「ふむ。」
「どうだ?俺はレイズだ。」
「ならば私は降りましょう。」
「では私はコールで。」
「僕もコールします。」
カランド三人組と俺とアンセルとバイソンの六人でポーカーをしている。ちなみにディーラーはクーリエだ。
なんだかんだ、こいつらと一緒に遊ぶ事も増えたな。
場と手札を見ながらコーヒーを一口飲むと、横からひょっこりとスズランが顔を出した。
最近よく来る。懐かれるのはいい事だけどな。
カップとカードを置き、組んでいた足を下ろしてスズランを膝に乗っけると手櫛を通すように頭を撫でる。
「今日は二人はどうした?」
「二人とも用事があるみたいなので、一人で来ました。」
「そうか。」
カードをスズランに渡すと俺に見えるように持ってくれる。
……娘がいたらこんな感じか?
もう一度コーヒーを飲もうとすると飲みたそうに見てきた。
「苦いぞ?」
そう言ってカップを渡すと何度か匂いを嗅いで啜るように飲む。するときゅっ、と目を瞑ってテーブルに戻した。
「だから苦いって言っただろ?クーリエ、頼んでも良いか?」
「はいはい。」
唯一立っていたクーリエに頼むと、手際良く準備をして甘めのカフェオレを作ってくれた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます!」
両手でコップを持って飲むと花が咲いたような笑顔を浮かべた。
その間にもゲームは進み、バイソンが降りて俺とエンシオとアンセルの三人になった。
「では、ショーダウンです。」
「スリーカードだ。」
「はっ、勝ったフラッシュ。」
「確信するのは早いですよ。フルハウスです。」
「……チッ」
チップが全てアンセルに流れる。勝ったと思ったんだけどな。
スズランがやりたそうにしていたから譲るとクーリエがカードを配った。
手が空いてしまって片手で支えるようにお腹に手を回して片手でコーヒーを飲む。
ゲームが進み、ショーダウン。
「あっ、やった!私の勝ちです!」
スズランがフォーカードで一人勝ちしたみたいだ。
すごいでしょ、という風に俺を見上げる。
「運が良いな。」
そう言って撫でながらクーリエを見るとウインクをした。
スズランに良い手がいくようにしたな?器用なやつだ。
その後も何度かスズランと交代しながらポーカーを進めていると、いい時間になった。
「もーちょっと……」
「もう終わるし、帰るぞ。」
抱き上げると観念したのかスズランが他のやつらに手を振る。
全く、ケオベといいスズラン達といい、最近こういう役回りが増えてきたな。
風呂にも入れてやらねぇと、大浴場に一人で入れるのは……心配だな。しゃーねぇ、俺の部屋の風呂に入れるか。
「ほら、服自分で脱げるか?」
「できまふ……」
そう言うもののもたもた手を動かすだけで時間がかかる。
「俺がやるから、じっとしてな。」
え〜っと、ここがこうなってて……これが……こう?じゃあこれどうすんの?
「……よし、やっとだ。」
だいぶ時間をかけて脱がせると浴室に入る。
「目ェ瞑ってな。」
「はぁい。」
まあ、髪と体を洗うのはそれなりに慣れたんだが、問題は……
「この尻尾、だよなぁ。」
水に濡れてだいぶボリュームが落ちてはいるが、それでも大きい。
「確か、いつの間にか置いてあった尻尾用のシャンプーがあったはずだ。」
ん、ああ、これこれ。勝手に使うのは悪ぃけど使わせてもらおう。
かなり多めにシャンプーを出して尻尾を梳くようにしながら馴染ませていく。
「ぅ〜……やめてくださぁい……」
体と尻尾を捻る。普段自分しか触らない部分だし、拒否感は出るか。
しかしまあ、女の子なんだしこういうのはちゃんとやるべきだろ。
「ほら、大人しくしなさい。」
抱き上げて膝の上に対面で抱えて尻尾を洗う。
くすぐったいのかぷるぷると震えていた。
「よし、後は洗い流すだけだ。もうちょっとだけ我慢してくれよ。」
洗い流すだけだからと優しく撫でながらシャワーを掛け流す。
「終わったぞ。頑張ったな。」
「……えへへ。」
スズランを抱えて湯船に浸からせる。
さてと、今度は俺か━━━━
「っととと!」
眠って湯船に沈みそうになるスズランを持ち上げる。
一人で入れらんねぇな。
さっきと同じように膝の上に対面で座らせると自分の髪を洗い始めた。
「動くなよ。体拭きずらいだろ。」
「んんん〜……」
バスタオルで体を拭きながら、そういえばスズランに着せる服が無い事に気付いた。
「あ〜……俺ので良いだろ。」
いつもの『働きたくない』シャツを着せると俺もパンツを履く。暑いし、上は着なくていいや。
「乾かすぞ。こっちに来なさい。」
ふらふらと危なっかしい動きで俺に抱き着く。
「……まあいいだろう。」
この体勢なら尻尾を先に乾かすか。
ブラシをしながらゆっくりと乾かす。
その間にもぐりぐりとスズランが胸に顔を押し付けてくる。
「甘えんぼめ。」
そのまま髪も乾かすと俺も自分の髪を乾かした。
「寝るから、そろそろ離れてくれ……。」
今にも寝そうなくせに力一杯抱き着いて離れようとしないスズランに小さくため息を吐く。
「わかった、降参だ。」
ベッドに仰向けに寝ると、俺の体をよじ登って頬と頬をくっつけるとようやく眠ってくれた。
「……やれやれ。こりゃ、スズランの親に会った時が恐ろしいな。」
仮に俺にこんな娘がいて、今の俺と同じような状況になっているなんて知ったら思わずぶちのめしに行くかもしれねぇからな。
「今考えたってどうしようもねぇか。寝よ。」
「━━━━きてくださーい。」
「……ん、もう朝か?」
窓からの光に手を翳しながら目を覚ますと腹の上に跨ったスズランが俺の胸の上に手を置いて揺さぶっていた。
「おはようございます。」
にっこりと太陽のような笑顔でスズランが挨拶をしてくれる。なるほど、資料に我らが光って書いてあったが確かに光と例えるに相応しいな。
とはいえ、あの資料を書いたやつのみたいな思考は持っていないが。
「おはよう。」
体を起こして額にキスをすると優しく抱き締めた。
でもまぁ、多少猫可愛がりするのは良いだろう?
「は、恥ずかしいですよぉ。」
「はっはっは、そうか?さ、歯を磨くか。」
一緒に洗面台に行き、顔を洗うと、新品の歯ブラシを渡して歯を磨く。
先に着替えさせる為にスズランの部屋に行って食堂に向かった。ちなみにシャツはあげた。
「んじゃ、今日もちゃんと勉強頑張るんだぞ。」
くしゃくしゃと髪を撫でると楽しげな悲鳴を上げる。そして、手を止めて髪を整えてやる。
「なんだか、昨日の夜からパパみたいです。」
「スズランの父さんは昨日の俺みたいだったか?」
「そうじゃないですけど……ドラマや映画でみた子供が大好きなパパみたいでした。」
「そりゃあちょっと恥ずかしいな。」
思わず苦笑いを浮かべる。
「なら、子供を送り出す時はこんな感じか?」
しゃがんで抱き寄せて頬にキスをする。
「今日も頑張るんだぞ、リサ。」
「え、えへへ……行ってきます!」
仄かに赤く染めて、手を振ってパタパタ走って行くスズランに俺も手を振る。
にしても、俺もこんな事するなんて映画の見すぎか。
「さてと、仕事に行くか。」
周囲のオペレーターからの視線……一部殺意込みを背中に浴びながら自室に駆け足で戻る。
後日、『リサをラックに会わせるな』と文章が追加されていたがスズランから寄ってくるからどうしようとねぇだろ。
「今日は久し振りに配達だな。」
トラックの運転席に乗って助手席に装備を積むとサングラスを掛ける。
「サヤ、今日の天気は?」
『終日晴れです。配達日和ですね。』
「そりゃいい。」
エンジンを掛けて発進しようとした瞬間に違和感に気付いた。
「……いつからそこにいた?」
「今だよ?」
おかしな事を言うな、と言いたげな顔でモスティマがサヤを抱えて座っていた。
「またアーツを使ったな?」
「まあまあ、怒らないでよ。たまにはデートしよ?」
「デートじゃなくて配達……まあいいか。」
小さく笑みを浮かべるモスティマに言い返せず、仕方なくトラックを出した。
「これが荷物だ。」
「ああ、ありがとう。また頼むよ。」
「いつでも連絡してくれ。」
二日程時間を掛けて目的地に着いた。
少し遠かったが、トラブルがなくて良かった。
「ねぇ、ラック。配達はこれで終わりだよね?」
気がつくとモスティマが左手を握っていた。
「終わったぞ。」
「じゃああの屋台行こうよ。串焼きが美味しそうだったんだ。」
「ん、わかった。」
モスティマに手を引かれて着いていく。
「おじさん、二本ちょうだい。」
「あいよ!カップルかい?いいねぇ、サービス付けるよ!」
「ほんとに?ありがとう。」
モスティマが財布を出そうとするとを抑えて、自分の財布を取り出す。
「良いの?」
「デート、だろ?」
「……ふぅん、そっか。」
モスティマが照れたのか俺の反対を向いて髪を弄り始めた。珍しいもんが見れた。
「お待ちどうさん!」
「サンキュ。ほら。」
「……うん。」
どこかふわふわとした空気を出し始めたモスティマに串焼きを渡すと歩き始めた。
「ん、美味いなこれ。」
「うん、美味しいね。」
食べている間も手を離さずに指をガッチリと絡めてくる。こら、親指で撫でるな。
「この後はどうする?ここら辺にデートスポットなんて気の利いたもんは無いぞ。」
「良いよ。ラックと一緒にいるだけで充分。」
「そっか。」
そのまま歩いて何ヶ所か食べ歩き。途中で居酒屋に入った。
テキトーなツマミと、俺はビールをモスティマは果実酒を頼んだ。
「乾杯。」
「うん、乾杯。」
愛しい相手に美味い酒とツマミ、これだけあれば気が緩んでいつもよりもペースが上がってしまうのも仕方ないもんだろう。
サヤの忠告に従って途中でソフトドリンクに変えたモスティマと違い、ずっと酒を飲み続けた俺はそこそこ酔っ払ってしまった。
「ほら、ラック行くよ?」
「あ〜?わかった〜……」
「フラついたら危ないよ?」
「わぁってるわぁってる。」
引き摺られるように食べ歩きの途中でチェックインしたホテルに入る。
「モスティマ……」
「うん?どうした……んっ」
部屋に入った瞬間に壁に押し付けてキスをする。
「ちょ、ちょっとラック?」
「ごめん、ちょっと我慢出来ない。」
「せ、せめてシャワーだけでもいいから、ね?」
外にいたから汗の臭いが気になるんだろう。
それを無視して首元や腋の臭いを嗅いだ。
「汚いから……!」
「俺は好きな臭いだ。」
手を引っ張ってベッドの方に向かい、自分の装備とモスティマの装備を取り外して横に置いて、モスティマのジャケットを脱がすとベッドに寝かせて腋に顔を突っ込む。
「すぅぅぅ……」
「お、お願いだから、流石の私も恥ずかしいよ……。」
「嫌だね。」
モスティマに体重を掛けないように跨ると、丁寧に靴と靴下をポポイと投げ、手袋を取って素手になった指を両手で取って撫でる。
「折角手を繋ぐなら、手袋越しじゃなくて素手の方が良かったな。」
「……次ね。」
「次があるって期待して良いんだな?」
手を合わせて握ると顔を寄せる。
「……うん。」
その言葉を酔っ払って使い物のなりそうもない頭にしっかりと刻み込むと自分のジャケットとシャツを脱ぎ捨て、モスティマのシャツの中に手を入れる。
「っ……」
「いいだろ?」
珍しく受け身なモスティマに気分を良くした俺はそのままブラを捲り上げて直接胸を触った。
相変わらず心地良い感触が掌に返ってくる。汗もかいているからかしっとりとした肌触りだ。
試しにそのまま乳首を転がすと体が少し揺れた。
「イジワルばっかり。」
「許してくれよ。はーい、ばんざーい。」
軽く遊ぶとシャツを脱がしてブラを取ると、半裸になったモスティマの胸に顔を埋める。
「ふふ、赤ちゃんみたいだ。」
「男ってのはいつまで経ってもガキだよ。」
横を向き、モスティマの胸に耳を当てて心臓の鼓動を聞くと落ち着く。まあ、それはそれとしておっぱいが当たってるから興奮はしているが。これが頭はホットに心はクールにってか。
くだらない事を考えながら手をモスティマの腋から腰を滑らせて短パンをパンティごと脱がすと、足を揃えて上に上げた状態になり、そこに自分の腰を入れる。
「ラックは強引だね。」
「嫌いか?」
「愛してるよ。」
そして、そのまま夜が更けていった。
陽の光が目に入り目を覚ます。
「おはよう、ラック。」
「……はよ。」
左腕に顔を向けるとモスティマが微笑んでいた。
仰向けから横向きになると、モスティマが足を俺の足に絡ませて抱き着いてくる。昨日から全裸で汗だくな体と体が引っ付き、体の境界線が曖昧に感じる。
「ねぇ、ラック。」
「うん?」
「この前ね、ラックとスズランが一緒にいたのを見たんだ。」
「見ていたのか。」
「うん、まるで親子みたいだったよ。」
「それで?」
「私も、ちょっと欲しくなっちゃった。」
心臓が大きく跳ねる。きっと抱き着いているモスティマにも聞こえているだろう。
「……ごめんね、迷惑だったかな?」
少し悲しそうなモスティマの声が耳を打つ
「違う、違うんだ。お前はちっとも悪くない。俺が悪いんだ。」
俺がふらふらとあっちこっちで遊び回っているのが悪い。でも、やめる事はきっと出来ないんだろう。これは俺の心の問題だから。
「じゃあ、約束だ。いつになるかは分からないけど、俺の心の準備が出来たら、結婚して子供でも作ろう。」
………………ん?あれ、今までに無いくらいちゃんとした返事をしたはずなのに反応がない。
困惑しているとピッ、と音が聞こえた。
「約束だからね?」
俺の背中に回していた左手を前に持ってくると、ヒラヒラとボイスレコーダーを揺らした。
「は、ははは……流石、俺の言葉が信用出来ねぇのよく分かってんな。」
いつこの言葉を俺自身が忘れるかもしれないしな。昔の事も一部忘れてるし。
今度こそ忘れないようにしよう。幸せそうに胸に顔を埋めるモスティマを見ながらそう思った。
それと同時に、この事が後に大事になる事を俺は知らなかった。
『録音、完了しました。』
・もしもの一幕
「ドクター、資料ってこれで良かったか?」
「うん、ありがとう。」
私が目覚めてからそれなりに時間が経った。記憶が無くったって、みんなが支えてくれているお陰で失敗しても前を向いて歩けている。
でも、一つだけ問題があった。
「?どうしたんだ、ドクター。」
ラックだ。彼はある日ふらふらとロドスにやってきてそのままオペレーターとして居着いていた。
聞いた話じゃエクシアやモスティマと家族同然の仲らしい。それと、複数の女性と関係を持っている要注意人物だ。当然と言わんばかりにオペレーターとも関係を持っている。
そんな彼の距離感が最近バグっている。
前までは秘書の仕事を面倒くさがりながらやっていたのに、いつの間にか自分から率先してやるようになったし、気遣いだってしてくる。
「なんだ、悩み事か?だったら仕事は一旦休憩してコーヒーでも飲むか?」
「ひゃいっ!?」
いつの間にか後ろにいたラックが椅子に座っている私に凭れるように抱き着いてくる。
これだ、心臓が幾つあっても足らない。
「わ、わわわ私は堕ちないからね!」
「おちる?何言ってんだか、熱でもあるのか?」
椅子をくるりと回すと私のフードを下ろして額と額をくっ付けた。
「……はぇ?」
「熱は無し。なら仕事の詰め込み過ぎか、休め。」
「ちょ、ちょちょっ!!?」
軽く私を抱き上げると部屋のソファに寝かされる。ま、まさかこのまま美味しく頂かれる!?
思わず目を瞑ってしまう。
「今日は一段と変なドクターだな。」
ゆっくりと目を開くと可笑しそうに傍に座って笑うラックがいた。
「うぅ〜イケメンめぇ……!!私は変じゃないよ!ラックが変なんだ!」
ちゃんとしている時は無駄にちゃんとイケメンしちゃうのずるい!!
むかむかとした気持ちで頭を叩いちゃう。
「なんだかわかんねぇけど、俺がイケメンなのは間違えようがない真実だな……。」
ふっ、と妙な角度でカッコつける。
こっちもふんっ、と横を向いて目を瞑る。仕事は休んで寝ちゃお。
「あ、あわ、あわわわ……」
「あちゃー。」
ど、どどどどうしよう、戦線が崩壊しちゃった!まさか重装オペレーターを置いた場所に術士がやってきて、前衛オペレーターを置いた場所に重装がやってくるなんて!
「こりゃあ撤退した方が良いかもなぁ。」
隣にいるラックのんびりとした声に泣きそうになる。
また失敗しちゃったぁ……。みんな強いオペレーター達なのに私の指揮が良くないから……。
涙を零しながらそんな卑屈な事を考えていると、くしゃりと髪を撫でられた。
「これから成長してきゃ良いんだよ。
ほら、指示出しな。殿は俺がやっからよ。」
「うん……いつもごめんね……。」
「気にすんなよ。」
手をひらひらと振るラックから真っ黒な輪と羽が出てくると、その場から消えた。
「みんな、急いで撤退して!」
私も出来る事をやらないと!
ちょっとした設定
・一幕メンタルよわよわ泣き虫ドクターちゃん
すぐにぴゃっと泣いちゃう女の子。オペレーターの能力は最近昇進1が出来るようになったくらい。
・本編一般ドクター
オペレーターの能力はうちのロドスアイランド
・一幕ラック
自由に輪と羽が出せるようになっている。ポジションはKHシリーズのミッ〇ー。
一幕ラックの中で一番強いかもしれない。もし異格があるならこんな感じになる。
本編中でいつかと言いましたが、そのいつかは完結する前くらいなので本当にいつかです。そもそも、終わらせるつもりがなく、だから一話完結みたいな形式なんですけどね。ただ一幕で書くことは普通にあります。
前回の一幕の様子を見た限り、人それぞれの意見がありましたので、ああ言った内容はちょっと控えようと思います。もし書くとなったら何か警告的な物を事前に表示しますね。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
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このままで構わん