酒を飲んで、女を抱く   作:黒色エンピツ

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十八話:お医者さんの言うことはぜった〜い!

 

 

 

 

「よっとぉ!そらそらどうした?気合い足りてねぇんじゃねぇのか!」

 

今日はレユニオンの集団との戦闘だ。うじゃうじゃと来やがる。

 

「はっはー!運が良かったら生き残れるかもな!」

 

斬り裂き、撃ち抜く。たたこれだけ単純作業だ。

 

「ラック!」

 

誰かの声に反応して振り返る。

 

「チッ!……っと、やべ、ドジった。」

 

他のやつを相手にしていて接近していたヴェンデッタに刀を弾かれて、袈裟斬りにされてしまった。

 

「ぶふっ……てめぇも、道連れだ。」

 

倒れそうになっている所をナイフを逆手持ちにしてヴェンデッタの顔面に突き刺す。

 

「へっ、ざまあ……みろ。」

 

 

 

 

「……ツゥ。」

 

目が覚めて最初に感じたのは焼けるような痛みだった。

 

「油断しちまったか。」

 

体を確かめると包帯が巻いてあって、血の滲み具合からして縫ったんだろうな。

 

「……ふらふらする。」

 

ここ、ロドスん中か?

水が欲しい。

 

「おい、誰か……っててて。」

 

大声で呼ぼうとすると痛みが走ってベッドに倒れる。

あ、ちょっと傷開いてる。くっそあんにゃろ、やりやがったな。

 

「もうヴェンデッタにゃ負けねぇからな。」

 

少し悔しいな。

扉が開いて誰かが入ってきた。

 

「起きましたか。」

 

「フィリオプシス。」

 

俺の担当なのか?

 

「傷の様子を確認します。少々お待ちください。」

 

服を開いていくらか確認をして、書類に書いていた。

 

「ドクターを呼んできます。」

 

「お、おお。サンキュ。」

 

こういう怪我って今までほとんどなかったからな。新鮮な気がする。

 

「……ちょっとタバコ吸お。」

 

窓開ければ大丈夫……だよな?

使い慣れたライターで火をつける。

 

「……ふー。」

 

「ラック、大丈夫か。って何吸っているんだ。」

 

「もう、体を大事にしてください。」

 

ドクターとアーミヤが入ってきてタバコを奪われた。

 

「あっ、何しやがる……うぉ。」

 

「現状の喫煙は禁止させてもらいます。」

 

いつの間にかフィリオプシスが目の前にいた。

 

「わ、わかったわかった。」

 

フィリオプシスを片手で抑える。

いきなりだからびっくりした。

 

「他のみんなも呼んでくるか?」

 

「いや、もう少しゆっくりしたいから呼ばなくて良い。動けるようになったら自分で会いに行くしな。」

 

「そうか、早く治してくれよ。」

 

「りょーかいりょーかい。」

 

ひらひら手を振るとドクターとアーミヤが部屋から出て行くと後ろに振り返る。

 

「ラップランド……お前どこから入った?」

 

「ふふ、君がいるならボクがいる場所さ。」

 

どうすっかなと悩んでいるとフィリオプシスが出てきた。

 

「患者の傷に障るので出て行ってください。」

 

「嫌だよ。ボクはここにいる。」

 

「ダメです。」

 

「ねぇ、ラック。」

 

「あー……。」

 

目だけでフィリオプシスを見ると俺をジッと見ていた。

 

「悪ぃ、ラップランド。」

 

なるべく優しく撫でてやる。

 

「……こいつと一緒がいいの?」

 

「フィリオプシスは担当医だろ?早く治す為だからな。」

 

「……わかった。」

 

唇を尖らせて拗ねる。

 

「……はぁ、これで我慢してくれ。」

 

軽くしゃがんで額にキスをする。

 

「たまになら来ていいから、今は出てくれるか?」

 

「……仕方ないなぁ。」

 

表情は拗ねたままだけど、尻尾をぶんぶん振って出ていった。

 

「よし。」

 

「包帯を替えるので脱いでください。」

 

「ん、ああ、替えるくらいなら自分で「ダメです。」OKだ。」

 

