酒を飲んで、女を抱く   作:黒色エンピツ

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五十一話:おもちゃ箱

 

 

 

 

俺が倒れて一週間程経った。そろそろ大剣を取りに行くか。流石にもう大丈夫だろう。

 

「今は誰が持ってんだ?」

 

『マゼラン様です。現在は部屋にいるので向かいますか?』

 

「ああ。連絡しといてくれ」

 

『わかりました』

 

今度はどんな改造をしたのやら……せめて使いやすけりゃいいな。

 

 

 

 

「マゼラン、いるか?」

 

「はーい」

 

声を掛けるとすぐにマゼランが出てきた。

 

「いらっしゃい、入って入って」

 

言われて中に入ると、壁に大剣が立てかけられていた。

 

「今回はどんな機能なんだ?」

 

「あれ、仕様書読んでない?」

 

「あ〜……忘れてた」

 

使えばわかると思ってたし、細かい事はサヤがわかってればいいだろ……。

 

「もう、しょうがないなぁ」

 

そう言いつつも、楽しげに大剣を持って説明を始める。

 

「今回の大剣は盾になるんだよ!サヤ、お願い」

 

『シールド、オンライン』

 

柄が折り畳まれ、刀身部分がスライドして広がる。確かに形状は盾だな。ただ……

 

「耐久性はあるのか?それに、スライドしたって事は層になってんだろ?大剣の時でもぶっ叩いたら歪みそうだぞ」

 

「そうなの!そこが一番苦労したんだよね。ヴァルカンちゃん達に手伝ってもらったんだ」

 

「苦労してそうだな……」

 

マゼランから受け取って何度か拳で叩いてみる。

 

「にしても、俺が寝込んでたのって二日くらいだろ。よく間に合ったな」

 

「前から準備してたからね」

 

「せめて相談とか……まあいいか」

 

「それと先端には前は二本の杭だったけど一本の杭にして━━━━」

 

その言葉に思わず腰を浮かせる。

 

「待った待った。俺が最初に頼んだもん無くされたら困るっての」

 

「もー、話は最後まで聞く!」

 

ビシッと鼻先に指先を突き付けられる。

 

「……わかったよ。それで?」

 

「こほん、一本の杭にはなったけどそれが真ん中で別れて二本になるから今までと同じ使い方が出来るよ」

 

「それを先に言ってくれ」

 

「言おうとしたのに止めたでしょ?後、杭の太さも太くしてみたから、盾を地面に突き立てたり、槍みたいに使ったりもできるはずだよ」

 

「なるほど……火力を更に補ってくれる訳か。そりゃ便利だ」

 

盾を少し高く持ち上げるとジャコンという音と共に杭が飛び出して、二つに別れた。

 

「こりゃいい」

 

「気に入ってくれた?」

 

「もちろん。ありがとな」

 

頭を撫でると嬉しそうに目を細める。

 

「これがありゃ、ある程度は重装と同じような役割が出来そうだな。誰かに動きを教えてもらうか」

 

結構でかい盾だし、似たようなやつに頼みたい所だな。

ヴァルカン、マッターホルン、ニアール他にも……

 

「あ、盾の使い方だったらマリアちゃんに教えてもらってあげて。最近会えてないから寂しそうにしてたよ」

 

「そんなに長い間会ってない訳じゃないはずなんだけど……」

 

「もー、乙女心がわかってないね!」

 

「あー、わかったわかった。マリアに会いに行けばいいんだな」

 

立ち上がろうと机に手を置くと、その手の上にマゼランの手が重ねられた。

 

「どうした?」

 

「……もうちょっと居てもいいんじゃないかなー、なんて」

 

えへっ、と少し照れた風に笑った。

 

「そうだな。教えてもらうのはいつでも出来るからな」

 

「やった!」

 

俺が椅子に座り直すと椅子を移動させて真横に持ってきて座ると腕を抱き抱える。

 

「じゃあ、会ってない間の話でも聞かせてくれよ」

 

「うん!まずメイヤーちゃんと━━━━」

 

その日はずっとマゼランと寝るまで二人きりで他愛無い話をして過ごした。

 

 

 

 

「マリア、ちょっと良いか?」

 

「あ、ラックさん。大剣受け取ったんだね」

 

数日後、食堂でマリアを見つけて隣に座った。

ちなみに今日の昼はサンドイッチだ。卵たっぷりのサンドイッチがお気に入り。

 

「ああ、勝手に改造されたのは兎も角、気に入った。ただ、俺は盾を使った事が無いから戦い方を教えてくれるか?」

 

「……え?私で良いの?お姉ちゃんやマッターホルンさん達の方がいいんじゃ……」

 

「なんだ、嫌か?じゃあ他のやつに「待って待って!やるやる!やるよ!」よし、頼んだ」

 

「もう……強引だなぁ。でも引き受けちゃったし、早速内容を考えなきゃ!」

 

残りのサンドイッチを頬張って立ち上がろうとするマリアの肩に腕を回して止める。

 

「まあまあ、久し振りなんだから少しは落ち着いてお喋りしようぜ?」

 

「でも早い方が良いでしょ?」

 

「嫌か?」

 

口を耳元に寄せて囁く。

 

「嫌じゃ、ないよ……」

 

「よし」

 

腕を外してサンドイッチに齧り付く。美味ぇ。

 

「むー……」

 

ジトりとした視線を横から感じる。しゃーねぇだろ腹減ってんだから……。

 

「なんだ?美味いぞ。」

 

マリアの口元にサンドイッチを寄せると大口を開けて俺の指ごと口に入れて、抜いた時に水音が鳴った。

 

「あっ、全部食いやがった!?」

 

「ふんっ」

 

「雑に扱って悪かったって……あー、今度デートしよう」

 

「でーと」

 

「つっても今は街の近くじゃないし、ピクニックみたいになるけど良いか?それとも部屋で映画でも見るか?」

 

選択肢を与えるとうんうんと悩み始め、ぶつぶつと独り言を言い始める。

 

「お部屋で映画デート……でも邪魔が入ってくるかもだから……ピクニック?」

 

「俺が誘ったんだから飯は俺が用意しようか?」

 

「……一緒に作りたいな」

 

きゅっと左の袖をつままれた。

 

「…………わかった」

 

上目遣いっていつの間にそんなにあざとく……前からか。

 

 

 

 

飯を食い終わって少しして訓練室に入るとマリアが困ったように言う。

 

「えっと……本当ならちゃんとした訓練の方が良いと思うんだけど、ラックさんって独特な戦い方でしょ?」

 

「自分で言うのもなんだがそうだな」

 

普通銃が使えるならジェシカみたいに遠距離に徹しれば良いし、刀や大剣を使うのなら正面切って戦えばいいが俺は全部使うしなんなら暗器も込みだ。

 

「だから実戦形式が一番良いと思うんだけどどうかな?」

 

「いいんじゃないか?俺の戦い方はほとんど独学だしな」

 

「良かったぁ。じゃあ早速始めよっか」

 

距離をある程度置いて大剣を盾に変えて左手に持ち、右手に木刀を持つ。

 

「いつでもいいぞ」

 

「行くよ!」

 

振り下ろされた木刀と盾で受け止める。……だめだな。先に木刀で受け流そうとしてしまった。もっとどっしりと構えるようにしてみるか。

木刀だからいつもよりも軽装で盾持っていないマリアが機敏な動きで右手側に回る。

 

「はあ!」

 

「んのっ!?」

 

咄嗟に身を引いたが右肩を叩かれる。実戦になるとこの重さが厄介だな……。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、続きを頼む」

 

仕切り直してマリアが斬り込んでくる。

正面や左側ならある程度は防げているが、やはり右側への対処が難しい。

 

「くっ……ぬぅん!」

 

マリアの振るった木刀をこちらも木刀で受け止めて、盾をぶん回してマリアにぶち当てる。

 

「ちょっ!?あ、あぶなっ!?」

 

「……なるほど」

 

盾でぶん殴るのもありか?

 

「さ、流石にその重量の盾で殴られるのは怖いよ」

 

ぶんぶんと数度盾を振る。刀身が展開した分空気抵抗が増えて振る速度は落ちるが、使えるな。

 

「もっとだ、もっと来い!」

 

 

 

 

訓練を初めて数時間、合間に休憩を挟んでいたがほとんどぶっ通しでやっていた。

 

「ふっ……!」

 

「やっ!」

 

「くぉっ!?」

 

途中からマリアも盾を持ち始めた。今も木刀を振ったが弾かれて姿勢が崩れる。

 

「サヤ!」

 

盾を地面に突き立てると杭が飛び出して地面と固定する。左腕に力を込めて盾に体を引き寄せる事で攻撃を避け、体を一回転させて斬りつける。

 

「アクロバティックな事するなぁ……」

 

「そこそこ慣れてきたな。……んで、何ジロジロ見てんだよ」

 

途中から人が増え、ニアールとゾフィア、ホシグマにマッターホルン、ヴァルカン、リスカム、ジュナー、スカジが壁際でこちらを見ていた。

ヴァルカンやニアールとゾフィアはまだ分かるが、他のやつらは……?

聞いてみれば俺が重装に転向すると言う噂が出ているらしく、様子を見に来たらしい。スカジは素振りをしていた所を見るに……遂に殺りに来たか……?

 

「失礼ね、訓練の手伝いをしに来ただけよ」

 

「頼むから大人しくしてろよ?横槍入れるにしても少なくとも真剣はやめろ。盾が壊れる」

 

そう言うとため息を吐かれた。絶対横槍入れてくるつもりだったな?

 

「ラック、本当に重装に転向するつもりか?」

 

「しねぇよ。ただ、大剣にそういう機能が追加されたから緊急時はそういった動きが出来るから訓練してるだけだって」

 

盾を大剣に戻して背負う。基本的には今まで通り前衛として戦うつもりだ。

とりあえず、ある程度使えるようにはなったし、こんなもんで良いだろう。

 

「解散だ解散。ジロジロと見られてちゃ気が散っちまうよ。シャワー浴びてくる」

 

普段使わない体の使い方したから汗びっしょりだ。明日は久し振りに筋肉痛かもしれねぇ。

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

ぬるめのシャワーが心地良い。シャワーを浴びながら筋肉を解すように腕を揉む。多少は筋肉痛もマシになりゃいいなぁ……。

 

「だーれだ?」

 

声と共にむにゅりと柔らかい感触が背中を襲う。

 

「マリア」

 

「ふふっ、正解」

 

「よく来れたな。他にもいただろ?」

 

「一旦解散したけど戻って来たんだ」

 

「どうせそんな事だと思ったわよ」

 

「っ!?お、おばさん!?」

 

「誰がおばさんよ!」

 

「ひゃっ!?ご、ごめんなさい!」

 

後ろを見ればゾフィアが立っていた……裸で。まあうん、マリアもそうだし、シャワー室だからな。

ちなみに今マリアが驚いた時に密着度が増した。素晴らしいな。

 

「折角ゾフィアも来てくれたんだ。良かったら洗ってくれるか?」

 

「仕方ないわね……ええ、仕方ないからよ」

 

言い訳のようにゾフィアが何度も仕方ないと呟く。

マリアが俺の前に周り、ゾフィアが後ろから抱き着き体に腕を回す。

 

「ラックさん、少し屈んで?」

 

軽く膝を曲げるとマリアが背伸びをして、俺の腿を撫で付けながらキスをしてくる。俺の背中ではゾフィアが背中にボディソープでも付けたのかぬるつかせた柔らかく豊満な胸を押し付けてきていた。

二人とも身長が低い訳ではないが、俺と比べるとだいぶ低い。やっぱ普通に風呂の方が良かったか?

 

「気にしなくてもいいよ」

 

唇を離したマリアが笑って言う。顔に出ていたか?

 

「気を抜いている時のラックさんって意外とわかりやすいんだよ?」

 

「そうね、子供っぽいとも言えるわね」

 

「む……」

 

左手で自分の頬をグニグニと揉む。こんなにも表情に出るようになっているとは、我ながら丸くなったな。

 

「それよりもこっちでしょ」

 

左手を掴まれるてマリアの胸に誘導される。

 

「そうだな」

 

そのまま揉み、乳首を指で転がすとマリアが小さく声を漏らした。

あ〜〜〜〜やっべぇめちゃくちゃムラつく。でも今ヤッちゃったら背中と腰が終わる。間違いなく。確実に。でも今ヤッたら絶対気持ち良い。

 

「我慢は、良くないと思うのだけれど?」

 

ゾフィアが俺の腕を取り抱き締めると、手先がゾフィアの股に触れる。

 

「……後悔すんなよ━━━━!」

 

てめぇマジで足腰立たなくさせてやるかんな!

 

 

 

 

「いたたた……」

 

「大丈夫?もう、無理し過ぎだよ」

 

「何か必要だったら私にも手伝わせてくださいね!」

 

けっきょくあの後張り切り過ぎて今はススーロとスズランに看病してもらっている。ススーロが貼ってくれた湿布が沁みるぜ……。

今もスズランが腰を撫でてくれている。

ちなみにマリアとゾフィアはヤリ終わった後にツヤツヤした顔で別れた。それまで俺は情けない所は見せられないと痩せ我慢をしていた訳だが、限界が来て部屋に戻ろうとしているとスズランに見つかって今に至る。

 

「悪いなぁ、二人共」

 

右手で順番に二人の頭を撫でると、スズランはペカッと眩いくらいの笑顔を浮かべ、ススーロは口をへの字に曲げた。

うぅん、俺さっきまで子供には見せられないような事をしていたからちょっと気まずい。

 

「次からはちゃんと訓練前に柔軟をする事。良い?」

 

「はーい」

 

「伸ばさない」

 

頬をつねられた。

 

「はい」

 

「うん、じゃあ後はお願い」

 

「わかりました!」

 

「……ん?後はお願いって、スズランも好きにしてていいぞ?」

 

「ラックは一人にすると何をするか分からないからね、監視役としてお願いしたんだ」

 

「任せてください!」

 

ふんふんと気合いの入ったスズランが両手をぐっと握った。

 

「ひでぇ信頼……まあ、じゃあよろしく頼む」

 

この後俺は後悔することになる。まさか数分に一度の間隔で何か無いかと聞かれることになるとは……。決まり手は添い寝からのお腹ぽんぽんで寝かしつける事だった。余計疲れた気がするが、まあいいかぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

・ある日の一幕

 

「こんにちは、ラックさん」

 

「げっ……」

 

部屋で一人でのんびりと過ごしていると、扉が開いてミヅキがひょっこりと顔を出した。俺こいつ苦手なんだよ……海の気配がするし、クラゲっぽいもん出してくるし……でもなんか好かれてるから無下にするのもちょっとなぁ。

 

「そんな顔しなくても良いでしょ?遊びに来ただけなんだから」

 

そう言って俺の隣に座ってくる。それを見て俺が少し離れると近寄ってきてさっきよりも距離が近くなる。

 

「何見てたの?」

 

「映画」

 

「ふーん」

 

じゃれつくように体を倒して俺の膝を枕にする。

 

「おい」

 

「減るものじゃないから良いでしょ?」

 

「……はぁ」

 

目を映画に戻すと、少しして手を掴まれてミヅキの頭に置かれる。

手触りの良い髪を撫でると甘えるように頬ずりをしてくる。……せめて海の気配がもうちょっと薄けりゃ良かったのに。

そんな事を思っていると、手首に触手が絡みついた。

 

「……そっちも撫でろってか?」

 

触手の表面を撫でてやると、ぴちぴちと嬉しそうに触手がうねる。

うへぇ……このヌルヌル手ェ洗ったら落ちっかな……。

 

 

 

 

 






原神のフリーナに一目惚れしてのめり込んでます。属性盛盛でたまんねぇ……

今後の読みたいと思う内容

  • ラックの過去話や異格イベ等
  • このままで構わん
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