「エンシオ、今日飲もうぜ。
酒持ってくからお前の部屋で良いだろ?」
「構わないが、いつも私の部屋だな。」
「お前の部屋が一番雰囲気とかが丁度良いんだよ。」
家具のセンスとか良いし。
「んじゃ、後チェンとホシグマにも声かけとくわ。」
「ああ、わかった。」
「全員持ったか?かんぱーい。」
「「「乾杯。」」」
俺を除いて騒ぐ連中じゃないから静かに乾杯をする。
「エンシオ、お前そろそろ妹と話せたのか?」
「……挨拶くらいは、だな。」
ダメじゃねぇか。
「ラック、いい加減パンツで歩き回るのを止めてくれ。」
「いや、酒飲んでたら勝手に脱いでんだよ。」
ほんと不思議。
「最近はどんなトレーニングをしているんだ?」
「そうだな……般若を扱うから腕を鍛えていたが、バランスも大事だから、下半身を中心にし始めた。
む、酒が無くなっているな、注ごう。」
っくぅ〜……結構キツい酒だな。
「あー、そういえば、またモスティマとエクシアが迫って来てさぁ……今は結婚する気無いってのに。」
「ふっ、お前は気が多過ぎるからだろう。」
「最近はラップランドとテキサスと一緒にいる事が多い気がするな。」
「私はメランサといる所を見たな。」
「モテる男はつれぇな。」
「「「はんっ!」」」
こいっつら……。
「そういうお前らこそどうなんだよ。
エンシオはお堅いし、チェンとホシグマは男勝りだから誰も近寄らねぇんじゃねぇっでぇなぁ!」
頭殴んな!
「今はそんな事を考えている暇はないな。」
「ううむ……。」
「私は対等に酒が飲めれば嬉しいな。」
ホシグマと同じくらいに酒飲めるっつったら同じ鬼とかだろ。
「やっぱ自分の好みを考えてみようぜ。」
「なるほど、では、参考までにラックの好みはどうなんだ?」
「そうだなぁ……髪の長さとか身長は気にしないけど、髪が綺麗な人が良いよな。」
「例えば?」
「メランサとかだな。ああ、メランサと言えば、あいつの髪ってすっげぇ良い香りするんだぜ。」
「そうなのか?」
「私は鼻が良いからたまに香ってくるが、確かに上質な香りがするな。」
「シルバーアッシュがそう言うのならそうなんだろうな。」
「おい。まるで俺の嗅覚は信用出来ねぇみてぇじゃねぇか。」
ジャーキー齧って文句を言う。ん〜、味がじんわり出てきてうめぇ。
「おい、エンシオ、俺が言ったんだからお前な。」
「なぜ私が……。」
「こういうのは先に男が言ってメイン二人を後にするってのが常識だぜ?」
女性の好みを聞く時の方が盛り上がるからな。
「……あまり、好みと言う訳ではないが、クリフハートのように元気がある女性は好ましく思う。」
「お〜い、こういう時くらいちゃんと名前で呼んでやれよな。まあ、いいや。
ホシグマはさっき言ってたから次チェンな!」
「わ、私か……む、難しいな……信頼、頼れる男性が良いな。」
「つまり俺か?」
「お前は腕は立つが、信頼……?」
「なんだよその目は、俺程信頼の文字が似合う男はいないぜ?なんなら信頼って文字を背負ってるくらいだ。」
「ふっ、笑わせるな。」
「ああん?エンシオォ、テメェなんつった?」
「笑わせるな、と言ったのだ。」
「よぅし、いい度胸だ。
じゃあ今回は……チェン!お前、俺とこいつ、どっちが信頼できる?」
「シルバーアッシュだ。」
「ふっ……。」
このっ、即答されたからってドヤ顔でワイン飲みやがって……!
「ホシグマ〜、二人が虐めてくるんだよ〜。」
「はっはっはっ!グラスが空になっているな、追加を足そう。」
「お、おい。そろそろ酔ってきたんだけど……。」
「もうダメなのか?なら、ラックは私の好みには合わないな。」
なんだって?
グラスをテーブルに叩き付ける。
「まだまだ飲めるに決まってんだろ。もう一杯だ。」
「ふっ、その調子だ。」
「ホシグマ、もうその辺にしておけ。」
「止めんじゃねぇ。」
飲んでは酒が注がれる。
「まらぁ……おりぇは飲めるぞ……。」
んん……?エンシオは……?
