かなでの碁   作:ヴィヴィオ

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書けと言われて書いた。後悔はしていないが、書いている最中にずっとによによしっぱなしだった。黒幕は二人だ。


第14話

 

 

 

 

 ヒカルと一緒に学園祭で指導碁を行っていく。休憩時間にはヒカルと一緒に模擬店とかを楽しむ。お化け屋敷では怖くてヒカルにずっと抱き着いてた。楽しい時間はあっという間に過ぎて、いつの間にか私は眠っていた。

 

「んっ……」

「起きたか」

「ヒカル、ここって……」

「見覚えあるだろ」

「うん……懐かしい」

 

 回りにはヒカルの後ろで佐為として住んでいた場所。ヒカルの部屋。私はヒカルのベッドで寝かされていたみたい。窓から外を見ると、日が暮れて夜になっている。

 

「ごはんの準備……」

「ここは実家だからな、別にいいぞ」

「そっか……あっ、挨拶しないと……」

「そうだな」

 

 両手を差し出すと、ヒカルが抱き上げてくれる。そのままヒカルの首筋に顔を埋めてすりすりする。

 

「くすぐったいって」

「嫌?」

 

 ヒカルが嫌だったら、止める。嫌われたくないから。嫌われたら悲しくなる。

 

「嫌じゃないから、泣きそうな顔をするな」

「あうっ……ん~~」

 

 頭を撫でてくれるヒカルの手は大きくて気持ちいい。ずっとこのままでいいかも。そう思っていると、扉が開いて閉じた音がして階段を急いで降りる音もした。

 

「……」

「?」

「なんでもない。降りるぞ」

「あ、鞄」

「ああ、わかった」

 

 ヒカルに鞄を取って貰って階段を下りていく。怖いので、しっかりとヒカルに抱き着く。

 

 階段に入って、リビングに入る。

 

「ヒカル、アンタには色々と聞きたい事があるの」

「うんうん、その子との関係とかね」

「あっ、ああ」

 

 ヒカルに椅子に座らせてもらった後、隣にヒカルが座る。私はヒカルの服を掴みながら、前を向いて両親を見る。

 

「えっと、この子は……」

「かなで、です……ふつつかものですが、よろしく、おねがいします」

「おいっ」

「「っ!?」」

 

 頭を下げてから、緒方さんに事前に言われたように鞄からお土産を取り出す。

 

「ヒカルっ、あんたまさかっ!」

「誤解だっ!」

「そうだよな、ヒカルにはあかり君が……」

「これ、つまらない、ものですが……」

「あら、これはどうも……って、これは……」

「高級店のじゃないか!?」

「これ、から……すえ、永く……お世話になる……ので……」

「待て、誰に言われた。誰が用意した?」

「緒方、さんと明子、さん……だよ?」

「緒方さんの差し金かっ!!」

「いや、なの……? うぅ……ひかるは、私とずっと一緒は……いやなの……約束したのに……色々、したのに……」

 

 涙がぽろぽろと流れてきて、膝を掴んでうつむく。

 

「ヒカルっ、こんな小さな女の子を泣かせるなんて男らしくないぞっ!」

「それに手を出しておいて捨てるなんて……」

「いや、ちがっ……」

「……お風呂っ、一緒に入ったり……キスもして……寝ながら朝まで、ずっと……ベッドで色々したのに……」

「「ひかるぅぅぅぅぅっ!!」」

「まっ、待ったっ! 絶対考えている事と違うっ!!」

「ヒカル、父さん話がある。母さん、任せるぞ」

「ええ、任せて。大丈夫よ。ちゃんと責任は取らせるからね」

 

 お母さんが抱きしめて撫でてくれる。明子さんと同じでお母さんみたいで温かい。

 

 

 

 少しして、部屋から出て行ったお父さんが戻って来た。

 

「かなでちゃん、悪いんだけど君のお父さんへの連絡先を教えてくれるかな?」

「ん、いいよ」

 

 携帯を取り出して、お父さんの番号を渡す。

 

「あなた、一旦かなでちゃんから掛けて貰った方がよくないかしら?」

「おっと、そうだね。掛けてくれるかな? そして、お父さんに大事な話があると……」

「う、ん……」

 

 電話を掛けると少しして繋がった。

 

『かなでか、どうしたんだい?』

「お父さん、大事な話があるって、お父さんが」

『いや、よくわからないが……どういう事だ?』

「かわるね」

『ああ』

「ん」

「ありがとう。初めまして、私は進藤ヒカルの父親で……はい、はい……実はこの度、うちの愚息が……」

 

 お父さんは部屋から出て行って何か話し合っている。

 

「かなでちゃん、お菓子でも食べてようか。それとも……」

「夕飯、作る」

「え?」

「ヒカルのご飯、私が作る」

「あらあら、ヒカルの事が好きなの?」

「大好き」

「そう。少しジュースでも飲んで待っててね。おばさん、少し席を外すから、戻ったら一緒に作りましょう」

「うん」

 

 お母さんが出ていって、お父さんに何か話した後、戻ってきて一緒に料理を作っていく。

 

 しばらく料理をしていると、お父さんが携帯を持って来た。

 

「お父さんと話してくれ」

「うん。お父さん」

『ああ、かなで。かなでに聞きたい事があるんだ。ヒカル君の事だが……これからずっと一緒に居たいのかい?』

「うん」

『彼になら何をされてもいいのかい? こう言ってはなんだが、男は狼だからね。かなでみたいな可愛い子は食べられちゃうよ』

「いいよ。ヒカルになら」

『彼の事を好きなんだね』

「大好き」

『わかった。もう一度変わってくれるかな?』

「うん。はい」

「ああ、ありがとう」

 

 それから、こっちのお父さんは電話越しにもペコペコしながら話していた。少しして、お父さんが出て行ってからヒカルと一緒に戻ってきた。私はヒカルに抱き着く。

 

「いてて、ひどい目にあった」

「どうしたの?」

「ああ、ちょっとな」

 

 手と口に何かの跡がある。どうしたんだろ?

 

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。緒方さんには絶対に文句を言わないとな……裏で糸引いてるの、絶対あの人だ」

「料理が出来たわよ。席について」

「ああ」

 

 私はヒカルにお世話して貰いながら、楽しい食事をした。食事の後、お茶をゆっくりと飲んでまったりとしていると、お父さんとお母さんが真剣な顔をして話してきた。

 

「ヒカル」

「ん?」

「かなでちゃんと婚約する事になったからな」

「は? 誰と誰が?」

「何言ってるのよ。ヒカルとかなでちゃんに決まってるでしょ」

「えええええええええええっ!?」

「これは決定事項だ。しっかりと責任を取りなさい」

「いや、それは誤解で……」

「どちらにしろ、女の子の裸を見て、触ったりしたんでしょ。責任を取るのが当然よ」

「いや、それは……確かに触ったけど」

「?? 婚約?」

 

 小首を傾げる。

 

「ええ。かなでちゃんが大きくなったらヒカルと結婚して、夫婦としてずっと一緒にいるって事よ」

「夫婦? お母さんとお父さんみたいに一緒……」

「かなでの気持ちもあるだろ。それは……」

「私、ひかると夫婦になるよ」

「え? いや、わかってるのか?」

「ヒカル、大好きだから。ヒカルは嫌?」

「……かなで……あっ、あかりが言っていたのってこういう事か。ってなると、もしかして緒方さんだけじゃないな。明子さんと名人もかかわっている可能性が……」

「ひかる?」

「わかったよ。16になったら、結婚しようか。他の人に取られると思うと無茶苦茶いらつくし」

「うん♪ 私は私達を解放してくれたひかるのだよ」

 

 ヒカルに抱き着いて身体を擦りつけて、匂いをつける。明子さんの言う通りにして良かった。これからもずっとひかると一緒にいれる! また別れるのなんて絶対に嫌だから。

 

 

 

 

 

 

 


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