「アタシを鍛えろ。」
「……はぁ?」
そう言うズィマーを見ながら、シャクッとソーダ味のアイスバーを食べる。
ゆっくり休んでいる時に突然部屋に来たと思ったら急になんだ。
「アタシはまだまだ弱い。」
「そうだな。」
素直にそう言うと青筋を浮かべるが、一緒にいたグムとイースチナが抑えた。んだよ、自分で言ったんじゃねぇか。
「……だから、鍛えろ。」
「やだ。」
一言で言い切って横を向く。
「なんでだよ!」
「暑い、ダルい、めんどくさい。」
だるんとベッドに溶けるように転がる。後で医療オペレーターの誰かから冷えピタもらお。
「じゃあ、暑くなくなったら良い?」
グムが横から言ってくる。……まあ、暑くなくなりゃ多少はやる気も起きんでもねぇけど。
「……まあ、うん。」
「なら、終わった後にグムが冷たいデザート作るよ!!」
ピクッと反応する。冷たいデザート……今食べてるソーダアイスも冷たいけど、グムが作るならもっと涼しくなるかもしれない、それに美味しいし。
「ん〜……わかった。それで。」
さっさとアイスを食べて棒をゴミ箱に投げると武器を準備する。
「納得いかねぇ……。」
ズィマーがポツリと呟いた。
「鍛えるっつってもさぁ。どう強くなりたいんだ?」
「とにかく強くしてくれ。」
「とにかくって……。」
頭をガシガシと掻く。雑過ぎんだろ。
「めんどくせ……とりあえずやるぞ。」
刀を構える。こいつには実戦形式の方が分かりやすいだろ。
「オラッ!」
相変わらず荒々しい動きで斧が振り下ろされる。
「ふんふん……。」
何度か斧を受け流す。前よりは良い動きになったな。
「だ・け・どっ!まだまだやられてやる訳にゃいかねぇなぁ!」
刀を跳ね上げて斧を弾き柄で額を突くと、ズィマーの腋から腕を通して片腕で背負い投げのように地面に投げる。流石に叩き付けるのはやりすぎだからふわりと受け止めるけどな。
「さぁ、お嬢様?まだ続けますか?」
「舐めんなッ!!」
ズィマーのパンチを掴んで受け止めて腹を蹴り飛ばす。
「んな有様で勝てると思ってんのか!ああ!?」
ズンズンとズィマーの方に歩きながら蹴り飛ばし、殴り、投げる。……可愛い女の子にこんな事するの心が痛むんだけど。
「くそっ!」
ズィマーの攻撃は全て態と刀で弾き、体勢が崩れた所を吹き飛ばす。
「あ〜……こんな弱っちいとやる気無くなっちまうぜ。」
はぁ、と大きなため息を吐いて気だるげなポーズをとる。
「こんなだったら女の子らしくダンスのレッスンでもしてみたらどうだ?ええ?」
「っ!バカにするな!」
頭に血が上って振られた斧の持ち手を掴んで、斧を奪い取ると片手で持ち直してズィマーに振り下ろして、当たる前でピタリと止めた。
「はい、おしまい。
頭に血が上ってんぞ。動きが単調になるから気を付けろ。」
斧を返して頭に手を置いて横を通り過ぎると、部屋の隅で座るグムの方へ向かう。
「グムゥー……膝枕してくれぇ。」
「あ……う、うん。良いよ。」
倒れるようにうつ伏せでグムの腿に顔を埋める。
「………………あんなキツく言うの、辛い。」
「さっきまでの姿と全然違う……変なの。」
イースチナにそう言われて軽く凹む。俺だって好きであんな言い方した訳じゃねぇっての。
「アタシは、こんなのに負けたのか……。」
「こんなのって失礼な。」
「アタシは気にしてないし、そんなに落ち込まなくったって。」
「俺が気にすんの。訓練つっても相手は女の子だし、何より仲間だから。」
キツく言うのも必要な事だとは分かってるけどさ。それとこれとは別だ。
「仲間、か。」
グムの膝の上でくるりと仰向けになる。
「俺達はロドスの仲間だろ?……もしかして、俺って仲間はずれ?」
泣いちゃいそう、と顔を両手で覆うとグムが頭を撫でてくれる。グムは優しいなぁ、その優しさをズィマーに分けて欲しい。
「……あんま、実感湧かねぇ。」
「え、マジで。」
最初はグムの事で戦ったけど、仲間って認識すらないのか……。
「うおおおお!グムーーー!」
「よしよし。もう、ズィマーお姉ちゃんも意地悪言っちゃダメだよ。」
ぐりぐりとグムの腹に抱き着く。
「……グム、そんな変態が良いのか?」
「私も心配になってきた。」
なんて酷い子達。
まあ、いいさ。グムがいてくれるし。
「いい加減グムから離れろ。邪魔になってんだろ。」
「俺は離れんぞ。」
ガッシリとグムの腰に腕を回すと、ズィマーが足を引っ張ってくる。
「はーなーれーろー!」
「放すかぁ!!」
「ちょっと、二人ともグムに迷惑でしょ。」
「うぅん、大丈夫だよ。」
グムが楽しそうに声を弾ませる。多分笑ってるんだろうなぁ。
横を見るとイースチナがため息を吐いていた。
……仲間外れは良くねぇもんな!
体全体でぐるっと回って、ズィマーの手を弾くと、立ち上がってイースチナを横抱きにする。
「な、何をっ!?」
「そうれキャッチしな!」
ズィマーに向けてぶん投げる。
「おもっ……!?」
「……重いとか言わないで。」
「おお〜、ナイスキャッチ。ズィマーなら受け止めてくれるって信じてたぜ。」
この間にグムの後ろに回って抱き寄せる。
「あ、危ねぇだろ!」
「イースチナが軽いからいけると思ったんだよ。」
なー?と言いながらポフポフとグムの頭を撫でる。
この前髪どうなってんだよ。
「うおっと。」
頭をさっと傾けると頭があった所をアーツが通り抜ける。
「暴力はんたーい。」
「先にやって来たのはそっちでしょ。」
「俺は投げただけだからセーフだろ?」
ふふん、とドヤ顔を向けると額に青筋が浮かぶ。
「そうカッカすんなよ。皺が増えるぜ?」
わぁ、イースチナの服が浮き上がってきた。
「悪かったって。ほら、飴ちゃんやるから。」
ポッケから飴を取り出すと速攻奪われた。
「……次は無いから。」
ちょれぇわ。
「グムには?」
「え、ああ……っと悪ぃ、今ので切らしちまった。」
「無いの……?」
「部屋にあるから後で持ってきてやるよ。」
「むぅ、はぁい。」
グムが残念そうにする。つってもこの後グムが甘いの作ってくれるんだから本当は飴も食べない方が良いんだけどな。
「がるるるるるる……。」
「うわぉ、獣みたい。もしかして飴欲しかった?」
「いらねぇ!」
歯を剥き出したズィマーが俺を睨む。
「グム、怖いお姉ちゃんは放っておいて約束の作ってくれ。」
グムとついでにイースチナを脇に抱えてすたこら走る。
「あ!待てっ!」
「待てっつわれて待つやつはいねぇよ〜。」
「なぁ、そろそろ機嫌直せよ。」
シャクシャクとグムの作ってくれたかき氷を食べる。う……アイスクリーム頭痛……。
「うるせぇ。」
いちご味のかき氷を食べながらも俺を睨む。
「そんなに睨まなくたって良いじゃねぇかよ。」
かき氷に乗ったバニラアイスを掬ってグムに向ける。
「あ〜「がうっ!!」あー!!」
グムに食べさせようとしたアイスを横からズィマーが食べる。
「ズィマーお姉ちゃんずるい!」
「グム、こいつには気を付けろ!」
「むー!」
「喧嘩すんなよー。」
ため息を吐いてイースチナのかき氷を見る。抹茶もアリだったかなぁ。
「……ちょっと食べます?」
「良いのか?」
「はい。」
イースチナがスプーンを向けてくる。へぇ、あんまり気にしないんだな。
「うんうん、ほろ苦くて美味い。
いちごも食ってみるか?」
「いいえ、抹茶の甘さが感じれなくなるので私はいいです。」
「ああ、わかるわかる。」
自分のいちご味のかき氷を食べる。確かにこっちのが甘いからわかりにくくなりそうだな。
シャクシャクと食べてると横から視線を感じて見ると、ズィマーとグムがこっちを見ていた。
「ん、なんだよ?」
「ずるい!」
「イースチナ、何やってんだよ!」
「別にこのくらいなら気にする程でもないでしょ。」
イースチナが呆れた声を出すと二人が納得いかなそうな顔をする。
「ラックさん、グムも!」
「グムにはまだ早い!」
「ふ〜ん!デート行ったことあるからズィマーお姉ちゃんよりも進んでるもん!」
「んなっ……!?」
まあ、ズィマーってデート行きそうな感じでも無さそうだもんなぁ。
あ、ズィマーが撃沈した。
「ラックさ〜ん、あーん。」
「はいはい。」
さっきと同じようにバニラアイスを向けると今度はちゃんとグムが食い付いた。
あー、平和。
・ある日の一幕
「なー、テキサス。」
「なんだ。」
いつもみたいに仰向けに寝る俺の上にテキサスが寝転んでチョコを食べていた。
「ソラって俺の事嫌いなのか?」
「急にどうした。」
「だってさぁ、よく睨まれるし。」
多分、テキサスと一緒にいるからだろうけど。
「ソラはそんなに心は狭くない。」
「いや、テキサスに関しちゃ狭いと思うけど……。」
コロコロと胸の上でテキサスが転がる。……これが原因じゃね?
「なら、まずはソラを知る所から入ってみたらいいんじゃないか?」
「ソラを知る?」
「少し待っていてくれ。」
テキサスが部屋から出て行った。
「ほほぉ……。」
戻って来たテキサスがCDでソラの曲を流して俺に見えるようにソラの写真集を開く。
「これ可愛いな。」
「だろう。」
「ライブのDVDもあるぞ。」
「見る見る。」
「グッズはどうだ?」
「買おう。」
「はぁ〜……テキサスさんはまたラックさんの所かなぁ……。」
むぅ……羨ましいなぁ。
「ラックさーん。テキサスさん来てますかー?」
「うおおおお!!ソラァァー!!」
部屋の中で私のグッズを身に纏ったラックさんとテキサスさんがライブのDVDを観ていた。……何これ?
「!?ほ、本物のソラだ!!?」
な、生のソラだ!?
「いつも見てますよね!?」
「テキサスに会いに来たんだよな!どうぞどうぞ。」
「あ、あの、いつもと違い過ぎて気持ち悪いです……。」
「そ、そうか!?」
「いつもはもっと近いじゃないですか!」
ソラが近づいて来たから、後ろに下がる。
「も〜!なんで逃げるんですかぁ!」
「お、追い掛けないでくれ!?」
掴んで来ようとする手を避ける。
「避けないでください!」
「ほ、ほら、お触りとか、な?」
「今更じゃないですか!」
思い切ってソラが飛び込んで来た。
「ちょちょちょちょっとまて!?」
流石にこのまま倒れるのはまずいと思って受け止めると後ろに倒れた。
「……やれやれ。」
気が付けばもうちょっとでお気に入り1000件ですな。ありがたい事でっせ。
この前スイートポテト作りました。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん