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でもどうやって助けたらいいんだろう。
相手は目に見えない何かだから、見えるようにする?じゃあどうしたら見えるようになるんだ?僕の頭の中でそんな考えがぐるぐると巡る。
はやく、はやく考えないと...
するとふいに弟が叫んだ。
「スーツかめ〜ん!なにかてつだえることない〜?」
スーツ仮面。弟があの人に名付けたそれはしっくりくるほど、合っている。そしてスーツ仮面本人に『助けを聞く』ということが僕には思いつがなくて、いつもより弟がとても頼もしく見えたんだ。
「さっ、きのおに、さんの、、のバッ、クの中、にぼ、僕の、武器、があ、るんだ。それ、をとっ、て、くれ」
スーツ仮面がとぎれとぎれに僕らに伝える。まるで何かに攻撃されてるみたいに。その様子はとても痛々しくてほんとは目を背けたかった。今の僕に出来ることそれは、さっきのおじさんが持ってたバックの中に敵を倒せる何かを見つけること。僕らがそれを見つければ、スーツ仮面を助けることができるんだ!
「はやくさがそう」
弟が僕の服の袖を引っ張って呼ぶ。
「うん」
僕はうなずいて周りを見渡すけど、周りは砂の地面と木々だけ、ここには隠せそうな遊具すらない。この公園には僕ら二人とスーツ仮面だけ、周りに人がいないから誰にも手伝ってもらうことはできない。つまりこの公園の中を僕と弟だけで探さないといけない。二人だけで。あまり時間を掛けるとスーツ仮面がやられちゃうから、ゆっくりやってらんない。どうしよう、このままじゃ見つかんない。
考えろ!僕にできるのはそれだけだ!!
おじさんがバックを置きそうなところを。
おじさんが来たときバックは持ってた、そして僕と話して、まかせろって言って...
あっ!
木の裏に行ったんだ!つまりバックはあそこの木の裏にある!
「分かった!」
僕の声に弟が振り向いた。
「こっちだよ!!」
僕が走り出すと後ろから足音が聞こえて来る。
おそらく弟もこっちに向かって走ってるのだろう。息が上がり、汗が出る。腕で額をぬぐって不愉快な感触を取り払う。木の元について裏をみると、そこにはさっきのおじさんが持ってたバックが確かにそこにあった。そのバックは開いたままで、中にはそんなに物は入っていなかった。ここまで来たら後は渡すだけ。だけどどれが武器なのかが分からない。
「スーツ仮面に何が武器なのか聞いてきて!!」
僕はとっさに後ろにいる弟に言う。弟は目を見開き決心した顔で
「うん!」
とうなずいた。僕は再びバックの中を見る。中にあるのは、スマホ、サイフ、扇子、メガネ、そしてこれは...ボールペン?
この五つの中からひとつだけ武器があるんだ。
う〜ん考えてみてもわかんない。一番武器っぽいのはボールペンだけど、剣になるわけでも銃になるわけでもない。スーツ仮面が手に取ったら変形でもするのかな?僕がそうやって悩んでいると
「お兄ちゃぁん!」
僕は顔を上げる。どうやら何が武器か聞けたようだ。
「なんて言ってた?」
「かけるものだって!!」
カケルモノ? 駆けるもの? 書けるもの?
僕はバックの中を見る。この中で『かけるもの』は...あっ!ボールペンだ!そして僕は立ち上がろうとして、ふと止まった。なんだろうこの感じ、なんとなく違う気がする。理由なんてないけど、直感が違うと言っている。どうしても分からない
「お兄ちゃんがんばってー!」
弟の声が耳に入りそして思い出す。僕らはスーツ仮面を助けるために頑張ってきた。そうだ、こんなとこで諦めない。もう一度考えるんだ!敵を倒すための武器、それは『かけるもの。』つまり書けることができるボールペンが目に見えない敵を倒せるはずなんだ。
ん?
目に見えない...
そうか!目に見えないなら
僕はすぐさまバックの中にあるメガネを掴んだ。後はこれを渡すだけだ。そう思うとともに僕は少しだけ、いやとても嬉しくなった。僕が武器を見つけれたこと。僕も役に立てたこと。僕らがスーツ仮面を助けれること。いつもテレビで観ていた世界に、まるで入り込んでいるようなんだ。
気付けば弟が隣にいて、目の先にスーツ仮面がいた。
「持ってきたよ!」
僕が言うとスーツ仮面がこっちを見て
「投げろ!」
と叫ぶように言う。
僕は手の中にあるメガネを見て
「いくよ!」
そう叫んで放り投げた。
僕が投げたメガネは少し、高く飛んでいる。このままじゃスーツ仮面には届かない...そんな不安が頭によぎる。ここまで頑張れたのに、ここで僕は失敗したんだ。悔しくて涙が出てそれを零したくない僕は、歯を食いしばって顔を上げる。
すると何故か暗くなった。目を瞑ったんじゃない。太陽が隠れたんだ。でも隠したのは雲なんかじゃない。スーツ仮面が空を飛んでいる。いやジャンプしたんだ。空中にあるメガネを掴み、僕らの前に着地した。怪我をしないように一回転しながら、僕らの前に立ったんだ。隣にいる弟の顔はキラキラするほどの笑顔だ。そしておそらく僕も弟に負けないぐらいに笑っている。
「少年たちよ、ありがとう。あとは...」
ぼろぼろで、汚れてて、顔にはタオルをまいて、ほんとにダサい。頼りないし、僕らが居ないと武器さえ取りにいけなくて。僕らがいつも見ているあのヒーローには程遠い。
でも何故か僕らの前にある背中がとても大きくて、守られている感じかする。僕の一番好きなヒーローはウルトラ仮面だけだけど、今この瞬間だけは一番じゃなくなった。一番ダサいヒーローが一番好きなヒーローなったんだ。恥ずかしくて口には出さないけどね。そんなダサいヒーローが...
「まかせろ」
そう言ってメガネを掛けた。
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痛いというか疲れた、マジ疲れた。今ならどこででも寝れる気がする。
嘘だ。どこでもではない、なんなら超高級ホテルのベッドがいい。あと水が飲みたい。風呂入りたい。
そう思いながら俺はキャッキャッと喚いている子供に目を向ける。
「すごい、すごいよ、スーツかめん!!」
「ダサかった」
「かっこいい!もういっかいやって!」
「ボコボコにやられてたね」
純粋ないい子とクソガキの二人組だ。あれ悪ガキだっけ?まぁどうでもいいか。
「少年よ怪我は大丈夫か?」
俺は純粋ないい子を見ながらそう言う。
「うん!痛くなくなった!」
そう返してきて、俺は自然と頭を優しく撫でる。目を細めて嬉しそうな顔をする子とは裏腹に、もう一人は興味がなさそうに顔を背けているが、目はこっちをチラチラ見てくる。
「君も撫ででほしいのかい?」
「別にいらない」
顔を背けながら、そう素っ気なく返す。だが体がソワソワしていて、撫でて欲しそうにしている。いつもの俺ならこんな奴に撫でたりしないが、今の俺はスーツ仮面だ。だから仕方なく撫でるしかないんだよなぁ...
ずっと思ってたがスーツ仮面はダサくないか?なんか弱そうだ。弟君のネーミングセンスを疑うよ。もっとこうカッコよくて、神々しくて、素晴らしい名前がいいな。
ふむ...むずかしいなあ...
まぁとりあえず呼び名はスーツ仮面でいいだろう。不本意だがな。
そう考えているあいだに俺は悪ガキの頭をに手を乗せる
「え?」
そして
「うぎぁぁぁぁああ!」
全力で鷲掴み力任せにワシャワシャと
悪い子にはちゃんとお仕置きしないとね。
「ちょっとやめてよ!髪がぐちゃぐちゃになったじゃん!!」
「はっはっはっすまない少年だか、素直の方が良い事があるぞ」
時には素直じゃないほうがいいってことは黙っておこう。
「ふんっ」
あ〜あついに拗ねちゃたよ。こうゆうときはどうやってご機嫌を取ればいいのかよくわからん。女性もたまに機嫌が悪くなるから、そうゆう意味では子供も女性も扱いにくいな。
「すまない、少し悪戯が過ぎたようだ。君のおかげで悪党を倒すことができた。本当にありがとう。」
「ふ〜ん、ならいいや」
おっ、さっきよりは機嫌が治ったようだ。満面とはいかないが微笑んでるぐらい笑顔を見せてくれた。よかったこれでもダメだったらお手上げだったよ。
うん子供にはやっぱり笑顔が一番合うな。と俺も頬が緩む。
「ね〜ね〜ぼくは?ぼくのおかげでたおせた?」
どうやら弟君も褒めてもらいたいようだ。もちろんここで『褒めない』なんてことはしない。そんなことしたら今までの苦労と好感度が無くなってしまう。場合によればマイナスになるかもしれない。子供は嫌いじゃないが好きというわけでもない、だけどわざわざ嫌われることはしない。
「あぁ、君がしっかりと伝えれたおかげで倒すことができた。君は素晴らしい勇気を持っている。その勇気に助けられたんだ。ありがとう、少年よ」
「ほんとに?」
えへへと顔をにやけて嬉しそうに笑う。子供は面倒くさいと思っていたが、もしかしておだてればなんとでもなる?まさかこんな技があったなんて!心の中にメモしておこう。
さて、スーツ仮面の出番は終わりかな。
「ああぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
俺が子供たちの後ろ側を指差し、まるでおぞましいなにかを見つけたかのように叫ぶ。当然俺の指が自分たちの後ろにあるのだから子供たちは俺はの指差した方向へと顔を向ける。その瞬間俺はタオルの上から掛けていた丸メガネを右手で先に外し、次は残りの左手で今まで培ってきた洗濯物を片手で立ちながら畳めるという技術を巧みに活用して(左手限定)なんと約一秒という僅かな時間で、ミッションを達成したのだ。俺が両手を背中に隠すと同時に子供は顔を戻した。
「ねぇ?どうしたの...あれ?スーツかめんは?」
「ん?どうやら次の子供を助けにいったぞ」
俺はスーツ仮面からさっきのお兄さんに戻ったのだ。
まぁでも...
「ふ〜ん?」
一人にはバレてるなこれ
「え〜もっといっぱいおはなししたかった」
「そんなこと言わずにさ、あいつだってヒーローみたいなもんだから忙しんだよ」
「でも...」
え!なんか泣きそうなんですけど!ミスった?ここで俺は選択肢を間違えてしまったのか?だが俺は臨機応変な男こんなとこで子供を泣かせない!!
「これやるよ」
「え?」
俺は右手に持ってた丸メガネを弟くんに差し出した。俺の作戦はこうだ、さっきまで俺ことスーツ仮面が掛けていたこのメガネをプレゼントすることにより喜ばせる。これにはサンタさんもニッコリすることだろう。
「いいの?」
「あぁ」
「やったー!!」
予想通り食いついた!!だが残念ながらメガネは一個しかない弟と兄で半分こはできないのだ。物理的になら可能だが、そうすると機能性がなくなるわ!
「おい、今持ってるそのペンをお前にやるよ」
「え?」
「メガネの代わりってこと」
嬉しそうにメガネを掲げてる弟くんを目尻に捉えながらクソがkゲフンゲフン、羨ましいそうに見ていた兄にそう言った。だってすごく見てくるんだもん。俺があげると言ったのは、ボールペンだ。兄はビックリして自分の手を見つめている。興奮しすぎて手に持ってたことを忘れたんだろうか?フッ俺の演技力に見惚れたということか...えっ!違う?ふ〜んあっそ。
「まぁ礼はしとくよ」
「素直にありがとぐらい言えるようにならねぇと女にモテねぇぞ」
まぁ礼を言ったところでモテるわけじゃないがな。
「そうゆうことで帰るわ」
「えーいっちゃうの?」
「悪いな用事があるんだ」
やだやだもっとあそびたい、と駄々をこねてる弟を兄が宥める。
「ふ〜んおじさんのくせに用事とかあるんだ」
「いや〜まったくお前のお耳は飾りか?何度も言うが俺はまだお兄さんだ!!お前には年上を敬う気持ちが感じられない。大人になるまでに直さないとキツイぞ〜。その敬う気持ちを今持つんだ!さぁ目の前のお兄さんをお兄さんと呼べぇ!!」
「はぁ〜」
確かに子供相手にムキになってちょっといや結構大きい声で言ったけどさ、そんなため息吐かなくて良くない?いやわかってるよ俺が悪い、いや正確に言うなら誰も悪くない。ただ少しの気遣いで一人の気持ちをね、こう清々しくできるっていうかなんというか...
