愚者と白猫の子は化け猫姉妹?!助けてエルレイねえね!※大人のリィエルの事です。 作:エクソダス
「たっだいま~!」
「た、ただいま……」
マコロンはバァン!と効果音が出そうなほど元気よく、対照的にレミエルは何処か後ろメタそうにそろそろと家に入る。
「どしたのレミ姉?」
「い、いや………」
首をかしげるマコロンに、レミエルはとても言いづらそうにする。
「今日……学院…、多分…」
「多分?」
「早退扱い……だから…」
「あー………」
その言葉を聞き、マコロンは察する。
どうやら親に怒られるのではないかとハラハラしているようだ。そんなレミエルもなんのその。マコロンは勢いよくリビングに向かう。
「大丈夫!大丈夫!事情説明すればなんとかなるって!」
「……だと…いいけど……」
少し引っ込み思案なレミエルを見ながら、マコロンはバーン!とリビングの扉を開ける。
「ただいま!」
「おう、お帰り」
最初にマコロンの声に反応したのは、父であるグレン=レーダスだ。相変わらず何処かめんどくさそうに新聞を読んでいて、怒っている気配はなさそうだ。
「た、ただいま……」
「ああ、レミエルもお帰り、二人とも学院はどうだった?」
「それがさー!聞いてよパパ!あの学院なくなっちゃうって話出てるんだって!」
「あほ、それくらい知ってるわ」
そう言って、グレンは姉妹二人に見えるように新聞を見せる。
そこには『女王エルミアナの命令により、アルザーノ魔術学院存続はあやしいか?』と書かれていた。
「…あれ、ルミアさんの…指示なの…かな?」
レミエルは素直に驚いた。レミエルはずっとルミアの指示ではなく、誰かが独断で命令したことだと思っていたからだ。
「ここには、そう書いてあるな…ったく、実の息子も通ってるだろうに。どんだけ切羽詰まってんだよ」
グレンは新聞をたたみ、大きくため息をつく。
「ま、お前らはできる限り口出しはしないことだ。魔術は災いをもたらすこともある。いつかこうなるのは目に見えていた…。今がその時ってだけだ」
そう言って、グレンは二人の娘の頭をやさしくなでる。
「あ……」
「むぅ……」
「一応知ってんだぞ?お前らが学院を守るために奮闘しようとしてたこと」
「うにゅ!」
ばれてるとは思わなかったのか、マコロンは変な声を上げる。
「その気持ちだけで十分だ。頑張ったな」
「…………」
グレンはそういうが、顔には出さないが、レミエルから気にくわないという気持ちが嫌でも伝わってくる。
「私は……、魔術を……もっと」
「レミ姉………」
レミエルは悲しそうにボソッと呟いた。レミエルは心の底から魔術を愛していた。魔術があればできないことなどないと、レミエルはそう思っていたのだ。
「もっと極めて……、マコロンを助けれるほど……強く……」
レミエルの俯いた顔を見ていたマコロンが、最初は悲しそうな顔をしていたが、すぐに明るくなり。
「ぎゅ~~~~!!!」
「え…わっ……!」
レミエルに思いっきり抱き着いた。レミエルの周りを、マコロンのやさしいにおいが包み込む。
「大丈夫だよ!レミ姉!私もいっしょだから…ね?」
「マコロン………」
この二人は二人で一人、一心同体。そう誓って生きてきた。二人で一緒にいる限り、どんな困難も乗り越えれる。そんな確信がこの二人にはある。それは、この世界の誰よりも負けない絆の力だ。
「………うん…、ありがと」
「YES!!素直なレミ姉かわEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!」
ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!!!!
