まどかの中学生活   作:ホワイトロリータ

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お酒は心の潤滑油。


まどかブレード

おかしい。

 

 

「さて、それじゃあ魔法少女体験コース第1弾。

張り切っていってみましょうか。

準備はいい?」

 

 

おかしい。

 

 

「準備になってるかどうか分からないけど!

持ってきました!!

何もないよりはマシかと思って」

 

 

私は昨日、全力で、厄介事は勘弁して欲しいと懇願したはずだ。

それなのに何で。

 

 

「ま、まぁ、そういう覚悟でいてくれるのなら助かるわ」

 

 

何で、マミさんに魔女狩りなるものに拉致られ、ファーストフード店にてそれの説明を受けているのか。

あまつさえ、さやかちゃんは鉄バットを手に張り切っているのか。

私の腕の中で黙々とフライドポテトを頬張っているキュウべえに尋ねる。

 

 

「助けてよ、キュウべえもん」

 

「まど太くん、それは尋ねるじゃなく救援要請というんだよ。

そもそも、僕はもう『向こう』と繋がりが切れちゃったからただの小動物に過ぎないんだよ。

何で新しい僕がまだ姿を見せていないのかは謎だけど」

 

 

パン工場で新しいキュウべえが焼き上がってないんじゃないかな。

仕方ない。

右隣にいるほむらちゃんに視線を向ける。

 

 

「美樹さやかがああなった時、止めることは難しいと思うのだけど」

 

「私、まだ何も言ってないよ?」

 

「顔に書いてあるわよ?

後、私を巻き添えにしたのはこうなる事を予測して?」

 

 

そう、今日の学校が終わった直後。

颯爽と帰路につこうとするほむらちゃんの肩をがしっと掴み、爽やかな笑顔と共に今日の放課後ライフと共に過ごそうと提案したのだ。

理由?

やな予感がしたから。

流石に霊夢さんレベルじゃないけど。

こういうのだけは的中するから困っちゃう。

 

 

「転校生!

あんたも魔法少女なんだよな?」

 

「えぇ、そうよ。

その辺の魔女なんかにはやられたりしないから安心して。

むしろ、あなたとまどかが心配なのだけど」

 

 

言いながらちらっとこちらを見るほむらちゃん。

 

 

「まどかは何か、持ってきた!?」

 

「いや、その前に帰りたい」

 

「却下」

 

「なんでさ」

 

 

そりゃあ、と続けるさやかちゃん。

 

 

「私はこの事件の先を知りたい。

しかし残念ながら力がない!

マミさんや転校生に守ってもらうのもいいが、知り合って間もない人に守ってもらうのは、些か不安が残る。

ではどうする?

おぉ! いい所に気心の知れた、バグキャラが居るではないか!

よし、こいつに守ってもらおう。

という流れな訳。

完璧過ぎてグウの音も出まい!」

 

 

穴だらけ過ぎてグウの音も出ないよ。

というか、誰がバグキャラか。

 

 

「で、まどかは何持ってきた?」

 

 

キラキラと目を光らせて聞いてくるさやかちゃん。

もう半分諦めました。

今回は首を突っ込んでやりますよこん畜生。

 

はぁ、とため息をつき、パチュリーさん直伝の認識阻害結界(小)を私達のテーブル周辺に展開。

そのまま左腰より少し横の空間に右手を伸ばす。

何もない空間を握る。

次の瞬間、握った手には包帯が巻かれた持ち手が現れた。

ちょっと長い獲物なので、対面に座るマミさんに当たらないように空間からそれを引き抜く。

 

シノさんから貰った武器。

昔、別世界の吸血鬼(レミリアさんやフランちゃんではないらしい)が持っていたというそれを、紫さんがパクってきて。

そのままシノさんの手に渡ったらしいのだが、自分用の武器はあるからいらないと。

厄介払いよろしく、妖夢さんに剣術を習っていた私の下に流れてきた。

 

突っ込みどころは満載なのだが。

別世界って何ですかって聞いたら、紫には出来るんだよなぁ……という返答を頂いた。

 

 

「ま、まどか……

それ……何……?

2m近くある……大太刀……?

どっから出した……?」

 

「どこにでもいるけど、気づかなければどこにもいない。

認識されなければただの現象として処理される、怪異と呼ばれる存在。

その怪異を殺す刀。

怪異のみを殺す刀。

『妖刀・心渡(こころわたり)』

昔、シノさんに護身用って貰ったんだ」

 

 

席から立ち上がり、通路に立つ。

肩に担いだ心渡を軽くひと振り。

うん、でかい。

 

 

「後、使うか分からないけど対になる『妖刀・夢渡(ゆめわたり)』も貰ったんだ。

まぁ、今回は使わないだろうけど」

 

 

ほら、魔女って普通の人には見えないんでしょ?

しかも、魔女の出した被害って自然現象として処理されるとか。

なら、魔女って怪異みたいなものじゃん。

だから心渡も効くと思うんだよねー

 

 

「剣術に関しても、疑わしかったら斬れば分かるってよく言ってる頭がブッ飛んだ師匠に教わったからある程度は大丈夫。

技も漫画をネタにいくつか使えるし。

で、どこにしまってたかというと。

詳しくは理解出来ないと思うから端折って言うと、空間に穴開けてそこにいつも置いてる。

ほら、ゲームでいうインベントリとかああいう感じかな?

大剣とか鎧とか、いっぱい持っててもプレイしてるキャラは軽装でしょ?

どこに持ってる!? っていう疑問の解答みたいな感じ」

 

「まどかが、僕がなってもらった魔法少女達よりも魔法少女してる」

 

「分類的には『魔法少女』ではなく、『魔法使い』になるのだよ、キュウべえ君」

 

「まどかがバグキャラからチートキャラ化してる」

 

「どうやらさやかちゃんは、心渡の頑固な汚れになりたいらしい」

 

 

まぁ、怪異のみを切るから、人間はすり抜けるだけで切れないんだけど。

あ、でもマミさんは分かんない。

ほむらちゃんも。

ソウルジェムが本体のマミさんとほむらちゃんは、怪異として認定されるのかな。

要検証だね。

 

勿論そんな事を知らないさやかちゃんを脅すには十分。

土下座するさやかちゃんを尻目に、これで大丈夫かな? とマミさんに問う。

半分呆然としていたが、やがてブンブンと首を縦に降り始めた。

さて、と。

店の中で心渡を出してるのも結構邪魔になるので、また空間に収納。

加えて認識阻害結界も解除。

何事も無かったように席に戻り。

碇のゲンドウスタイルで一言。

 

 

「さて、心渡のお披露目も終わったところで。

帰っていいかな?」

 

「何を言ってるんだお前は。

さぁ、マミさん!

このやる気なし子ちゃんこと、チートキャラマジカルまどかを連れて!

いざ、魔女探し!」

 

「無念。

さり気なく帰宅を試みたのに」

 

「僕にはド直球に聞こえたよ、まどか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「基本的に、魔女探しは足で行うの。

ほら、私のソウルジェム。

これが昨日の魔女の魔力を覚えてるから、後はその光が強まる方へ進めばいい」

 

 

ファーストフード店から出てきた私たちは、マミさんの先導のもと魔女探しを決行。

今は通りがかった橋の上で、歩きながら魔女はどうやって探すのかを教えてもらっている状態。

 

 

「なんというか、地味なんですね……」

 

「違うよさやかちゃん。

これは地味なんじゃない。

面倒なんだ」

 

「まどか、あんたちっとは歯に衣を着せなさい」

 

「キュウべえは魔女レーダー搭載してないの?」

 

「ほほう、この私をスルーするか……」

 

 

正義の正拳突き―――!!

って叫びながら突っ込んできたさやかちゃんを華麗に躱し、アイアンクローを決めながらキュウべえに聞く。

 

 

「んー、今の僕に出来ることって、テレパシーでみんなを繋ぐくらいしか出来ないんだよ。

願いを叶えるとかそういった事を含め、細かいことは僕たち『端末』を通して『向こう』が処理してたから」

 

「念話があるので不要です」

 

「……まどかって、結構万能キャラだよね」

 

「キュウべえ。

あなたには分かるんじゃない?

あの集団の中に居たらどうなるか……」

 

「納得」

 

 

ちらりと、私達の少し後ろを歩くほむらちゃんを見る。

 

 

「厄介事ストッパーも役割を果たせずだったし」

 

「……え、それ私?

というか、あの会話のどの時点で止めるべきだったの!?」

 

「多分、私に保健室へ同行をお願いする時点で止めるべきだったと思う」

 

「何を!?」

 

「色々」

 

 

全然会話に加わってこないので絡んでみたら、何気に面白い反応なほむらちゃん。

私の癒し系キャラとして脳内登録しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

何て事をしていたら、やってきました廃ビルの前。

何でもここから魔女の魔力が感じられるとか。

ビルを見上げる。

魔力かー……うん、イヤな雰囲気はする。

それはきっと、屋上のフェンスを超えた先に飛び降り自殺しようとしている女性を見つけたから。

 

 

「うおーマジですかー」

 

「……じゃなくて助けなさい!!」

 

「ガッテン」

 

 

さやかちゃんからお叱りを受ける。

慌てず騒がず、腕の中にいた淫獣を右手にセット。

照準は屋上の女性。

ピッチャー第1球。

振りかぶって……投げた!

 

 

パコ――――ン!!

 

 

そんな軽い音と共に、屋上に崩れ落ちる女性。

いい感じにスピンをかけていた淫獣ことキュウべえは、狙い通りの軌道を描いて私のもとへと帰って来た。

頭にでかいタンコブを作って。

 

 

「……まどか……もう少し僕をいたわって……?」

 

「ミッションコンプリートだよ、さやかちゃん」

 

「いや……確かに止めたけど……

あれトドメさしてない……?

字は一緒だけどさ」

 

「大丈夫!

というか、異変を起こした人とその関係者は、とりあえずボコるのが幻想郷の流儀だから」

 

 

ティヒヒ! と笑ってサムズアップする。

 

 

「なら僕を巻き込まなくても……」

 

「手元にいい物が無かったから。

弾幕は当たっても死なないとは言え、当たると痛いからねー

キュウべえの方が、まだダメージは少ない、ハズ」

 

「まどか、まどか。

幻想郷って何?

キュウべえをぶつけたりする奇行は、日常の出来事だからいいとして」

 

 

さやかちゃんは喧嘩を売ってるのだろうか。

 

 

「幻想郷ってのはね。

シノさんと過ごせる楽園」

 

「ラブホか」

 

 

なぜそうなる。

 

 

そんな雑談を交わしながら、廃ビルの中へと足を踏み入れる私達。

呆気にとられて言葉を発することが出来なかったマミさんとほむらちゃんが、正気を取り戻して慌てて追いかけてくるのは数分後の事だった。

 

で、先に入った私達は、廃ビルに入ったすぐにある正面の階段。

その登りきった踊り場にある、いかにも異空間への入口って感じの光を見つめていた。

 

 

「キングダムハーツのホロウバスティオンに、似たような光景を見た気がする」

 

「そだっけ?

とにもかくにも、ダンジョンへの入口って事だけはこの私でも分かる!」

 

「うん、気合い入れるのは分かったから鉄バット振り回さないでさやかちゃん」

 

 

追ってマミさん達も合流する。

 

 

「昨日は逃がしちゃったけど。

今日こそは、逃がさないわよ」

 

 

そう言って、マミさんはさやかちゃんのバットを握り締めた。

すると、その辺で売ってそうな普通の鉄バットが、なんと銀色の鈍器に。

何アレ、棍棒?

アワワ、とさやかちゃんも驚いている。

 

 

「気休めだけど、これで身を守る程度の役には立つわ。

後は……暁美さんは大丈夫よね?」

 

「えぇ、心配しないで。

でも、私の魔法は攻撃には向いていないの。

だから、もしもの時のために、私は後ろで待機する事にするわ」

 

「……分かったわ。

鹿目さんは大丈夫?」

 

「……ん」

 

 

軽く頷いて、心渡を空間から抜き放つ。

妖夢さんとの手合わせでは何度か使った事があるが、実戦では初のお披露目。

心なしか、私も心渡も気分が高まっている気がする。

 

 

「準備は万全ね。

じゃあ、ここから先。

私から絶対に離れないで。

でも近づき過ぎもダメよ。

2mは絶対に距離をあけておくこと」

 

 

何で2m?