ほんと医者ってのは医療になると頑固なやつばっかだな。

黙々と包帯を替えるのを見る。やっぱ慣れてるんだろな、手際が良いし綺麗だ。

 

「うし、サンキュな。」

 

「いえ。」

 

包帯を替えて出て行くのかと思ったら俺を見て動かなくなった。

 

「……フィリオプシス?」

 

「何でしょう?」

 

「いや、こっちが何があったのか聞きてぇんだけど……まあ、もう良いから、他にも仕事があるだろ?」

 

ぽんっと頭を撫でる。

 

「分かりました。」

 

さっきまでが嘘のようにそそくさと部屋から出て行く。……もしかしてラップランドみたいにしてほしかったとか?

 

「よくわかんねぇな。」

 

まあ、やる事ないし寝るか。

 

 

 

 

「……ん。」

 

目が覚めて軽く体を伸ばす。少し傷が痛んだ。

 

「いつつ……ってあれ?」

 

横を見るとフィリオプシスが椅子に座ってベッドに腕を置いて寝ていた。ずっと看病してくれてたのか?

 

「このままじゃ体傷めるぞ。」

 

そっと抱き上げてベッドに寝かせる。

 

「いっ!?……やっぱ傷に響くなぁ。」

 

思った以上に深かったみたいだ。

フィリオプシスが座っていた椅子に座って近くの本棚にある本を手に取る。

 

「あんまり面白いもんでもなさそうだけど、暇潰しには丁度良いか。」

 

それからは本を捲る音だけが部屋に響いた。

当然だけど、その後起きたフィリオプシスにめっちゃ静かに怒られた。

 

 

 

 

「まだ治らねぇな。」

 

「傷は塞がってきましたが、油断すれば開きます。まだあまり動かないようにお願いします。」

 

「はいよ、先生。」

 

「そのような呼び方ではなく名前で結構です。」

 

「はいはい、フィリオプシスな。」

 

話していて思ったが、彼女は意外とお喋りで冗談を言うらしい。

暇が出来たら部屋に来て話し相手になってくれていた。時々、いや、毎日だがラップランドも来るんだが。

 

「ラック、遊びに来たよ……あ。」

 

「む……。」

 

どうにも最初あれで二人が牽制してるみたいになってる。話す分には問題ないんだけどな。

 

「んで、今日は何があったんだ?」

 

「ああ、テキサスがね。」

 

それからずっと眠くなるかフィリオプシスに追い出されるまで彼女の話を聞く。なるほど、病人の気分がよく分かる。早く好き勝手出歩きたいもんだ。

 

「ラップランドさんは……。」

 

「しー。」

 

指を立てるとフィリオプシスが黙る。

ラップランドは身振り手振りで喋り疲れて寝ちまった。

 

「困ったやつだ。」

 

俺の為でもあったんだろうな。慣れない事しやがって。

 

「悪ぃ、今日はこのまま寝かせてやってくれるか?」

 

「ええ、大丈夫です。」

 

「ん、助かるわ。」

 

ラップランドをベッドに引き入れて布団を被せる。

 

「なあ、ちょっと紅茶とか持ってきてくれないか?寝る前にお前の話聞かせてくれよ。」

 

「あまり面白い話は出来ませんよ?」

 

「良いって、聞きたいだけだ。」

 

「……では、少々お待ちください。」

 

「ああ。」

 

少しして、フィリオプシスが紅茶を持ってくると小さな声で話た。彼女は面白くないっつってたけど、たまに寝落ちしかけてたけど意外と面白ぇじゃねぇか。

結局最後辺りで寝たフィリオプシスをラップランドの横に寝かせると病室を出る。

廊下の自販機でコーラを買うと甲板に出た。

 

「おっ。」

 

先客がいたみたいだ。ドクターにアーミヤとエンシオとチェン。よく見るメンバーだ。

 

「ラック。もう出歩いて大丈夫なのか?」

 

「いんや、うちの先生はベッドで狼とおやすみだぜ。内緒にしててくれよ?」

 

そう言うと全員ため息を吐く。

 

「いいだろ?ずっと病室にいると気が滅入る。酒も飲めやしねぇ。」

 

だからこいつは代わりと言ってコーラを持ち上げる。

 

「少しは心配していたが、この様子だと必要なかったか。」

 

「なんだエンシオ。心配してくれたのか?嬉しいじゃねぇか。」

 

「ふん。」

 

「照れてんのかぁ?」

 

頭を叩かれる、乱暴な。

 

「チェンチェン、エンシオが殴ってきたんだけど、これって暴行罪に入る?」

 

「無罪だ。」

 

「マジかよ。CEO様、会社で虐めが起こってるぜ!」

 

アーミヤの腰に縋り付くと困った顔をされた。

 

「あの、自業自得ですよ。」

 

「味方はいねぇのかよ。まあ、いいや。」

 

「そろそろ戻らなくて良いのか?」

 

「大丈夫大丈夫。二人とも寝てるし、久し振りにあいつら以外のやつと喋りたい。」

 

「警告、すぐに病室に戻ってください。」

 

ぴたりと固まる。おいおい、いつもは寝たら中々起きねぇじゃねぇか。

 

「ラック、これからはボクも看病手伝うからね。」

 

「CEO様、チェンジって出来るぅ?」

 

「……すみません。」

 

「ははははははっ!……優しくしてね?」

 

「可能な限りは。」

 

「ちょっとだけだよ。」

 

ダメっぽいわ。

 

 

 

 

「なぁ……やり過ぎじゃね?」

 

昨日からフィリオプシスに加えてラップランドがナース姿で看病を始めた。形から入るタイプか?

 

「そうかな?」

 

「そうだろ。飯ぐらい自分で食えるって。」

 

「ダメダメ、火傷しちゃうよ。」

 

なんでもかんでも二人がやりたがって一人で飯も食えねぇ。

 

「俺だってガキじゃないんだぜ?」

 

「大人なら勝手に外に出ないでください。」

 

「大人のお茶目ってやつだろむぐっ。」

 

口にお粥が突っ込まれる。

 

「なぁ、そろそろ味が濃い固形食が食いたい。」

 

「ダメです。斬られた際に器官に軽微の異常がありました。もう少しの間はこのままです。」

 

「マジかよ……。」

 

勘弁してくれよ。もう我慢出来ねぇぜ。

 

 

 

 

夜中、俺は闇に溶け込んで食堂へ向かっていた。

 

「へへへへっ、あいつらはもう寝やがったからなぁ。こっからは俺の時間よ。」

 

お子ちゃま共め、俺を諦めさせる事が出来ると思うなよ。

 

「深夜なのにハンバーグ作っちまうからな〜?」

 

オムライスは流石に米炊くのとかで時間かかるからな。

 

「ん……何してんだ?」

 

「げっ、イフリータ。」

 

「げってなんだよ。それよりおまえ入院してるんじゃないのか?フィリ姉が看病してんだろ?」

 

まずい、こいつ単純思考だからこそ騒ぎ始めそうだ。

━━━━━━やはり俺は天才か?天啓が降りてきたぜ。

 

「イフリータ、これは極秘ミッションだ。」

 

こそこそと声を潜めて言うとイフリータが極秘ミッションの言葉に釣られてワクワクし出す。

 

「極秘ミッション?何すんだよ。」

 

「いいか、これから俺はフィリオプシスに、イフリータはサイレンスにバレないようにハンバーグを食べるんだ。」

 

「で、でもそんな事したらサイレンスに怒られるぞ。」

 

「だから極秘なんだろ?ハンバーグは俺が作るから任せとけって。」

 

「……本当に大丈夫なのか?」

 

「豪華客船に乗った気分でいな。」

 

「……わかった!」

 

「しっ、声を抑えろ。」

 

そういうとパッと両手で口を抑えた。

 

「よしよし、偉いぞ〜。さて、やるか。」

 

冷蔵庫からハンバーグの具材とチーズとか諸々を取り出してなるべく音を出さないように作る。

 

「しゃ、完成。ほら、食ってみろ。」

 

「はぐっ……むぐむぐ、うめぇ……!」

 

