愚者と白猫の子は化け猫姉妹?!助けてエルレイねえね!※大人のリィエルの事です。 作:エクソダス
「エルレイ先生、おはようございます」
「ん、おはよう」
ここはアルザーノ魔術学院の校門。
今日も今日とて、この学院の講師、エルレイは生徒たちに眠そうな笑顔を振りまく。
エルレイの見た目は、20代くらいだがとても幼く、青髪に後ろで軽く縛っている髪型が特徴的で、アホ毛がぴょんと立っている。
「さて………」
だれもいなくなったのを確認し、エルレイはどこからか何か丸い食べ物のような物を取り出す。どうやらいちごタルトのようだ。
サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサク。
「うま」
エルレイが、頬一杯にいちごタルトを頬張って、幸せを実感していた時だ。
「……リィエル=レイフォード様、少しよろしいですか?」
「っ?」
突然のことに、エルレイは少し動揺する。
リィエル=レイフォードというのは、このエルレイの本名だ。訳がありこの学院では本名を隠しているのだが…。
しかし、その疑問はすぐに晴れる。
「……帝国軍?」
エルレイが振り返ると、見覚えのある服を纏っている男がいた。
そう、リィエルが属する、帝国軍と同じ制服をまとっていたのだ。階級まではわからないが。
「はい、急遽、リィエル騎士長にお話しておきたいことがありまして」
「………ん」
ここではまずいと判断し、エルレイは男を誰も居ない教室まで連れていくことにした。
「……んぅ…」
美少女、マコロン=レーダスの朝は早い、7時30分の起床で、時間までにアルザーノ魔術学院に行かなければならないからである。しかし、その時間は…。
「……あと……一時間……」
二 度 寝 し た い 者 に は 関 係 が な い 。
「起きなさいっ!!!」
「にゅぅ!!!」
突如として、マコロンの眠りを妨げるように布団がひっぺがされる。
ひっぺがしていたのは、銀髪のポニーテール、リボンがぴょこぴょこと動き、まるで子猫のように可憐な20代くらいの女性。
マコロン=レーダスの母親、システィーナ=レーダスだ。
「さっさと起きる!レミエルはもう起きてるわよっ!」
「ぁぁ……ふぁ……わかったよ……今起きる」
マコロンはのそのそと立ち上がり、自慢の黒髪のショートヘアーに、赤いリボンをつけて、ゆっくりとテーブルまで向かう。
──────
「あ…、マコロン…。おはよう」
「うん!レミ姉!おはよう!」
マコロンの目の前にいるのは、金髪のロングヘアーで、緑色のリボンをぴょこぴょこと動かしながら、食事をしている。
このお淑やかそうで、いかにも温厚そうな女性は、レミエル=レーダス。マコロンの実の姉だ。
「レミ姉今日もかわぃぃ!!」
マコロンはそう言いながらレミエルに抱きついた。
「わっ……!もぅ…、駄目だよ…、食べてる途中なんだから」
レミエルは、やんわりと怒る。
「えへへっ、ごめんなさーい!」
「もう…」
「そういえば、パパは?」
「お父さんなら…、さっき『とりま、カーチャンいねぇから二度寝してくる』…って」
そう言いながら、レミエルは苦笑いを浮かべた。
「あははっ!パパはまだ寝てるかー、仕方ないねー」
マコロンはカラカラと笑い声を上げる。
「ほら、学院に遅れちゃうよ?はやくたべなきゃ…ね?」
レミエルは、そう言いながらマコロンの頭をなでた。
「〜〜♪そうだねー、早く食べちゃう!」
マコロンは、足早に椅子に座り、朝ごはんを食べ始める。
「あむっむしゃガツッあむっむしゃガツッあむっむしゃガツッ」
「こらこら、ちゃんと落ち着いて食べるの」
「ふぁかった〜あふぃがふぉ〜」
「ほら、食べるかしゃべるかどっちかにする」
「むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ」
これが、レーダス家の日常だ。
まさに幸せな姉妹の典型のような二人だ。
「ほら、そろそろいくよ…?」
「うん!」
食べ終わって、二人共準備をし、二人で手をつないで、微笑んだ。
「ねえねえ、今パパとママのところ行ったら、プロレスやってないかな?」
「早くいくよ」
「はーい♪」
──────
アルザーノ帝国魔術学院。
アルザーノ帝国の人間でその名を知らぬ者はいないだろう。この時代からおよそ四百年前、時の王女アリシア三世の提唱によって巨額の国費を投じられて設立された国営の魔術師育成専門学校だ、今日、大陸でアルザーノ帝国が魔導大国としてその名を轟かせる基盤を作った学校であり、常に時代の最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎として近隣諸国にも名高い学院、それがアルザーノ魔術学院だ。
そんな名高い学院が…。
「今年で、この学院の営業許可を取り下げることになりました」
「「Wow………」」
廃校の危機に直面していた。