指揮官はつらいよ~美女美少女ばかりの職場でいかに性欲を発散するか~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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気が付いたら秋になってきたマッソー!!

この季節は色々な事がしたくなる時期だね!!

でもやっぱり一番は筋肉との対話だね!!

惚れ込んでいるといっても過言じゃないよ!!

今回はそんな惚れ込むお話だよ!!

それではレッツマッソー!!





第45話 汗と筋肉とポネキにインディちゃん

 

指揮官で………

 

「きゃ〜♡インディちゃん♡か〜わ〜い〜い〜♡ルームランナーで汗を流しながら、筋肉が凄い盛り上がって最高に切れてる指揮官の隣で走るのかわいいよ♡こんなに可愛いなんてお姉ちゃん幸せです!!走っている時にリズムに合わせてフルフル震えるお胸なんて最高だと思いませんか指揮官?今日のインディちゃんは黒のスパッツにスポーツブラでタンクトップだから可愛いお胸とプリンとした形の良いお尻が見放題なんですよ?しかも指揮官と運動したいからって買ったばかりのおNEWなんです!!こんなの興奮しないわけ無いですよね?指揮官もいつものトレーニングウェアじゃなくて短パンにタンクトップだからインディちゃんとお揃いで良い感じですね!!鍛えられた筋肉が動いて汗が流れてるのも良い男っぷりに磨きがかかってます!!やっぱり私とインディちゃんみたいな可愛い子を10人………ううん、10ダース作りません?私はバッチコイですよ?初めてはインディちゃんに見られながらインディちゃんと一緒に3人でするのが私としてはベストなんです♡指揮官に私の初めてとインディちゃんの初めてを全部、うん、前も後ろもお口も手も胸も全部付けちゃうお買い得ですから!!私もインディちゃんもハッピーでおめでたで、そのまま同じお墓に入るまでの人生設計は如何ですか?というか指揮官とインディちゃんの汗の香りが私の鼻に入って………うっ………ふぅ………」

 

「お姉ちゃん、うるさい………ごめんね指揮官」

 

「苦労してるんだな………」

 

トレーニングルームのルームランナーでユニオンの巡洋艦 インディアナポリスと一緒に走っていたら、妹ガチ勢な姉のポートランドに凄い絡まれ方をしております。

インディアナポリス、彼女の姉の言うところのインディは褐色の肌に緩くウェーブのかかった薄紫の長い髪の背が低いのにスタイルの良い子で、右が青色、左が金色の珍しい色違いの瞳を持ち普段は大人しい性格であまり喋らない静かな娘だ。

 

逆に色々とうるさい姉のポートランドは、妹と同じ薄紫の長い髪をポニーテールにして青色の瞳を持っており、妹とは違い白人寄りの白い肌で妹よりも更にスタイルが良いのである。

ちなみに、二人共かなり背は低い………というか俺の胸より低いくらいじゃないか?

そんな二人と一緒にルームランナーでランニングしていたのだが、休憩に入ったポートランドにマシンガントークでそう言われてゲンナリする俺とインディアナポリス。

………というかサラッととんでもない事を口走って賢者タイムに入ってないかアイツ?

 

「ごめん指揮官、もう走る気分になれない」

 

「そうだな、休憩するか」

 

脱力してしまってトレーニングどころではなくなった俺達は、ルームランナーから降りてポートランドの下へ向かう。

するとそこにはヘブン状態の彼女が膝をガクガク震わせ………というか全身をビクビクと震わせ、ダラしないアヘ顔を晒して口からヨダレを垂らし、その場に立ち尽くしていた。

 

…………どんなに美少女でもこれは酷過ぎる。

 

残念すぎるだろコレ。

というか汗の匂いだけで達するとか………上級者過ぎないか?

さすがの俺でもちょっと……いや、かなり引くわ。

変態性癖を持つ美少女が可愛いなんて言葉は二次元まで。

改めてそう思わせる光景だよ。

ため息を吐くインディアナポリスと一緒に用意していたドリンクを手に取って飲んでいると、ようやく向こう側から帰ってきたポートランドがニコニコ笑顔で近寄ってくる。

ちなみに今の彼女も一緒に運動していたので今日の服装は、青のリブニットとかいう肩の所に細い紐を掛けるような種類のタンクトップにこれまたエグい短さの鼠径部とお尻が半分出てるようなランニング短パン。

………ひょっとしてコイツ下着着けてないのではという疑惑があるぞ?

