酒を飲んで、女を抱く   作:黒色エンピツ

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二十五話:お子様用コミュニケーション講座開催!

 

 

 

 

「みんなー!今日もフロストノヴァ先生の言う事を聞いてるかなー?」

 

「「「はーい!!!」」」

 

「よぅし、偉いぞー!今日は特別講師としてミッドナイト先生が来てくれたぞ、拍手!」

 

パチパチと子供たちが拍手をして、ミッドナイトが入ってくる。

なんでこうなったかは昨日に遡る。

 

 

 

 

「ラック。」

 

振り返るとフロストノヴァがいた。

 

「お、フロストノヴァか。今日もお綺麗な事で。」

 

「そんな事はいい。明日の授業を頼めるか?」

 

あれから、フロストノヴァが感染者の子供たちの先生になった。アーツも必要無いし、本人も子供が好きみたいだし丁度いいだろ。

んで、フロストノヴァが忙しい時や検査の時に代理として暇そうなやつが授業をする事がある。

……結構頼まれるけど、そんなに暇そうに見えるかー?

 

「あいよ。内容はいつも通り自由で良いか?」

 

「構わない。

それと、今回は私も後ろで見学させてもらう。

いつも子供たちが楽しそうに教えてくれるが、実際に見たことはないからな。」

 

「OK。んじゃ、今回はどんな内容にすっかなー。」

 

読み書きとかはフロストノヴァが教えてるみたいだし……。

 

「ラックさん、こんな所にいたのか。」

 

「あれ、ミッドナイトじゃん。どうした?」

 

「どうもこうも、あなたの女性への態度について聞きたくてね。」

 

「乱暴な事なんてしたっけ?」

 

クロージャに頭突きくらい?

それにしても、ふむ、態度、コミュニケーション。

 

「丁度いい、お前も明日手伝ってくれ。」

 

「え?」

 

「子供たちの授業だよ。お前やった事ない?」

 

「生憎、機会に恵まれなくてね。」

 

「そうかそうか。なら、明日の授業はコミュニケーションについての内容をやるから特別講師って事で手伝ってくれ。」

 

「……まあ、この際俺が授業を手伝うのは構わないけど、コミュニケーションと言っても色々ある。どんなのが良いんだ?」

 

「ん〜……まあ、無難に挨拶だな、握手とか。俺とお前で実践形式でお手本を見せたりとか。」

 

「なるほど。なら、こうしよう。俺が何人か人を呼ぶからラックさんがそれに対応した返しをしてくれ。」

 

「ほ〜?さっきの用事ついでってか?」

 

「いやいや、男性と女性で違うだろう?その違いを見せたいのさ。」

 

なるほどねぇ。

 

「んじゃ、人選は任せるぜ。」

 

 

 

 

てな感じで当日。

さてさて、ミッドナイトは誰を読んできてくれたんだ?

 

「皆さんどうも、ミッドナイトです。

今日は皆さんにコミュニケーションについてのお勉強をしてもらいます。

例えば友達との会話や先生との会話。これからもっと色んな人とコミュニケーションをとることがあると思います。

まずは、ラック先生と私の呼んだ方のお手本を見て学んでいきましょう。

では、まずは一人目の方を呼びましょう。」

 

ガラッと扉が開いてメランサが入って来た。

 

「あ、あの、よろしくお願いします。」

 

「おお、頼むぜ。」

 

良い所のお嬢さんだからな。適切な人選だ。

 

「……おかしい、シルバーアッシュさんを呼んだはずなんだが。」

 

……今のは聞かなかった事にしよう。

とりあえず、メランサは何をしてくるんだ?

 

「……えいっ。」

 

ハグをしてきた。なるほど、おかしくはないな。

メランサに合わせてハグを返す。

 

「メランサちゃんだいたーん!」

 

生徒の女の子が大声で言うと、他の子も乗っかってきた。

メランサの顔は見えねぇけど、赤いんだろうなぁ。

 

「……えー、ハグと言うのは仲の良い人同士では結構一般的な挨拶と言えますよ。

皆さんはハグ出来るくらい仲が良いお友達はいるかな?」

 

ミッドナイトが良い感じに誤魔化してくれたか。助かる。

 

「そ、それでは……!」

 

メランサが離れてバタバタと出て行く。

……今、隙間からエンシオの尻尾みたいなのが見えた気がする。

 

「……ラックさんがいるとよく被害に遭う人だな。」

 

それは俺も思う。

 

「では、次の方お願いします……次はちゃんと来てくれよ。」

 

カラリと扉が開くとプラマニクスが入って来た。

 

「……ミッドナイト?」

 

「……いや、エンカクさんを呼んでいたんだけど。」

 

ん……?廊下を見ていると、足を引き摺られてどこかへ連れて行かれるエンカクとエンシオがいた。

 

「どうする?」

 

「つ、続けよう。彼女達も一応挨拶の範疇で行動しているみたいだし。」

 

「……OK。」

 

プラマニクスが近くにやって来てお辞儀をする。

……なんだ、ちゃんとした挨拶じゃねぇか。

 

「んっ。」

 

「結局かよ。」

 

頬にキスをされる。まあ、挨拶ではあるけどさ。

お返しにキスをする。

 

「巫女様ってやっぱり大人なんだぁ……。」

 

「そう……ですね。キスも地方によっては挨拶とされる事はありますよ。ハグよりも親しい者同士の挨拶と言えるでしょう。……ただ、今やるべきではありませんね。」

 

「そりゃそうだろ。子供が見てる訳だし。

そら、戻った戻った。また構ってやるから。」

 

「むぅ……お菓子を持って来てください。」

 

「へいへい。」

 

うーん、今日ばっかりはあんまり変な事になってほしくねぇんだけどな。教育的に良くねぇし。

ため息を吐くと、扉が急に開いてアーミヤが飛び込んできて俺の後ろに隠れた。

 

「ほっ……今度はちゃんと呼んだ人だ。」

 

アーミヤはミッドナイトが呼んだのか。……それにしても様子がおかしいような。

 

「アーミヤちゃ〜ん?可愛がってあげるからこっちに来て〜。」

 

「ラック、ボクと良い事しようよ。」

 

後ろからギラギラとした目のブレイズとラップランドが入ってきた。

 

「は、ははは、落ち着けよ……。」

 

ひしっとアーミヤと抱き合う。捕まったらヤラれる。

 

「な、なー、CEO様?ここらで落ち着くまで休暇でも取らねぇか?」

 

「そ、そそそうですね!良いと思います!」

 

「ドクターには後で伝えとこうぜ!」

 

アーミヤを横抱きにして窓から廊下へ飛び出すと走り出す。

 

「アーミヤ、俺のポッケから煙玉取り出して投げてくれ!」

 

「はい!」

 

廊下に煙が漂う。このまま龍門に逃げるぞ。

 

 

 

 

「……えー、ラック先生がいなくなったので、俺とフロストノヴァ先生で手本を見せるから、隣の席の子と挨拶してみてください。」

 

はぁ……どうしてこうなってしまったんだ。

フロストノヴァさんも頭を抱えているね。何回かラックさんに頼んでいるから大丈夫だと思ったんだろうね。

 

「彼にはシャンパンを開けてもらうくらいの謝礼を貰わないとな。」

 

 

 

 

「これからどうするんですか?」

 

ロドスから脱出して夜の龍門を歩く。

ドクターには既にメッセージを送っておいたから大丈夫だろ。

 

「そうだな……遊ぶか!」

 

「え?ですが、状況が状況とはいえ、ロドスを放っておくのは……。」

 

「こんな時くらい気を抜けよ。」

 

元々の性格もあって、真面目過ぎるからな。

 

「悪い事しようぜ。」

 

にぃ、と笑った。

 

 

 

 

「こ、こんなに、良いんですか?」

 

「ああ、良いぜ。」

 

「でも……悪いですよ。」

 

「悪いからこそ良いんだろ。」

 

「ほら、一息にいけよ。」

 

「……っはい!」

 

ずるずるっと豚骨ラーメンを啜る。

 

「健康に悪いもんは美味いんだよ!」

 

大きく切られたチャーシューに齧り付く。ジャクっとした食感の後にじんわりと脂が出てくる。

 

「ん〜……染みるぅ!」

 

堪んねぇな!

 

チラッとアーミヤを見ると、美味しそうに食べていた。

見た目のせいでお忍びで来た令嬢みたいに見えるな。

 

「お嬢ちゃん、可愛いから味玉サービスしちゃうぜ。」

 

店主のおっさんがアーミヤの器に味玉をいくつか入れる。

 

「おーい、その可愛いお嬢ちゃんを連れて来た俺にはねぇのか?」

 

「んだって、ラックさんは可愛くねぇだろ?」

 

「……なるほど、納得。」

 

「あの、悪いですよ。」

 

「いんだよ、おっさんが良いっつってんだから。ほら、食え食え。」

 

「じゃあ、頂きます。」

 

味玉を食べると耳がピコピコと揺れる。

確かにサービスしたくなる可愛さだ。

 

「ラックさんよ、こっちのお嬢ちゃんは何もんなんだい?」

 

「俺の上司。」

 

そう言うとポカンとした顔になる。わかるわかる。

 

「おいおい、そりゃあ冗談だろ?こんなちっこい子なんだぞ?」

 

「いや、マジマジ。なー?CEO様?」

 

「んくっ、はいっ。」

 

口の端にねぎ付いてるし。

取って食べると顔を赤くする。

 

「おっと、悪ぃ。ついエクシアとか子供たちの時のクセでな。」

 

「あ、い、いえ。」

 

パタパタと手を振る。

 

「……このお嬢ちゃんが社長なのか?」

 

「そうそう、手ぇ出そうとか考えんなよ?痛い目見るぜ。」

 

「……そうしとく。」

 

いつも思うけど、このおっさんは味玉で釣れると思ってんのか。

 

「ご馳走様でした。」

 

ぺちりと手を合わせてそう言った。

 

 

 

 

「あの、こっちは……。」

 

それからアーミヤの手を引いて歩く。

 

「俺と一緒なら大丈夫だ。けど、あんま離れんなよ。」

 

「は、はい。」

 

周りをきょろきょろと見渡しては顔を赤くする。もうちょっと、浅い所にすれば良かったか?いや、でもこっちのが良いしなぁ。

 

「ここって……。」

 

「ラブホ。まあ、入った入った。」

 

「え?え?」

 

肩を押してラブホに入る。

 

「いらっしゃいませ、ラック様。今日は如何しましょう?」

 

「確か、一階ぶち抜きのウォータースライダー付きプールの部屋ってあったよな?そこにしてくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

鍵を受け取って部屋に向かう。

 

「はい、到着。」

 

「わぁ……!」

 

アーミヤが目を輝かせる。気持ちは分かるぜ。

無駄にでかいプールはあるわ、小規模な砂浜があるわで軽いリゾートだ。

 

「あっちの部屋に水着があるから、好きなの選んで来な。」

 

「はい!」

 

ここの水着ってかなりの種類あるから時間かかりそうだな。その間、時間潰しとくか。

 

 

 

 

「お、おまたせしました。」

 

「ん?おお、似合ってんじゃん。」

 

転がって雑誌を読んでいると、フリルの付いた可愛らしい水着を着てアーミヤがやってきた。

 

「所で、どうして部屋がこうなっているんですか?」

 

「ん〜……まあ、ラブホつっても最近は色々あんだよ。ラブホ女子会とかあるみたいだし、そういうニーズに合わせてんだろ。」

 

にしてもここのラブホは種類が多いと思うけどな。

 

「そら、折角なんだ、泳いでこいよ。」

 

そう言って雑誌に目を戻すと手を引かれた。

 

「ん、どした?」

 

「一緒に遊びませんか?」

 

ああ、そうだった。今は二人っきりなんだった。普通にリゾートと勘違いしてたぜ。

 

「OK。でも、軽く体操はしとけよ?」

 

ラブコメよろしく攣ったらヤバい。昔シエスタで遠泳してたら溺れかけたし。

 

 

 

 

しばらく泳いだり、スライダーやボールで遊んだ後に休憩としてある物を注文した。

 

「失礼します。ハニートーストとドリンクをお持ちしました。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

近くの机に置いてもらってアーミヤを呼ぶ。

 

「これは……!」

 

食パン一斤の半分を使ったどでかいハニトーにアイスやらなんやらが積もるように乗っている。

 

「食っていいぞ。あ、俺もちょっともらうから。」

 

そう言って一部切り取る。

 

「ほわぁ……。」

 

アーミヤが今まで見た事ないくらいに目を輝かせる。うん、連れてきて良かった。

 

「次はドクターと来れたら良いな。」

 

「へっ!?な、何を?」

 

「みんな知ってるっての。」

 

気付いてないのはドクター本人くらいだぞ。

一気にアーミヤの顔が赤くなっていく。うぅむ、ピュアだねぇ。

 

「まあ、頑張れよ。ドクターはモテるからなぁ。俺程じゃねぇけどな!」

 

がははと大きく笑う。

 

「……アドバイスとか貰えます?」

 

「アーミヤの恋愛に俺が口出しする事なんてねぇよ。ありのままの自分を見せれば大丈夫だ。」

 

ポスッと頭に手を置く。ドクターだってこんな可愛い子に好かれるなら本望だろ。

 

「まあ、ドクターの好きな物を聞いてこいって言われりゃ行くくらいは良いけどな。」

 

「じゃあ、またお願いしますね?」

 

「任せときな。」

 

……それはそうと話しながらもどんどんハニトーが崩されていくのは圧巻だな。見てるだけで胸焼けしてきた、コーヒー飲も。

 

 

 

 

食べ終わった後も色々と遊んでいるとアーミヤの頭がふらふらと揺れ始めた。

 

「眠いか?」

 

「……ふぁい。」

 

「せめて水着を着替えてシャワーを……ああもう。」

 

プールの中でプールサイドに凭れて寝息を立て始めた。

 

「溺れるぞっと。」

 

しゃーねぇと抱えてプールから上がって、タオルで拭いてやる。着替えは……この子の事も考えてやめとこう。最初に見られるのはドクターのが良いだろ。

 

「やれやれ、世話が焼けるCEO様だ。」

 

横抱きでベッドに運んで寝かせると俺も横に転ぶ。掛け布団は一枚しかねぇし、体を冷やすのも良くねぇから一緒に入れちまうか。

 

「むぅ……。」

 

バサッと掛け布団が捲られる。

 

「暑くても風邪引くよりマシだ。」

 

掛け直す。

 

「んん……。」

 

また捲られる。

 

「はぁ……失礼するぜ、レディ。」

 

寝ていても一応一言言って抱き寄せる。……体温高いんだな。

 

「ふわぁ……あふ、俺も眠くなってきた……。」

 

寝るかぁ、おやすみ。

 

 

 

 

「……あれ?」

 

いつの間にか寝ていたみたいです。昨日は確か……ラックさんと二人で飛び出して……。

少し顔を上に向けるとラックさんの顔があった。

 

「っ!?!?」

 

な、なんでラックさんが隣に!?しかも、水着だから……!!

 

「ん……?おお、起きたか、おはよう。」

 

欠伸をしながらラックさんが起きると顔を洗いに行った。

 

「も、もももしかしてラックさんと……!?」

 

可能性はある。けど、昨日は普通に遊んでいただけですし……。

 

「ああ、勘違いしてるだろうけど何も無かったから安心しな。」

 

「へぁっ!?……そ、そうなんですか?」

 

「そうそう。」

 

ほっ、と安心する。

 

「まあ、抱き締めてた事は許してくれ。」

 

「……はい。」

 

「ん、それじゃシャワーでも浴びて来いよ。昨日プールの中で寝てたからな。」

 

「す、すみません。じゃあ、行ってきますね。」

 

うぅ……恥ずかしい。

 

 

 

 

「よっ、ドクター。昨日は悪かったな。」

 

「全くだ。仕方ないとは言えアーミヤまで連れて行かれると困る。次からは事前に教えてくれ。」

 

「次はそうそう来ねぇと思うけどなぁ。」

 

あ、でも遊びを教える為に出るのは楽しそうだ。

 

「ドクターも遊びに誘ってみたらどうだ?」

 

「俺が?……いや、俺には無理だ。ラックみたいに楽しませる自信がない。」

 

「大丈夫だっての、なんなら俺が教えてやろうか?」

 

「それは助かるな。」

 

「よし、じゃあまずどこまでいきたいんだ?」

 

「どこまで……?」

 

「おいおい、お前もアーミヤも互いに好意はあるんだろ?ならそういう事じゃねぇか。」

 

「なっ……何を言っているんだ。」

 

「なんだ、無いってか?」

 

「そんな事は、ないが……。」

 

「だろぉ?んで、どうする?」

 

「……落ち着いて食事が出来る所を頼む。」

 

「あいよ。」

 

せめて手を繋ぐなり言えっての。

 

 

 

 

 

 

 

 

・もしもの一幕

 

 

「おーい、そこのスノーデビルくん。」

 

「なんだ。」

 

「ちっと着いてきてくれよ。」

 

「なぜだ?」

 

「ノヴァを逃がすんだよ。良いだろ?」

 

スノーデビルの肩を組んで連れて行く。急がねぇと。

 

 

 

 

「フロストノヴァ……。」

 

「私は、ここで止まる訳にはいかない。」

 

フロストノヴァが消耗しきった体で立ち上がる。

やはり戦わなければならないのだろうか?

 

「おーっと!そこまでだぜ!」

 

フロストノヴァの後ろから声がする。

 

「ラック……!」

 

フロストノヴァが振り返ると、いつも彼女と共にいる顔の左半分が鬼の面のような鉱石で包まれた堕天使の男がスノーデビルとやって来た。

 

「そんな体でどうすんだ?」

 

「なぜここに来た……!」

 

「決まってんだろ?お前が心配なんだよ。

んじゃ、後は頼むぜ。」

 

「ああ。」

 

一緒にいたスノーデビルがフロストノヴァに肩を貸して下がる。

 

「さて、やろうか。ロドス。」

 

彼が持っていたスナイパーライフルを構えると、俺達の後ろからラックに銃弾が飛んできて、彼がアーツで受け止めた。

 

「……ああ、最悪だ。」

 

「ほんと、最悪だね。」

 

「終わらせよう。」

 

飛んできた方向からエクシアとモスティマがやって来た。なぜ彼女達が……止めに来たのか?

 

「ドクターを除いて五対一ってか?やれやれ、人気者は辛いぜ。」

 

「ラック、お願いだ。こっちに来て。」

 

「悪ぃな、お前らの頼みでもそいつは出来ねぇわ。」

 

「……そっか。」

 

そしてモスティマも二つの杖を構えた。

 

 

 

 

「チッ……んだよ、ここまでか……。」

 

彼が弾の切れたスナイパーライフルを片手に座り込む。

激しい戦いで付近は吹き飛び崩れていた。互いに消耗したが、なんとか彼に勝つことができた。

戦っている間も彼の鉱石は悪化し、鉱石が広がっていた。

 

「ラック、どうして本気を出さなかったの?」

 

「……ああ?」

 

「君のアーツなら、空気を消して窒息させたり、体の内側から攻撃だってできたじゃないか。」

 

モスティマがそう言うと、ラックが笑う。

 

「はっ……俺がお前らを殺せる訳がねぇだろ。」

 

「今からでも、ロドスへ来ないか?」

 

「ドクターよぉ。そいつは無理な話だぜ。

俺はあいつに惚れちまったのさ。俺だけがそっちに行くことは出来ねぇよ。」

 

「そうか……。」

 

話している間に彼の鉱石が首や腕に広がる。

モスティマとエクシアが悲しげな顔で彼に近付いた。

 

「家族に看取られるなんて、幸福だねぇ。」

 

「馬鹿な事言わないでよ……!」

 

「まだ、終わりじゃ……。」

 

「いいや、俺はここで終わりさ。」

 

彼が目を瞑った。

 

「終わりじゃない。」

 

「ノヴァ……!?なんでここに!なんで戻ってきた!!」

 

フロストノヴァがラックを抱き抱える。

 

「一人でいかせない。」

 

「いいから、お前だけでも……!」

 

ラックの口を指で止められる。

 

「大丈夫だ。……ドクターと呼んでもいいだろうか?」

 

「ああ。」

 

「ありがとう、ドクター。私達は、しばらく眠る事にしよう。」

 

二人が足元から凍り付き始めた。

 

「ああ……くそっ、そういう事かよ。

おい、ドクター。絶対に薬は完成させろよ!完成させたら俺達にぶっかけろ!!」

 

「あ、ああ。分かった。」

 

そして、彼らは氷の中で眠りについた。

 

 

 

 

あれから数年経った。彼らが眠った氷は研究室の一角に安置してある。溶かそうともしたが、どうやっても解けず、削る事すら出来なかった。

レユニオンも幹部はタルラだけとなり、数を減らした。

そして、遂に薬が完成した。

 

「ドクター!レユニオンの襲撃です!タルラ達が最後の戦いに来ました!」

 

「なっ……!?」

 

その瞬間、部屋が大きく揺れ、薬の瓶が落ちて割れた。

 

「くっ、いや、作り方は分かったんだ。今はレユニオンをなんとかしなければ。」

 

アーミヤの先導で、レユニオンの元へ向かった。

 

 

 

 

「ここまでやるとは……!!」

 

タルラ達は撤退を全く考えず、我々を倒す事だけに力を入れてきた。ロドスのオペレーター達も懸命に戦うが、押されている。

 

「どうすればいい!?」

 

考えろ、作戦を考えるのが俺のやるべき事だろう!

 

「これで終わりだ。」

 

タルラの作った極大の炎が迫る。もう、ここまでなのか……?

炎に目を焼かれ、瞑った。

 

「おい、諦めてんじゃねぇぞ。」

 

……?目を開くと、炎が何かに塞き止められていた。

 

「オペレーターは足りてるか?優秀な狙撃手は?術士はご所望で?なんと今なら全部付いてくる!大特価無料でご提供!!」

 

「ら、ラック、フロストノヴァ……?」

 

かつて顔に張り付いた鉱石は剥がれ落ち、不敵な笑みを浮かべて彼は立っていた。その隣にはフロストノヴァも立っていて、鉱石病が治っていた。

 

「なぁ、ノヴァ?最終決戦でかつての敵が仲間になるって熱い展開じゃね?」

 

「ラック……恥ずかしいから止めてくれ。」

 

「えー。まあ、いいや。

んじゃ、ドクター。指示を頼むぜ。」

 

……やはり、完成していたんだな。

 

「ああ、力を貸してくれ。」

 

最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

 







前回日刊6位が取れたり、感想見てニヤけてました。

次回はウルサスでいきましょうかね。

今後の読みたいと思う内容

  • ラックの過去話や異格イベ等
  • このままで構わん
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