「はっ、もう潰れてんのあ?」
テーブルに突っ伏してやんの。
「ラック、眠いなら寝ても構わないぞ。」
「まだ……のめ……。」
チェンに手を添えれてそのままテーブルに倒れた。
「……へっくしゅ!」
うぅ〜、さびぃ。
なんだっけ……ああ、飲んでたんだっけ。げっ、またパンイチだし。
部屋に戻った覚えはねぇからエンシオの部屋で寝たのか?
「あったま痛てぇ……。」
手を付いて起き上がろうとするとふにゅりと柔らかい感触がして、その方向を向くと……なぜか、俺の上着を上に掛けたチェンが寝ていた。
……なぜ下着?
「ラック……。」
この声は!
「エンシ……オ?」
パンイチのエンシオの隣には下着姿のホシグマがいた。
エンシオと合流する。
「「……。」」
「お前、昨日の記憶はあんのか?」
「いや……。」
「よし……まずはホシグマの股を確認しろ、俺はチェンを確認する。」
「貴様正気か……!?」
「しゃーねぇだろ、やっちまってたらどうすんだ……!!」
「くっ……わかった。」
チェンの所に戻って、上着を捲ると……白い液体が流れていた。
「……っっ!!」
顔を両手で覆う。
そうだ、エンシオは……!
振り返ると俺と同じように顔を覆っていた。
「どうするんだ……!」
「うるせぇ俺が知るか……!」
「ううん……。」
ビクッと二人して肩を跳ねさせる。
「チェ、チェン……。」
「ああ、ラックか。」
俺の顔を見ると、赤くなる。
「昨日は、激しかったな……。」
嘘だろ……!!?
ドサッと聞こえて振り返るとエンシオがホシグマの前で崩れ落ちていた。
「私が一時の感情になど……。」
「俺も……墓場行きか……。」
ははは、笑えねぇ……。
そうしていると、チェンとホシグマが笑いだした。
「な、何がおかしいってんだよ。」
「いや、ここまで上手くいくとは思わなくてな。」
上手くいく?まさか……。
「ドッキリだ。」
ホシグマがドッキリ大成功の看板を取り出す。
「は……?」
「いつもお前にからかわれてばかりだからな。たまにはやり返してやろうと思ったんだ。」
「まさかあんなに慌てるとは思わなかったがな。」
「おまっ、ちょっ、いくらなんでも質が悪過ぎだろ……!!」
洒落になんねぇよ!!
「あの液体は!?」
「それっぽいものだ。クロージャが作ってくれた。」
なんだよ……焦らせやがって。
「ふん、驚かせるな。」
お前、本気でへこんでたろ。
「次からはこういうのは止めてくれ……心臓がとまっちまう。」
「善処する。」
「いや、やんなよ。」
チェンとホシグマを部屋に返して二人で部屋を片付ける。
「……エンシオ。」
「……なんだ。」
「次から気を付けような。」
「待て、私は巻き添えだ。」
うっせぇ。
「やっぱでかい風呂は良いもんだ。」
片付けを終えて、昨日は風呂に入っていない事を思い出して、ドクターに頼むと今の時間に入って良いと言われた。
各部屋に風呂はあって、大浴場は時間ごとに男女が入れ替わるようになっている。
部屋の風呂はちょっと小さくて狭苦しい。
湯船に浸かり、タオルを畳んで頭に乗せる。
「極楽極楽……エンシオも来れば良かったのにな。」
フェリーンは水が苦手?いや、それも人によるか。
「一人でのんびりするなんて何時ぶりだ?」
いやまあ、配達の時は一人だけどな。
「ふぃ〜……。」
のんびりしているとカラカラと扉が開く音が聞こえる。誰か来たのか?
「メランサちゃんって肌も髪も綺麗だよねー。羨ましいなぁ。」
「そんなことないと思うけど……メイリィだって綺麗だよ。」
咄嗟に湯船に潜る。
おかしい、なぜ女性オペレーターが入って来てんだ?
「ドクターが許可出してくれて良かったね!」
「訓練の後だし、今日は任務もないからね。」
なるほど、ドクターのやつ理性がないな?
しかし、カーディもいるくらいなら開き直っても良いかもしれない。実際俺が先にいたしな。
「やっぱり大きいお風呂は良いね!」
「ビーグル、走ると滑って怪我するよ。」
「あ、フェン、さっきはありがとう。」
「いえ、こちらも勉強になりました。」
フェンはまずい!!
真面目ちゃんだから先に入ってた事はともかく覗きをドーベルマンに報告されたら厄介だ。
ならば、隠れるのみ。今日はパフューマーの薬湯だから少し濁っていて見えにくいだろ。
鼻から上だけを出して潜む。気分はワニだ。
そして全員が湯船に浸かるタイミングで潜る。そしたらまずは全員の位置を気配を頼りに探して……。
「むぐが!?」
誰だ頭踏んでるの!?
暴れているとぐいっと顔を両手で掴まれて水面に上がる。
「ぷあっ……!!」
「しーっ……。」
メランサがこっちを見て人差し指を立てていた。
自分を壁にして他の三人には見えないようにしているみたいだ。
しかし、この姿勢はなんとも……。
「い、いつ気付いたんだ?」
「あの、服が……。」
ああ、脱いでるもんな。
じゃあ先に他のみんなに知らせてほしかった。
「……ごめんなさい。」
「や、責めている訳じゃない。」
こういう日常の中で女性の素肌が見えているのはいつもよりも照れてしまう。
でも、水面から見上げる彼女はとても……
「綺麗だ。」
「…………。」
「なし、今のなし。」
「もう一度。」
「あ、ああ?」
「もう一度、言ってほしい、です。」
「……綺麗だ。これで良いかよ。」
「メランサー!どうしたの?」
頭を思い切り沈められた。死ぬ!死ぬ!!
「ううん、なんでもないよ。」
「そう?」
「顔が赤いけど、のぼせた?」
「だ、大丈夫だから。」
やばい!息が持たねぇわ!
「ぶっは!!ぜぇー!ぜぇー!殺す気か!」
手を押し退けて立ち上がる。
「ごほっごほっ!溺れる所だったー……。」
風呂から上がり脱衣場へ向かう。
扉を開ける直前で振り返りウインクを一つ。
「ご馳走様でした!」
「「「きゃぁぁあああ!!」」」
「どうした!?」
バンッ、ラフな格好のリスカムが入ってくる。
「……は!?」
混乱しているリスカムを横目に通信端末片手に全裸で廊下へ飛び出す。安心しな、手で隠してる。俺のマグナムは安売りしてないぜ。
「待て、変態!」
「待てと言われて待つ変態がいると思うか!」
「なるほど。ってそうじゃない!」
しかしここらで撒けねぇと捕まっちまうな。
その瞬間俺の第六感が閃く。右の通路だ!
「ろっとぉ……。」
目の前にセイロンとシュヴァルツがいた。
「やあ、お嬢様方、ご機嫌麗しゅうございます。
お目汚し失礼……。」
そそそっと横を通り抜ける。ふう、なんとかなった。流石俺の第六感。
足元に矢が刺さる。
許さないぞ第六感。
「待ちなさい……!」
「へっ、お前が俺に勝てた事があったか!?」
あったわ、ババ抜きで負けたわ。
さて、次はどっちに逃げようか。
左だ!今度こそ信じるてるぞ!
「やあ、どうしたんだ、い?」
ラップランドがいた。にや〜っと笑みを深めて行くと剣を抜いた。
なるほどね、貞操の危機か。
「ならばこっちだ!」
天井のダクトに上り、匍匐で進んでいく。今の俺はGにと匹敵する。
しかし、流石にダクトからだと自分の部屋がわかんねぇな。
とりあえずある程度離れたっぽいし、ここらで降りてみるか。
「よっと。うん?厨房か。」
「あら?どなたかそちらにいらっしゃるの?」
声のする方には女性がいた。……名前はなんだっけかな。
「やあ、こんにちは。今日は良い天気ですね。」
「……いえ、ごめんなさい。あなたの土地の文化と私の土地の文化の違いに驚いただけですわ。」
「ははは、文化の違いに驚くのは私もよくありますよ。トランスポーターですからね。
おや、そちらはケーキですかな?」
随分……なんだ、配色が個性的だな。
「ええ、誰も食べてくださらないのです……。」
「それはそれは……と、とても美味しそうだと思いますがね。」
「本当ですか?では、是非食べてくださりません?」
「も、もちろん!」
皿に盛り付けられた毒々しい見た目のケーキをフォーク片手に見つめる。
「……いただきます。」
覚悟を決めて一口食べる。
「う、美味い!?」
馬鹿な!?この見た目でこんなに美味く作れるだろ!?着色料をめちゃくちゃ使ってるのか!?
起きてから何も食って無かったからワンホール全部食べちまった。
「いやぁ、本当に美味かった!ごっそさん!
あ、そういえば名前言ってなかったな。ラックだ。よろしく。」
「アズリウスと申しますわ。」
「アズリウスか。じゃあ、またな!」
手を振って厨房を出ようとすると首に何かが刺さった。
「……あ?」
「全裸の不審者をロドスへ放つ訳にはいきませんわ。」
この感じ……まさか、麻痺毒……?
体が痺れて動かない。
「まずはドクターにご連絡をしましょうか。」
よし、ドクターならセーフだ!
「こちらに変態が来ませんでしたか?」
シュヴァールツ!!
救いの手はないのか!?このままでは俺は矢の試し打ちの的になっちまう!
「やっと見つけた。」
「ラ……ップラ……ンド……!」
「ボクは優しいから、助けてあげるよ。」
流石ラップランド!素敵!愛してるぜ!
あ、待って、今全裸!やっぱシュヴァルツ!シュヴァルツが良い!!
「暴れないでよ。」
横抱きに抱えられた。待て、俺がされるのはちょっと嫌なんだけど……。
「ハハハ……おっと。」
こいつ……今涎垂らさなかったか?
やっぱこいつに捕まったら不味かったんじゃね?
でも、ちゃんと誰にもバレずに運んでくれてるな……。
「しょっと。」
「サンキュ。」
やっと部屋に着いたか。
運んでもらったお陰でちょっと体が動くようになったな。喋るのも大丈夫そうだ。
ラップランドがベッドに乗せてくれる。布団を上に掛けてくれるあたり、良いやつなんだよなぁ。
「じゃあ報酬を貰おうかな。」
「今は体も動かせないし、渡せるもんもなんも……。」
「安心してよ、ラックはほとんど何もしなくて良いから。」
なるほど、そいつは楽だ。
「それで何をすれば良いんだ?」
「ちょっと構ってくれるだけで良いよ。」
「構う?……構うって相手にするって事で合ってんだよな?」
「ああ、そうだね。」
「おい待て、なぜ服を脱ぐ必要がある。」
「体が冷えているからね、親切心さ。」
なるほど?アフターサービスも完備って訳だな?
「どうしてそんなに擦り寄ってくるんだ?」
「アハハ……。」
胸に頬ずりをしてくる。おかしい、こんなやつだったっけ。……そういえばこの前もテキサスと一緒にやられたな。
「構うにしちゃ、激し過ぎじゃねぇか?」
痺れる腕を動かして肩を掴むを
「フフッ、飼い主の躾がなってないんじゃないかな?」
「なるほどな。おーい、テキサスー。この駄犬をなんとかしてくれー。」
「君だよ。」
「……テキサース、チョコあるぞー。」
「ふざけないでくれないかなぁ……!」
肩を強く掴まれる。
「いっつ……。」
「君のあの時、ボクを組み伏せた時の目が忘れられないんだ。
分かるだろう?君だって力が好きなはずさ、じゃなきゃアーツが使えなくなったのに強くなろうと思わないよ、君は力を失っても違う力を求めたんだ。」
「そりゃあ、そうだけどよ。」
アーツが無くなった時は焦ったし、高い所から降りる時に日常的に使ってたからよく落下した。
「その力でボクの力をねじ伏せた時、ボクを抱えて運んでいる時の目が忘れられないよ。あれは蹂躙するのを楽しむ目だ。
それなのに、行為をする時の君はどこまでもボクを見ていて……愛してくれていたんだ。
好き勝手出来たはずなのに、判断をボクに委ねたり、痛がるボクを気遣ったり、普通の女の子のように扱ったり、まるで甘い蜜だ。その蜜がボクの体を侵食するんだ。」
「ラップランッ……。」
「さあ……躾のなってない駄犬を躾てくれないかな?ご主人様。」
俺に甘えて抱き着きながら興奮するラップランドを見て思う。
だから俺今動けねぇんだって。
とりあえずかろうじで動く腕で頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。
あ〜……ムラムラしてきた。今日はどこにも行けそうにない。
・今日の一幕
「プラマ……エンヤ、エンシア。」
「あれ、お兄ちゃんどうしたの?」
一瞬間違えそうになったが、ちゃんと名前を呼べた。では次のステップだ。
「どうだ、今日一緒に食事でも。」
ひらりと服から何かが落ちる。
「むぅ……?何か、落としましたよ。」
エンヤが拾ってそれを見る。
【妹専門店 シスター☆コンプレックス
50min…18000
お兄ちゃんの事待ってるね♡】
「……エンシア、行きましょう。」
「待て!これは、違う!私のものではない!」
「やはり、お兄様は変わってしまったのですね……。」
「ごふっ……!」
膝を着き、地面に崩れ落ちる。
これをやったのは間違いなくやつだ……!
靴を鳴らして歩き、執務室へ向かった。
「盟友よ!ラックの阿呆はどこへ行った……!」
「え?水着美人が俺を呼んでるって叫んでペンギン急便とバイソンでシエスタに行ったけど。」
……この恨み、いつか返すぞ。
ToLOVEるは好きです。
今後の読みたいと思う内容
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ラックの過去話や異格イベ等
-
このままで構わん