 

 

 

「あ、指揮官。すぐに始めますか?上はニップレスで下はハーフバックの2wayストレッチローライズショーツだから脱がせやすいですよ?横にずらして着たままするのもマニアックで良いですね♡」

 

「お前はいったい何を言っているんだ」

 

 

 

にこやかな笑みで言うことじゃないと絶対に言える。

お前の妹なんて飲んでいたドリンクを噴き出して、顔を真っ赤にしながら咳き込んでるんだが?

痴女かコイツ?

いや、何故かポートランドの好感度がバグっている事はこの母港に着任した時から知っていたが、クレイジーシスコンなコイツの妹と同列の好感度ってちょっとヤバイ気がする。

 

「えー?指揮官、そこは男らしく全部頂きますってするところじゃないんですか?ほらほら、インディちゃんと私の姉妹丼ですよ?身体を動かしたらムラムラしてきてこの胸とか揉んだりしませんか?あ、インディちゃんのお胸の方が良いですか?」

 

「え………あぅ……し…指揮官?」

 

「いや、しないぞ?何故胸を隠すんだインディアナポリス………いやいやいやいやいや!!!違う!!待て!!待つんだインディアナポリス!!胸を押し付けようとしなくていい!!」

 

隙あらば妹と姉妹丼を勧めるポートランドに、真っ赤になり恥ずかしそうに俯きながら俺の両手を掴んで胸に押し付けるインディアナポリス。

カオス過ぎるぞこの空間!!

いや、確かに俺も胸の事でデリカシーの無い事を言ってしまったかもしれない。

だが、お前まで暴走したら誰がこの状態を打破できるというのだ!!

 

「……指揮官、どう?私の胸………お姉ちゃん程大きくないけど………」

 

「きゃ~♡おっぱいの大きさが気になってるインディちゃんもか〜わ〜い〜い〜♡」

 

「お前は黙っててくれ………頼む」

 

事態が一刻一刻と悪化しているのを感じる。

布越しとはいえ、つい先程まで運動していて少し汗ばんで熱を持ち、フニフニとした弾力性を与えてくるお胸様の感触を俺の両手が伝えてくる。

これは素直な感想を言えばいいのか?

例えば………そう、もっと触っていたい不思議な感触だな。とか?

………いや、それはただの変態だろう。

 

「ほらほらほら!!指揮官、インディちゃんが感想を求めてますよ?こんなに可愛いインディちゃんのお胸は柔らかくて触り心地最高ですよね?もう、素直に言っちゃってくださいよ♪このまま私の胸も触って違いを感じちゃいますか?私はバッチコイですよ♡」

 

「……………」

 

「ポートランドは本当に少し静かにしてくれ。そしてインディアナポリス、無言で涙ぐまないでくれ………頼む。感想を言う。感想を言うから、だから泣かないでくれ……」

 

いったい何故俺はトレーニングルームでこんなピンチに陥っているのだろうか?

変態的な内容のマシンガントークで悪魔の囁きをかますポートランドに、羞恥に赤くなりながら涙を持って胸の感触についての感想を催促するインディアナポリス。

こんなの全身のマッソーに相談する暇すらないぞ………

なんで俺は毎回戦場でもない安全な後方である筈の母港で絶体絶命に陥っているんだよ………

 

いったいどうすればいいのだ………

 

「気持ちいい?気持ち良くない?」

 

「えっと………だな……」

 

「もちろん気持ちいいですよね指揮官?どこを触ってもフワフワで柔らかいインディちゃんはお持ち帰りですよ!!お持ち帰り!!そして抱きしめてそのままベットに連れ込んであんな事やこんな事を…………うっ…………ふぅ……………」

 

「「……………………」」

 

勇気を振り絞るように聞くインディアナポリスに、問い詰められた俺をオカズに妄想だけでビクリと大きく震えて旅立つポートランド。

そんなポートランドを見ていたら俺とインディアナポリスは思わず白けてしまった。

だが、これだけは言っておかないとな………

ここまでさせて聞かれているのに答えないのは男じゃない。

 

「インディアナポリス、凄く柔らかくて気持ち良かったぞ……俺なんかが触るのが勿体ないくらいだ」

 

「ッ!!…………ありがとう」

 

「ーーーッッ!!!!ーーーーーーーーッッッッッッ!!!???!!!!」

 

感想とも言えないなんとも気の利かない事を言った気がするんだが、インディアナポリスはその俺の言葉にはにかむ様な可憐な笑みを浮かべていた。

なんとも可愛い笑顔だ………俺の手を自分の胸に押し付けていなければ、素直に見れた事を喜んでいたんだがな。

だが、一方その姉は妹のはにかむ笑顔でさらなる高みへと飛び去っていった。

一瞬白目剥いたぞコイツ。

本気でヤバい気がするんだが………

 

「はぁ〜♡今日のインディちゃんベストオカズ大賞はこれですね〜♪それに少し照れながらも悩みつつ、しっかりインディちゃんに素直な感想を言っている指揮官も私的に指揮官ベストオカズ大賞の同時受賞ですよ!!今夜のお楽しみはオカズがとんでもなく贅沢過ぎて激しくなりそうです♪」

 

「………本当にお前の考えが読めなさ過ぎる」

 

「私も………」

 

クレイジーシスコンだから妹をオカズにするのは知っていたが、俺の何処にそんな風に惚れ込む要素があった?

というか女の子がオカズオカズって言うんじゃありません。

俺も男だからちょっと反応しちゃうでしょうが………

まぁこれだけ好意を向けられる………向けられている方向性はサッパリ分からんのだが、たぶん良い事なんだろう。

だけど確かにこの姉妹とはラフィー達初期艦の後に、ロングアイランドを除けば3番目くらいに長く一緒に戦ってきた仲ではあるんだよなぁ………

ポートランドの奇行にそんな考えで現実逃避する。

 

それがいけなかったのだろう。

 

 

 

「あ、指揮官。指揮官だけオカズが無いのは不公平なんで………はい、どうぞ♡」

 

「おまっ!?」

 

「…………むぅ」

 

笑顔でそう言ったポートランドは、外すのを忘れてインディアナポリスのお胸様に触っていた右手を手に取って………ニップレスしか付けていない生乳の谷間にそのまま突っ込んだ。

その行為に妹からは不満の声が出た様子なのだが、それも好物とばかりにとろける笑顔を浮かべるポートランド。

一方その頃、俺は生乳に挟まれた前腕の感触に脳みそがハングアップ寸前まで持っていかれていた。

 

お、俺の………俺の前腕に集中するマッソーが………前腕屈筋群と前腕伸筋群がπとπに挟まれて大変な事になってやがる!!!

 

「はい指揮官♡ギュー♡ギュー♡」

 

「ほわっ!?」

 

「むぅぅぅぅ………」

 

や、止めるんだ!!

俺のマッソーが………πに包まれるだけじゃなくてその柔らかい質感にギュウギュウと圧される感触に蕩かされて………

両手で寄せるな!!

スリスリと柔らかい感触を俺の腕に刷り込まないでくれ!!

ポートランド!!

妹を見てみろ!!

なんか頬を膨らませている抗議してるぞ!!

………可愛いな。

 

そうじゃなくて………

危ねえ………俺も非常事態過ぎて頭がポートランドになるところだった。

だがそのお陰で助かった。

怒涛の展開過ぎて俺の主砲はまだ仰角を刻んではいない。

………シチュエーションが違えばヤバかったな。

 

「指揮官………んっ」

 

「インディアナポリス?」

 

「わお、インディちゃんやるねぇ」

 

姉の所業を見ていた妹の方が、自身の胸に押し当てていた俺の左腕に絡み付くように抱きしめると………そのまま俺の腕にキスをした。

え?どういうこと?

ポートランドは目を丸くして驚いてるけど、なんか意味があるのか?

俺はそういうのに関して全くの無知なんだか?

 

「あぁ〜、インディちゃんがそんな事するから私も耐えられないよ〜。指揮官………ちゅ♪」

 

「お姉ちゃん!!」

 

「えへへ〜♪ごめんねインディちゃん♪」

 

「………何がなんだかサッパリだ」

 

俺の腕で生πスラッシュしたままのポートランドは、妹に対抗するかのように俺にすり寄ると………俺の胸にキスをする。

いや、マジで分からん。

その部位にキスをする事に何らかの意味があるのだろうが、その意味を知らない俺からすると不可解な行動過ぎて全く読めないのだ。

だがインディアナポリスが珍しく激情のままに姉へ怒りを向けているのを見るに、何らかの深い意味合いがあったという事なのだろう。

 

「う~ん、インディちゃんに怒られちゃったからここまでにしようかな」

 

「もう、あんな事するなんて………」

 

「ごめんねインディちゃん。という訳で指揮官へのオカズの提供はここまでです♪今日の夜に使ってくださいね?」

 

俺がどんな意味があったのか頭を悩ませて、聞こうと口を開く前に姉妹は俺の側から離れていった。

そして………

 

 

 

「私、本気ですから♡」

 

 

 

後ろで手を組んだポートランドは前屈みになりながら、そう言って俺に向かってウィンクする。

それを見ていたインディアナポリスは先程よりも更に頬を膨らませて

 

「むぅぅぅぅ!!お姉ちゃんのバカ!!」

 

そう言い捨てて走り去っていった。

いや、本当になんなんだ?

 

「あ、やっちゃったかな?指揮官、また一緒にトレーニングしましょうね?ごめんね~インディちゃ〜ん!!」

 

「お、おい………」

 

困惑する俺を置いて、ポートランドも妹を追いかけて出て行ってしまった。

………残されたのは頭に宇宙猫が浮かぶ俺ただ一人。

 

 

 

「…………走るか」

 

 

 

まるで嵐にあったかのような怒涛の出来事に、俺は考える事を止めてマッソーとの対話に戻る。

 

 

 

とりあえず、夕張印の俺専用ルームランナーへと足を進めて最高速度で設定する事にしよう。

 

 

 

間違っても腕と手に残る二人のお胸様の感触が、今になって俺の主砲を持ち上げてきたからとかそういう意味じゃないから。

 

 

 

本当だからな!!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「なんであんな事をしたの?」

 

「え〜?インディちゃんがそれを言うの〜?」

 

ケラケラと笑う私へ問い詰めるかのように話すインディちゃん。

二人揃って指揮官にキスをしたけど、キスをした場所がどうにもインディちゃんにはお気に召さなかったみたい。

こういう表情もまた可愛いなんて思うのは姉としての当然の感情なんだけど、今はインディちゃんの問いに対しての答えを言わなければならないのです。

 

「う~ん、やっぱり本気、だからかな?インディちゃんだってそうでしょ?」

 

「で、でも……お姉ちゃんのアレは………」

 

「やっぱりインディちゃんは可愛いなぁ♪」

 

「うぅぅ………」

 

私の答えに狼狽えるインディちゃん可愛い!!

そう思い、ギューっと抱きしめた。

インディちゃんは頬を赤く染めながらモジモジとしているけど、あの時の大胆なキスは本当に勇気を振り絞ったんだと思う。

 

 

 

だって………異性への腕へキスすることは“貴方に恋をしています”という意思表示なのだから。

 

 

 

ソレを指揮官が知っているかは分からないけど………たぶん知らないんじゃないかな?

こんな乙女心全開の意味なんて絶対に知らない。

でもそんな頑張るインディちゃんは可愛くてしょうがない。

うん、可愛いのは正義だから問題ないね。

 

やっぱり普段のインディちゃんも可愛いけど、指揮官に必死にアピールする乙女なインディちゃんはもっともっと可愛い!!

それこそ写真を撮って額縁に飾っておきたいくらいに。

残念なのは指揮官がそれに気が付けるほど感が鋭くない事。

薄々気が付いている部分はあるみたいだけど、それでもまだまだこの母港に在席するKAN-SEN達の想いの“重さ”に気が付いていないみたいだし………

まぁそこはこれからのアプローチしだいかなぁ?

 

「インディちゃんはやっぱりあの日から?」

 

「え?」

 

急な話題の転換にキョトンとした表情のインディちゃん。

やだ、私の妹が可愛過ぎるんですけど?

心のフィルムにその表情を焼き付けながらも努めて笑顔で愛しの妹に聞いてみる。

 

「ほら、指揮官を好きになったのはやっぱりあの……初めて出逢った日なの?」

 

「う、うん………もしかしてお姉ちゃんも?」

 

「そうだねー、私もあの日かな?」

 

「………そうなんだ」

 

そう、あの日。

あの日が無ければ私達姉妹は指揮官に、ここまで惚れ込むことは無かったかもしれない。

 

それは………この母港ができるよりも前のお話。

 

あの日は何の変化も無い哨戒任務のはずだった。

私とインディちゃんは二人でユニオン近海の哨戒を行い、セイレーンが攻めて来ないか見て廻るだけの簡単なお仕事をしていた筈だったのだ。

長い時間の航海を予定していたので、私達二人は艤装ではなく、船体を呼び出して進んでいた。

 

最初に異常が起きたのは、日暮れ時から少し過ぎた夜の闇が水平線に差し掛かった頃。

 

「きゃあ!?」

 

「インディちゃん!!」

 

私の少し後ろを航行していたインディちゃんの船体が被雷した。

敵の姿は見えず、混乱する私にも魚雷が二本突き刺さる。

そしてそこで気が付いた。

 

敵は潜水艦だという事に………

 

でも気が付いた所でどうすることも出来ない。

私達ユニオンの重巡洋艦には対潜装備は無く、しかも夜の闇が敵の魚雷の雷跡を隠してしまっているから。

そうこうしている内に次々と流れてくる魚雷。

母港へ緊急事態を知らせる信号を無線で飛ばして回避する。

被雷して海水が流れ込み、重くなった船体を必死に振り回して回避するけど……更に被雷。

 

「インディちゃん!船体を………船体を仕舞おう!!」

 

「っ!!うん、分かったよお姉ちゃん!!」

 

もはや弾薬庫に当たって爆沈しないのが不思議なくらいのダメージを負った私達姉妹は、ここで船体を仕舞って艤装を展開する事を思い付いた。

艤装展開状態なら小回りが効くし、船体を出している状態よりも被弾面積を格段に減らす事ができる。

突然の攻撃でパニック状態になってしまい、正常な判断が出来なかった事を今更ながらとても後悔した。

でも今は………インディちゃんと一緒に生き残ることを最優先に考えるのだ。

 

 

 

結果的に私達は助かった。

 

 

 

まともに動けず、いつ海中に沈んでもおかしくない状態になりながら。

 

 

 

夜闇が辺りを包み込んで側に居るインディちゃんが確認できる事以外は何も見えない。

あれ程執拗に流されていた魚雷はもう今はこちらに迫って来てはいない。

恐らく撃沈が確実なダメージを私達が負っていた事と、夜闇で照準できなくなった事でセイレーンの潜水艦は去って行ったのだろう。

暗い海の上で身を寄せ合い、いつ沈むか不安を抱えながら過ごすこの時間が………私達を苦しめた。

 

「大丈夫、大丈夫だからねインディちゃん。絶対に助けが来る筈だよ。それまで頑張ろう?」

 

「うん、頑張る。お姉ちゃんも頑張ろう?」

 

「可愛いインディちゃんの応援があれば頑張れるよ!!」

 

それが空元気である事は互いに分かっている。

でも声を掛け合わないと………不安に押し潰されてしまいそうだった。

そうして互いに声を掛け合ってしばらく経った時………最初にソレを見つけたのはインディちゃんだった。

 

「あ………い、嫌ぁ!!」

 

「インディちゃん!?どうしたの?」

 

取り乱すインディちゃんをしっかりと抱きしめながら、その指差す方へ視線を向けると………

 

 

 

そこには海面を滑るように進む三角形のヒレが見える。

 

 

 

ソレが見えた瞬間、私の意思に反して身体が震えてきた。

武装も使えず、動くことも出来ず、今にも沈みそうな私達の周囲をグルグルと回る三角形のヒレが3つ。

恐怖しない訳がなかった。

どうやら被雷した際に受けた傷から流れた血の匂いを嗅ぎ付けたサメ達。

血という美味しそうな匂いでここまでやって来たサメ達にとって、私達は格好の獲物に見えている事だろう。

 

「やだ……やだよ!!サメは嫌だ!!」

 

「インディちゃん落ち着いて!!」

 

「あの時………あの時みたいに………」

 

「インディちゃん!!」

 

必死に呼び掛ける私の声がまるで届かない。

これは後で知ったのだけど、これはインディちゃんのカンレキ………つまり船の記憶が関係したトラウマのような物だったらしい。

もはや制御出来ない感情の荒波に揉まれ続けるインディちゃんを止める術は………私には無かったのだ。

 

「助けて!!誰か………誰か助けて!!」

 

「インディちゃん!インディちゃん落ち着いて!!大丈夫、大丈夫だから………っ!?」

 

なんとかインディちゃんを宥めようと声を掛け続けて、ふと気が付いた。

 

 

 

私の足が………とても冷たい事に。

 

 

 

「あ、あぁ………お、お姉………ちゃん?」

 

「う、うそ………そんな………」

 

ゆっくりと、しかし確実に私は沈んでいっている。

それはもはや止めようのない事実だった。

 

「やだ!お姉ちゃん嫌ぁ!!沈まないで!!」

 

「………ぁ」

 

声が出なかった。

私に縋り付き、張り裂けるような叫び声を上げるインディちゃんをただ眺める事しかできない。

浮力を失った船は沈むしかない。

そんな分かりきった事が………私の思考を遮る。

 

このまま沈んでサメに食べられてしまうのだろうか?

 

KAN-SENは人とは違うとはいえ肉体を持っている。

それは生きたままサメに貪られてしまう経験をする事になる。

 

「ぁ………あぁ………」

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」

 

半狂乱のインディちゃんの声が私の呻き声をかき消す。

息が自然に浅く、早くなるのを止められない。

極度の恐怖と緊張に頭がおかしくなりそうだった。

過呼吸になり始めた私を今度はインディちゃんが力強く抱きしめる。

少しでも離せばそのまま二度と逢えなくなる、そう強く感じているように………

 

「ご、ごめんね……ごめんねインディちゃん」

 

「ダメっ!!イヤだよ!諦めないでよ………諦めないでよお姉ちゃん!!」

 

泣き叫ぶインディちゃんの涙を拭ってあげて………私は既に海面に沈んだ自身の膝から下の冷たさをどこか他人事の様に感じていた。

 

 

 

もはや助かる見込みは………無い。

 

 

 

「………………ごめんね」

 

 

 

ヒュッとインディちゃんの息を呑む音が聞こえた。

絶望という言葉を表情にすれば、こんな引き攣った表情なのだろうか?

可愛い妹に絶対にさせたくない表情をさせてしまった私は………姉失格だろう。

 

「………助けて」

 

「インディちゃん?」

 

 

 

「誰か………誰か助けて!お姉ちゃんを、お姉ちゃんを助けて!!」

 

 

 

もう大腿部の半ばまで沈んだ私を引っ張りながら、助けを求めるインディちゃんの願いが夜の孤独な海に響き渡る。

助からない。

それが分かっていても叫ばずにはいられない。

そんな思いがインディちゃんからは感じ取れた。

何度も、何度も声を張り上げて助けを呼ぶ。

私を抱きしめながら強く強く叫び続けるインディちゃんを見ながら私は…………願った。

 

願ってしまった。

 

 

 

助けて…………助けて!!」

 

 

 

聞こえる筈は無いのに。

気が付けば声に出してしまっていた。

情けなく、しゃくり上げながら声を震わせて涙を溢しながらそう声を上げてしまっていた。

ボロボロで幼い子供のように情けなく震えながら願い乞う。

妹とまだ生きていたい。

叶わぬ願いと知りながらも………そう願わずにはいられなかった。

 

 

 

 

『見つけた。任せろ、助けに来た!!』

 

 

 

 

それは艤装と共に壊れたと思われていた無線からの声だった。

突如として轟音と共に眩い光の矢が私達を照らす。

私達を囲むサメの群れに突き刺さるその光の矢は………機銃掃射。

ハッと顔を上げると、そこにはこちらに近づく一隻の小型船。

黒く塗装されているその船の船首からは、絶え間無く機銃掃射が続けられており、私達からサメの群れを引き剥がそうとしてくれている。

 

「よく頑張った!もう大丈夫だ!!」

 

船首で機銃を撃ちながら、その音に負けない大声でそう叫ぶその人は………全身包帯まみれでボロボロの軍服を着た男の人だった。

よく見ればその船は旧式の魚雷艇。

しかし、その両舷に装備されている筈の魚雷は無い。

戦時下でいつセイレーンが攻めてくるか分からない状況下で、あまりにも貧弱過ぎる装備だ。

しかし、それでも私達を助けに来てくれた事に感極まり、枯らしたと思っていた涙がまた流れ出る。

魚雷艇は滑るように私達の下へつけると包帯まみれの人が、そのまま私達の居る舷側へ走って身体を寝そべらせながらこちらに手を伸ばしてきた。

 

