プリキュア4   作:皆笠

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書き溜め文を見つけたので投稿します
流石にもう見つからないとは思いますが、とりあえず

こちらは本編とは関係のないパラレルワールドみたいなもので、完結させる意思すら全くないので、それでもよければどうぞ


旧版 プリキュアッ 01 茜火編

後藤さんの死体が発見されてから、約一週間が経った。

流石に死体を直接見た私達はまだショックから完全に抜け出すことはできなかったけれど、冷静にあのことについて考えられるようにはなった。

「マヨナカテレビは死のテレビなのかな?」

私はそう言った。

「どうでしょう、まだ確証は持てませんね」

れいかちゃんはいつも通り冷静過ぎているような言葉を言った。

それから、マヨナカテレビについて、皆で話し合った。

そして、教室の窓の外が赤くそまった頃、私はあの話をした。

「私ね、皆に言ってなかったことがあるんだ」

私が皆に言ってなかったこと、それはテレビに手が入れられること。

私はそのことを熱心に話した。

「ええ!?まっさかー」

なおちゃんの反応は分かりやすかった。

私だってそんな反応するよ。

「こんなときにそんな下らんこと言わんといてや」

「ふふっ、みゆきちゃん、おかしい」

「それ、嘘ですよね」

「うう、本当なのに・・・」

皆、信じてくれなかった、まあ、当然か。

「そう言えばさ、あかねちゃん、この前七色新聞に載ってたよね」

別の話題を私は提示した。

七色ヶ丘中学新聞、略して、七色新聞。

「町の美味いお好み焼き屋の娘、として、だっけ?」

やよいちゃんが説明の付け足しをした。

「んんと、ああ、あれか」

なおちゃんは忘れていたようだった。

「何か、恥ずかしいなぁ」

あかねちゃんは頭を掻いて照れていた。

笑い声がどっと起きる。

「恥ずかしく思うことは無く、誇ることではないですか」

れいかちゃんも称賛した。

「あっ」

そして、れいかちゃんはそのまま外の方を見た。

私達も外を見た。

外は夕暮れになり、真っ赤に染まっていた。

「そろそろ遅いですし、帰りましょうか」

れいかちゃんのその一言で、私達は解散した。

 

「みゆき、いつも持ち歩いてる人形はどうしたの?」

お母さんが私に聞いてきた。

人形、つまりはキャンディのことである。

家族にはそういうことにしてるんだ。

流石に本当のことは言えないから。

「なくしたゃった」

これは嘘、現在キャンディは絵本の国へと里帰りしている。

定期連絡をしに行ってしまった。

一週間くらいで帰ってくるらしいけれど、私は3日位で帰ってくるんじゃないかと思ってる。

ちなみに昨日キャンディは里帰りした。

「そうなの、残念ね」

「大丈夫だよ、すぐ見つかると思うんだ」

「そう」

今日は雨じゃない、マヨナカテレビは映らない。

 

その2日後は雨が降った。

「今日はマヨナカテレビ、見逃さないようにしないとね」

私は皆に念を押した。

「解ってる、当然やん」

「寝ないように頑張らなくちゃ」

「弟たち寝かしつけてからだから、大変なんだよね」

「そうですね。忘れないようにしましょう」

ねえ、一人愚痴がなかった?

まあ、いいや。

「また明日ね」

今日は早々に解散することにした。

 

ジジジ

マヨナカテレビの時間になった。

「え・・・嘘でしょ・・・」

私は驚愕を覚えずにはいられなかった。

なぜなら、映っていたのは短髪でジャージのようなものを腰に巻いている姿。

砂嵐でよくは見えない、でも、直感で解る。

あれはあかねちゃんだ。

私は携帯を開き、電話をかける。

プルルルル

この時間さえも今はまどろっこしい。

速く出て。

ガチャッ

「あかねちゃんっ」

『みゆき・・・』

携帯電話から聞こえてくるあかねちゃんの声はいつもより随分と弱々しいものに感じられた。

「よかった、あかねちゃんだ」

それでも、あかねちゃんはまだいる。

だから、私は安心した。

「明日、また学校でねっ」

プツッ

ツーツーツー

私は言いたいことだけ言ってすぐに切った。

あんな弱々しいあかねちゃんの声はもう聞きたくなんかないから。

だから・・・私はすぐに電話を切った。

 

「あかねちゃん、学校行こうっ」

私はあのマヨナカテレビが放送された次の日、あかねちゃんの家まで迎えに行った。

来ない可能性か高いから。

確かに気持ちはよく分かる。

自分が死ぬ、なんてことになったら、他人と会いたくなんてなくなる。

辛いから、そして、なによりも妬ましく思うから。

どうして自分だけ?と思ってしまうから。

そうして自己嫌悪をしてしまうから。

でも、だからこそ、こんなとき友達が必要なんだと私は思う。

独りじゃ辛いだけだから。

私の勝手な自己満足なだけかもしれないけど。

嫌われてもいい、鬱陶しく思われてもいい、私は今あかねちゃんの傍にいたい。

「すまん、今日は体調悪いんや」

ドア越しに聞こえてくるあかねちゃんの声。

それは予想通りの答えで、あかねちゃんの声はどこか弱々しく感じられた。

いつもはあんなに精神の強いあかねちゃんでも、結局は中学2年生の女子、死ぬことが怖くないわけがない。

「そんなこと言わずに行こうよ」

「すまんな、みゆき」

「あかねちゃんっ」

「またな、みゆき」

「・・・うん、またね」

 

まだ死ぬなんて決まった訳じゃない、あかねちゃんが死ぬとは限らない。

考えよう、私一人じゃ無理でも、皆で考えよう。

あかねちゃんは絶対に死なせない。

あかねちゃんがマヨナカテレビに映ってから、3日が経った。

この3日間は雨が降らないどころか、雲ひとつない見事な快晴だった。

だけど今日は・・・雨。

私は今朝も、あかねちゃんの家に行った。

結局出てこなかったけど。

私は不安な気持ちを残したまま、学校へと向かった。

 

そして、放課後。

私は学校からの下校中にあかねちゃんの家に寄った。

ピンポーン

チャイムを鳴らした。

「みゆきさん、姉ちゃんならいないよ」

あかねちゃんの弟さん、名前は・・・何だっけ?

まあ、今はいいや。

「そうなの?」

「急にいなくなってな」

「え?それホント?」

「少し留守にしたらいなくなってた」

・・・あかねちゃんが危ない。

「そっか、ありがと」

私はあかねちゃんの家を後にしながら、携帯電話を取り出した。

メールを打つ。

【件名:あかねちゃんが大変】

【内容:あかねちゃんが家にいない】

送信。

あかねちゃん、一体何処へ。

キミトイエイイエイイエイイエイ

返信が来た。

れいかちゃんからか。

【件名:Re:あかねちゃんが大変】

【内容:本当ですか?】

本当に決まってるよ、こんなときに嘘吐く必要なんてないでしょ、という返信を送った。

スマイルスマイルスマイル

今度はなおちゃんから。

【件名:Re:あかねちゃんが大変】

【内容:嘘でしょ】

さっきのを再編集して送信。

プッリッキュア-

今度はやよいちゃん。

【件名:みゆきちゃん、大変】

【内容:合体ロボットが相手に効かないよ】

どうでもいいわぁっ。

やよいちゃんがたまに心配になるよ。

それから私達四人は一旦公園に集まることにした。

「私は商店街の方を探してみる」

「あ、私もみゆきちゃんと一緒に行く」

「私となおは学校の方を探してみます」

「うん」

私とやよいちゅんはれいかちゃん達とは別方向に走った。

 

「あかねちゃん、何処?」

「どこにいるの?」

色んなところを探した。

でも、見つからなかった。

 

「れいかちゃん、いた?」

『いいえ、すみません』

謝ることじゃない、と思う。

むしろ悪いのは私、朝、諦めずしっかり連れてこれば、なんて後悔してる。

 

その日は諦めた。

結局あかねちゃんは見つからなかった。

だが、私はその日の夜、居間のテレビの前にいた。

今日は雨。

ジジジ

マヨナカテレビの時間になった。

 

「先輩っ、これ、弁当なんやけど」

大阪弁の赤い髪の少女が、男性らしき人に弁当を渡している。

男性は鼻から上が、見えない。

男性の口が動く。

しかし、男性の声は聞こえない。

その代わりに字幕が現れる。

【いつもありがとな】

赤髪の少女は顔を赤らめながら言った。

「かまへんよ、だって、うちら・・・」

 

プツン、とそこでテレビが消えた。

「・・・」

よくある恋愛ドラマのようだった。

やっぱりあかねちゃんだった。

だが、今更解ってももう遅い

私は携帯電話を取り出した。

プルルルル

あかねちゃんは出ない。

探せるところは探した、でも見つからなかった。

じゃあ、今度は探せない場所を探してみよう。

ぐにゅっ

私は頭をテレビに入れ込んだ。

 

熱い。

それが最初の感想だった。

サウナ、じゃないし、砂漠、でもなく、グラウンドに見えた。

とは言っても、マヨナカテレビと同じで良くは見通せないため、そんな感じがする、止まりだけど。

霧がかかってるのかな?

「せーんぱいっ」

あかねちゃんの声が聞こえた気がした。

「何言うてんの?」

あかねちゃんの声が聞こえた気がした。

「あかねちゃんっ」

「みゆき?」

やっぱりあかねちゃんだ。

私は頭だけではなく、気付いたら体全体を入れていた。

「うわあ」

私が見てたところと地面までは高低差があった。

ドサッ、という音と共に私はお尻からテレビの中の世界に落ちた。

「いたた」

お尻が痛い。

「みゆき?ホンマにみゆきか?」

あかねちゃんが霧の中から現れた。

「やっぱりあかねちゃんだ」

「やっぱり、って何やねん」

「で、あかねちゃん」

「何や、みゆき」

「どうやって帰るの?」

「・・・」

あかねちゃんが黙ってしまった。

「あかねちゃん?」

「知るわけないやろっ」

「嘘っ」

「ホンマや」

どうしよう。

『困った顔してるな、すごく良い顔してるで』

「・・・え?」

私は有り得ないものを見た。

『どうしたんや、そない驚いた顔して、なんか良いことでもあったんか?みゆき』

そこにいたのはもう一人のあかねちゃんだった。

でも、何かがおかしい、そんな気がした。

「またあんたか、何でうちと同じ姿してんねん」

『何でって決まってるやろ、うちはうち、あんたはうちや、そんでうちはあんたや』

言ってることが解らない。

『強気にしてるのは嘘、本当はロマンチックな恋がしたい、それがうちや、違うか?』

「違うに決まってるやろ」

え?違うの?

『嘘やな、うちの本音はそういうのに素直なみゆきを妬んでる』

え?本当に?

「違う、うちはみゆきを妬んでなんかあらへんよ」

よかった、安心した。

『ふうん、あくまで認めへんのな』

「当然や」

『うちとあんたは違う、そうなんやな?』

「さっきからそう言ってるやろ」

もう一人のあかねちゃんはその言葉を聞き終えると同時、笑い出した。

『ふふ、そうやな、うちはあんたやない、うちはうちや』

もう一人のあかねちゃんはそう言いながら、体を霧に変えた。

そして、異形の形となる。

お弁当箱の形をした腰に足が四本、胴体は白いブラウスを着ているような姿、頭部は赤い鳥。

そんな怪物。

もう一人のあかねちゃんが変身すると同時、辺りの温度が一気に上がる。

霧で良くは見えないが、周りに火柱が見える。

『我は影、真なる我』

もう一人のあかねちゃん、否、あかねちゃんの影が襲ってくる。

「あかねちゃん、変身だよ」

「わかった」

「「プリキュアスマイルチャージ」」

その言葉で私達の体が光に包まれた。

そして、変身は一瞬で完了する。

「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー」

「太陽燦々熱血パワー、キュアサニー」

『そんなものでうちの邪魔が出来るかいな』

あかねちゃんの影がそう言いながら襲いかかってきた。

「うわっ、っと」

私はどうにかあかねちゃんの影の拳を跳び、避けた。

プリキュアに成り立ての頃は力の加減が掴めなかったし、宙を無駄に跳ぶだけのことをしていた。

でも、今なら出来る。

「やあっ」

と反撃が出来る。

ゲシッ、なんて生ぬるい音ではないが、良い蹴りが炸裂した。

「うちもいるで」

サニーは拳を叩きつける。

これまたバシィ、なんて生ぬるい音ではないが、良いのが決まった。

「これでどう?」

二発攻撃をもろにくらったんだ、効かない訳がない。

『プリキュアなんてくだらないわ、そない幼稚なこと、恥ずかしくて顔から火が出るわ』

まさしく、あかねちゃんの影は口から火を出した。

「あつっ」

「これじゃあ近づけないよ」

『心を込めたんやで、くらいや』

弁当箱の蓋が開き、中から大きなウィンナーが。

ヒュンヒュンヒュン

そのウィンナーは宙を縦横無尽に飛び回る。

『これはな、うちの命令で届くんや』

それからもウィンナーは舞い続ける。

ボォンッ

「きゃあっ」

あまりにもたくさんのウィンナーに気を使ってしまい、気づけなかった。

ウィンナーは私の足元で起爆した。

大きいだけに爆発したときの威力も大きい、爆風も凄い。

私とサニーは190m程吹き飛んだ。

『気づかへんかったろ、おもろいわあ』

あかねちゃんの影はケラケラと笑った。

「・・・違う」

私はその姿を見てはっきりと言った。

「そんなの、あかねちゃんじゃない、そんなの、絶対に違う」

強い断定。

だって、

「だってあかねちゃんは人がひどい目にあって、笑うことなんてないもん」

「みゆき・・・」

あかねちゃんの影はそれを聞くと、笑い声を途切れさせ、憎しみのかかったような声を掛けてきた。

『何を知ったような口を叩きおって、これがうちや』

「違うもんっ」

『じゃかましいわあっ』

「くっ」

あかねちゃんの影はより一層火を強めた。

もう、逃げ場はない。

そもそも、逃げる気なんて毛頭ないけれど。

「私たちは負けない、あかねちゃんの偽物なんかには絶対に負けられないっ」

・・・トクン。

今、一瞬胸が熱くなった。

・・・トクン・・・トクン。

胸の鼓動がどんどん激しくなるのが解る。

胸だけじゃない、身体中が熱い。

こんなときに、何が。

大切な場面なのに・・・

身体中が熱くて熱くて苦しい。

『なんや、それは死んでも構わへんっちゅーことやな』

あかねちゃんの影の左手が大きく振られ、私へと向かってくる。

「みゆきっ、右や」

ごめん、無理。

『ほな、さいなら』

「みゆきー!!」

あかねちゃんの影の拳が当たる瞬間、私の体から光が発せられた。

ガキン

その光は、あかねちゃんの影の拳を反射した。

『な、なんや』

【我は汝、汝は我】

頭にダイレクトに届く謎の声。

【汝、双眼見開き今こそ発せよ】

私はその声に従って、というよりは体が勝手に動いた。

「・・ペ・・ル・・ソ・・ナッ」

私の体を渦巻いていた光が収縮されていき、やがてそれは人型になる。

【私の名はマリア、示すは愚者のアルカナ】

・・・マリア?

【 知恵の実を食べた人間は、その瞬間より旅人となった。カードが示す旅路を巡り、未来に淡い希望を託して…… 】

頭に響く声。

それは次第に小さくなってゆく。

そして、それが完全に聞こえなくなるのと同時で、体の熱は去っていった。

そして、収縮されていった光はより一層強く輝いた。

その次の瞬間光があった場所には一人のシスター服の女性が、立っていた。

藍色のシスター服、顔から流れ出る長く美しい茶髪、右手には一冊の本。

彼女はその本を掲げる。

その瞬間、あかねちゃんの影は光に包まれた。

『なっ、何がぁッグアアアアア』

頭に直接色んなことが流れ込んでくる。

その流れ込んできたものはまるで昔から知っていたかのようによく馴染んで、私の知識になる。

あの技は【ハマ】と言う光属性の魔法。

聖なる光の魔法は影であるもう一人のあかねちゃんには効果覿面なようだ。

「なんか良くは解らんけど、今や、うちらもいくで」

「あ、うん、解った」

まず私から。

「プリキュアッ!!」

手をハートの形にして、そこに私のプリキュアとしての力を溜めて、一気に相手に噴出する。

「ハッピーシャワー!!!」

それが私の必殺技、【プリキュア・ハッピーシャワー】

効くかどうかは解らない、けど、効いてっ。

あかねちゃんの影に直撃した。

『グゥアアアアアア』

やったっ、効いてるっ。

「あとは、サニー、よろしく」

この必殺技は激しく体力を消費するので、連続で出すのはまだ難しい。

「まかせときっ、プリキュアッ!!」

サニーの必殺技は焔球を作り出し、それをバレーボールに見立ててスパイクを放つ。

「サニーファイヤー!!!」

それがサニーの必殺技、【プリキュア・サニーファイヤー】

『グゥアアアアアア』

 

・・・。

良いのかな。

これで本当に良いのかな。

こんなことで終わらせて良いの?

ううん、駄目。

これじゃ駄目。

だって、これじゃ・・・誰も救われない。

 

「ねえっ、あかねちゃん」

 

息も絶え絶えに私は問いかける。

「あかねちゃんっ、本当に違うの?」

「何がや」

「これは、本当にあかねちゃんの本心じゃないの?」

「違うっ、こんなわけあらへんっ」

強い拒絶。

「本当に?少しも思ってないの?」

私は諭すように、優しく、でも強く訊ねる。

「・・・」

 

『当然や、そないなこと、思うわけ、思えるわけ、あらへんよ、だって…』

 

あかねちゃんの影は一旦止める。

 

『だって…そないなこと思ったら、不信になって、しまうもんな。そうしたら、独りに、なってしまう』

 

あかねちゃんの影は笑い声を混じらせる。

 

『独りは、嫌やもんな、一年前は、苦労したもんな』

 

でも、あかねちゃんの影はどこか寂しそうに見えた。

「そんなことっ」

あかねちゃんは否定しようと声を荒げる、だが、そこには戸惑いを混じらせていた。

「あかねちゃんっ」

「今さら何やの、コイツ倒してはい終わり、じゃあいけへんの?」

あかねちゃんは止まらない。

「自分の嫌なとこ見いへんで否定して何が悪いん?」

あかねちゃんは言ってから「あ」と言った。

「ほら、やっぱり」

私は問いかける。

「もう一度聞くよ。ねえ、あかねちゃん、本当に違うの?」

「それは・・・」

「違うなら違うでいいの、でも」

私は一息をいれる。

「あかねちゃん、自分を否定しちゃダメだと思うよ」

「せやな。あれは・・・うちや」

あかねちゃんはわざと無理に笑顔を作って言った。

「間違いない」

あかねちゃんは続けた。

「うちは確かにみゆきを羨ましいと思ったこともある、けどな、妬んだことなんてない」

あかねちゃんは「それにな」と言ってから、

「プリキュアやって、疲れたと思っても、辞めたいなんて思たことはない」

と言った。

「そっか」

もう十分だよね。

「もういいよ」

ペルソナの扱い方は解ってる。

私はマリアを止めた。

マリアはハマを止め、そして消滅した。

「あんたは、うちや」

あかねちゃんの顔には一筋の涙があった。

『・・・そう』

あかねちゃんの影はそれから光を発して、別の姿に変わった。

赤色の鳥、その鳥は赤、青、黄、白、あらゆる色の炎をまとっている。

美しい羽の数々。

その鳥は宙を舞ってから消滅した。

「フェニックス?」

あかねちゃんが呟いた。

きっと、あかねちゃんには聞こえたんだろう、声が。

「これが・・・うちのペルソナか」

 

後日談、と言うか今回のオチ。

あのあと、私たちが迷っていると、何処からともなくぬいぐるみを着たクマさんが現れて私達をいつもの世界に帰してくれた。

「危ないから、もう来ないクマよー」と一言言ってから。

 

「あかねちゃんっ」

 

あの日から何日か経った、もちろん私はテレビの中には入っていない。

 

「ん?みゆきか」

 

皆には、「隣町の公園にいたよ」と嘘を吐いて誤魔化した。

 

「おはよう」

 

私達五人の日常はあれからは特に何も変わってはいない。

 

「おはようさん、いつもと変わらへんな、みゆきは」

 

いつものように学校に行き、帰る。

 

「はっぷっぷー」

 

その繰り返しをするだけ。

 

「ま、それがみゆきの良いところなんやけどな」

 

何も変わらない。

 

「そうかな?」

 

非日常はたまにアカンベーを退治したりするだけ。

 

「そうや、それがみゆきの良いところや」

 

あとは何も変わらない。

 

「いつも明るく、皆を励ましてくれる」

 

この前の雨の日にはマヨナカテレビの中に誰かが映ることもなかった。

 

「それがみゆきや」

だから、私達はこれで終わったと、そう結論付けた。

 

「そっか」

 

あ、1つ違う点があった。

あかねちゃんが前より良い笑顔で笑うようになった。

まるで、太陽みたいに、ね。

 

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