●本作品は作者ことホワイトロリータの妄想を爆発させたものとなっています。
時系列が合わない・登場人物の言動がおかしいなどの隠し味がほんのり含まれます。
アレルギーのある方はご注意下さい。
●本作品は、まどマギに東方成分が混入されております。
東方側にオリキャラが登場し、まどかさんが少し魔改造気味になっていますので、ご使用中に異常が出たらすぐにブラウザをバックし、医師の適切な処置を受けてください。
あの日から1年と数ヶ月。
私もピチピチの中学1年生から、邪気眼溢れる中学2年生へと進級。
当時12歳だった私も、14歳になりました。
後、最近凄く清々しい日々が続いています。
その理由は分かりきってるけど、あえて言うなら。
厄介事に巻き込まれないから。
これに尽きます。
あの日の放課後に、貰った勾玉を使い今度は体ごと幻想郷へ。
魔力を使うというのがよく分からなかったけど。
行きたいー行きたいーと、博麗神社の境内を思い浮かべながら願ってたら光に包まれてあら不思議。
次に視界に広がったのは、夕日に染まるシノさんと出会ったあの神社と。
その縁側でお茶をすする、脇の出た巫女服を着た女の人と。
その足元に、首だけ出して地面に埋まっているシノさん。
なんでも、書置きは私の名前で書いたものの、筆跡でバレたとか。
ティヒヒ!と笑いながら、シノさんのおでこをつついておく。
まどかってSか!? とか言ってるシノさんはスルーして。
そのシノさんを埋めた張本人。
この脇の出た巫女服を着た人こそ、この博麗神社の巫女、博麗霊夢だという。
その人こそ、私の運命を変えた人だったのだ。
悪い意味で。
初日はシノさんの口添えもあり、軽い挨拶だけ済ませた。
次の日。
早朝に目覚めてしまったので、朝食の時間までに着替えて1度博麗神社に飛んでみる。
誰も居なかったら、そのまま帰ろうと思ったのだが。
意外なことに霊夢さんは既に起きていて、境内の掃き掃除をしていた。
その横には、いかにも『魔法使い』を全身で語っているような、白黒のエプロンドレスを着た女の人が。
霧雨魔理沙と名乗ったその女の人に、私がここに来た経緯を説明。
それじゃあ私が特訓してやる! と言いだしたのだ。
その時はすぐに朝食のち学校の為時間もなく、お願いしただけで終わったのだが。
その日から、空いている時間は魔理沙さんと一緒に特訓することになった。
結果。
同じ人間で、魔法使いの先輩である魔理沙さんのおかげで数日の間に空を飛ぶことをマスターし。
次に教わった魔法が、八卦炉という、八角形の魔力増幅装置を使った魔砲だったことに驚愕し。
魔力が異常にあるせいで、その魔砲を私が八卦炉無しに連発出来るという事実に顔が引きつった。
どういう練習方法だったかは、思い出したくない。
一言で言うなら、魔理沙さんはスパルタでした。
あと、魔法は理論の部分もあるけど、イメージが強く影響されるというのも間違いではないらしく。
時折漫画とかの魔法の練習もしてみた。
いくつか成功したのには、驚きもあり喜びもあったものである。
さて、そんな幻想郷にいる間に空いた時間はだが。
頻繁に様子を見に来てくれるシノさんと一緒にお茶を飲んだり、他愛もない雑談なんかをしている。
時折見せる笑みと共にかけてくれる、応援の言葉に気合いを入れて。
今練習してるこういう魔法が上手くいったと報告すれば、自分の事のように喜んでくれた。
本人は気にしていないのだろうけど、そういう時に頭をガシガシと乱暴に撫でてくれたりすることに、内心ドキドキしているのは私だけの秘密。
シノさんには怒ってますアピールしてるけど。
これがツンデレというやつなのだろうか。
ドツボにはまりそうなので、深くは考えないようにする。
そこまでは、良かったんだけど。
私も、テストしてみようかしら。
そんな世迷言を言い出した霊夢さんが発端で。
彼女の仕事である、異変解決への参加が強制的に決定されたのでした。
去年の夏休みには、後に紅霧異変と呼ばれたものにいつの間にか巻き込まれ。
小さな弾幕程度なら、体術で弾き飛ばすリアルハッサンな美鈴さん。
魔理沙さん以上の魔法の使い手のパチュリーさん。
瞬きを1回すると、ナイフの海を目の前に出現させる咲夜さん。
運命を見通し、操り、見た目9歳児くらいなのにパンチで壁に3m級の大穴を作る500歳児の吸血鬼のレミリアちゃん。
手をキュっと握ると、対象がドカーンってなる能力を持つレミリアちゃんの妹、495歳児のフランちゃん。
彼女たちと、『弾幕ごっこ』という制約はあるけど戦う事に。
何で生きてるんだろ、私。
異変を解決した後に、シノさんに抱きついて泣いてしまった私は弱くないと思う。
そして異変後の博麗神社での飲み会にて、彼女達とも飲み明かして仲良くなりました。
お酒は、未成年ですって最初は言ってたんだけど。
霊夢さんの目が怖かったので、心折れてしまいました。
気付いたら寝てしまい、夜明け前くらいに目が覚めた時には、シノさんに膝枕をしてもらっていたという事実。
そのまま起きるのは勿体無いので、みんなが起きるまではシノさんの膝枕を堪能。
この異変の中で一番の収穫だったかも。
そのまま時は流れ。
魔理沙さんに加え、パチュリーさんも教師に加わり。
特訓してシノさんに甘え、家に帰り学校に行って幻想郷に行って特訓してシノさん。
充実した毎日を過ごしていた。
大分私も強くなってきたかな? と思い始めた頃。
今年の5月。
後に春雪異変と呼ばれるものに巻き込まれた。
幻想郷なんてぶっ飛んだ場所にいるから、大抵の事には動じないつもりだったけど。
この異変の主犯が、冥界にいるから行くぞと霊夢さんに言われた時には目が飛び出るかと思いました。
途中、アリスさんっていう、人形を使う魔法使いさんと出会ったり。
怪しいかどうかは切れば分かるとかいう、頭のネジが最初からダース単位で抜け落ちた剣術少女の妖夢さんと出会ったり。
冥界の管理人の幽々子様と出会ったり。
しかもその人たち全てに、やっぱり戦いを挑んでいるという。
加えて、妖夢さんは半分幽霊。
幽々子様に至っては全部幽霊。
肝試しなんて目じゃないメンバー勢揃い。
何で生きてるんだろう、私。
冥界の管理人をやっつけちゃって、将来地獄に落ちたりしないよね?
そんな不安がよぎった時に、シノさんが一言。
「そんな事になったら、全力で四季映姫に喧嘩売ってお前の地獄行きを回避してやる」
嬉しくて思わず抱きついたものの。
ふと冷静に、シキエイキとは誰ぞと。
話の流れ上、閻魔様になりそうな気がするけど。
……まさかそんな人とまで知り合いとか言わないよね。
で、異変後は安定の飲み会。
やはり異変の首謀者達とは仲良くなり。
今度妖夢さんに剣を教えてもらうことになった。
酔った勢いで、これで私も強くなれる! とか思ってたけど。
後日、よくよく考えたら、外の世界で剣を持ってたら銃刀法違反になる事を思い出す。
でもまぁ、無駄にはならないだろうと特訓を受けることに。
決して、その事を伝えた妖夢さんの涙目にやられた訳ではない。
こら、幽々子様!
妖夢のそれは反則よねぇ、じゃないです!
あ、後訳のわからない時期に異変を起こされたので学校は無断欠席になりました。
後日、お母さんからお叱りを受けた次第。
ガッデム。
その2ヶ月後にも異変があったらしいのだが、私は実はよく知らない。
飲み会が凄い頻繁に行われ、アルコールに強くなったのは分かる。
後、酔った勢いでシノさんから好みの女性を聞き出した。
容姿で言うなら、ポニテが好きという事実が判明。
次の日から私の髪型がポニテになったのは言うまでもない。
長さもちょっと足りなくて無理矢理感があるから、暫くは切らずに伸ばしておこう。
そう心に決めた視界の端に、頭から巨大な角を2本、左右のこめかみあたりから生やした幼女を見かけた。
誰だろうあれ。
近づいて声をかける。
伊吹萃香、と名乗った幼女は鬼なんだという。
よろしい、それでは飲み比べだ。
自然とそんな言葉が私の口から出た。
目覚めると、安定のシノさんの膝の上。
今回はそれプラス、頭痛と吐き気。
これが二日酔い。
気分が落ちる。
でもシノさんと一緒にいるだけで何か安心する。
いつもなら、膝枕で満足するけど。
今日はちょっと大胆に、手を握ってみる。
ちょっと驚いてたけど、シノさんも私の手を握り返してくれた。
その事に嬉しくなり、私は目をゆっくり開いて……
全ての力を総動員し、縁側へダッシュ。
その後は……女の子の終わった姿を晒しました。
目を開いたあの瞬間に、一気に吐き気がやってきた。
一応、床とかにはぶちまけずに済んだけど。
シノさんからは普通に見える位置でやっちゃった訳で。
シノさん、こんな私の姿を見ないで下さい。
後、神様、お酒はもう飲まないので許してください。
酒飲みが二日酔いにするお願い事を思いながら、背中を優しくさすってくれるシノさんに、何となく『ごめんなさい』と謝ることしか出来なかった。
あの地獄の宴の後。
博麗神社には鬼の幼女、萃香ちゃんが居候するようになった。
そういえば、ネットで伊吹の鬼を検索したら、酒呑童子じゃないかなという結果が。
そんな鬼に飲み比べ勝負とか。
何で生きてるんだろう、私。
萃香ちゃんは密と疎を操る事が出来るらしい。
だから、例えば自分を構成する部分を疎により限りなく薄くして、霧のようになり幻想郷全体に漂うことが可能になったり。
もう少し応用して、分身体が作れたり。
敵の、例えば魔砲を自分の所に届く前に散らしてしまったり。
あえて言おう、チートであると。
でもその能力をヒントに、魔法で分身体を作ることに成功した。
魔法を解くと、それまでその分身体が過ごしていた内容が私に伝わるという素敵仕様。
これで学校生活は万全だ!
それでも萃香ちゃんのチートには負けるけど。
そう言えば、シノさんが言うには本当のチートは八雲紫って人なんだとか。
飲み会で、よくその人を見かけはするんだけど。
他の参加者、主に主犯格と毎回盛り上がって早々に潰れるので、未だ交流がなかったりする。
機会があれば今度挨拶しておきたいかも。
そして1ヶ月前。
後に永夜異変と呼ばれるものに巻き込まれる。
夜が終わらなくなり、歪んだ満月により妖怪達が暴れだすのだという、
犯人は迷いの竹林を抜けた先に居を構えていると言うのは霊夢さん。
どこから仕入れてきた情報なのか、甚だ疑問です。
竹林を抜けた先。
そこにあったのは『永遠亭』と書かれた大きな屋敷。
いつもの異変同様、不法侵入な形で突入する。
途中出てくるのは因幡の白兎のてゐちゃん。
月の兎である鈴仙さん。
月の頭脳とも呼ばれた、確認されている最古の人類より前の時代に生きた人、八意永琳。
竹取物語でもお馴染みの、月のお姫様、蓬莱山輝夜。
通称かぐや姫。
そして、この2人。
本物の不老不死である。
この幻想郷、もはや何が起こっても不思議ではない。
殺す気で来てもいいと許可を貰ったので、ちょっと力を出してみる。
永琳さんの腕を吹き飛ばす。
再生。
かぐや姫の下半身を氷漬けにする。
再生。
2人ともまとめて、なんちゃってスターライトブレイカーで吹き飛ばす。
どこからともなく再生。
土下座。
霊夢さんからガッされる。
いや、仕方ないでしょうこれは。
シノさんに泣きつく。
今回は霊夢さんが頑張って2人の相手をしてくれるらしい。
お願いします。
精も根も尽き果てました。
霊夢さんが戦う姿を見て。
シノさんが頭を撫でてくれてます。
ニヤけます。
性はまだ尽き果ててないみたいです。
その後の宴会は予定調和。
あれほど飲まないと誓ったのに、また飲んでしまいましたごめんなさい。
で、今に至るわけなんだけど。
ここ1ヶ月は異変なんてものに巻き込まれることは無かったし。
もはや予言レベルの勘を持つ霊夢さんからも、『まぁ、今年いっぱいはもう何も起こらないんじゃないかしら。幻想郷では』というお墨付きも頂いたので。
ルンルン気分なのですよ。
何で1年ちょっとで何度も死に掛けねばならんのか。
うぅ、思い返すと胃が痛い。
でも、もう大丈夫!
今はちょっと気分がいいので、分身ではなく本体の方で学校に来ています。
今日もいい事ありますように。
思った瞬間、靴の紐が切れました。
……いやいやいや。
そんなハズないよね?
そう思いたいです、お願いします。
教室につく。
私の友達の美樹さやかちゃんと志筑仁美ちゃんは既に席についている。
さやかちゃんは、今時の女子中学生って感じのちょっとうるさいキャラ。
チャームポイントは青い色の肩くらいまでの長さの髪。
対して仁美ちゃんは、ちょっと緑がかったふわふわウェーブの髪型だ。
髪の毛同様、性格もややポワワンとしている。
あのアクの濃い幻想郷メンバーに慣れきった私にとって、2人は心のオアシスだったりする。
「やぁやぁ、想い人の為に髪型をポニテにまで変えたまどかさんじゃないですか!
