ヒロアカの世界(if) 作:過食
初投稿
目の前にある花を優しく、丁寧に、摘む。
しかし、その名もなき花は、その手に触れた途端萎れて、枯れてしまっていた。
彼は独島。
個性【毒】
吐息は毒霧となり、ものに触ればそのものはたちまち毒に侵される。
独島自身にも、その毒は影響していた。
頬を掻くと毒で染みたり、その程度だか、目を擦った時は失明するほど痛かったという。
最も、この毒の厄介な所は、自分で毒の調整が出来ないということだった。
そのため、独島は孤立した。
そんな中育っていけば、当然グレた。
授業はサボり、親の言う事なんて聞く耳も持たない。
そんな中、彼を気にかけていたのは、一人の女の子だった。
彼女は無個性という、この世界では虐げられる人間だった。
しかし、独島も彼女の無個性というのはどうでもよかった。
同じ人間がいればいいと思っていた。
「ねぇ、独島。あんた、高校いくの?」
「…行かねぇ。なんで聞いた?」
「いや、私は行くから」
「ん?そうなのか。てっきり俺は、お前は中卒だと思っていたわ」
「あんた、私馬鹿にしすぎでしょ」
半眼で睨んでくる彼女に、独島はどう対応すればいいか困っていた。
「まあ、でもそうか」
「そうだよ」
「まだ何も言ってないよ」
公園とトイレ裏。ひと目がない場所で、彼らは他愛もない会話をずっと繰り返していた。
たまに、タバコやお酒をやったりもしていたけど、合わなかったらしく、すぐにやめた。
それに二人ともそんな事がしたいため、ここに居るわけではない。
ただ、この時間が二人とも好きだった。同じ様な境遇。
そこだけに共感し、意気投合していた。
「独島はいいよね。個性あって」
ぽろりと、彼女が漏らした言葉だった。
彼女も、悪気は無かったのだろう。けど、その言葉は、独島に酷く響いた。
「この個性がいいって?」
「いや、あの。ごめん」
「こんな個性、いらねぇよ…」
今度は、彼女に響いた。
「私、無個性だよ!個性あるぐらいマシってもんでしょ!」
「うるせぇ!んなもん知らねぇよ!この、無個性が!」
その言葉が決定打となり、彼女はその場を去って行った。
独島は、それを、ただ見ているだけだった。
そして、二人とも月日がながれ、卒業の日だった。
彼女からメールで、あの場所へ。とだけ来ていた。
独島は、走って向かっていった。
彼は、これが最後だと思ったのだ。
あの場所につくと、彼女が待っていた。
「走ってきたの?もっとゆっくり来ると思ってた」
「お前…」
彼女は前と変わっていた。
髪を染めず、ピアスもつけず、至って中学生と言う格好でいた。
「これで、合うのが最後だよ」
「あのね、独島。あの時、私…」
「もういいよ。あれは。お前も、俺も、若かったんだよ」
「何よそれ」
ふっくらとした笑みで、彼女は独島に笑いかけた。
「独島。ありがとう。あの時があったから、今の私がいる。全ては運命だったんだよ。きっと。こう、別れる事も。さよなら。独島」
彼女は泣きそうな声でそういった。実際泣いていたのだろう。それはわからなかった。
独島は帰っていく彼女をずっと見ている。
はずだった。
独島は、彼女の手を握っていた。
「あっ」
毒に侵される。そう思い、独島は手を離した。
「なんだ、毒、制御できるじゃん」
彼女は毒に侵されず、普通の肌色でいた。
「………また、会いに来るよ」
「トップヒーローになって」
彼女、
そして、ちょっぴり泣いていた。緑の瞳から落ちる涙をみて、独島も泣いてしまっていた。
彼はもう、一人じゃなかった。
1+1=2