なんか悲しくなって来た...
スタスタと木の裏のバックを取りに行きそのまま帰ろうと歩く。
「じゃあな」
「ねぇまたあえる?」
「まぁ会えるんじゃね?」
俺の言葉に反応した弟がこう聞いて来た。綺麗事が大っ嫌いな俺は『もちろんさ!僕らまたいつか再び会える!その日までしばらくの辛抱さ!』なんて言えない。だから少し濁して、かつ希望のありそうな言葉をチョイスした。我ながら悪くないなぁ。
俺の言葉を信じたのか、納得したのかわからんが、とりあえず場を収めることができた。
「わかったから早く行けば?」
「ふん、相変わらずだなお前は」
もうコイツはダメだ、俺の力だけじゃ変わんない。もっと多くの人と関わらないと変わることができないな。
「それとありがと」
いやそんな事しなくてもコイツは変われるって信じてた、これはアメとムチだ。そうゆうことにしとこう。
「おう、どういたしまして」
俺は少し微笑む。
「ばいばぁい〜!」
「さよなら」
「お前らも早く帰れよ。怪我はまだなおってないからな」
「スーツかめんばいばぁい!」
バレとるやないかい!!これは恐れ入った弟も中々の洞察力を持ってるじゃないか。君はきっと将来世界を背負う凄い人になるだろう。(適当)
してやられたと俺はついついニヤリとしてしまう。どうやら久しぶりに一杯食わされて笑っちまったようだ。はぁ〜子供に見破られるなんてまだまだだな俺も。トホホとまだ後ろから聞こえる声を聞きながらそう考える。
よし!もう寄り道はしないぞ!これ以上時間を食うわけにはいかないからな。
うんうんと心のなかで頷いていると。
「ねぇさっきのどうやったの?」
いきなり声をかけられて思わず振り返ってしまった。いつもなら聞こえないフリやダッシュして逃げるというのに。振り返った俺の視界に入ったのは、不審者だった。ジーパンにパーカー、白いマスクに黒いメガネと帽子、どっからどう見ても不審者だったのだ。俺の勘が『こいつはキケン!キケン!』とアラームを鳴らしている。おそらく裏社会の人間に違いない!は!まさか!さっきのガキンチョはそっち系の人間の子どもということか?それしかありえない。つまり俺は消されるのか?跡形もなく抹消されるのか!?
「あれ?聞こえなかったのかな?じゃあもういっかい聞くけどさっきのやつどうやって演じたの?」
あぁ...なるほどこいつは俺と同じ世界の人間だ。
「いや〜さっきのは我流だからなんとも言えないなぁ」
とりあえずごまかすしかない。あんまりべらべら話したくはないんだが。ていうかこいつどこかで...
じっと見る。この背丈、声、立ち方、何故か目が離せない存在感。そして何より...あぁ!こいつは!
「百城千世子…」
「.....」
空気が変わった。先程とは違う威圧感。そうかこれが裏か。先程はまでは街の雑音が騒々しかったのに、今は何も聞こえない。目の前にいる奴はまだ沈黙を貫いて、まっすぐ俺の目を見ている。たった数秒の静寂がまるで何時間のように思える。いやそれはないか。
「へぇ〜すごいね。なんでわかったの?今まで誰にもバレた事なかったのに。」
変装を解きながら俺に問いかける。そしてその変装が解き終わると、いつもテレビの向こうにいる天使がそこにいた。