「…………。」
今日も今日とて監視日和。
ずっと引き摺られている。
「なー、そろそろ落ち着けよ。」
ずっとテキサスとラップランドの機嫌が悪い。
別に返事はしてくれるんだけど、なんか怒ってる感じだ。
「ボクは落ち着いてるよ。」
「気にするな。」
他の奴らからも何かあったのかって聞かれて困る。
自室に戻ったら戻ったで両隣に座られて撫でたりあーんを要求させられたり色々させられる。
立ち上がると手を掴まれて強制的に座らされる。
ラップランドは俺の膝で寝るし、テキサスはずっと俺の手を舐めたり齧ったりし続ける。逆剥けしそうだ。
疑われるのは勘弁したいから監視を付けてもらったけど、エンシオ……は難しそうだからマッターホルンにでも頼めば良かったか?いや、野郎とずっと一緒とか嫌だわ。
「テキサス、あんまり舐めるな。溶けちまう。」
テキサスの口から指を引き抜こうと手を掴まれる。
「テキサス。」
頭を掴んで外そうとすると鋭い歯が刺さる。
「いだだだだっ!?」
頭を離すと歯を抜かれた。
さっきまで刺さっていた所を舐められる。傷口が見えねぇけど血が出たのか……?
「パウンドケーキ作ってきたよ!
グムは呼ばれてるから一緒にいられないけど、気持ちはいっっぱい込めたからね!」
「グ、グム!」
救世主!今度一緒に料理しような!
「おい、俺の指咥えてたらケーキ食えねぇだろ。」
手を引っ張るとちゅぽんっと指が抜ける。
「うわ、シワシワ……。」
やっぱり血が滲んでるし。
「こら、テキサスてめぇ。」
「私は悪くない。」
ふいっと横を向く。
「この口が悪いのか?ああ?」
片手で口を掴み揺さぶる。
「ラック。」
ラップランドに呼ばれて下を向く。
「あー。」
「……ああ?」
「あー。」
食わせろって事かよ。
こいつらマジで我儘過ぎだろ。
切り分けられたパウンドケーキを一口大に切って食わせる。
「んっ、美味しいね。」
「行儀悪いぞ。」
「良いでしょ?」
そう言いながら腿に頬ずりする。
「でかい狼二匹飼ってるみてぇだ……。」
「ペットには愛情を注がなきゃ、もっとボク達を愛してよ。」
テキサスが無言で手を握る。
「あー、はいはい、分かった分かった。」
雑に返事をしてケーキを食べる。
ん、美味い。
「……はむっ。」
……テキサスにケーキを取られた。まだ一口しか食ってねぇんだけど。
「おい、お前それ俺が食ってただろうが。」
「ラック。」
「ああ?」
「あーん。」
「ラップランド、お前もいい加減……。」
今日はしゃーないかと思ってケーキをラップランドの口に突っ込む。
食ってる間は静かだから良いか……あれ、ラップランドよりもテキサスの方が我儘?
「私にはしないのか?」
「あ、ああ。」
口にケーキを入れると手を掴まれて指まで食われた。
「おいこら。」
指まで舐めるな。
このままじゃ休まる時間がない。
『ドクター、チェンジ。』
『うちにはそういう制度はないんだが……。』
『風俗じゃねーよ。』
「そんなもの見ないで、ボクを構ってよ。」
端末を取られると手を取って頬に当てる。
「…………あー!流石に邪魔くせぇ!」
バッと両手を上に上げる。
「お前ら、訓練室行くぞ。俺が勝ったら監視を変えてもらうからな!」
ラップランドを起き上がらせて刀とハンドガンを取る。
昨日の事だってまだ整理出来てねぇんだよ。
「チッ……!」
ラップランドとテキサスが左右に別れて走る。銃を撃っても弾かれるか躱される。
「なんだかんだコンビネーションはバッチリかよ!」
二人とも二刀流で遠距離攻撃持ってるからどうしたもんかな。
「しゃーねぇ。」
腿のナイフを抜き取って変則的な二刀流にする。受けるだけならいけんだろ。
ラップランドが遠距離から援護して、テキサスが低い姿勢で斬り込んで来る。
「ふっ……!」
テキサスの剣をナイフで受け流す。ああ、やっぱ戦い慣れてんな、姿勢が崩れねぇ。
「ボクも忘れないでよ!」
「うっせぇ!」
刀で受け止めて片手で投げ飛ばしてテキサスにぶつける。
いつものカプセルを二人に向けて吐き出して煙を出す。
あっちからは見えねぇはずだ。
「甘い。」
「……うっそだろ!?」
俺を囲むようにアーツで出来た剣が突き刺さる。
「アハハッ!これで終わりにしないでよ!」
ラップランドの首を狙った一撃が迫る。
「やられるかよっ!」
剣を足場にしようとジャンプして足を掛けると剣が消える。
「その動きは、前に見た。」
俺の上を跳んだテキサスが俺を地面に叩き付けると首に剣を当てる。
「詰みだ。」
「あー……クソッ!」
なんで動きが分かった。あの時は俺の位置なんて分かるわけが。
「お前は、タバコの臭いが強い。」
「……チッ、そういう事かよ。」
臭いであんな正確な攻撃してくるとか、マジかよ。
「サルカズの女と何があった?」
「……なんだかなぁ、自分がよく分からなくなっちまった。一瞬でもWに着いて行きてぇって思っちまってよ、次に会った時アイツと戦えんのかって頭の中でずーっと考えてんだ。
気に入らねぇ、気に入らねぇ気に入らねぇ!こんな悩み、俺じゃねぇんだよ!
俺も、Wも気に入らねぇ!ふざけやがって!俺をこんな悩ませんなよ!」
あー!イライラしやがる!
「次だ、次に会った時は俺がアイツにと一緒に行くんじゃねぇ。アイツに俺と着いて行きたいって言わせてやんだからな!クソッたれ!!」
地面を何度も叩いてガキみてぇに騒ぐ。悩みを全部晴らすくらいに叫ぶ。
肩で息をして、起き上がる。
「……部屋戻るぞ」
「満足したか?」
「あー、そうだな。」
ため息を吐いて近くに寄ってきたラップランドの頭を撫でる。
「テキサス、行くぞ。まだ部屋にグムのパウンドケーキがあったろ。みんなで食おうぜ。」
さっきまでキレてたのが馬鹿みてぇだ。甘いもん食って落ち着こう。
「うん、美味い。」
「良い味だ。」
「シルバーアッシュ様。ドクター。アーミヤ。チェン。紅茶のおかわりは如何ですか?」
「いや、私はまだ良い。」
「じゃあ、俺はもらおうか。」
「私もお願いします。」
「私ももらう。」
部屋に戻ると、ドクターにエンシオ、クーリエ、チェンが部屋でパウンドケーキを食べていた。
「……っすー。」
「ん、ああ、ラック。さっき急に連絡来てて様子を見に来たんだ。そしたらこれだけあって誰もいなかったから待ってたんだ。」
「なぁ……それ、今から俺らが食おうとしてたんだけど?」
「えっ。」
ドクターが全員と目を合わせる。
「グムが俺の為に作って持ってきてくれたんだけど?」
「ふむ……。」
「あっ……!」
エンシオが最後の一切れを食べる。こんにゃろ……っ!
「今度代わりに菓子を買ってやるから我慢しろ。」
「ガキか俺は?その尻尾の毛全部毟るぞ。」
「では、僕が何か作ってあげよう。」
「クーリエが?」
「何か不満が?」
「あー……じゃあそうだな。オペラとかガトーショコラみたいなチョコ系作ってくれ。」
「同じのじゃダメか?」
「詫びなんだろ?そのくらいやってくれても良いじゃねぇか。それにテキサスがいるならチョコのが良いだろ。」
「はぁ……分かった。では、シルバーアッシュ様。僕は少し席を外します。」
「世話を掛ける。」
「いえ。」
クーリエがどっか行くと俺らもテキトーに座る。
「んで、何の用だったんだよ。」
「ああ、そろそろ監視も良いかと思ったんだ。ずっとテキサスとラップランドに連れられて何も出来ないとはいえ、何かする気も無さそうだったからな。」
「そりゃいい。やっとゆっくり出来そうだ。」
「ボク達が一緒だとゆっくり出来ないのかい?」
ラップランドは文句を行ってくるけど、テキサスは一口チョコ食べながら耳と尻尾が垂れ下がっている。
「違ぇって、俺だってプライベートな時間がほしーの。」
「録な事に使わなそうだ。」
「うるせぇなぁ。」
……まあ、ちょっと?夜のお店に行こうとしてるだけだし?
「なら、ボクが相手してあげるよ。」
目が全力で泳ぐ。それは確かに魅力的ではあるんだけど、今ここで言うと俺の立場がちょっと危うくなるっつーか、今まで放置されて暗黙の了解みたいだったのが表に出るとまずいっつーか……。
「………………いや、いい。」
たっぷり数十秒悩んで答える。
周りからの視線が気になるがそこは無視する。
「んじゃあ、クーリエが持ってくるまで時間掛かるし、詳細な報告も兼ねて、この前のWとの話でもするか。」
どっかりと椅子に座って話し始めた。
・今日の一幕
「あ〜……つっかれたぁ……。」
Wとの諸々を話している最中でラップランドがキレて、宥めたりしているともう夜だ。
酒も飲めてねぇ。
「はぁ……。」
今日はもう寝ようと布団を捲る。
「あっ……。」
「……メランサ?」
布団の中で可愛らしい……なんつったかな、ああ、そう。ネグリジェ姿のメランサが丸まっていた。
「お前、何して……?」
「んっ……!」
起き上がってキスをされる。なんでだ!?なんかやってたっけ!?
「あの……前のプロポーズで……。」
「ぷ、プロポーズ?俺が?いやいや……そん、な……。」
やったわ、王様ゲームでプロポーズしたわ。
「お前、メッセージ見てないな?」
「え?……あっ。」
机の上にある通信端末を持ってメッセージを見るとボッと顔が赤くなる。
「あ、あの、こ、こここれは……。」
「あー、これに関しちゃ俺が悪かったからなぁ。
ごめんな?」
遊びでプロポーズなんてするもんじゃねぇや。
「あ、あああの、し、失礼しますっ……!」
走って逃げようとした所を手を掴んで止める。
「まあ、待て。あ、いや、泣くな。別に取って食おうなんて考えてねぇから。」
こくんと頷く。恥ずかしさからか涙が浮かんでる。袖で涙を軽く拭う。
「今からそんな格好で出てったら風邪引いちまうし、誰かに見られたら大変だぜ?今日はこの部屋に泊まってけ。」
もう夜だし、冷え込むだろ。
「……でも寝る所が。」
「あー……そうだな。まあ、一緒に寝るか?」
俺が地面やソファとかで寝ても遠慮しそうだし。
「め、迷惑とか。」
「ねぇよ。可愛いお嬢さんと寝れるなら最高だろ?ほれ。」
掴んでいた手を引いて布団に入れると横に転がる。
「んじゃ、おやすみ……。」
今日はマジで疲れたんだ。
「……おやすみなさい。」
意識が落ちる寸前で左腕にほんの少し重さを感じた。
なんだこれはたまげたなぁ……。
ネタが思い付いたので次はもっと良くなると思います。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん