温室の木陰で寝転がって本を読んでいると、妙な視線を感じた。
ラナ達ならすぐに声を掛けてくるだろうし、警戒じゃなくて興味があるみたいな視線だ。
視線を向けてくる方に目を向けて見ると、小さな驚きの声と共に姿を隠した……目立つ尻尾が草むらからはみ出ているが。
あの特徴的な尻尾、というか尻尾が複数あるのはスズランだろう。気配としては後二人いるみたいだが姿が見えない。
「はぁ……しゃーない。」
このまま出て来られないのも面倒だ。とっとと話を聞こう。
「へい、お嬢様方。俺に何か御用で?」
「「ぴゃっ!?」」
「ッ!?」
上から覗き込むとスズランとシャマレとポプカルがいた。
「え、えっと……その……。」
スズランが二人の前に出てきて言葉を詰まらせる。もしかしてまた怖がられてる?
ため息を吐きながらしゃがむ。
「ゆっくりで良いから。」
「はっ、はいっ。」
何度か深呼吸をして落ち着けると顔をずいっと突き出してきて思わず体を後ろに引く。
「一緒に遊んでくださいっ!」
「……ああ、うん、わかった。」
そう言うと三人が笑顔になる。
そんなに緊張する事なのか?
すぐにかくれんぼをすると言う話になって、まずは俺が鬼になった。流石にロドス全体だと見つけるのに時間がかかるから温室内のみにしたけどな。
三十秒くらい数えながら思い出す。そういえばドクターも遊んだって言ってたっけ。
「さーんじゅっと、探すか。」
気配は……
「流石にそれはダメだろ。」
遊びなんだからすぐに見つけちゃ楽しめないだろ。
ため息を吐いて、足元を見て草が潰れている所を……
「だからダメだっての……。」
クセになってんのかなぁ。
普通に探そう。
スズランとポプカルを見つけてシャマレを探す。
「……いないな。」
温室の中は粗方探したんだけど、もしかして外に出ちまったか?
「しゃーねぇか。サヤ、ソナー。」
『はい。』
「きゃっ!?」
「うぅ……。」
ん?急にスズランとポプカルが耳を抑えた。音を鳴らしてその反射を利用したソナーだけど、もしかして聞こえていたのか?
「悪ぃな。我慢してくれ。」
端末とサヤを接続して、ソナーの反応を見る。
「……ん?」
『ラック様、シャマレ様はあの木の上にいます。』
ソナーの反応のある方の木を見ると、温室でも一際大きな気があって、その木の下にモルテが落ちていた。どうも降りれなくなったみたいだ。
「スズラン、持っててくれ。」
「は、はい。」
刀と銃を地面に置いて木を登っていく。
「見つけた。」
「う、うぅ……怖くない、怖くない……。」
太めの枝に座って蹲るシャマレを見つけて思い切りジャンプして、すぐ横に飛び乗る。
「きゃぁああ!?」
「落ち着け、俺だ。」
「ら、ラック……。」
「いないから心配したんだ。とっとと降りるぞ。」
優しく抱き上げると木から飛び降りる。
「きゃあああああ!?!?」
くるくるとねこちゃんのように回転しながら落下して着地する。
「ほい、到着。」
シャマレを下ろそうとすると、ガッチリと首に抱き着いて離れない。
「……しゃーねぇな。」
心配そうにシャマレに声を掛けるスズランとポプカルを見て、次は安全な遊びにする事に決めた。
いや、俺は悪くないんだけどさ
「おーい、ラナー。」
「あら、どうしたの?今日はお兄ちゃんの日かしら?」
「そんなとこだ。摘んでも良い花ってあるか?」
「そうね……あっちのなら良いわよ。」
指を指す方を見ると色とりどりの花が咲いていた。あれなら問題なさそうだ。
「サンキュな。今度お礼になんかするわ。」
「何が良いかしら。」
楽しそうに頭を捻るラナを横目に花畑へ向かう。
出来れば簡単な事が良いな。
「あの、何するの?」
「んー、手芸?」
三人が疑問符を浮かべる。……そろそろシャマレは降りてくれねぇかなぁ。
スズランとポプカルまでこっち見てきてるから、後で二人にもなんかしてやんねぇといけねぇじゃん。……昔のモスティマ達を思い出すな。
花畑に着いて、座ってその上にシャマレを乗せると作業を始める。
そして数分かけて作った花冠をシャマレの頭に乗せてやると、顔は見えないが控えめに花冠に手を添えてるし、気に入ってくれたかな?
「いっちょ上がりっと。」
「わぁ〜、可愛いですね!」
「ぽ、ポプカルも欲しい……。」
「二人のも作ってやるから待ってな。」
さっきと同じように手早く完成させると二人の頭に乗せる。
久し振りに作って忘れてないか心配だったが悪くない出来だ。
「作り方教えるから、皆で作ってみようぜ。」
作り方を教えつつ、詰まっていたら手伝ってやる。
流石に載せたままだと教えにくいからシャマレを降ろした。
シャマレは手先が器用だからか、何も教えなくてもある程度一人で出来てるな。
「あ、あれ……?」
「ここはこっちに通すんだ。」
ポプカルは細かい作業が苦手なのか少し手間取っているため軽く教える。
「これでどうですか?」
「そうそう、合ってるぞ。いい感じだ。」
スズランはシャマレよりは時間がかかっているが順調だな。
それから少し時間が経って完成した。
「んじゃ、それはラナとポデンコに渡してきな。きっと喜ぶぞ。」
すると急にじゃんけんを始めた。誰が誰に渡すかって事か。
「勝った……!」
ポプカルが高々とチョキを掲げた。どうやら決まったみたいだな。さて、誰に渡すんだ?
「ラック、さん。」
「ん?」
「ポプカルの、あげる」
「……ああ、そういう事。」
苦笑いを浮かべてしゃがんで頭を差し出すと花冠が乗せられた。さっきのじゃんけんは俺に渡す人を決めるじゃんけんか。
じゃあ後の二人は、とラナのいた方を見ると花冠を乗せたラナとポデンコがこっちに手を振ってきて、こっちも手を振る。
ううむ、俺よりも二人の方が似合ってるな。
「サンキュな。」
「……うん。」
花冠を潰さないように頭に手を置くと、嬉しそうに目を細めた。
「もういい時間か。お前ら、そろそろ終わりだぞ。」
「もう……?」
「遊び足りない。」
「も、もうちょっとだけダメですか?」
子供の体力すげぇ……。俺割と疲れて来たんだけど。
「もう日も落ちたしな。それにそろそろ晩飯だ。」
「じゃあ一緒に食べる。」
シャマレの言葉に二人も頷く。随分と懐かれちまったもんだ。
「んじゃ、食堂行くか。」
歩き始めると着いてきて、今日遊んだ事の感想を伝えてくる。
ただ、周りをくるくると歩き回りながらだからかなり歩きにくい。
途中で面倒だからとポプカルとスズランと手を繋ぐと、一人溢れたシャマレが背中に飛び乗ってきた。
「……はぁ。」
ため息が出るが、口角は小さく上がっていた。
晩飯は特に何もなかった。まあ、他のやつらからは信じられないものを見たみたいな目で見られたが。
あの子達は行儀が良くて、食事も喋りはしたが綺麗に食べていた。逆に俺の方が少し不安になってきた。
「そら、もう寝る時間だぞ。風呂入って部屋に戻りな。」
眠たそうに目を擦るポプカルの背中を押しながら歩く。
「……子守唄。」
「なんだって?」
声が聞き取れなくて、しゃがんで耳を寄せる。
「子守唄、歌って……。」
なんで子守唄?と疑問に思うと後ろからスズランとシャマレの期待を込めた視線が送られてくる。
「全く、どこで聞いて来たんだ?」
「アーミヤお姉さんから聞きました!」
「……ホシグマ。」
「メランサお姉さんから……。」
面倒だな……帰って酒でも飲もうと思っていたんだけど。
「ダメなら諦めます……。」
頭を悩ませているとスズランが俯いてボソリと言った。
「…………あー、わかったわかった。子守唄歌ってやらゃ良いんだろ。
だからそんな顔すんな。」
ぐしゃぐしゃとスズランの頭を撫でる。
しかし、三人となるとベッドに入らないな。特にスズランなんか尻尾がでかい。
「……ああ、そうだ。たしかどこかの休憩室に大きいベッドがあったか。じゃあ風呂上がったらそっちに集合な。」
ひらひらと手を軽く振って自室に一旦戻ってシャワーを済ませて休憩室に向かい、適当な本を読む。子供とは言え女の子、時間はかかるだろう。特にスズランなんかは尻尾の手入れが大変そうだ。
「お待たせしました!」
「ん、来たか。」
本を棚に戻して振り返ると、三人に追加でグラニがいた。
「珍しいな。」
「三人が心配だったからね。監視に来たんだ。」
「そうか。……そんなに俺信頼ない?」
肩を大袈裟に落としてキングサイズのベッドに入る。
「ほら、早く寝るぞ。俺も今日は流石に疲れた。」
「「「じゃーんけーんぽん!」」」
「……なんでも良いけど早く決めてくれ。」
眠たい目を擦って大きな欠伸を漏らすと、スズランが上に飛び乗ってきた。うおっ、モフモフッ。
「んぐぇっ。」
「特等席です!」
両側にポプカルとシャマレが入って来る。
今度こそ子守唄歌って寝れると思ったが、グラニと目が合った。
「……お前も入れよ。監視っつっても寝るんだろ?」
「でもそれじゃ監視の意味がないでしょ?」
「なら俺が寝た後に寝りゃ良いだろ。」
「……それもそっか。じゃあお邪魔しようかな。」
グラニがベッドに入ると歌い始める。
上に乗ったスズランを軽く抱き締めながら背中を一定のリズムで軽く叩く。
「〜♪……ん?」
「……zzz」
一番にグラニが寝てしまった。監視するんじゃなかったのかよ……。
まあ、いいか。いつも巡回していて大変そうだし、今くらいは休んでもらおう。
「〜♪」
気付けば俺以外が寝ていて、ようやく寝れると目を閉じた。
「……あっつい。」
子供の体温たっけぇわ。最初こそ暖かくて良かったけど、寝ようとするとかなり寝苦しい。
しゃーねぇ、俺はソファで寝るか。
スズランを軽く持ち上げて抜けようとする。
「……んん。」
寝ぼけているのか、手をバタつかせる。そして、俺の胸元に手がぶつかるとシャツが掴まれた。
「えぇ……。」
どうにも抜けられそうにないな。諦めて降ろすと丁度いいホジションを探してもぞもぞと動く。
「うにゅう……。」
なんだその鳴き声。
ため息を吐いて、目を瞑る。いつか寝れるだろ。
「……ん?」
人の気配を感じて目を覚ます。誰だこんな存在感を出してやがるのは。
「それじゃあ、早速寝起きドッキリを……まだ朝じゃないから違うかな?」
ぱちっ、とカシャと目が合う。生配信でもしているんだろう。スマホを片手に持っている。
上手く回ってない頭で考える。起きちゃったし、それっぽく見栄えするようにしてみるか。
スズランを抱き寄せて額にキスをして、そのままウインクをカメラに一発。……我ながら完璧だ。
害のある相手じゃないとわかった瞬間に眠気が戻って来た。寝よう。
温もりを逃がさないようにスズランを抱き締めたまま眠りに落ちた。
後から聞いたが、あの後カシャのチャンネルが炎上したらしい。なんでだ?
とりあえす謝ったら今度生放送出ろって言われたから出ることにした。
・ある日の一幕
ある日、仕事もやることが無くなって暇になったから誰かで暇潰しでもしようかと散歩をしているとグラニを見つけた。
「グラ……。」
声を掛けようとして口を押さえる。
前から気になっていたが、グラニのあのズボンはなんなんだ。横がぱっかりと空いているが下着は履いているのか?紐も生地も見えないし、鼠径部がチラチラと見えている。
……気になる。ああ、気になる。気になって今日は八時間しか眠れなさそうだ。
気配を消して、抜き足差し足忍び足と背後に忍び寄り、思い切って隙間に手を突っ込む。
「ほう……!」
「わあああぁぁぁぁあ!?!?」
これは生足……!という事は履いてない、もしくは前貼りか!!いや、俺の知らない下着かもしれない!
「へ、変態!!」
「おっと、危ない危ない。」
エルボーを首だけ動かして避けて腿を撫でる。
「ひゃんっ!」
「可愛い声で鳴くじゃねぇか。」
正直もう逃げても良いが、折角の機会を見逃すなんて勿体ないことはしたくない。
この柔肌とぴったり張り付くようなズボンに挟まれるが堪らねぇな。
さて、もっと堪能させてもらおうじゃねぇか┈┈┈!!
「さて、何か言う事はあるか?」
「……ないです。」
チェンの声と共に首に刀が添えられる。
まさか、近くにいたとは……。
「早く手を抜いて、壁に手を付け。」
「あい……。」
抜く時に指で撫で上げると小さく体を震わせた。
残念、ゆっくりと籠絡させていこうと思ったのに……。
「そんな怒んなよチェン。確かに俺は悪いことをした。しかし、それ程気になったんだ。次はしないからさ、な?」
「お前の次はしないは信用出来ないな。良いからアーミヤの所に行くぞ。」
「……出来れば、チェンと二人っきりが良いな〜?」
「ダメだ。」
結局連れて行かれて、ラナも交えて説教、減給、罰則を言い渡された。
……ラナがいると母親に怒られてる気がするからすごくキツい事がわかった。
それと、グラニが俺を見る度にスカジや他のオペレーターの後ろに隠れるようになってしまった。
……せめて、ズボンを普通のにしてくれ。つい目で追ってしまうから。今度話す機会があったら伝えてみよう。
(ロリコン)疑惑
皆さん危機契約どうです?頭わるわるな俺は必死にゴリ押してます。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん