「〜♪」
今日は久し振りに配達の仕事が入った。
それなりに離れた小さな町だ。少し時間が掛かるだろう。
口寂しさにタバコに火を付ける。
「〜♪……あん?」
地面に大量の足跡?
んー.ちょっと気になるけど、もし戦闘になった時に流石に俺一人で相手にするのは厳しいか?
それに町からも離れてるし、関わらない方がいいだろ。
「無視無視。」
どうせレユニオンかどっかに移民の集団だろ。
「レユニオンだよ……。」
町に行くのにどうしても通らなくちゃいけねぇ場所で野営を敷いてるみたいだ。
「なんだってこんな所に……。」
野盗の真似でもして通る人間を襲ってんのか?
危険だから出来りゃどっかにやりてぇところだけど。
「人数多過ぎんだろ。」
雑に数えて五十人規模か?
こんなん相手にするっつーと奥の手や秘密兵器も出さなきゃいけねぇから今回の仕事の報酬含めても赤字だ。
「しゃーねぇか。コソコソと通り抜けさせてもらおう。」
ほんっとこういう時はアーツが使えたらって思っちまう。
夜まで待ってから移動するか。
それまでこっそりタバコ吸っとこ……煙でバレないよな?
「見張りが何人かだけか。」
これなら闇に乗じて抜けられるはずだ。
物資やテントの後ろに隠れて移動する。
見つかりそうだったり、絶対に通らないといけねぇ所は後ろから近付いて首にナイフを突き刺してサクッと殺す。
「……結構集中するから疲れるな。」
額の汗を拭う。これなら普通に戦う方が楽しいし、良いな。
「ん?」
「やべっ……!」
腿に入れてたナイフを投げると喉に刺さる。
あっぶねぇ、見つかるところだった。
「早く通り抜けねぇと……。」
危険手当でもうちょっと報酬貰うからな!くそったれ!
「やっと通り抜けた……。」
通り抜けた先の岩陰に座り込む。
思ったよりも大きな野営だったな。なんでだ?
「さてと、配達の続きだ。
俺、龍門に帰ったら風俗行くんだ。」
「そう、帰れると良いわねぇ。」
ゾッとして前方に大きく飛んで地面に伏せると後ろから爆風が流れてきて何度か地面を転がる。
「いってて……なんだってんだよ。」
服の砂埃を払っていると奥から銀髪のサルカズの女性が現れた。
「あら、生きていたのね。」
「……やあ、お美しいレディだ。よろしければ今度一緒にお出掛けしませんか?」
「嬉しいわ。でも、口調だけ紳士にしてもレディを前にして目と思考が逃げ道を探しているんじゃ、紳士失格ね。」
しくじった……!女性がグレネード投げて来たがハンドガンで空中で爆発させる。
「ヘイ、レディ!先にお名前を教えてもらっても良いかい!」
「それなら自分から名乗るのが普通じゃないかしら?」
「そりゃそうだっと。」
喋ってる最中に投げてくんなっての!
「俺はトランスポーターのラックと申します。先の非礼はお許しくださいな?」
「ラック?そう……アンタが。
予定が変わったわ。一緒に来てもらうわよ。」
「デートのお誘いなら大歓迎ですが、今は配達中ですのでご勘弁を。」
さーて、どうする?爆発音と発砲音でレユニオンの連中が来るかもしれない。
「焦ってるわね、隙だらけよ。」
目の前にグレネードが落ちて爆風と土煙が立つ。
「くっそ、爆発物とか連続で投げられると間に合わねぇぞ!?」
右からの衝撃で吹き飛ばされる。
「あったまきた……ぜってぇ、泣かす!」
刀を抜き取りハンドガンと構えると駆け出す。
「可愛い顔に傷が付いても文句言うなよ!」
「あら、可愛いのは認めてくれるのね。」
「当然ッ!」
刀を袈裟斬りに振り下ろすが、バックステップで避けられる。追撃しようとするとその場に残されたグレネードを見て反射的に後ろに下がる。
「っくそ、戦いづれねぇな!」
ハンドガンを撃つと走って避けられるし、マガジンを替えてるとグレネードが投げられる。
「赤字確定かよ!」
カキッと口の中のカプセルを吹き出す。
「煙玉……面白い事するじゃない。」
「そらよっ!」
大きく跳んで大上段から刀を振り下ろす。避けられた、と思ったが頬に薄く切り傷が入ったみたいだ。
「よっと!」
腹を蹴り飛ばすと吹き飛ぶ。
「おら、どうしたどうした!そんなんじゃ捕まってやんねーぞ!」
パンパンと両手を鳴らして挑発する。
「っ、やったわね。」
こっちを睨んでくる。美人ってのはこういう時に迫力が出るな。
「お〜っ、こえぇこえぇ。」
怖がる振りをしていると火炎瓶が大量に降ってくる。
「なにっ!?」
「あの男を捕らえろ!」
「まずった……!レユニオンの連中が動き出したか!」
逃げねぇと、そう思っていると、石が降ってきた。
「……まさか。」
石がどんどん大きくなっていき、周囲一帯に降り注ぐ。更に急に冷え込んできた。
「天災かよっ!?」
その間もレユニオンの兵士が攻撃をしてくる。
「てめぇら、命が惜しくねぇのか!?」
レユニオンの連中がここまで狂ってやがるのは、ちょっと誤算だぞ!?
「くっそ!?」
レユニオンを斬り捨てながら走り回る。せめてどっかに隠れられるところがあれば良いんだけどな!
「ッチィ!邪魔だ!」
重装兵の肩に飛び乗ってヘルメットを剥ぎ取って顔面を刺し殺す。
着地すると同時にアーツの光に吹き飛ばされる。
術士もいんのかよ!?
「てめぇら、とっとと退け!退きやがれぇ!」
遠くの術士の頭を撃ち抜く。やばっ、今のが最後のマガジンかよっ……!
もっと持ってくるべきだったか。
「っづあっ!?」
隕石の衝撃に巻き込まれて岩に頭をぶつけて意識が飛んだ。
「……あぁっ。」
さみぃ……目を覚まして周りを見渡すと周囲一帯が銀世界に変わっていた。
荷物は……なんとか無事か。
「どっか、寒さと風が凌げる場所……。」
ガタガタと体を震わせて雪の中を歩く。服に染み込んだ雪で凍えそうだ。更に歩くと靴の中に雪が走ってくるし、歩きづらくて体力も消耗する。
「ハァー……ハァー。」
寒冷地仕様の装備じゃないからどんどん体温が落ちていく。
「っ、洞窟……。」
あそこに辿り……着けば……辿り……た……ど、り……。
ドサリと地面に倒れ、雪が体に積もっていく。
「……もすてぃま……えくし、あ……わりぃ。」
ゆっくりと視界が閉じていき闇に落ちた。
……あれ、生きてん、のか?
パキリと薪の弾ける音が聞こえる。
下には人が一人分転がれるサイズのマットが敷いてあって、毛布が上からかけられていた。これ、俺の装備か。
毛布を剥ぎ、ゆっくりと起き上がろうとすると、動きが止まる。
「あら、起きたの?」
すぐ横にあのサルカズの女性がいた……何故か全裸で。
「てめっ……!?」
手元に武器がねぇ……!
「装備と服なら、あっちで乾かしてるわ。」
指を向けた方に装備があった。
「……何が目的だ?」
「目的って程じゃないけど、凍えるくらい寒いじゃない。アンタだって外で倒れてたくらいだし。」
「だからって、俺を助ける理由にはなんねぇ。」
「なんとなく……いえ、ちょっと暖を取ろうとしただけよ。火より人肌の方が暖まるわ。」
「それは分かるけど……。」
納得は出来ない。さっきまで殺し合ってたんだぞ。
「それとも何?アタシと寝るのは嫌なの?」
目を見る……別に嘘が見分けられる訳じゃないが、助けてもらった恩もある。
「はあ……わかった。今回はお互い湯たんぽだ。
お前、名前は?さっきは教えてくれなかったろ?」
毛布にくるまり、女性を抱き寄せる。……良いおっぱいをお持ちで。
「そうだったわね、アタシはW、傭兵よ。」
W?随分変わった名前だ。
「それにしても、それが本来の喋り方?」
「当たり前だろ……女性を口説く以外にあんな口調めんどくさくてやってらんねぇ。」
「ふぅん、アタシはその喋り方のが好きよ?」
「はっ、そうかよ……。」
抱き寄せたWの肌が俺と重なり、体温が溶け合うような感覚がする。
いけね、まだぼーっとしてんのか。しっかりしろ。
「……アタシのお尻、触ってるんだけど?」
「っおっとぉ……こいつはこいつは、悪い手だ。」
ペチペチと左手を右手で叩く。
するりと胸に手を置かれ、Wが胸にキスをする。
「……生存本能ってやつかしらね。柄でもないわ。」
「そりゃあ、俺も同意だ。」
手首を掴んでキスをする。
息が動いても無いのに荒れて、心臓が昂る。
「さっきまで敵だったとしても、本能ならしょうがねぇ。」
「そうね、しょうがないわ。」
ああ、本当に嫌になる。こんなさっきまで殺し合ってた女とヤるなんて。
ガバッと覆い被さり、手首を強く握り、マットに押さえ付ける。
ああ、女にこんな乱暴しちまうなんて。
っと、ゴムがねぇと、確か常備してたのが……。
「良いわよ。今日は……大丈夫だから。」
プツッと何かが切れ、貪るように唇を奪う。女性の事をまるで考えない、自分勝手にキスをする。
「ふーっ……じゅるっ……。」
「んっ……ふふっ。」
誘うようにWの目が弧を描く。
こ、いつ……!!
右手を離して頭を掴んで力強くマットに押し付ける。まるで、自分が上だと言うように。
「この、生意気な女だ……!」
「あはっ……あははっ!良いわ、これがアンタの本性なのねっ!女を物みたいに扱って、全部自分の思うままにする事がアンタの本当の姿。」
「うるせぇ、黙ってろ!」
首から下に下がりながら至る所に自分のものだとマーキングするようにキスをし、噛み付き、跡を残す。
獣のように交尾をする。他の人が見たらまるで女性が野獣に襲われているかのように見えるだろう。
相手を愛さず、優しさ等与えない。自分が気持ち良くなるだけの行為だ。
普通の女性なら悲鳴を上げたっておかしくない状況でWが笑みを浮かべ、それを見て簡単に頭に血を上らせた俺が激しく動く。
そのまま何時間も交尾は続いた。
「……っ!」
自分の頭を押さえる。ああ、なんて最低だ。
「とても素敵だったわよ。理性的じゃなく、欲望に任せてアタシを蹂躙する姿。」
体の上のWがキスをする。
二人とも汗だくで互いの臭いが混じりあっている。
「うるせぇ……。」
無気力感に包まれたまま返事をする。
今度はWが俺の上で好き勝手していた。
別にこいつは俺を好きでもなんでもない癖に、俺を労るように、優しく受け入れ包み込むように、まるで毒に蝕まれていくような感覚だ。
前に、ラップランドが言ってたのは、こういう事だったのか……?
「アンタの本性は私が受け止めてあげるから、安心しなさい。私と、一緒に来なさい。」
頭を抱き寄せられ囁かれる。ダメだ、このままだとポッキリと折れて、決定的に俺が変わってしまいそうだ。
震える口を開く。
「は、離せ……。」
「そう、アンタが望むなら。」
そう言うとあっさりと離れる。
「天災も収まったみたいだし、もう外に出ても大丈夫そうね。」
「え、あ……そうか……。」
「早くこんな所出ましょう。」
服を着て、装備を整えると外に出る。
こりゃあ、酷い有り様だ。
「ここで、お別れね。本当に一緒に来ない?」
手を差し伸べられる。
心が大きく揺れて、手がピクリと動く。
「……いや……行けない。」
Wの目が見れない。どこかで迷ってんのか。
「……それじゃあ、次は別の戦場で会いましょう。」
最後に軽くキスをされて、Wは歩いて行った。
「また、な。」
俺は、彼女とまた出会った時、本当に戦えんのか……?刀を、銃を握れるのか?
Wの去って行く背中に軽く手を伸ばしながら、その背中が消えるまで見送ってから、配達に戻った。
・今日の一幕
「はあ……。………………はぁ。」
談話室で一人頭を抱える。
ああ、ムカつく。なんたって俺はあんな風に……。
「ックさん……ラックさん!」
「っおお、アーミヤか。悪ぃ、なんだっけ。」
「大丈夫ですか?酷く悩んでるみたいでしたけど……。」
「ははは、なんでもねぇよ。少なくともアーミヤには相談しにくいな。」
くしゃりと頭を撫でる。力加減、大丈夫だよな?
「本当ですか……?」
「おうよ。そうだ、気分転換にこの前見付けた猫の動画でも見ないか?
リフレッシュは大事だぜ?」
「えと……じゃあ少しだけ。」
心配そうにしながらも気になったのか俺の隣に座る。
パッと通信端末を開くと━━━━━━
「んなっ……!?」
「きゃっ……!?」
俺がWに覆い被さってヤッてる最中の写真が待ち受けにされていた。しかも、Wはカメラ目線で笑ってキスをしてウインクをしていやがる。
「こ、こここれは……!」
「あ、あの……ひゃうっ……!」
アーミヤが自分の体を抱き締めて俺から離れる。
「ち、違うんだ!今のはちょっとした間違いで、俺も知らなくてだな!?」
「嘘です!どうしてその人と一緒にいて……そ、その……エッチな事をしているんですか!」
「ばっ!?大きな声出すな!?」
口を手で押さえて、壁に押し付ける。
「むぅー!!!」
バタバタと何人かの走る音が聞こえてドアが開く。
「ラック!?アーミヤに何をしているんだ!?」
テキサスにラップランドとリスカム、奥にはエンシオとマッターホルンがいる。
「い、いや、これは……ご、誤解だ!」
パッと手を離す。
「ド、ドクター!ラックさんがレユニオンと繋がってる可能性があります!」
「ぶっ!?」
ばっか、なんて事言いやがる!?
「どういう事だ……?」
「ち、違うぞ!?ちょっとこの前天災が起きた時に一時手を組んで避難してただけで……。」
「じゃあ、どうして……せ、せい……性行為……をする必要があったんですか!
ドクター、ラックさんの端末の待ち受けが……あの、あれをしている写真でした!」
「?よく分からないけど、見せてくれ。」
「OKOK、じゃあ、見るならせめて男だけにしてくれ、ちょっと繊細な……」
パシッとラップランドに端末を奪われ、テキサスとリスカムが覗き見る。
「……へぇ。」
「ほう。」
「こ、こここれは一体……。」
「なんだ?」
ドクターが遅れて端末を見ると頭を抱える。
エンシオとマッターホルンがやべぇやつを見る目で俺を見る。こいつらはなんだかんだ付き合い長いから俺の事分かってるんだろうけど腹立つ。
「いや、俺は悪くないんだって……ちょっと間が悪かったっつーか、天災が悪かったっつーか……。」
「確かにまあ、男女のあれがあるとは分かるが……悪いが、少しの間だけ監視を付けさせてもらう。」
「OK、それで疑いが晴れるなら本望だ。」
両手を高々と上げる。
「で?誰が監視するんだ?レッド?どっかの隊?エンカクでも貼り付けるのか?シュヴァルツってのもあるか。」
「そうだな、出来るだけ実力がある人物を置いておきたい。」
「ボクがやるよ!大丈夫、ラックの扱いは分かってるから。」
「私がやろう。私ならラックと戦っても負けはしない。」
「二人がやってくれるのは助かるが、ラップランドはともかく、テキサスは大丈夫なのか?」
「直近の仕事はないはずだ。」
「じゃあ、後で決めると時間掛かりそうだから二人に任せよう。一応、この話はここの人間だけの内密にしてくれ。」
「ああ、分かった。」
俺だってあの写真を誰かに見せたいとは思わない。
「よし、じゃあこの話は終わり。」
パンッとドクターが手を叩くと各々解散していく。
ちょっとめんどくせぇけど、まあ、なんとかなって良かった。小腹減ったし、食堂でグムに何か作ってもらおう。
「あん?」
肩をガッシリとテキサスとラップランドが掴む。
「な、なんだよ?」
「少し話がある。」
「ちょっと、話そうか?」
「……腹減ったんだけど。」
ずるずると襟を引き摺られて俺の部屋に入れられる。
「お、怒ってる?」
「アハハ、怒ってる?おかしな事を聞くじゃないか。」
「ラップランドはともかく、私は冷静だ。」
「……すみませんでした。」
俺の監視は土下座から始まった。
次にWが出てくるのはうちのロドスに実装されたらじゃないすかね。
最近ネタが無くなってきたんでラブコメとかギャグ漫画読みます。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん