私は今、ある部屋の前に来ていた。この向こうに彼がいると思うと緊張してしまう。
私が入隊する頃には既に除隊していたがその戦果、功績は大きく、当時は暗殺部隊の隊長であり、最優のスナイパー、暗殺者とも呼ばれていて、一度話してみたいとおもっていました。
ロドスに来た彼の話は卑猥な話ばかり聞いていますが、自分の目で見てないので本当かはわかりません。
しかし、少し時間が遅くなってしまったのはよくなかったですね。起きてるでしょうか。
「あの、失礼しま『おい、お嬢さん。そこで見ているのは気付いてるんだぜ?』っ……!」
まさか部屋に入る前に気づかれるとは、戦場ではないから気が抜けていた?
『ずっと前から俺の事を狙ってるんだろう?ああ、いや言わなくてもいい。
おおっと、変な事考えるんじゃねぇぜ。』
前から見ていたのがバレていた?
『まず、装備と服を全部外してから出てきてもらおうか。そうじゃねぇと、俺みてぇな一匹狼は安心して寝る事が出来やしねぇ。』
「えっ……!?す、全て!?」
『なぁに、それさえしてくれりゃこっちも危害は加えねぇ。』
「で、ですがこんな所で……。」
『俺も、女性に手を挙げるのは気が進まねぇが、俺だって命が掛かってるからな。』
「命!?私は話が聞きたいだけで……。」
『早くしな、俺の銃がお前を撃ち抜くぜ?』
そんな、彼に狙われて生き残れる訳が……。
「どうしても、ですか?」
『ああ、少しだけ時間をやる。』
「……わかりました。」
今は周りに誰もいませんよね……?
恥ずかしさで体が熱くなるのを感じながら急いで服を脱ぐ。
「し、失礼しまひゅ!」
「懐かしいな。」
まさか資料室にガンスリンガーシリーズのDVDがあるなんて思わなかった。
購買で酒とポップコーンを買って見始めた。
「お、きたきた。」
主人公が一人で消える時に実は敵だったヒロインとの最後の戦いだ。
『おい、お嬢さん。そこで見ているのは気付いてるんだぜ?』
……うん?なんか外が騒がしいな。
『俺も、女性に手を挙げるのは気が進まねぇが、俺だって命が掛かってるからな。』
「命!?」
うおっ、うるさっ。なんだよ、喧嘩か?
『ああ、少しだけ時間をやる。』
ここだ。この後ヒロインが覚悟を決めて仕掛けてきたのを早撃ちで返り討ちにして━━━━
「し、失礼しまひゅ!」
「……あ…………?」
なぜか全裸の女の子が入って来た。
映画の発砲音が部屋に響く。
「ち、痴女だぁぁ!!?」
「きゃぁっ!?」
え、なんで?デリヘルとか頼んでたっけ?いやいや、だからってロドスに連れてくる訳ねぇじゃん。
え……?
「……とりあえず、座ったらどうだ?」
訳がわからねぇよ。
「……なるほど、映画の声と俺の声を勘違いしたのか。」
「はい……。」
そんな事ある?いや、まあ眼福だけどさ。
とりあえず服を来てもらって椅子に座らせた。
「それで、現役の頃の話聞きたいんだろ?」
「あの、良いんですか?」
「別に良いさ。今はラテラーノ所属でもないし、折角のファンの頼みだ。」
「で、では、当時どんな戦いをしていたんですか?」
「あー、あの頃はアーツ使えてたからなぁ。正直今と比べるとつまらねぇ戦いばかりだったぜ?高台の無い平原で野営を敷かれても空を歩けばバレねぇし、上から狙撃しちまえば良いだけだ。夜なら特にバレなかったな。近付かれてもアーツで叩き潰してたし。
空気の流れで敵の位置も分かるから観測手なんて必要ないし、多少弾が逸れたとしてもアーツで軌道修正出来たからな。」
「なるほど……。」
「つまり、あの頃の俺の戦いはアーツに依存してたんだよ。使えなけりゃ今頃そこら辺で死んでる。」
ふんっ、と当時の俺の戦いを鼻で笑う。技術も何もあったもんじゃねぇ。
「あの、ラックさんはなぜ軍に志願したんですか?」
志願した理由かぁ……。
「この映画、知ってる?」
「ガンスリンガー。ラテラーノで流行った映画ですよね。」
「ああ、ガキの頃にこれ見てさ、かっこよくて憧れたんだわ、だから俺も銃を使って戦いたかった。そんで、軍に入れる歳……そう、十三歳の時に家の金の都合もあって軍の学校に入った。あの頃は素質さえあれば入るのは簡単だし、入りゃ給料みたいに金が貰えたからな。」
「はぁ、なんか意外です。」
「ガキからしたら理由なんてかっこいいとかで十分だったんだよ。」
「……初めての戦場は?」
なんだよ、分かってんだろ?
「映画と現実のギャップで酷いもんだったぜ。なんせ、引き金を引くだけで、アーツを使うだけで人が死ぬんだから。気分としちゃ最底なもんだったって覚えてるぜ。」
「なら、どうして続けたんですか?」
「……なんだって、金が掛かんだよ。
そうだな、俺の家は母子家庭なんだよ。父さんは事故死したらしい。
んで、何歳だっけな……五歳?とかそんくらいにモスティマとエクシアの姉に出会って、二人ともひとりぼっちだってんで、可哀想って思った俺が母さんに頼んですぐに引き取ってもらったんだ。そんでエクシアが拾われて、また引き取ってって感じだ。
ガキ四人なんて母さん一人で養える訳ねぇだろ?だから、軍に入って、ギャップにやられても辞めなかった。辞める訳にはいかなかった。」
「……それは。」
「ああ、そんな顔すんじゃねぇ。くそ、こういう雰囲気は苦手だ。」
ガシガシと頭を搔く。
「昔の事だから気にすんなよ。……ああ、そうだ、お前も飲むか?」
冷蔵庫からテキトーに酒を出して渡す。
「ガンスリンガーのシリーズがあるから、一緒にどうだ?」
「あ、いえ……。」
「遠慮すんなって。一人で映画見てる寂しい男に付き合ってくれよ。」
ダメか?と聞くと少し考えてやっと頷いた。
「よっしゃ、折角だし最初から見直そうぜ。」
リモコンを操作して最初からにする。
「ほら、乾杯。」
「はい、乾杯です。」
「……ん、あれ?」
いつの間にか寝ていたみたい。昨日は、確かあの後映画を見ていて……。
「これは……。」
軍服……?
「よぉ、起きたか?昨日は四本目の途中で寝ちまってたな。朝飯、簡単なのだけど食うか?」
「あ、貰います。ところで、これは?」
「俺の隊長の時に来てたやつ。ちゃんと勲章とか着いてるだろ?
もう着る事もねぇからやるよ。」
「え、しかしこんな大事な物を。」
「大事つっても軍じゃねぇからただの服だしなぁ。それ持って出たのもそれ着てたら立場が上の人間に見られるからだし。」
試しに袖を通りてみるとかなり大きく感じた。
「はっ、ぶかぶかだな。……ふむ、彼軍服か。彼シャツ的な感じで見れば中々悪くねぇな。……裸じゃねぇのが勿体ねぇな。」
「彼シャツ?」
なんでしょう、今度誰かに聞いてみようかな。それに最後に何か言ってたような?
「ああ、気にしなくて良いぜ。」
「はぁ。」
よく分かりませんが、気にしなくていいならそうしましょうか。
その後に食べた朝食は以前も食べましたけど、とても美味しかったです。
「え、今日俺が隊長?」
「ああ、隊長やっていたんだろう?プリュムから聞いたぞ。」
「マジかよ……。」
プリュムを横目に見ると輝かんばかりの目でこっちを見ていた。
「……こりゃ、断れねぇなぁ。分かった、やりゃ良いんだろ。」
ふぅ、とため息を吐く。
「あの、ラックさん!」
「ん、プリュム。お前なぁ、ドクターに余計な事……なんだそりゃ。」
満面の笑みを浮かべて軍服を持って来ていた。
「是非これを!」
「え……いや、着たくねぇけど。」
そう言うと萎んでいった。
「あ〜……ドクター、これって着ても大丈夫なのか?ラテラーノの服だけど。」
「そうだな……まあ、大丈夫じゃないか?ロドスには色んな所が協力してくれているからな。」
「分かった。プリュム、それ着れば良いのか?」
「はいっ!」
受け取って袖を通す。まあ、前は留めなくても良いだろ。
「んじゃ、行くかぁ……。」
「この服キッチリし過ぎて肩こりそうだわ。」
近付いてくるレユニオンを撃ち抜く。これ終わったらマッサージにでも行くか?
『ラック、少し移動してくれ。』
「あいよ。」
ドクターの指示に従ってポイントに移動する。
……ドクターの後ろからプリュムの歓喜の声が聞こえてきたんだよなぁ。もうちょい緊張感っつーかさぁ。
「よっと。」
剣を弾いて首を狩る。
「ここは俺が押し止める感じか?」
捌けない人数でもねぇが、増えたら厳しいな。どうすんだ?ドクター。
「救援に来ました!」
「おっ、プリュム。」
救援は助かるけど、ウキウキしてんな、おい。
「浮かれ過ぎんなよ。」
「はいっ。」
一応気にしながら戦ってるけど、心配いらなかったな。つーか、基礎がすげぇしっかりしてる。
「俺が足引っ張らねぇようにしねぇとな。」
ちょっと気合い入れるか。
「はい、終わりっと。」
最後の一人の額に弾を打ち込んでドクターから終了の通信が来る。
「お疲れさん。」
ボスッと帽子の上から手を置く。
「わぷっ……。」
「良い動きしてたな。」
「あ、は、はい。護衛隊の方々からご指導をいただいていたので。」
努力の成果か。
「頑張ったんだな。所で、この服はどうすりゃ良いんだ?」
「それは私が洗っておきますね。」
「お、そうか?悪ぃな。」
「いえ、頂いたものですし。私がお願いしましたから。」
「じゃあ、頼むわ。服はその後持ってて良いから。」
軍服を脱いで渡す。ふぅ、開放感がある。
「戻るか。おい、プリュ……ム?」
プリュムの方を見ると軍服を抱き締めて顔を埋めていた。
「……そんなに、臭うか?」
まだ加齢臭がするような歳でもないはずなんだけど……。
「はっ!?い、いえ、そんな事はありませんよ!?」
「いや、でもよ。」
「だ、大丈夫です!」
「お、おお……そうか。」
なら良いけどよ。
それからたまにロドスでぶかぶかの軍服を着たプリュムが見られるようになった。
・今日の一幕
「フロストリーフさん。」
休憩室に入ると、フロストリーフさんが一人で曲を聴いていました。何を聴いているのでしょう?
近付くとこちらに気付いてヘッドホンを外してこっちを向きました。
「アーミヤか。」
「何を聴いていたんですか?」
そう聞くと周囲を何度か確認して囁いてきました。
「……ラックには絶対に内緒だぞ?」
「?はい。」
ヘッドホンを着けると、ロドスでよく聴く歌が流れ始める。
「これは、ラックさんの子守唄?」
いつの間に録ったんでしょう?
「……膝枕で寝た振りをしてコッソリ録音した。」
「なるほど。」
「いや、違うんだ。なんとなく録っておこうと思って……。」
「大丈夫です、分かってますよ。
ラックさんが大好きですもんね。」
見掛けるとすぐに寄って行きますし。
「そうじゃない……!いや、そうなんだけど……。」
顔を真っ赤にして俯く。耳まで赤くなって可愛いです。
「いいか、絶対にラックには内緒だからな!」
「はい、分かってますよ。」
「……絶対だからな。」
目を細くして睨み付けてきてますけど、顔が赤いから怖さはないですね。
「じゃあ、私はそろそろ行きますね。」
「ああ、わかった。何度も言うが秘密だぞ!」
「えぇ、秘密ですね。」
ふふっ、フロストリーフさんとの秘密が出来ちゃいました。なんだか仲良くなれた気がして嬉しいです。
金曜に風俗行ってきました。マットじゃないです。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん