Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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どうも、お久しぶりです。しゅーがくです。
最初に、投稿がかなり遅れた事をお詫び申し上げます。言い訳させて頂くと、一言で言うならば、『本編を書いていたテキストデータが飛んだ!?』です。いや、これは実際に言ったんですけどね......。
大慌てで書き直してやっと投稿できます(汗)。
思い出すのに1ヶ月かかるなんて....。

では、episode 9ですよ!


episode 9

『この世界』に来ていた未来の自分が何を考え、何をよかれと思い、このような事をしたのかが全く理解出来ない上、まりもがその現実を突きつけられても尚、平然といられるのが不思議で仕方なかった。

武は今までこう言った内容のやり取りは夕呼としかしなかったので、少し戸惑いを感じながらもまりもに質問した。

 

「『この世界』の、2001年の10月23日から2002年の1月3日まで居た俺はどんな奴だった?」

 

「そうですね......今、目の前に居る白銀少尉が同一人物とは遥かに信じがたいです。」

 

まりもの放った言葉に武は再び衝撃を食らった。

自分の中での記憶では『この世界』を経験しているが、夕呼曰く『あんたはこの時間軸をループしている』というのは計算に入れずに考えると、2回経験している。そのどちらでの自分は1回目はただ無邪気だった、2回目は1回目の絶望を胸にオルタネイティヴⅣを完遂することだけを考えていた。現在経験しているのは3回目となる。まりもはその1回目と2回目で起きた事件や人物関係などをほぼ全て『この世界』に居た白銀武から聞いたと言った。そう考えると、そのどれでもない自分を見たということになる。武の性格上、1回目2回目とほぼ同じ自己表現をすると武は考えていたが、どうも違うらしい。

 

「具体的には?」

 

武は更に深く掘り下げようとした。『この世界』に居た未来の自分を探る為だ。

 

「207訓練小隊に初めて配属された時、私を見るなり泣き出しましたね。『2回も......ごめんなさい......ごめんなさい......。』としかその時おっしゃらなかったので、意味不明でしたが、後々に色々と聞かされました。夕呼と特務という上書きでオルタネイティヴⅣを進めている事。『前のこの世界』『最初のこの世界』について。自分が来た『元の世界』について。私にはにわかに信じ難いものでしたが、後々にそれを信じさせられるような事が起こり、信じざるを得なくなりました。それに磯風や古鷹の開発案を提出したのも白銀少尉です。」

 

「っ!?」

 

武は耳を疑った。まりもは磯風や古鷹の開発案を提出したのは武だと言い出した。さっぱり意味がわからなかった。

 

「少尉はほぼ毎日、先ほど申した通りに色々な話をしている最中、急に話すのを止められて『この世界に存在する戦術機はどこか聞いたことのある名前だ......。』と言い出し、過去に米国で開発されていたと言われているYF-35ブラックウィドウⅡや現在先行量産型が配備されているF-22の事。更に白銀少尉は『そう考えると自衛隊のF-1、F-2が......!?』と仰ったので、意味わからずショートしかけていた私に『瑞鶴のテストパイロットだった人って今は何をしているのですか?』と聞かれたので連絡先をお教えしたらいつの間にか戦術機開発が始まっていました。この辺の状況は未だに理解出来ておりません。理解不能の単語がありましたので。」

 

「それって自衛隊とか、F-1、F-2の事?」

 

武はそれらしき単語を抜き取り、まりもに聞き返した。

 

「話の脈絡から考えて、戦術機?のことだとは理解しましたが、そんな機体は存在していなかったので。」

 

「そのことについてだけど、多分磯風がF-1、古鷹がF-2だな。」

 

「成る程、それなら納得出来ます。では自衛隊というものは?」

 

まりもは少し困ったような顔をして武に聞いた。『この世界』に来ていた自分は『元の世界』の事も話したと言っていたが、話すべき所を話していないので少し腹が立ったが、まずまりもに説明を始める事にした。

 

「自衛隊というのは、『元の世界』の日本を守っていた軍隊のようなものだ。」

 

「『ようなもの』とはどういうことですか?」

 

「『元の世界』での日本は太平洋戦争の敗北によって軍隊を持ってはいけないと連合軍側から言われていて憲法にもそう書かれているんだ。敗戦後10年と少しの間は本当に軍隊は無かったんだが、あることをキッカケに自分の国の領土は自分で守らなくてはならなくなって出来た組織が自衛隊というものだ。軍隊の定義は侵攻だろ?自衛隊の定義はあくまで自衛、防衛なんだ。侵攻を防ぐことしかしない。」