「ぁ………ぅ………が……」
「おいマコロォォン!!レミエルの首しめてるからすとっぷプリーズ!!!」
「いええええぇあああああああああああ!!!!!!」
そんなグレンの言葉も何のその、マコロンは容赦なく抱きしめ(ヘッドロック)をレミエルに決める。
「あ……………」
「ええええええええぇあああああああぇ!!」
デッドヒートし、レミエルがあの世に行きかけたその時。
「あほ!!!」
「へぶしっっ!!!」
突如としてマコロンの頭にげんこつが一つ降り注ぐ、そこにいたのは母親のシスティーナ=レーダスだ。
「あ、お母さん………お帰り」
帰ってきた母親に、レミエルは軽く手を振る。
「ええ、ただいまレミエル。んで?何やってんのよアンタは!」
そう言って、システィーナはマコロンへと詰め寄る。
「いいじゃんスキンシップ!」
「スキンシップの範囲超えてたでしょうが!あと今日の事じっくり聞かせてもらうわよ」
「え!?わたしだけ!?」
「リィエルからほとんどマコロンのせいだって聞いてるわ、残念だったわね」
「あんまりだあああああああああああああああぁぁ!!!!」
その後、かなりの時間マコロンは説教を食らったそうな……。
────
───
─
「むぅ………、あそこまで怒んなくても」
「だ、大丈夫……?マコロン」
教室で突っ伏してるマコロンの背中をさすりながら、レミエルは苦笑いをし、思考を巡らせていた。
どうすれば学院の廃校を阻止できるのか、それで頭がいっぱいだった。
どうしても2人だけでやるには限りがある。せめて後何人かは味方が欲しい。まだ魔術を覚えきっていないのに、マコロンを守れる完璧な技術を身に着けてないのに、この学院が廃校になってたまるか。
「とりあえず…どうしようか…まずはリィ姉でも味方に……」
そう言って、マコロンはエルレイに助けを求めようとする。が、それをレミエルがどういう訳か、腕をつかみ止めていた。
「まって………」
「ん?だめなの?」
「うん……、リィエルさん……。学院の講師…だけじゃなくて、帝国軍の人間…だから、リィエルさんに……何か圧力をかけられるかもしれない」
「む…、そっか」
レミエルの言うとおりだ。実際の話、エルレイ…リィエルは帝国軍の魔導士だ。そんな人が『女王様の意見に反対した』なんて広まったら、いったいどれだけ圧力をかけられるか。
「む……」
マコロンは空を見ながらうなり、どうしようか考え込む。
「おーい……マコロンちゃ~ん、次……君だよ?」
「え?」
ああ、そういえば今授業してたなと、正面を見ながら思い出す。
目の前にはエルレイがいて、少しだけいら立っている、おそらくマコロンのせいだろう。
「マコロン、ここ、答えは?」
「わかりません!!」
「廊下、たってろ」
「ええええええぇ!!!」
がビーンと、マコロンはオーバーリアクションをする。
「マコロンはさ、なんで実技は得意なのに筆記はてんでだめなのよ」
「ほんとだよな」
そう言って、クラスの人たちが笑いあう。そんなみんなにニカッとマコロンは微笑んで。
「ほめても何も出ないよ!」
「「「「「ほめてねえよ」」」」」
そんなクラスを横目で見て、エルレイはため息をつきながら、次の生徒に指をさす。
「それじゃ、レミエル。答え」
「ぁ………はい………………ごにょごにょ……です」
「ん?」
「……ごにょごにょ………です」
「おおきく!!」
「────……です!」
「おk、座っていいよ」
『やっと座れる』と安堵したようにレミエルは座り込む、クラスのみんなこれには苦笑い。
「な………なに?」
レミエルが視線に気が付いたのか、震えた声でみんなに尋ねる。
「いやー。なんていえばいいのか。……なんでこんなに姉妹で違うのかなって」
「「「「「マジそれな」」」」」
「うぅ………」
「それぞれで違う!つまりレミ姉と私が合わされば最強!」
こんな面倒くさい状況を見ながら、エルレイはため息を付いた。なんでこの学院で講師やってんだろ。。。と思わなくもない。
─────
────
──
「よっしお昼!レミ姉!屋上で一緒に食べにいこう!」
「え…?ちょ……」
レミエルの答えは聞かずに猪突猛進、マコロンはレミエルの腕を引っ張って、強引に連れて行こうとする。
「い…いつも通り、校庭あたりで食べたらいいんじゃ……」
「今回はそういうわけにも行かないの!ほら!はやく!」
そんなせかすマコロンを横目に、レミエルは落ち着てお弁当を持って、レミエルについていくのだった。
場所はちょうどレミエルたちのクラスの屋上、ゆったりとしたやさしい風が吹きつけるこの場所で、2人の少年がいた。
「やっほー!」
「さわぐな」
「出会いがしらの反応がひでぇ!!」
「思ったことを端的に述べただけだ」
がビーン!とマコロンがオーバーリアクションしていても、何のその、青髪の少年は本を開いている。すごいスルー力だ。
「もう!それでも王族?我が幼馴染」
「少なくともお前よりは王族だと思うぞ、わが幼馴染」
「んだとぅ!」
この青い少年はキリガ=ティンジェル。本名は聞いたことがないが、れっきとした王族の血を継ぐものだ。
「………変な争いは、そのあたりで、醜いです」
「あ、やっほー!相変わらずエルシュはちっさいね!」
「……殺されたい?」
この赤髪の眠たそうで、身長にコンプレックスを持っている少年はエルシュ=レイフォード。チーズタルトが大好きな少年だ。よくさくさくと食べている。
「ま……まあ……まあ、その辺…で」
「わかってるさ。ただのお遊びだから、そんな悲しそうな顔をしないでくれ」
そう言って、キリガはレミエルの頭をやさしくなで始める。
「ぁ………ぅぅ……」
レミエルの顔が朱色に染まる。とても初心で、かわいらしい反応だ。
「レミ姉との格差ありすぎうぁあああああああああああああん!」
「はいはい……、よし、よし」
超ハイテンションで甘えてくるマコロンを、エルシュはため息をつきながら頭を撫でてやる。
この4人組は昔からの幼馴染で、何でも言いあえる仲だ。見ての通り、隠し事はない。
「それで、そろそろ教えろ。何の用だ」
キリガはため息交じりに、マコロンとレミエルに問いかける。
「? ……よう?」
何のことかわからず、レミエルは首をかしげる。
「…僕たち、マコロンに、『屋上で待つ』って。呼び出された」
そう言って、エルシュは、マコロンのほうを向く、どうやら呼んだのはマコロンらしい。そしてマコロンは腕を組んで、渾身のどや顔で話を始める。
「ふっふっふ、実はね!学院が廃校にならないように手伝っ──」
「「断る」」
「そくとおおぅ!」
が、まさかの即座に拒否られた。マコロンは拒否られるとはおもっていなかったので、ぽかーんと口を開ける。
「手伝うって言ってもな、こりゃ母さんと親父が決めたことだからな……」
「ん…、僕も、かあさん…、黙ってるから。どうとも言えない」
確かに、今回の一見はルミアさんを母に持つキリガには少し酷な話だったかもしれない。それにエルシュもだ。実際、母親であるリィエル…、学校ではエルレイ先生も今のところは傍観している。
「そっか………」
そんな二人の言葉を聞き、レミエルは少し悲しそうな顔をした。
「仕方無い…、よね…」
この二人が味方になってくれなかったのがかなりショックだったのか、顔を上げる気配がない。
「あ……、えっと…だな」
少し申し訳なく思ったのか、キリガが何か言ってレミエルを慰めようとしているが、うまく言葉が見つからない。
「……えへへっ、そうだね……!二人に頼りっきりは…、駄目だね…!」
そう言うマコロンの目には、うっすらと涙が浮かんでおり、何処か儚げだ。
「あぅ……、泣かれるの、困る」
そんな珍しいマコロンを見て、口には出さないが、エルシュがすこし慌てだす。
「………わーったよ、どうせ俺らもこの学院がなくなったら困るしな」
観念したかのように、キリガはため息を付きながら言う。
「手伝って………くれ、るの?」
「……ああ、だからそんな悲しい顔すんな」
キリガはレミエルの頭をなで、頬を伝ってレミエルの流した涙を拭いた。
「……わかった、僕も、手伝う」
「! やったぁ!!ありがとぉ!!!」
その言葉を待ってたと言わんばかりに、マコロンは即座に元気を取り戻し、気がつくとエルシュに抱きついて、ほっぺをスリスリしていた。
「わっ……!嘘泣き…?」
「ううん!がち泣きではあった!!」
説得力が皆無なその言葉に、エルシュは苦笑いをする。
「んで、最初に何やるか決まってんの?」
「うん!」
キリガのその問いに、マコロンはハッキリとした口調で答えを返す。
「女王陛下の所になぐりこみじゃぁ!!」
「「「………」」」
とてもいい笑顔でいうので、全員ツッコミができなかった。