「お姉ちゃんを!!もう持たないの!!」

 

「了解だ!しっかり掴まれ!!」

 

「あ……」

 

インディちゃんに促されてその人の手を握る。

力強く握られたその手を引かれて船に乗せられるまで、私はその人の眼から視線を外せなかった。

だって………その人の眼差しは何かを失って、それでもなんとかしようと藻掻いているような………そんな目をしていたから。

 

「よし、次は君だ!」

 

「うん!」

 

そうしている内に今度はインディちゃんが引き揚げられる。

辛く苦しい二人だけの孤独な時間が終わった。

そう思えたら……声を上げて泣いてしまった。

そこにインディちゃんも私に抱きついてワンワン泣いた。

もう不安な事は無い。

ただそれだけで涙が止まらなかった。

 

「本当に良かった………緊急事態の信号を出した君達の捜索任務を任されて信号が消えた海域を捜索していたんだ。偶然、君達が助けを求める無線をこのポンコツが拾って、それで捜索範囲を絞って見つけられたんだ」

 

そう言って笑う包帯の人。

嬉しそうに何度も頷く。

でもよく見るとこの包帯の人に巻き付けられた包帯は、シーツか何かを無理矢理引き千切ってそのまま巻き付けたようにしか見えない。

応急処置にしてもあまりにもお粗末で、まだ治っていないであろう傷から血が滲んでいるのも見えた。

 

「誰が救難者を助けたんだ?大尉は操舵室で無線を聞いていた筈だし………って大尉!!いつの間に此処へ?駄目じゃないですか!!まだ無理をしたら傷が……」

 

「副長か、二人に何か温かい飲み物を」

 

「自分は副長じゃないですよ………俺は代理です。大尉の副長はあの人しかいませんから………温かい飲み物だったらあの人が好きだったコーヒーが残ってます。もう誰も飲みませんし………それ、取ってきます」

 

「そう……か………すまんな」

 

二人のやり取りで何となく分かった。

この人は大切な人を失ったんだって。

部下の人が離れていくのを見届けた包帯の人は、空を見上げて何かを堪えているようだった。

不謹慎にもこの様子を見ていた私は………何も知らないこの人傷ついた人を支えたいと思ってしまった。

部下から慕われて、この戦争で大切な人を失って、それでも足掻こうとするこの人を支えてみたい。

 

そう、思ってしまった。

 

そして後にこの出会いが運命であった事を私は確信する。

あの時助けてくれたあの人が、私達の大切な唯一無二の指揮官だった事に………私は神に感謝した。

 

 

 

あの時から結構な時間が過ぎた。

 

 

 

これまでは支えたいと願い、指揮官を陰ながら支える事に徹してこの母港が出来た時だって遠征なんかも率先してやってきた。

 

 

 

でもね?あの日から指揮官が傷ついたままだって知ったら………私も自分の気持ちが抑えられなくなっちゃったんですよ?

 

 

本当はインディちゃんと一緒になったら良いななんて考えてました。

 

 

 

でも………もう無理です。

 

 

 

だって………これでも私………結構独占欲が強いんですからね♪

 

 

 

貴方に惚れ込んでしまった私の想い、どうか受け取ってくださいね?

 

 

 




 
という訳で惚れ込むお話だったね!!

気が付いたら1万字超えていたよ!!

ビックリだね!!

初期から居てくれた彼女達だから作者もついつい思い入れが強くなったのかもしれないね!!

皆もそんな惚れ込む程に入れ込む事はあるかな!!

そういう事があると毎日にメリハリが付くよ!!

とても充実した毎日が送れて元気が出るんだ!!

作者の一番はアズレンだよ!!

今回はここまで!!

それじゃあ皆もマッソーマッソー!!

友人にアズレン小説書いてるのがバレて言われた一言「史実側、宇宙人に侵略されている歴史にも居るんでしょこの指揮官?それってどんな感じなん?」これはいる?

  • いる
  • いらない
  • マッソー

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