 

まりもは少し驚いた表情で聞いていたが、すぐに理解できたのか、武に質問をぶつけてきた。

 

「あるキッカケとは?」

 

「これ以上は説明できない。すみません。」

 

武は『前のこの世界』での世界を強く思うというのを考慮して、あまり深く教えない事にした。娯楽として教えるならまだしも、内容が内容なので言えなかった。

 

「まぁ、お教えできないというのなら仕方の無いことですね。」

 

武は自衛隊を説明する前から不思議に思っていた事があった。『瑞鶴のテストパイロットだった人』というところだ。現時点で武には瑞鶴についての記憶は無いし、テストパイロットについても全くだった。もし、『この世界』を生きていく中でその『瑞鶴のテストパイロットだった人』についても知ることができるというのは容易に想像ができた。

 

「話は逸れるけど、今でも訓練小隊で教官をしているの?」

 

武はこの暗い雰囲気を誤魔化そうとわざと別の話題をまりもにぶつけた。

 

「あっ......はい。先ほど向こうに走っていったのが今の訓練小隊の訓練兵です。ああ見えて結構腕は立ちますよ?既に今年の夏の総戦技演習を控えています。それを終えれば戦術機の教習に入るつもりです。」

 

まりもはこの基地の仮設格納庫にそのまりもが訓練している訓練兵用の戦術機が届く事を知らないような言い方をした。確かに欺こうという意思は見て取れないので、本当に知らないのだろう。そう武は思った。

 

「え~~その事なんだが......。」

 

武は少し恐る恐るそのことをまりもに伝えた。

 

「今A-01が使っている格納庫に補充の不知火と古鷹が搬入される予定だ。機数は古鷹が24機、不知火が12機。軽く3個中隊分だな.....。ははっ.......。」

 

武は乾いた声で笑った。武がまりもにその事を伝えている時、まりもの顔は終始口を開けたままだったからだ。

 

「えっ......と....、不知火が12機、古鷹が24機......っ!?36機も搬入されるんですかっ!?」

 

「知っているかもしれないけど、オルタネイティヴⅥは分かる?」

 

「はい。月面のハイヴを攻撃する事を目標にしたオルタネイティヴのⅣ次世代計画ですよね?」

 

「その計画、現在のA-01部隊と他の精鋭部隊との再編成でXG-70の直援部隊が編成されるんだ。」

 

「それが何か?そこまでは夕呼から聞いています。」

 

 

 

「その部隊に、あの猪名寺が所属する訓練小隊も配属される事になっているんだ。」

 

 

 

まりもは再び脳がショートしたのか数秒何も言わずにいたが、直ぐに聞き返した。

 

「あっ......ですが、あいつらも配属するって......夕呼は何を考えているのっ!?」

 

「まぁまぁ......。夕呼先生の事だから、何か考えがあるんだろうな。まぁ、まりもちゃんが指導している連中なら問題ないでしょ。」

 

武はそうまりもに笑いかけた。

『最初のこの世界』に来た時も『前のこの世界』に来た時も武の訓練兵時代の教官はまりもだった。まりもの教えがあったからこそ、これまで生きてこれたと武は考えていた。

 

「そうですかねぇ......。」

 

まりもは曖昧な回答を返答した武に少し不満を抱いたのか少し不機嫌そうな顔をした。

 

「そうだ。あと、他に何か思い出したのなら教えてほしい。」

 

「了解しました。では。」

 

武はまりもを見送った後、ふと頭に何かが過ぎった。

 

(何故、『この世界』にいた俺は夕呼先生じゃなく、まりもちゃんにこんな重要な役目を負わせたんだ?)

 

武はその日、ずっとその事を考えてしまった。

 

______________________________

 

武がふと目を覚ますと、時計は午前5時を刺していた。起床までにはまだ少し時間があった。カレンダーを見ると昨日、帰ってくるなり2月3日に赤いペンで印をつけたものが最初に目に入り、順に数字を数えている。

 

(今日は2月7日かぁ......。)

 

そう思いながら2月7日に『5』の数字を入れた。

 

(今日は聞いている限り、何も無いとは思うが......嫌な予感しかしない。)

 

武はそう思った矢先、基地内に危険を知らせる警報が鳴り響いた。

 

『総員第2種警戒態勢。日本海沖にて移動する震源多数感知!』

 

武は上着をハンガーから?ぎ取り、A-01部隊員が集合するブリーフィング室へ向かった。




大慌てで書いたので誤字脱字ありましたらお知らせください。

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