指揮官はつらいよ~美女美少女ばかりの職場でいかに性欲を発散するか~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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疲れなんてマッソーで吹き飛ばせ!!

毎日毎日仕事で疲れて大変だ!!

でもそれも受け入れてマッソーに励まなきゃ!!

今回はそんな受け入れるお話だよ!!

それじゃレッツマッソー!!



第41話ティータイムとイラストリアス姉妹

 

指揮官です。

今日はロイヤルにある庭園の一角にてティータイムに参加しております。

本当は足回りに大臀筋や中臀筋の筋トレをしようと、80kgのダンベルを使ったスクワットをする予定だったんだけど、どうしてもと言われてホイホイ来ちゃったんだよね。

まぁとは言っても、とある姉妹とお茶しているだけなのですが………

 

「はい、指揮官さま♪あ〜ん♪」

 

「い、いや、自分で………」

 

「あ〜ん♪」

 

「………あむ」

 

「クスクス♪そんなに恥ずかしがらなくてもよろしいのに」

 

「ムグムグ………俺ぐらいの年代の男なら誰でも恥ずかしいと思うぞイラストリアス?」

 

俺に茶菓子であるクッキーをあ~んするロイヤル正規空母 イラストリアス。

絹と見間違わんばかりの綺麗な銀色の長髪に優しげな眼差しの青い瞳を持ち、ボボボン・キュ・ボンという魅惑的を通り越して性癖クラッシャーになるようなスタイルの持ち主であり、白いドレスはスカートほぼスケスケで胸元は上見放題とかいうドスケベ仕様である。

ちなみにその優しく微笑む顔の左目尻には泣きぼくろがあって、彼女の美しさを更に際立たせている事も追加で報告しておこう。

 

「指揮官さまとのお茶会は本当に久しぶりなのですもの。嬉しくてついつい触れ合いを求めてしまいますわ♪」

 

「そういうものなのかねぇ………」

 

「ええ、そういうものなのです♪」

 

イラストリアスは超ご機嫌である。

というか距離感バグってない?

というかこのお茶会はなんだかおかしい。

一応お茶会なのでテーブルに一式セットが用意されているのだが、椅子は一つしかない。

つまりどういう事なのかというと………

 

「………なあイラストリアス」

 

「はい、何でしょうか指揮官さま?」

 

「なんで………君は俺の膝の上に座っているんだ?」

 

そう、彼女は俺の膝の上に横向きに座り、左側に足を出して左側の肩と頭を俺に持たれ掛けているのだ。

こんなに密着されると………その………息子が……ね?

柔らかいお尻の感覚が膝にダイレクトアタックを仕掛けて、イラストリアスから香る途轍もなくいい匂いが俺の鼻を狂わせていく………

しかも俺が大柄なのもあって、上から魅惑の霊峰の北半球を覗き放題と来たもんだ。

 

正直………たまらんですたい!!

 

このモンモンとした煩悩が発散出来ずに溜まっていくのは流石にヤバいか?

そんな事を考えているとイラストリアスはクスクスと上品に笑って……

 

「たまにしか会えませんから………こうして触れ合いたくなるのですよ?」

 

「ぬぅっ!?」

 

俺の頬を慈しむように撫でる。

それは本当に優しく、まるで割れ物を扱う様な力加減だった。

見上げる様にしてこちらを見つめるその瞳に写る感情は、見たことが無いような怪しい光を湛えるナニか………

 

 

 

「ちょっと!!イラストリアス姉さん!!今日は私達もいるんですのよ!!」

 

「そうよ!私達だって指揮官と触れ合いたいわ!!」

 

 

 

「っ!?」

 

「あら残念ですわ♪………クスクスクス♪」

 

俺はいったい何をしていた?

声を上げて抗議するフォーミダブルとヴィクトリアスが居なければ、俺は彼女のナニかに惹き込まれ、受け入れていったのかもしれない………

そんなもしも、という考えを振り切りながら声を掛けてきた二人を見る。

 

どちらもイラストリアスの姉妹艦で、二番艦のヴィクトリアスに三番艦のフォーミダブルである。

ヴィクトリアスは姉と違い、金色の長髪に青い瞳で、フォーミダブルは銀色の長髪というか、床に着きそうなくらい長い髪に紅い瞳のスタイルは二人共、姉とほぼ同等のドスケベボディな姉妹だ。

 

ただその違いとしては、次女のヴィクトリアスはギリシャ風の冠に素肌が見えんばかりの薄いヴェールを身に纏っており、その下には下着と変わらない上は白色のホルターネック、下は黒の紐パンみたいな水着の様なナニかを着ている……痴女か?

 

三女のフォーミダブルはその髪をツインテールにしており、ゴスロリ調のドレスを着て露出は少ないのだが、胸元に黒いネクタイのような何かを挟んで谷間に入れ込んでいる。

 

ま、どっちもドスケベ衣装なんですけどね………

 

その二人は俺の両手を胸元に持っており………というか谷間に挟んで動けなくしているのだ。

右の痴女……じゃなかった次女に左の三女である。

これ俺が脳内マルチタスクで筋肉心経の1129項第2929を唱えてなかったら煩悩一直線だぞぉ?

ちなみにここには居ないリトルイラストリアスは、リトルの集いとかいうリトルグラーフ・ツェッペリン主催のリトルだけのお茶会に参加しており、俺もそっちに行けば良かったと只今絶賛後悔中である。

 

「もう、指揮官?イラストリアス姉さんだけじゃなくて私達も居るのですよ?もっと構ってくださいませ?」

 

「そうよ指揮官。本当に稀にしかこういう機会は無いのよ?私にももっと甘えなさい?」

 

「み、耳元でそんなに囁くな………こそばゆいだろうが………」

 

二人して吐息をかけるように囁くんじゃないよまったく………すんげぇドキドキするじゃねぇか………

イラストリアスもそうだが、この二人もそれぞれ違った甘い香りがするので、腕の柔らかな感触も相まってリビドーのツァーリ・ボンバが爆発しそうになるから質が悪い。

 

これ………狙ってやってんのか?

 

心臓は36ビートを刻んでフルスロットルだし、股間の紳士は『へへ、もういっすか旦那?俺限界なんすよ』とかほざきそうな位に立ち上がりかけていやがる。

だが………だがしかし、ここで立ち上がったら膝に座っているイラストリアスに速攻でバレて社会的な死刑が待っているのだ。

KAN-SEN達の指揮官として、戦場ならまだしもそんな不名誉な死に方だけは嫌だ!!

 

「ほら、こっちを見てくださいませ!」

 

「ぬぉっ!?」

 

急にフォーミダブルに頬に手を当てて左を向かされる。

俺の胸鎖乳突筋大丈夫?

今グキッて鈍い音がしたけど本当に大丈夫?

頸椎と一緒に折れたり千切れてない?

 

「ほら指揮官、あ~ん」

 

「え゛?」

 

「だ・か・ら、あ~んしてくださいませんこと?」

 

フォーミダブルがその手に持っているのはワッフル。

俺の首を無理矢理曲げたのはソレを俺の口に入れたいからなのか………

これ以上待たせると今度は口を無理矢理開いて咬筋と顎の骨をヤられそうだから、素直に食っとくべきだろう。

 

「………あ~ん」

 

「ふふ♪私も一度やってみたかったのよね♪」

 

ワッフルを一齧りするとフォーミダブルは嬉しそうに微笑んだ。

いや、おっさんツラいっす。

可愛い女の子にあ~んされるゴリマッソーなおっさんとか絵面ヤバない?

 

「あむ、ーーーっ!!これ美味しい!!」

 

「おまっ!?」

 

そんな事考えていたら俺が齧った所を、フォーミダブルが普通に齧っていた。

そ、それ………間接キスちゃうの?

呆然とする俺を尻目にパクパクと食べるフォーミダブル。

…………もしかして意識すらされてない感じ?

 

「もう一つくらい食べちゃおうかしら?はい、指揮官あ~ん」

 

「え?」

 

「ほら、食べなさいよ」

 

「えぇ……」

 

お前が食べるんじゃないのかよ………

そんな思いをよそに困惑する俺の目前に差し出されるワッフル。

何がしたいのかが全く読めずにワッフルを見ていると、段々とフォーミダブルの機嫌が悪くなっていく。

変に意識したら何言われるか分からんし、怒らせるのもなんだ………とりあえず一口齧るか。

 

「そうそう♪それじゃぁ……あ~ん♪」

 

「んんっ!?」

 

そして俺が齧った所から食べ始めるフォーミダブル。

もう訳分かんねーよ!!

いったいどういう事なんだよこれ!!

彼女いない歴=年齢な俺には女の子の思考回路なんて分かるわきゃない。

 

助けてマッソー神!!

 

俺には何がなんだかさっぱり分からねえんだ!!

 

 

 

「それじゃ今度はこっちよ指揮官」

 

「おぅっ!?」

 

 

 

今度は右側から手が頬に伸びて顔をゆっくり振り向けられる。

そしてそこには………

 

「ん〜♪」

 

「………へ?」

 

口にマカロンを咥えて目を閉じるヴィクトリアスがいた。

散々痴女とか言ったが、見目麗しい整った美人である彼女がまるでキス待ちのような様子で口にマカロンを咥えて待っているのだ。

俺の心臓が心房細動を起こしかけない位に震えまくってやがる。

あれ?俺死ぬんじゃね?

 

「ほら指揮官さま、ヴィクトリアスが待ってますよ?」

 

「あ〜、私もそうすれば良かったわね」

 

からかう様なイラストリアスに残念そうなフォーミダブルの声が聞こえる。

し、進退窮まるとはまさにこの事か?

いや、別にヴィクトリアスとそういう事をするのは嫌ではない。

むしろ俺なんかで良いのかと疑問に思うほどに魅力的なシチュエーションだ。

 

ええい、ままよ!!

 

漢なら女性を待たせるな!!

 

………でもちょっと恥ずかしいから端っこを

 

「んん♡ご馳走さま♡」

 

「……………………………ぉぅ」

 

端っこの方を齧ろうとしたらそのまま唇を奪われた件について。

少し照れながら舌をチロリと出して唇を舐めるヴィクトリアスに震えまくる心筋達。

それでいて柔らかなお胸様をスリスリと当て続けてくるなんてマジ誘ってるのか?

そんな童貞故のテンパった苦悩をよそに彼女の目は雄弁に語っている。

 

ご馳走さま♪

 

ナニかを狙う目でそう言っているのだ。

童貞の心を弄んで何が楽しいんですか!?

魔法使いになったおっさんの童貞ピュアハートを弄ぶなんて酷いぞ!!

三人でその霊峰みてぇなドデケぇ胸で俺を囲みやがって………

しかもそれぞれが一人ずつ前世ではお目にかかれ無いほどの美女であり、普通なら接点どころか見ただけでポリスメンに連行されそうな俺に胸を当てて、あ~んから間接キス、そして直接キッスまでしてくるなんて想像もできんぞ!?

あ、ちょっと思考を整理してたら主砲の仰角が10°ほど持ち上がって………

 

 

 

「あら?ふふ♪指揮官さま?このお尻に当たる硬い棒は何ですか?」

 

 

 

 バ レ た ! !

 

 

 

俺の顎に手を当てて振り向かせるイラストリアスが、優しく微笑みながらそう問いかけてくる。

俺の主砲が軽く持ち上がってしまったのがイラストリアスにバレてしまったのだ。

いやお前、こんな美人に囲まれて反応しなかったら、ただの不能かホモやろこんなの!!

お、俺は悪くねぇ!!

これは男の生理反応なんや!!

 

「へぇ〜、指揮官はそういうのに反応するのね」

 

「ふふふふ♪指揮官もやっぱり男の人なのね♪」

 

両サイドに居るフォーミダブルとヴィクトリアスもイラストリアスの言葉に反応して俺の下腹部を流し目で見ている。

 

く、喰われる!?

 

どう見ても肉食動物に囲まれた、今にも食べられそうな草食動物の図がここに描かれていた。

もちろん肉食動物は彼女達で、草食動物は俺である。

変な汗が俺の背中を伝って落ちた。

もはや狩られる寸前。

 

「指揮官さま?」

 

「ッ!?」

 

その霊峰を押し付けるように俺に向き直って、膝の上へ跨がるように対面に座り直したイラストリアスが、俺を見上げるようにして見つめている。

その目にはやはり俺を惹き込むような怪しい光を発して目を逸らせない。

そして俺の両頬を両手で包み込み………

 

 

 

「指揮官さま……軟着陸……試してみます?」

 

 

 

(・o・)……………(☉。☉)ハッ!!

今魂抜けてた。

それは卑怯だよイラストリアス。

そこまでされてその台詞言われたら、ついその気になっちゃうじゃん?

主砲は既に最大仰角まで秒読みだし………跨った柔らかいお尻でそこをスリスリする彼女の誘いに釣られちまったよ。

 

「私も居ますわよ?準備は………よろしくて?」

 

「ついに私の勝利を受け入れる時が来たのね?」

 

ああ……最初から姉妹丼、しかもお外でなんてなかなかハードなプレイになりそうだ………

前世含めて約60年の大賢者。

今ここで悟りを拓く瞬間を受け入れ…………

 

 

 

 

「お楽しみの所を申し訳ありませんがご主人様。そろそろ執務のお時間でございます」

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

不意に聞こえた声に気が付いて声の主を見ると、そこに居たのはロイヤルメイドのシェフィールド。

俺の方をその冷たい絶対零度の視線で見つめている。

そしてその手には銀色のお盆に載せられた書類の山が………

 

「そ、そんなに仕事が残っていたのか?」

 

「色ボケて忘れてしまいましたか?鉄血とユニオンが制作した大型アーマーの実験で使われた資材やその記録や関係各所への報告書など、山程仕事が残っておりますが?」

 

「わ、忘れてた………」

 

「はぁ………そろそろお止めになっては?軍拡競争と言わんばかりにアーマーを制作して既に両陣営共に試作機を含めては50機を越えておりますよ?」

 

「え゛!?」

 

それは作り過ぎだ!!

リノや夕張は分かるが、ビスマルクまで開発狂になるなんて………

確かアレって1機辺りロイヤルの381mm連装砲の主砲1本分の値段しなかったか?

希少なレアメタルに特殊技術の機材を多数載せてるからそれ相応のお値段になったとか………

こうしてはいられない。

早く止めなきゃ母港の資産が死ぬぅ!!

 

「すまん、行かなくては………お茶会に誘ってくれてありがとう、また今度も………今度は普通のお茶会で頼むぞ!!」

 

「あ、指揮官さま!!」

 

「逃げた!」

 

「ああ……今回は勝利を逃してしまったわ」

 

両サイドの魅惑の霊峰から腕を引き抜いて、イラストリアスをそっと優しく持ち上げて立ち上がり、そのまま俺と入れ替わるように椅子に座らせた。

そして伝えに来てくれたシェフィールドを置き去りにしながらも開発中毒患者の下へ向かう為に走った。

 

 

 

ロイヤリティな霊峰は凄く後ろ髪を引かれるが、それよりも皆の母港の危機なのだ!!

 

 

 

俺は走り出す。

 

 

 

今まで母港で起きたことの無いような未曾有の危機から救う為に。

 

 

 

何でもする!頼むからもう止めてくれぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「逃げられてしまいましたわね」

 

 

 

そう言いながらも特に残念そうな様子も無く、椅子に座ったままテーブルの上にあったティーカップを手に取り、静かにそして上品に紅茶を飲むイラストリアス。

その姉妹艦達も特に気にした様子も無い。

しかし、そんな彼女達を睨む存在が居た。

 

「失礼ですが、これは協定違反では?」

 

シェフィールドはイラストリアス達を睨む。

それもそのはず、彼女達はロイヤルだけでなく全陣営での決定でもある指揮官の心を癒やすまで、指揮官へ強引に迫り過ぎないという協定違反を犯しているのだ。

あのリットリオの声明から各陣営の代表が集まって決めた協定を堂々と破る。

それはすなわち代表であるクイーン・エリザベスの顔に泥を塗る行為なのだから。

 

「そうかもしれませんわね」

 

「………では何故?」

 

あっけらかんと悪びれた様子もなくそう言うのはフォーミダブル。

テーブルに置かれたスイーツをパクつき、堪能しながらも同じ陣営であるシェフィールドに鋭い視線を向けて離さない。

それはまるで油断ならない“敵”を睨むかのように。

 

「それは貴女も知っている筈よ?だって貴女、あの時にあの場所でイラストリアス姉さんと居たのでしょう?」

 

「い、いったい何を………」

 

困惑するシェフィールドに詰め寄りながらそう言うヴィクトリアス。

その目には普段は篭もるはずの無い怒りが宿っていた。

まるでその事を忘れる事を怒っているかのように。

 

「この母港に指揮官さまが着任するすぐ前のお話ですわ」

 

「それは………」

 

「忘れたとは言わせませんよ?」

 

「………………」

 

イラストリアスの紅茶を飲みながらこちらを見るその目は、まるで凍りついた氷河のようだった。

確かにシェフィールドは覚えている。

母港に着任する前の指揮官に起きた悲劇を。

 

 

 

それはほんの些細なすれ違いが、二度と取り返しのつかない出来事を引き起こしてしまった。

 

 

 

その悲劇は、誰も悪くはなかった。

ほんの少し時間がズレていれば。

誰もがそう思う、そんな悲劇だ。

その日、指揮官は母港に着任する前にとある場所へ護衛のKAN-SENを連れて向かった。

 

そこは指揮官が戦争孤児となり、引き取ってくれた教会兼孤児院。

 

指揮官は孤児になってから徴兵されるまでの間、その孤児院で心優しい年老いたシスターに育てられた。

いきなり戦争で失った肉親や友人達の事で心に傷を負った指揮官を、シスターはまるで自分の子供のように優しく接してくれたそうだ。

 

そんなシスターに次第に心を開き、シスターの事を第二の母親とまで思い慕うようになった指揮官は徴兵されるまでの間、彼女の手伝いを率先して行いその負担を随分と減らしていたらしい。

 

そして軍に徴兵されて一度も戻る事ができず、ようやく戦争が終わりを迎えたこの日、指揮官は母親と慕うシスターに自分の無事と立身出世した事を報告しに里帰りしに来たのだ。

しかし、それは予定した日よりもかなりの日数が過ぎていた。

 

各陣営の上層部のセイレーンとの癒着。

そこから起こしたクーデターの後処理や、虐げられていたKAN-SEN達の救出や保護。

まさに猫の手も借りたいという言葉がよく似合う修羅場を捌き続けていたが故の遅延だったのだ。

ようやく一息つける。

そんな思いと共に、当初の予定よりも遅くなってしまったが、どうしてもシスターには話したいし会いたい。

立派になった自分をしっかりと見てもらいたい。

 

苦笑する指揮官はそう語り、育ての親だというシスターに見栄を張る為に純白の士官が着る儀礼用の軍装まで新調して準備していたのだ。

用意された移動用の車の中で楽しそうにシスターとの思い出を語る指揮官は、護衛で着いて来ていたイラストリアス達に、何処か楽しげで戦場では見せたことの無いような朗らかな笑顔を浮かべていた。

そんな指揮官に皆も笑顔になり、和気あいあいとした雰囲気で道中を過ごす事となる。

 

 

 

そして、指揮官はシスターと再会を果たした。

 

 

 

それは冷たい墓石との対面だった。

 

 

 

冷たい雨の降りしきる中、指揮官はその場に立ち尽くす。

せっかく新調した軍装を濡らし、車内で朗らかに浮かべていた笑みを消して。

誰もが口を開けない、声を掛けられない。

シスターの死因は階段を踏み外して落ち、頭部を強く打った事が原因だった。

日課の礼拝、しかも出兵した指揮官の無事を祈る為に、朝早くから神に祈りを捧げに向かう途中の教会の入口の階段、そう、たった数段の階段から落ちてしまったのだ。

 

まさに不運としか言いようのない事故。

しかも起きた時期も悪かった。

シスターが亡くなった日は………指揮官が里帰りする予定日の次の日だったのだ。

もし、もし指揮官が予定日に帰っていたら。

この悲劇は起こらなかったかもしれない。

もしも、というIFは無く、ただ残酷なまでの現実がそこにはあった。

 

「………指揮官さまは何も仰りませんでした。ただ雨に打たれてシスターの………育ての親である彼女のお墓を見つめるだけで……なにも……一言も………」

 

「……………」

 

その目に涙を浮かべながらも沈黙するシェフィールドを見続けるイラストリアス。

その場に居た誰もが打ちひしがれた。

あの時に指揮官が予定日通りに帰っていたら?

確かにあの悲劇は防げただろう。

しかし、その代わりにジャン・バールやクリーブランド姉妹の様な虐げられていたKAN-SENは救えなかった。

どうにもならない事だったと誰もが受け入れてしまったあの日の事を、あの光景を見た自分達は受け入れる事が出来ないのだ。

 

「指揮官さまが何をしたと言うのですか!こんな悲劇は誰も望んでいません!!」

 

「それは皆同じ思いです。ですが、一番お辛いのは………」

 

「分かっています……そんな事。だから、だからこそ今必要なのです」

 

「………この協定破りがですか?」

 

シェフィールドの問いかけに大きく頷くイラストリアス。

その目には決意が籠められている。

何事にも止められぬ強い意志が。

ふと気が付けば姉妹艦であるフォーミダブルとヴィクトリアスもまた、同じ目をしてシェフィールドを見つめているのが見えた。

 

「今の指揮官は寄る辺の無い渡り鳥に近いですわね。この母港の仕事や筋肉に依存する事でそれを自分で考えない様にしているのですわ」

 

「シェフィールド、貴女………指揮官から終戦後、退役した後の話を聞いた事はある?この数年で一度もそんな話を私達は聞いた事なんて無いわ」

 

「それは………」

 

その問い掛けにシェフィールドは答えられない。

誰も知らないのだから。

戦友と呼び、親しくなった筈の指揮官の事が分からない。

そんな筈はないと否定したいのに、何も知らないのだから。

確かに指揮官は戦後の事を明言しない。

そういう事も良いかもしれないとは口にすることはあっても、実際にどうしてみたいかを話した事は一度も無かった。

 

「指揮官さまは………自身の、その先の事を考えていらっしゃらないのかもしれません。不必要だと思われている可能性があります」

 

「………だから強引に迫ると?それはご主人様の意思を……」

 

「今寄る辺を与えなければ………楔を打ち込まなければ指揮官はそのまま命を削り続けるわ。もはやそのレベルまで達してしまっているのよ?」

 

「突き進み、勝利を掴み続ける英雄。確かに象徴としては素晴らしいわね?でも思い出しなさい、アーサー王然り、クーフーリン然り………英雄の末路は悲惨なものよ」

 

シェフィールドには二人の言う事にもはや反論出来なくなってきている。

悲劇の英雄は、幸せになれるのか?

物語の英雄達ですら、その最期は悲しい結末になる事が大半である。

失うモノが無い状態なら?

己の命しか持ち合わせが無い英雄なら?

不利な戦況を変える為にその抱えた命をすぐ賭けとして博打に出る事だろう。

最悪の事態が何度も頭を過ぎってしまうのだ。

それだけの実績があの指揮官にはある。

 

「私達はそんな指揮官さまを止める為にここで動くのです。貴女達の協定を守る側を保守派とするならば、私達は止まらない指揮官さまとの繋がりを得ようとする急進派と言えるでしょう」

 

「急進派………陛下や保守派と言われる私達に敵対すると?」

 

「いいえ、そこは違いますわ。敵対は致しません、ですが今の指揮官さまの為にも早急に進めなければならない事なのです」

 

「陛下にこの事は?」

 

「ええ、すでに………私達の派閥のトップがお伝えになりましたわ」

 

「イラストリアス様がトップではない!?」

 

驚愕するシェフィールド。

それが確かであれば、他にもメンバーがいるという事。

それはどれ位の規模で、いつから発足していたのか。

諜報分野を担当しているロイヤルメイド隊ですら把握していない派閥がすでに存在していた事になる。

 

「………信じられません」

 

「そうでしょうね。私達も話を持ち掛けられるまでは知りませんでしたので………ですが存在しますわ。それそこの母港に指揮官さまが着任された頃から」

 

「それほど前から………」

 

驚きの連続に普段は変える事のない表情を変え続けるシェフィールド。

それを見ながらイラストリアスは冷めてしまった紅茶を上品にゆっくりと飲むと、再びシェフィールドへと視線を合わせた。

 

「必ず止めて見せます。指揮官さまを悲劇の主人公などにはさせません。指揮官さまに全てが終わった時には謝罪して罰を受けましょう。ですが………指揮官さまを止めるまでは私達は絶対に止まりません」

 

「っ!?………それほどのお覚悟ですか」

 

「はい」

 

意思の表明。

 

 

 

そしてその覚悟の現れとしての即答。

 

 

 

彼女達の想いは強く、そして運命の歯車は確実に回る。

 

 

 

その運命の先は………まだ誰にも分からない。

 

 

 




 
という訳で受け入れるお話だったね!!

作者もこの仕事の忙しさを受け入れたくは無いけど、待っている人達の為にも頑張るんだ!!

皆もそんな経験がたくさんあるよね!!

だから時々休みを入れつつ乗り切っていこう!!

今回はここまで!!

それでは皆もマッソーマッソー!!

友人にアズレン小説書いてるのがバレて言われた一言「史実側、宇宙人に侵略されている歴史にも居るんでしょこの指揮官?それってどんな感じなん?」これはいる?

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