イキリショタ天狗とロリ鬼   作:/kill @e

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第1話

鬼が妖怪の山に住み始めてから何年がたっただろうか。鬼の首領である伊吹萃香はとても不機嫌だった。その理由は人間達が酒に毒を盛ったり、罠を使ったりして、正々堂々と勝負してこないのだ。鬼と人間とのスペックを考えれば、鬼との実力差は到底叶うことの無い敵のため、知恵を使うのは当然なのだが、萃香はどこで人間のことを信じていたのかもしれない。しかし、その思いもいつの頃か陰り始め、何処か人間と関わらずにいられる所に行こうかと悩んでいた。

そんな事を思いながら、紅葉が生い茂る妖怪の山を宛もなくぶらついていた萃香だったが、目の前に現れた小さな影に遮られる。

 

「何だ。ガキの鴉天狗じゃないか、私に何か用か?」

「はぁ~~?ガキじゃないが!そんな事を言うならそっちの方がよっぽどガキじゃないか!このロリ貧乳が!」

 

何か用があると思いきやまさかの喧嘩を売りにきたらしかった。だが、その事に萃香は歓喜した。このように宣戦布告してくる奴は、ここ最近見ることが無かったからでもある。

 

「喧嘩をしに来たのかい?」

「ふふん!それは違うぞ!これは喧嘩じゃない、皆が鬼のことを強い強い言うから、その称号を取りに来ただけだからなっ!」

 

ますます嬉しくなる。普通、鬼と戦うもの達は恨みや憎悪ばかりだが、このガキからは純粋な闘争心だけできてくれるのが堪らなく嬉しかった。

 

「ふふっいいよ。なら、さっさとやろうか!!」

「負かしてその余裕の笑みをかき消してやるよ!」

 

開戦の始まりは萃香からだった。まずは小手調べの軽いパンチ。軽いと言っても鬼レベルから見た軽いであり、人間からしてみれば常軌を逸した攻撃である。

それを、天狗のガキは体をそらすことで何とか躱し、カウンターに小太刀で切りかかる。が、鬼の体は硬く頑丈である。天狗如きの隋力では傷をつけることすら出来ない。

萃香は一瞬辞めようかと考えたが、天狗のここからどう挽回するかを考えている。その1ミリも諦めようとしない目を見て続けることにした。次の萃香の攻撃は更にキレの増したパンチを、顔面に向けて繰り出した。

天狗は反応は出来たが、防ぐことも出来ず吹き飛ばされ、岩の露呈した壁に叩きつけられる。天狗といえどもこんなものかと、少し落胆してしまった。

土煙が晴れ始めた頃、萃香は口を開く。

 

「まだ続けるかい?」

「当たり前だろ!ぜってぇボコボコにする!」

 

尚も色褪せない闘争心に思わず笑みが零れる。実力と言動がここまで一致しない奴が今までいただろうか?萃香は既に、悩んでいた事も忘れて喜んでいた。

少年が死なない程度の強さで腹を蹴る。

 

「もっと強くなってからまた来な」

 

少年は薄れていく意識の中でその事に言い返す事が出来ずに見悶えるだけだった。

 

 

萃香がいつもの寝床についた時、女の鬼が話しかけてきた。

 

「よう萃香。そんなにニヤニヤしていい事でもあったのか?」

「そうなんだよ勇儀!今日はいい事があったんだ!」

勇儀と呼ばれた人物は、見かけ通りにはしゃぐ萃香を見てその話に興味を持った。その話をするように促すと、満面の笑みで話始めた。

 

「面白い天狗が居たんだよ!最初はただの馬鹿なガキだと思っていたが、あの負けん気は中々良かったよ!最近の人間に足りなかったものを全部持ってる!」

 

思い出すのは本気でぶちのめした後のことだ。気絶させた天狗を見て帰ろうと背を向けた時、未だ失わない闘争心を剥き出しにして私に突っかかってきたのだ。

 

「今のは痛かったぞ!少しだけどな!!」

 

そう言う天狗は、頭から血を流し、足は震えている。その姿でああも強がるのを思い出す。

 

「それでな!面白いのはここからなんだ!何度気絶させても起き上がって吠えてくるんだ!ただの天狗がな!ただその姿がな、とても可愛いかったんだ!そのお陰で、何度も遊んでしまった!」

 

そんな天狗が今どきいるのか?と、勇儀は一瞬考えてしまうが、鬼の四天王である萃香が嘘をつくはずが無いと思い至るが、嘘だと疑ってしまう程萃香の発現は信じ難いものだった。まあ、そんなのがいるなら会ってみたいと思っていた時、幼くも、声高々に叫ぶ声が聞こえてきた。

 

「ふふん!恐れをなして逃げ帰ったのか萃香!」

 

勇儀はこの天狗か、とわかり易すぎて笑ってしまいそうだった。

 

「今日はあんたの負けだよ。さっさと帰って体休めてまた来な。私は手負いを倒して喜ぶようなタマじゃないぞ」

「俺はまだ負けてなどいない!なぜなら、俺が負けを認めるまで敗北したことにならn「グゥーー」...い」

 

大きな腹の虫が天狗から鳴る。それも無理もないだろう。萃香と戦い始めたのが昼の3時頃、完全にダウンしたのが11時頃、食べ盛りの年頃には辛いものだろう。その天狗と言うと、先程までの威勢はどこにいったのか、顔を真っ赤に染め、俯かせて黙ってしまった。

 

「「ぷっ!」」

 

二人は耐えきれず笑いだしてしまった。萃香は腹を押さえてヒーヒー言い、勇儀も必死に笑わないように堪えている。

 

「っ!帰る!!」

「身体気おつけろよ〜w」

 

萃香は散々煽られても飄々とした態度だったが、イラついていない訳じゃ無かった。なので今、めちゃくちゃ煽ろうと決めた。

 

「特にお腹な〜ww」

 

萃香がイキイキとした表情で煽っているのとは反対に、天狗は顔をトマトの様に赤くさせ、今にも破裂しそうな程だ。

天狗が寝床から去って程なく、漸く笑いが収まった鬼二人は、先刻の天狗について話し合っていた。

 

「そういや名前って聞いたのか?」

「あっ」

 

 

 

 

 

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