その後、彼との進展は如何なものなんだい?」
「仁美ちゃん、さやかちゃんが若干うざキャラになってるんだけど何かあったの?」
「あぁ、それねぇ……恭介とひと悶着あったらしくて」
「なるほど、皮肉を込めて私に当たってみると。
それでさやかちゃん、聞きたい?
私とシノさんの関係。
余すことなく。
じっくり、ねっとり」
「あ、いや、ごめんなさい、結構です……」
勝った。
何にだ。
因みにこの2人には、シノさんという、私の想い人がいることは伝えてある。
どこにいて、何をしてるとか、細かいことは何も教えてないけど。
本当は存在自体教えなくても別に良かったのだけど、この時期の女の子は過敏なもので。
ずっとツインテールだった私の髪型が、いきなりポニテに変わっただけで全てを把握した2人。
恐ろしいものだと思う。
そんな軽い会話を交わし、私も席に着く。
結構時間ギリギリに登校してきたので、すぐに朝のHRが始まるのだ。
開かれる教室の扉。
やってくる先生。
このクラスの担任は、早乙女和子さん。
お母さんの親友で、婚期を焦っている女性。
少し小さめの身長が可愛いと思うんだけど、付き合う彼氏とは中々うまくいかない。
何がダメなんだろう。
焦ってる所かな、やっぱ。
教壇に立った先生が最初に話し始めた事は、玉子焼きは半熟がいいか固焼きがいいか。
その下りでもう分かりました。
また彼氏とうまくいかなかったんですね。
もう少し落ち着いてはいかがでしょう。
口に出すと、後々お母さんも交えてどこかのレストランでガールズトークをする羽目になるので言わない。
こういうのは自分で気付くべきだしね。
「さて、次のお知らせなんですが。
何とこのクラスに転校生がやってきます!」
先にそれやれよ。
転校生を玉子焼きの話をする為に待たせてたのか?
ざわざわと周りから聞こえる声に私も同意する。
「では、暁美さん、いらっしゃい」
その声に合わせ、教室の前の扉から入ってくる転校生。
腰の辺りまで伸ばした黒髪ストレート。
スレンダーな体格。
整った顔立ち。
死んだような眼。
うん、何か彼女とは友達になれそう。
先生が、名前を書いている間に自己紹介をとお願いする。
「……暁美ほむらです。
よろしくお願いします」
一礼。
顔を上げた後、私の方に視線を向けてきた。
目が合ったので、にへらと笑って手を振っておく。
すると件のほむらちゃんは、驚いたのか目を見開いていた。
そして声には出してなかったようだが。
口の動きを見るに、『ポニテ』と呟いていたようだった。
淡々とした自己紹介だったが、一応はクラスのみんなに歓迎され。
次の休み時間には質問タイムへ突入。
あれって転校生の通る1つの試練だよね。
「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」
質問攻めにされているほむらちゃんを見ながら、そう呟く仁美ちゃん。
「ねぇまどか。
あの子知り合い?
何かさっき、思いっきりガン飛ばされてなかった?」
「んー……
多分だけど、ポニテ萌えとか。
私の事見て、『ポニテ』って呟いてたし。
その瞬間、死んだ魚みたいな目に光が宿ったし」
「いや、うん、それはないと思うけど」
マジですか。
そんな事を話していたら、ほむらちゃんの方でも何やら進展があったらしく。
「ごめんなさい、なんだか緊張しすぎたみたいで、ちょっと気分が……
保健室に行かせて貰えるかしら」
なんて言っていた。
何かヤな予感がするので戦術的撤退。
教室の後ろの扉から廊下へ脱出を試みる。
「ちょ、まどか!
いきなりどこに行くんだって!?」
失敗。
さやかちゃんに襟首を持たれ、グエッってなった。
女の子にあるまじき姿パート2だよ。
シノさんがこの場に居なくて良かった。
何て事をしていたら、いつの間にやら目の前にはほむらちゃん。
「鹿目まどかさん。
貴女がこのクラスの保険係よね」
「…………そだっけ」
「え?」
「え?」
訪れる沈黙。
「……まどか、マジで言ってる?」
「あはは、やだなぁさやかちゃん!
冗談に決まってるでしょ!」
「まぁ、保険係なんて余程の事が無いと仕事ないし、仕方ないのかもしれないけど」
「だよね! だよね!」
「やっぱり忘れてたんだね」
「ガッデム。
ハメたな、さやかちゃん」
ともあれ、気分が悪いと言っているほむらちゃんを放置するわけにいくまい。
バイバーイと手を振るさやかちゃんにいつか復讐する事を誓いながら、ほむらちゃんを連れて教室を後にした。
「時にほむらちゃん。
私が保険係ってどうして知ってたの?