右手に持った心渡を見てみる。

アバウト2m。

把握。

 

 

「じゃあ、行くわよ!」

 

 

マミさんの合図と共に。

私たちは魔女の結界内へと侵入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界内は、前に出てきた髭ボール達が奥の方で何かをせっせと運んでいる背景。

尚、キュウべえ曰くあの髭ボールは『アントニー』というらしい。

すこぶるどうでもいい。

まぁ、遥か彼方なので今回はこっちに襲いかかってくる事はなさそう。

無視して階段を登り続ける。

 

しばらく登ると、ちょっとした広間に出た。

そこで襲いかかってくる別の生物。

シルエットはどデカイ蝶。

でも胴体部分がハゲのおっさんの頭部。

そして、目が頭部全体に満遍なくいくつもある。

一言で言うならグロイ。

これもキュウべえ曰く『アーデルベルト』というらしい。

 

 

「何でそんなに知ってるの。

キュウべえって実は追っかけ?」

 

「それを肯定したら、僕の趣味が凄まじいものになるよね。

違うからね。

ちゃんとした『向こう』の魔女知識」

 

「へぇ。

じゃあここの魔女はどういう存在?」

 

「薔薇の魔女。名称『ゲルルート』

蝶の羽と、薔薇の茂みのような頭部を持つグロテスクな魔女。

性質は不信。

工事現場のような結界に住む。

バーイNAVER魔女まとめ」

 

 

NAVERって何?

え、インキュベーターが使うネットサイトの1つ?

インキュベーターって何?

え、ググれ?

 

 

「私には基礎情報が足りなさすぎる。

ほむらちゃん、私はどうすればいい?」

 

「とりあえず、心渡を担いだまま勢い良く振り返らないで頂戴。

殺意が無いから反応し辛いのよ。

危うく首が飛ぶところだったわ……」

 

 

失敬。

くそぅ、名刀なのに役に立たないよシノさん……!

 

 

マミさんが正面に居た1匹を、マスケット銃で撃ち抜く。

私は心渡を腰だめに構え、居合抜きのような格好で横に薙いだ。

左端から右端まで、5~6匹居たアーデルベルトが瞬きする間に真っ二つ。

それだけで邪魔するアーデルベルトは居なくなった。

心渡を肩に担ぎ、また走り出す。

 

 

「制服だと刀が振り辛い……」

 

「まどかは普段、刀を持つ時は何を着てるんだい?」

 

「んー……普通の巫女服かな。

ほら、向こうじゃ村人の服装は和服だから。

でも女性の和服って、動きにくいでしょ?

だから、袴とかあって動きやすい巫女服をシノさんが作ってくれたんだー」

 

「……あの人もあの人で万能キャラな気がする」

 

「結構器用なんだよ、シノさん。

まぁ、今回は予想外だった上に学校帰りだったから、制服のまま来ざるを得なくなったけど。

何かいつもと感覚違うからヤダー」

 

「そう言ってる割には、太刀筋が僕には見えなかった件」

 

 

階段を登り、十字路を右へ。

再び襲いかかってくるアーデルベルトの群れを蹴散らし、また走り出す。

 

 

「どう?

怖い? 美樹さん」

 

「大丈夫です!」

 

「そう」

 

 

マミさんがさやかちゃんに問いかけた。

それに力強く返事をするさやかちゃん。

……あれ、私は?

 

 

「鹿目さんの場合、逆に私が怖いわ。

主にその刀が当たらないかどうかって事で」

 

 

ヒドイ!

何とか言ってやってよほむらちゃん!

そう言いながら、後ろにいるほむらちゃんへ振り返る。

 

 

「だから、急に振り向くのはやめて。

本気で、今の危なかったから……!」

 

 

ソーリー。

 

 

「あ」

 

「ん、どうしたのキュウべえ?」

 

「いや、もうちょっとで結界の中心部だ」

 

 

今私達の目の前には、絵本の表紙のような扉が1つ。

これがラスボスへの扉か。

なんてファンシーな。

いや、魔女って時点でファンシーか。

 

 

「鹿目さん……!」

 

 

マミさんと目線を合わせ、コクンと1度頷く。

扉の前まで歩み寄り。

手を伸ばして……3回ノック。

 

 

「ゲルルートさーん!

小包みですー!

ハンコくださーい!」

 

「なんでよ!?」

 

 

マミさんに詰め寄られた。

 

 

「いや、魔法陣をグルグル書く漫画の勇者さんも同じ方法で魔王城の扉を開けてたから」

 

「そんなので開くわけ……」

 

 

バァン!!

結構大きめの、そんな音を立てながら目の前の扉は勢い良く開いた。

 

 

「うん、やっぱ困ったときは配達物に限るね!

文々。新聞は来たら拒絶するタイプだけど」

 

 

扉の先を、意気揚々と歩いていく私。

納得しかねる表情をした面々が続いてくる。

すぐに行き止まりが見えてきた。

するとそこには!

同じ扉がありました。

 

 

「なんでさ」

 

「鹿目さん、次は普通に開けましょうね?」

 

 

念を押されては仕方なし。

扉に手を掛ける。

また勢い良く扉が開いた。

だが今回は、私は何もしていない。

どうやら、自動ドアタイプだったようだ。

 

それから2・3回同じ感じに扉を潜り。

遂に大部屋に到達。

魔女という、ファンシーな存在の登場である。

そう、ファンシー、なはず。

頭部がタコのような形の薔薇の茂みで、胴体が白いナスっぽくて、そこから蝶の羽が生えてて。

ナスの下からは黒い触手がある事に目を瞑れば。

 

 

「人類には早すぎる魔女だ。

キュウべえ。

私にはアレがメスには見えない。

カタツムリみたく、雌雄同体と言われても納得するよ」

 

「ツッコミ所はそこかい?」

 

「グロイ……」

 

 

さやかちゃんから見ても、精神的にクル姿のようだ。

 

 

「じゃあ、悪いけど今回2人は見学で、暁美さんは後方担当だから」

 

 

言いながら、マスケット銃をクルリと手で1回転させてから肩に担ぐマミさん。

 

 

「あれは私が倒してくるわね。

3人とも下がってて。

応援よろしくね?」

 

 

大部屋に飛び出していくマミさんを見つめながら。

キュウべえに、応援って何しようと問いかける。

ほむらちゃんは、我関せずみたいに壁に寄りかかって腕組してるし。

さやかちゃんは、健気にガンバレーって声かけしてる。

 

 

「こういう時、吟遊詩人とかは歌って仲間の士気を上げるらしいよ」

 

「キュウべえそれ採用」

 

 

丁度この大部屋。

天井が丸くなっているので、音が反響するにはいい設計と勝手に思う事にする。

魔法で風を操り、更に音が届くようにひと工夫。

さて。

 

 

「じゃあキュウべえ。

イントロお願い」

 

「アイマム。

……『ぇええーえーえーぇ――――ぇええーえーえーぇ―――』」

 

「すぅ……

『いーつーか君が

瞳に灯す

愛の光が……』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、言い訳はあるかしら?」

 

「いや、マミさんの力になれればいいなーと思いまして、ですね」

 

「えぇ、確かに力は湧いてきましたわよ?

おかげでいつもよりも、簡単に魔女を倒すことが出来たわ」

 

「おぉー!

やはり歌の力は強大ですね、マミさん!」

 

「でもね、今回はあなたと美樹さんに、魔女との戦いを見てもらいに来たのよ。

それが、私が魔女を倒し終わった時には1人は熱唱してるし。

1番見て欲しい人は体育座りであなたを見てるし。

暁美さんも一緒に座って見てるし」

 

 

本日2度目の。

ソーリー。

 

まぁ、今マミさんが言った理由で私は正座させられ、お説教されているという訳である。

応援を頼まれたからしたのに。

理不尽ではなかろうか。

 

ため息1つ吐き、マミさんはしょうがないわね、と許してくれた。

ボス部屋まで着いてきただけでも、8割は危険性を感じてくれただろうとの判断で。

主にさやかちゃんが、だが。

 

 

「さて、これを見て頂戴」

 

 

マミさんの手には、黒い球体に1本の棒を貫通させた、釣具のウキみたいな物があった。

なんでもグリーフシードというものらしく、濁ってしまったソウルジェムの浄化・魔力の充填にしようするのだとか。

 

 

「魔女を倒した見返りってのが、これだったのだけれど……

元魔法少女だったものだと考えると、気分が落ちるわね……」

 

「ん、そこは気にしなくていいんじゃないかな?

魂だけの存在は、気持ちの持ちようで簡単にその姿を変えれる。

これは実体験でもあるんだけどね。

だからこそ、簡単に魔女にだってなれる。

成仏せずに、現世に留まっている魂は特に」

 

 

外からの影響ってのを受けやすいからね、魂だけの存在ってのは。

 

 

「だから、魔女化した魂は外部から浄化してあげる必要があるんだ。

そうして現世のしがらみから解放してあげることで、改めて魂は所謂地獄での裁判を経て、新しい命として生まれる事ができる。

だから、今回は魔女を殺したんじゃなくて、魔女になった魔法少女の魂を救ってあげた、の方が正しいと思うよ」

 

 

まぁ、霊夢さんからの受け売りな上に、魔女の部分は本当は悪霊の話なんだけどね。

ティヒヒ! って笑いながら最後にそう付け足す。

根本的な部分は同じだから、結局救っているのは間違いないだろう。

うん、大丈夫だ、問題ない。

 

そう言うと、マミさんは少し元気を取り戻したようで。

ほむらちゃんも、初めて聞いたらしく(そもそも魂はオカルトだと思っていたらしい。自分は魔法少女なのに)驚いていた。

 

うんうん。

これで万事解決。

みんなで笑い合いながら廃ビルを後にして。

さっきの歌のシーンを盛り返されないように巧みに話題を操作しながら。

夕日に染まる町並みを、それぞれの家に向かって歩き出す。

 

 

「……ねぇまどか。

私なーんか忘れてる気がするんだ」

 

「奇遇ね、美樹さやか。

私もなのよ」

 

「あら、実は私も。

何だったかしらねぇ……」

 

「何、やだ。

3人とも若年性アルツハイマーですか?

脳トレやりなさい脳トレ」

 

 

みんなからガッされた。

反動で、腕に抱えていたキュウべえが地面に落ちる。

その姿を3人がジッと見つめ。

 

 

「あ。

屋上の女の人」

 

 

そんな言葉を、異口同音でつぶやくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まどか、若年性アルツハイマーなんじゃない?

ププッ!」

 

「まどか、ボケても私が介抱してあげるからね」

 

「大丈夫、どんな鹿目さんでも、私は友達ですから」

 

「三者三様の答えをありがとう。

嬉しくないです。

あ、起きた」

 

「……ここは?

……あ……私……何で……飛び降りようなんて……」

 

「辛いことでもあったんでしょ。

やなことでもあったんでしょ。

世界はこんなはずじゃなかった事ばかりですからね。

そんな時には飲むに限ります!

丁度異変も解決しましたし!」

 

「まどか、それ霊夢さんちの大吟醸じゃ……」

 

「宴会があるたびに空間に保管してました。

まだまだあるよ、ついでにおつまみも!

さぁ、飲みましょう!

暗くなったら私の弾幕で照らしてあげます!」

 

「まどか、私達は未成年なのだけど?」

 

「そーだそーだ!」

 

「魔法少女と魔法少女候補が今更何を言ってやがりますか」

 

「あの……この光ってる玉は一体……?」

 

「貴女は疲れてるんです。

今のこの光景もきっと夢です。

さぁ、疑問は解決しました。

飲みましょー!」

 

 

 

 

 

 

 

本日の収穫。

名も知らぬ女性と仲良くなりました。

 

 

 

 

 

 




予告の月曜から1日ずれてしまいました。
初めての方は初めまして。
リピーターの方はお久しぶりです。
先日、自宅付近のローソンで売り切れになったホワイトロリータです。

今回は難産でした。
これがスランプというものでしょうか。
脳内では妄想が動画として流れているのに、それを文字に起こすのが何とも。
文章表現力の乏しさが明るみに出た瞬間です。
最後の会話文は、それだけで喋ってる人を特定出来るようにしたつもりです。
上手く人物を当てはめてみてください。


あと、感想を書いてくれた方々には感謝感激です。
お返事は出せていませんが、しっかりと読ませて頂いております。
誤字報告・間違い報告等は読んだらこっそり修正中してます。
何故こっそりか。
恥ずかしいからです。
気付いた方のみ、ビフォアフターをニヤニヤしながら楽しんでいただけたらと思います。


さて、今回で5話目になりました『まどかの中学生活』
まだアニメのまどマギでは2話が終わったところという。
一体どういう風にこれから進んでいくのか。
それは誰にも分かりません。
ホワイトロリータにも分かりません。
アニメ見ながらの同時進行で書いていますので。

細々と、まどマギカテゴリーの末席にいるこの中学生活。
ここまで読んで頂けて嬉しさが有頂天です。
まだアレルギー症状の出ていない方は、次話もお付き合い頂けたらと思います。

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