きさの小さい物。
それは過去にあった悲しい出来事故の大きさ。
「赤城さんと大鳳さん、愛宕さんに隼鷹さんが自分の等身大チョコレートなんて作って送ったから………」
あの時はさすがの指揮官も驚いたらしい。
というか普通に考えても食べきれない事は明白なのに………
ロイヤルのメイド長のベルファストさんに指揮官の健康を損なうつもりかと怒られ砕かれて大鍋に入れられた後、皆でチョコフォンデュにして食べたのは美味しかったのです。
綾波達が皆でチョコフォンデュを楽しんでいる間、等身大チョコを作った四人は三笠様や長門様達を含めた方々にずっと怒られて1週間程指揮官の近くに寄れないよう謹慎を命じられたみたいで………
あの時の四人の表情はこの世の終わりのような凄く悲しいモノだったのです。
その事件以来、渡すチョコレートは1口か2口くらいで食べられる物に限定されてしまうことに………
「でもチョコフォンデュ、また食べたいです」
ジャベリン達や指揮官とも一緒に食べたあの味は、今でも忘れられないくらい本当に美味しかったので、またチョコフォンデュをしてくれないか密かに期待する自分がいる。
………ダンケルクさんに頼んだら新作お菓子と一緒に出してくれるかな?
「よし、早速指揮官に渡してくるのです。善は急げ……です」
当日になれば指揮官にチョコレートを渡しに行くKAN-SENがいっぱいで、引きこもりな綾波にはとてもじゃないけどその波を掻き分けて渡すなんて無理です。
でも、その前の日ならば指揮官に渡せる機会が多い筈なのです。
せっかくだから指揮官に買ってもらったパーティ用のドレスでオシャレして雰囲気を出したい。
少し恥ずかしいけど、しっかりと準備してから綾波の想いを大好きな指揮官に伝えるのです!!
「………女は度胸……です!!」
早速着替える為に寮の自室に戻ろうとしたが、ラッピングしたチョコレートをどこかに仕舞って置かなくては………
「う〜ん、冷蔵庫は他の人達のチョコでいっぱいなのです………さっきまで冷やしていた場所もドイッチュラントさんが両手を組んで祈るようになんかお願いしてチョコを置いていたから使いにくい……です」
何かブツブツ呟きながら冷蔵庫の前で片膝を付いてお祈りしてたドイッチュラントさん。
普段のドイッチュラントさんからは想像もつかない様な真っ赤な顔で、一生懸命何かをチョコにお願いしていて綾波のチョコを置く場所があるのか聞けなかったのです。
「うぅぅぅ………どうしよう……です」
すぐには溶けないとは思うのだけれど、出来ればしっかりとした物を指揮官には受け取って貰いたい………
それにプリンツ・オイゲンさんに生チョコレートの作り方を教えて貰って作ったので、生と聞くとどうしてもすぐに傷んでしまうような気がして気になってしまうのです。
「あら?綾波じゃないの、どうしたのかしら?」
「あ、赤城さん」
オロオロしていた綾波に声を掛けてきたのは調理室に入って来た赤城さん。
その手には市販のチョコレートと調理器具を持っている所を見るに今日チョコレートを作る予定だったようなのです。
普段は指揮官に愛を叫んで突き進み続けてロイヤルのベルファストさんと裏でぶつかり合う赤城さんだけど、それ以外ではとても優しいお姉さん。
そんな赤城さんなら持っていてくれるかもしれない。
「あの、赤城さん。このチョコを預かっていて欲しいのです」
「ええ、良いわよ?………もしかして指揮官様に渡す用のチョコレートかしら?」
「そうなのです。明日が本番だけど、皆と一緒に渡すのは綾波には無理そうだから……今日渡すです」
「なるほど、それでオシャレして渡したいからそれまで預かって欲しいという訳ね?」
「その通りなのです」
「ふふふ♪ええ良いわよ♪この赤城も指揮官様にはキチンとした姿で想いを伝えたいもの。綾波の気持ちは痛いほど分かるわ」
なんだか微笑ましいモノを見たような目でこっちを見る赤城さんは、綾波のチョコレートを受け取って調理台の一角に自身のチョコレートや調理器具を置いていく。
「それじゃあ私はここに居るから、しっかりオシャレして来なさい。この赤城がお化粧してあげてもいいわよ?」
「良いのですか?」
「ええ、指揮官様に想いを伝える晴れ舞台に水を差すような真似はしたくないわ。それに同じ重桜の者ですもの、応援するのは当たり前よ?」
「赤城さん、ありがとうなのです」
「ええ、どう致しまして」
優しく微笑む赤城さんに感謝を伝えて早速自室の寮を目指して進む。
ドレスの着方は鳳翔さんに教えて貰って一人で着れるようになったので、しっかりと身支度と心の準備を整えよう。
そう思いながら学園の廊下を歩く。
………思えば指揮官とは長い付き合いになったのです。
最初の出逢いは………戦場となってしまった前線基地の母港。
青く広がる空を後目に思い返す。
あの日もこんな晴れた日だったのです。
「君達が………KAN-SENか?」
目覚めたばかりの綾波、ジャベリン、ラフィー、二ーミにそう声を掛けたのは頭と顔の右側に血染みの包帯を巻き付けた無名の頃の指揮官。
その身に纏う軍服はボロボロでいくつも血が滲んでいるのが分かる。
そんな指揮官の格好に綾波達は驚いて動けなかったのです。
でも指揮官は頭を深く下げて
「目覚めたばかりで混乱しているのは分かる!!だが………俺の部下を………俺の戦友達を助ける為に力を貸してくれ!!!」
絞り尽くすような声でそう言った。
よく見れば右足のふくらはぎの部分にズボンが破れて包帯が巻き付けてあり、後ろの壁には松葉杖が置いてあるのが見える。
恐らく普通に立つのも辛い筈。
それでもこの人は自分の仲間の為に必死になって頭を下げている。
綾波達にはそれで十分だったのです。
「分かったです指揮官」
「ジャベリンも全力で頑張ります!!」
「ラフィーも」
「ええ、精一杯頑張りますよ!!」
「ああ………ありがとう」
皆で元気よく頷きながら手を挙げると指揮官は顔をくしゃくしゃにしながらお礼を言ってくる。
それだけ逼迫した事態なのだろうか?
そんな疑問を浮かべながら案内された桟橋へ向かう扉から外へ出ると………そこは地獄だったのです。
破壊されて黒い煙を上げるいくつもの建物に湾岸砲。
司令部だったらしい場所は瓦礫の山と化しており、もはや基地を放棄して撤退した方が良いような有様。
「こんな………酷い」
「………想像以上にこれは」
ジャベリンは口を抑えて青くなり、二ーミは愕然とする。
そんな中で残存戦力が集結している桟橋へと向かうとそこには………
「これが今ある最後の戦力だ」
「これだけ………ですか?」
「………少ない」
指揮官が指す先にあったのは魚雷艇が6隻に大破した駆逐艦が1隻のみ。
綾波と一緒にラフィーが呆然としてしまうのは仕方の無い事だったのです。
どの艦もボロボロで、一番酷いのは大破した駆逐艦。
元々全部で4機あったであろう単装砲は後ろの3番砲塔が根元から吹き飛んでいて、更にその前に配置して合ったであろう魚雷発射管は余波でねじ曲がって黒く煤だらけになっている。
操舵室付近や喫水線下近くにも機銃や砲弾が直撃した痕があり、何故沈んでいないのかが不思議なくらいのボロボロ具合。
「基地司令部の連中は君達が起きる前の戦闘で全員行方不明、基地に残った兵員も負傷して動けない。本当の意味でこれが最後の戦力なんだ………」
桟橋に集まる兵隊さん達は綾波達を連れた指揮官を見て手を降っていた。
「あれ?駆逐艦が動いてませんか?」
二ーミが不意にそう言って指をさす。
駆逐艦が煙突から黒煙を吐き出し桟橋から離れていくのが見えた。
それを見た指揮官が歩く為に使っていた松葉杖を放り出し、片脚を引きずりながら走っていく。
突然の事態に動けない綾波達を置いて指揮官は、集まっていた兵隊さん達の下へ辿り着いて胸倉を掴み上げながら問う。
「艦を動かしているのは誰だ!!」
「副長であります大尉!最低限度の兵員を………負傷して後方に下がる予定だった連中を連れて艦をジャックしました!!それだけじゃありません………魚雷艇も………」
「なんだと!?」
指揮官が再び駆逐艦の方を見るとそれに追従して桟橋を離れる魚雷艇の姿が………
慌てて駆け寄ろうとする指揮官に兵隊さんは一枚の紙を押し付けるように渡す。
それを受け取った指揮官は内容を確認して………その場に崩れ落ちた。
「「「「指揮官!!」」」」
「「「「「「「「「「大尉!!」」」」」」」」」」
私達や兵隊さん達が駆け寄ると、指揮官は力無く泣いているのが見えた。
慌てて二ーミが指揮官が持っていた紙を取って綾波達にも見えるように広げる。
そこには………
『 大尉殿へ
我々へ下された命令であるKAN-SEN建造施設のある基地の死守命令を全うして参ります。
2日後にはここへ応援のKAN-SENが到着するとの事。
それまでにこの基地を死守するように命令がありました。
しかし、最後の人類の切り札足り得る大尉殿と軽傷者や即戦力となる者達はここに残って頂きます。
セイレーンに対抗出来る資格のある指揮官候補である事が分かった大尉は勿論、これからの戦場で必要となる兵員がこの作戦に使い潰される必要はありません。
是非とも今後の戦場でその力を奮って頂きます。
………硬っ苦しいのはここまでにして、今まで本当にありがとうございました大尉。
俺達みたいな屑の寄せ集めみたいな馬鹿どもを率いて、何処までも生き残らせようと奔走する貴方の背中を見続けた俺達の出来る最後の恩返しを受け取って下さい。
一度は法を犯した日陰者や上官に反発してここに送られ、腐っていた俺達を真っ当にして兵として育ててくれた貴方には感謝してもしきれません。
後ろ指を差され続ける俺達を、貴方が人間として扱ってくれてどれだけ俺達が救われたのか分かりません。
そんな貴方を変わらず捨て駒として使い潰そうとするアイツらの思惑に俺達は叛逆させてもらいます。
何処までも真っ直ぐで力の限り戦う大尉に俺達は憧れを感じておりました。
記憶の片隅にでもあんな馬鹿どもが居たと、覚えて頂けるだけで俺達は十分です。
それだけで俺達は大尉と共にあるんだ。
それでは本当にお世話になりました。
ヴァルハラから大尉の活躍を見ておりますので武運長久を。
〉副長以下叛逆を起こした馬鹿どもより』
「こんなの………こんなのってないよ!!」
涙を零すジャベリン。
ジャベリンだけじゃない、皆泣いている。
「………今ならまだ間に合う」
ラフィーが艤装を展開しようとするのが見えて、綾波はそっと肩を掴み首を降って止めた。
不思議そうな表情をするラフィーに諭すように綾波は話す。
「あの艦に乗っている副長さん達はそれを望んでいないのです。………死を覚悟して出港している……です」
「それに私達は目覚めたばかりで訓練もしていなければ実戦も経験していない………このまま出撃しても返り討ちになるでしょう」
二ーミも悔しそうにそう言った。
そこまで聞いたラフィーは悲しそうに顔を俯かせる。
重苦しい沈黙がその場を包み込んでいた。
「本当に………どうにも出来ないのかなぁ………」
ポツリと呟くジャベリンのその言葉が胸へと突き刺さる。
駆逐艦から聞こえてきた出撃の合図を示す汽笛を聞きながらその言葉に誰もが答える事は無く、応援が来るまでその場で最低限度の防衛体制を整える事しか出来なかった………
その後、応援に駆けつけたロイヤルのクイーン・エリザベスとウォースパイトの艦隊によって綾波達は保護されて指揮官とは一度離れ離れに………
あの時戦いに出て行った副長さん達は誰一人戻って来る事は無く、突き出た岩礁に座礁したセイレーンの巡洋艦に突き刺さったまま炎上していた駆逐艦が戦闘海域で発見されたらしい。
探照灯での光を使ったモールスや汽笛の合図を行っても反応は無く、近寄ると誘爆の危険性があったのでそのままセイレーンの巡洋艦と一緒に砲撃処分されたとの事………綾波達には本当に苦い思い出だったのです。
「………あれから綾波達は改装して更に強くなったです。今の綾波達なら副長さん達を………」
そこまで言って首を振る。
現実にはそんなもしかしたら?という出来事は無いと分かっているのだから。
失われてしまったモノは戻らない。
この戦争で消費してしまった大切なモノはどれだけあるのだろうか?
そんな事を考えている内に重桜寮にある自分の部屋の前に着いてしまった。
「うぅぅぅ………考え事をしていたら着いてしまったのです。心の準備もまだ終わって無いのに………」
扉を開けてすぐ見える位置に飾ってある衣紋掛けに掛けたパーティー用のドレスが視界に入る。
このドレスは指揮官がわざわざ綾波の為に取り寄せてくれた大切なモノで、貰った時に思わず指揮官に抱き着いてしまったのです。
そんな綾波に指揮官は笑顔で頭を優しく撫でてくれた。
その時に嬉し過ぎて耳がぴょこぴょこと動いていたのはあの時の指揮官と綾波だけの秘密なのです。
あんな甘酸っぱい想いを指揮官に抱いていたのは自分でも分かっていたけれど、こんなに抑えきれなかったのは初めてだから………だから誰にも指揮官を想う気持ちで負けたくはない!!
「………思い出したら急に勇気が出てきたのです。指揮官に想いを………好きだって言うです」
そう、これは綾波の想いを伝える晴れ舞台。
色んな人が紡いできた想いが今の綾波達を支えてくれている。
その想いを無駄にする訳にはいかないのです!!!
「綾波、出撃するのです!!!」
身に纏ういつもの部屋着を脱ぎ捨てて下着姿となり、用意していた下着に着替え着ている下着がドレスに合っているかのかどうか確認する。
白の無地のブラとパンツだけれども、縁取りに可愛いレースが着いているロイヤルのヴィクトリアス製の一品で綾波のお気に入りです。
ゲームのソフトに埋もれかかっている姿見で全体を確認し、ドレスに合っているか考えて大丈夫だと判断する。
そして………ドレスという勝負服を身に付けていく。
「これで………完璧です」
綺麗に着付けることが出来たのを確認してそのまま学園の調理室へと急ぐ。
赤城さんがお化粧までしてくれるらしいので、完全究極体となった綾波を指揮官にお披露目してその心をガッチリと掴むのです。
絶対に………絶対にこの恋は成功させるです!!
覚悟して待っているです指揮官!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
指揮官です。
なんだか急に背筋が冷えてブルっときました。
風邪でも引いたかな?
そう思いながら明日の分の仕事を終わらせていく。
明日はとうとうバレンタインデーで、KAN-SEN達からチョコレートをたくさん受け取る事になるからだ。
この母港で男は俺だけしか居ないから渡す対象が1人だけ………なんだか盛大な義理チョコを貰っている気分だな。
まぁこの戦争が終わってしまえば、彼女達もそれぞれの道を歩き出して自分だけの伴侶を見つける事だろう。
「その時は俺が父親代わりにヴァージンロードを歩くのか?………いったい何人分歩く事になるのやら」
そんないつかの事を想像しながら書類にサインしてペンのインクを消費していく。
どのKAN-SENがいったいどんな奴を連れてくるのか………
それはそれでここから巣立って行くという事だから寂しくもあるが、ここまで頑張ってきた彼女達の成長の証でもある。
相手の顔面に一発くらいで勘弁してやろう。
「過保護な親父かな?」
クックッと声を殺した苦笑を浮かべながら黙々と仕事をこなしていると不意に扉の方からノックが聞こえた。
いったい誰だろうか?
ベルファストはティータイムの準備に下がってまだ戻って来る時間ではないし、委託などの報告もまだどの艦隊も戻って来ていない筈だぞ?
「入れ」
「失礼するです」
不思議に思いつつも入室を許可すると、そこには綾波が………ドレスを身に纏い、いつもはしない化粧を薄くした綾波が執務室に入って来る。
そんな着飾った綾波に少しドキマギしてしまった俺がいて、掛ける言葉に詰まってしまった。
「に、似合ってない………ですか?」
「い、いや、そんな事は無いぞ綾波。綺麗過ぎて少しビックリしただけだ………本当によく似合っている」
「あ、ありがとう………です」
照れて赤くなりながらモジモジとする綾波。
なんだこの可愛い娘は
すっげー可愛いんですけど?
オシャレ頑張って俺の前で真っ赤になりながらモジモジしてるとか………まさか俺に告白でも?
いや、そんなまさか………俺みたいな奴に綾波が?
いや〜全く釣り合わないでしょ。
こんな可愛い娘が告白してきたら俺なんて単純過ぎてすぐに堕ちちゃうわ。(確信)
「これ、チョコレート……です」
「ん?バレンタインのヤツか?」
「そうです。少し早いけど………綾波は当日皆と一緒なのは無理そうだから………」
「そうか、でも勇気を出して持って来てくれたんだろ?ありがとな綾波」
「はい……です」
机の前まで来た綾波に可愛いラッピングをされたチョコレートを渡された。
なるほどね、普段は引き籠もりがちな綾波は勢いのある皆と一緒にチョコレートを渡すのが難しいから前日に渡しに来てくれたのか。
でも一人だけで直接渡しに来てくれるなんて、とても勇気のいる事だ。
ありがたく貰っておこう。
そうだ、この後ベルファストがティータイムの準備を終わらせて帰ってくるはずだから、一緒にお茶でも飲もうか誘ってみるのも悪くない筈だ。
「………あの!!」
「む?どうした?」
渡されたチョコレートを眺めてそんな事を考えていたら綾波から声を掛けられた。
両手を胸の前に押さえて先程よりも真っ赤になりながら、潤んだ目で俺を見つめている。
その真紅の瞳はどこか不安に揺れながらも何かを伝えようとしているのが分かった。
その圧に若干押されそうになるが、あの綾波がここまで覚悟を決めて何かを話そうとしているんだ、それをしっかり聞いてあげなくては………
「えっと………その………」
「………」
「し、指揮官………」
しどろもどろになりながら何かを伝えようと頑張る綾波に思わず応援してやりたくなるが、ここは我慢して最後まで聞いてあげるのが俺の役割だろう。
いったい彼女は何を伝えようとしているのだろうか?
「綾波は………綾波は………指揮官の事が………」
「…………ッ!?」
綾波が何かを話そうとしているその瞬間、俺には何者かの視線を感じた。
思わず綾波から視線を外してその感じた方を見ると………窓の外に遠くて小さいがセイレーンの艦載機が滞空しているのが見えた。
「大す………」
「第一種戦闘配置!!対空戦闘用意!!!敵が来ているぞ!!!」
机の内線の受話器を引っ掴んで母港全体に通じているスピーカーのダイヤルをプッシュして放送する。
次の瞬間けたたましいサイレンの音が母港全体に鳴り響いた。
それが聞こえたのかセイレーンの艦載機は撤退していく。
クソッ!?ここで逃がせば敵がどこら辺に展開していて、どのくらいの戦力を率いているのか分からなくなる。
「待機中の空母は艦載機を上げろ!!敵を逃がすな!!敵空母の位置を確認するんだ!!」
スピーカーから出る俺の声に反応して艦載機が数十機上がっていくのが窓から見えた。
その間にもセイレーンの艦載機は遠くへと逃げていくのが見える。
ここまで近寄っているのがまったく分からなかった………まさか、最近確認された風景に溶け込む特殊な迷彩をしたセイレーンの特別個体か!?
だとしたら不味い、ヤツらは何時でも此処を攻められるという事になるぞ!?
「綾波!!敵の位置が分かれば追撃を………ッ!?」
俺は駆逐艦である綾波に敵の追撃をかける為に声を掛けようとして………めちゃくちゃ後悔した。
まず纏っているオーラがヤバい。
ドス黒く重々しいソレは綾波から発してはいけないレベルだ。
真紅の瞳は爛々と輝いており、もはや獲物を狩る狩人と称しても間違いでは無いだろう。
「敵は………敵はどこです?」
「ま、まだ………捜索中だ」
無表情の綾波の恐ろしさよ。
いつの間にか艤装を展開して、あの大剣を肩に掛けていた。
それはまさに前世の記憶にある種な機動戦士のツインソード装備な機体が、空母や巡洋艦をズバズバ斬っていた時の雰囲気そのままである。
セイレーンよ………なんて事をしてくれたんだ………
その後、綾波は殺気を漂わせたまま、執務室から出て行って出撃待機中の皆の元へ向かったらしい。
一緒に待機所にいた友人であるジャベリン達が戦闘配備解除後に、涙目で俺に飛びついて来たのでその恐ろしさかよく分かった。
しかも待機中に何度もブツブツと呟いて居たらしい。
「セイレーン………滅ぶベシDeath」
うん、怖いわ。
しかも偵察していた艦載機の母艦は見つからなかったから尚更苛立っていたらしいし………
待機所にいた皆のSAN値が消費されてエラい事になって可哀想な目にあってしまった。
というかこの襲撃事件のせいで警戒体制を取り続けた結果、バレンタイン自体が行えなくなってKAN-SEN達の戦意がとんでもなく高まったのは言う間でもない。
何してくれるんだセイレーン!!
今度会ったらぜってぇ許さねぇからな!!!
という訳で消費するお話だったね!!
皆も色んなモノを消費していると思うけど、作者は最近よく鳥のササミを消費しているよ!!
鳥のササミと梅しそがとても良く合うから皆も食べてマッソーしよう!!
それでは今回はここまで!!
それじゃ皆もマッソーマッソー!!
友人にアズレン小説書いてるのがバレて言われた一言「史実側、宇宙人に侵略されている歴史にも居るんでしょこの指揮官?それってどんな感じなん?」これはいる?
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いる
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いらない
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マッソー