「ったりめぇよ。さて、俺も。」

 

ガツガツと大量に作ったハンバーグを消化していく。堪んねぇなおい。

 

「でも、こんな食っちまって大丈夫かな……。」

 

「イフリータ、良い事教えてやるぜ。ハンバーグは焼いた時に肉汁からカロリーが出ていくから実質カロリーゼロなんだよ。」

 

「そ、そうなのか……!?すげぇ〜……。」

 

「そんな訳ないでしょ。」

 

後ろから声を掛けられて二人して肩が跳ねる。

 

「勝手にイフリータを巻き込んでこんな事するなんて……。」

 

「まだ、固形食はダメだと言ったばかりですよ。」

 

「ふぃ、フィリオプシス……。」

 

「さ、サイレンス……。」

 

イフリータと目を合わせる。ふっ、考える事は同じって訳か。

 

「ごめんなさいっ!」

 

「さらばだッ!」

 

あれ?イフリータが素直に謝ってる。おかしいな、一緒に逃げる約束はどうなった?

走りながらイフリータの方を向いていると頭を掴まれて止められた。

 

「やあ、おはようラック。」

 

「よ、よよよお、ラップランド。今日もめちゃくちゃ可愛いぜ。いや、ほんとにマジで結婚したいくらいに、ナース服よく似合ってるし、片手のメスがいい味出てるし、生足エロいし━━━」

 

「じゃあ、後で役所行こうか。」

 

「……すみませんでした。」

 

かちゃりと手錠を着けられてフィリオプシスの前で正座する。

 

「……私は、ラックさんの事を第一に考えて固形食は禁止していたんです。」

 

「……うっす。」

 

「それなのに、勝手に食べるだけでなく、急にカロリーや油分の高いものを食べて。」

 

「……あい。」

 

「イフリータまで巻き込んで。」

 

「た、たまたま会っただけで。」

 

「言い訳は聞きません。」

 

「うっす……。」

 

「今回の事を加味して明日からは少しだけメニューを変えます。」

 

「まっ、マジで!?」

 

「また勝手に食べられては困りますので。」

 

急にフィリオプシスが天使に見えてきたぜ……!

 

「一生着いてくぜ!」

 

「……役所に行きますか?」

 

「うぇっ……。」

 

「冗談です。次からは気を付けてください。」

 

「ああ、わかった。ありがとな。」

 

さーて、腹一杯になったし寝るかぁ。

 

「私の話はまだ終わってないから。」

 

……まだ眠れそうにない。

 

 

 

 

 

 

 

 

・ある日の一幕

 

「うーん……う〜ん……。」

 

鐘の音が聞こえる。寝ていたはずだから夢だ。

 

『おめでとう!』

 

周囲から祝福の声が聞こえてくる。教会?結婚式でもやってるのか?

 

『ラック。』

 

その声に振り返るとウェディングドレスを着たモスティマが立っていた。

 

『も、モスティマ?』

 

『どうしたの?今日は私達の結婚式でしょ?』

 

『え、け、けっこ、結婚!?』

 

待て待て、夢だとしても突飛過ぎるだろ!?

 

『さあ、これから一生一緒だよ。ニガサナイカラ━━━』

 

「うぉわああぁぁぁぁ!?!?」

 

がばっと布団から起き上がる。なんつー夢だよ……。心臓に悪ぃよ。

 

「……ん?枕の下に何か。」

 

結婚情報誌とモスティマのちょっとエッチな自撮り写真が入っていた。

 

「やりやがったなぁ……!」

 

結婚情報誌はゴミ箱に投げ捨てて写真は財布に仕舞う。明日絶対叱ってやるからな。

もう一度寝ると今度はエクシアとの結婚式の夢を見て飛び起きた。

……酒飲むか。

 

 







活動報告にちょろっとした募集要項書いたんで良かったら覗いてみてくださいな。
皆さんイベントどうです?俺は今日の契約の達成8は無理でした。もう一回あるんでそれでなんとかします。

今後の読みたいと思う内容

  • ラックの過去話や異格イベ等
  • このままで構わん
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