私も知らなかったのに」
「……それはそれで問題じゃないかしら。
貴女が保険係って事は、早乙女先生に聞いたの」
「そうなんだ。
あ、保健室なんだけど……」
「こっちよね?」
しっかりした足取りで先導し、曲がり角を曲がっていくほむらちゃん。
壁が全てガラス張りの建物なので、曲がった後も迷いなく進んでいく彼女の姿が見える。
とりあえず、私は足を止め、どこまでほむらちゃんが1人で歩いていくか観察することに。
2度目の曲がり角を右折。
何だろう。
すっごい笑いがこみ上げてくる。
やがて後ろに私が居ない事にやっと気付いたのか、辺りを見回すほむらちゃん。
あ、目が合った。
凄い早足で戻ってくる。
隠してあったお煎餅を食べられてる所を発見した霊夢さんのような、鬼気迫る表情をしていたので私も迷わずUターン。
誰か助けてください。
タタリガミ様がくるよぉ。
結果、逃げ切れず。
教室ちょい手前の廊下であえなく御用となりました。
「はぁ……はぁ……なんでよ!?」
「息も絶え絶えの所ごめんね、ほむらちゃん。
何が?」
「いや、保健室、案内、しなさいよ……!!」
「いやぁ、私が教えるまでもなくズンズン進んでいくから、知ってるのかなーって。
間違えたら教えなきゃって思ったから、一応ちゃんと見てはいたんだよ?」
「……」
あ、崩れ落ちた。
「……保健室、行こっか?」
「……うん」
いじりすぎたようで。
ちょっと反省。
ほむらちゃんに手を貸し、再び2人して戻ってきた道を進むことに。
「あの、鹿目さん」
「ん?
まどかでいいよー」
「そう……まどかは、その、私の事をいきなり名前で呼ぶのね?」
「うん、カッコイイ名前だなぁって思って。
後は知り合いがみんな下の名前で呼ぶように言ってくるから、その影響かな?
嫌だった?」
「……いえ。
そんなにカッコイイものかしら、私の名前」
だってほむらって、漢字だと『焔』て書くよね。
カッコイイけど中ニ臭い。
言わないけど。
なんて思ってたら、突然くるりと振り返り私と向き合うほむらちゃん。
マズい、バレたか……!
「鹿目まどか。
貴女は自分の人生を尊いと思う?
家族や友達を、大切にしてる?」
違った……!
「どうしたの、ほむらちゃん……?」
「答えて」
これは新手の中二病でしょうか。
いわゆる電波女。
対峙している私が青春男じゃないのが悔やまれる。
「大切だよ。
家族も友達も。
大切にしてるんだから、もうちょっと私をいたわってくれてもいいんじゃないかなと最近思うんだけど。
この1年と数ヶ月で何度死にかけたと思う?
魔理沙さんやパチュリーさんやアリスさんには感謝してるけど、霊夢さんには負の感情しか湧き上がってこないよ。
EXまどかにでもなってみっくみくにしてしまいたい。
でも勝てるヴィジョンが浮かばない。
何あの人、他の人がチートなら霊夢さんはバグだよ。
絶対あの人、ネギまのジャック・ラカンともタメはれるよ。
いや実在しない人物だけどさ」
「え、えっと、まどか……?
大丈夫?
何か聞いちゃいけない単語とか色々聞こえた気がするんだけど……」
「え?」
いつの間にやら私の愚痴祭りになっていた。
失敬失敬。
「そういう夢を見たんだ!
家族や友達は勿論大切だよ。
さやかちゃんも、仁美ちゃんも。
ほむらちゃんも、今日から友達だね!
だから、どんな電波発言をしても大丈夫だよ。
私が全部受け入れてあげる」
「どこをどうしたら私が痛い子になるの……?
いえ、それよりも私が友達でいいの……?」
「勿論!
大事件を起こした主犯達とも、一晩飲み明かせば友達になるんだから。
電波を受信する子なんて私は全然気にしないのです!」
「……大事件?
……飲み明かした?
……電波?」
もう、そういう夢を見たの!
そこに食いつかない!
ほら、保健室に行くんでしょ?
こんな所で油売らない!
バシンとほむらちゃんの背中を叩いて、ティヒヒと笑う。
そのまま、彼女の手を引いて、私は保健室への道を再び歩みだすのだった。
※八卦炉が六角形になっていた不思議を修正しました。