Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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どうも、しゅーがくです。

最近ハーメルンにてSSをよく見るようになりまして、色々楽しんでおります。
そして、私の書き方が堅苦しいという事実を突きつけられました(汗)
どうにもなりそうに無いんですがね。

あと、ご報告です!
2ちゃんのあるまとめにて『読んでいるとゆうに時間が過ぎ去る作品』としてご紹介を受け、そして、NEVERにもSSのご紹介を受けました!!
前者に関してはとても嬉しい限りです!


episode 18

 

 

 

 

もう何ヶ月経っただろうか。武は最近そんな事ばかり考えるようになっていた。

気付けばこの世界に居た。桜花作戦後の世界だ。

知らない戦術機に、A-01が居た。

BETA強襲に出撃し、そして真田 晃蔵と出会った。

大きなものとしては "オルタネイティヴⅥ" だろう。

人類の生活圏からBETAを排除するはたから見たら、漠然で理想的なものだ。

そして、この世界に武が呼ばれた理由だった。

シリンダーに入れられた純夏に呼ばれて記憶にある1回目も2回目もこの地獄の様な狂った世界に訪れた。

今回は純夏は00ユニットとして存在している。誰によって武はこの世界に連れてこられたのか。

この事は夕呼には相談していない。夕呼だって分かっていると思うからだ。

そしてこの世界に居た白銀 武はなぜ、夕呼に託さず、まりもに並行世界を旅している事を教え、いずれ来る今いる武のサポートを頼んだのか。

正直、今の武には理解出来なかった。

 

あの日本海岸での侵攻以来、BETAは侵攻を止めている。それまでは何も起きなかった。大きな作戦も無い。だが、大陸の方では相変わらず消耗戦などになっていると報じられている。

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武は訓練を終え、休憩を取っていた。

連隊までの編成が完了し、シュミレーターでの連携訓練を行った後だった。武たちの後に他の大隊や中隊も訓練を行うとまりもからの連絡があった。

 

「ここに来た時の残骸はもう無いな。」

 

外の滑走路付近に刺さっていた要塞級の足も随分前に撤去され、基地襲撃以前の姿に戻りつつあった。

 

「くっそ、あちぃ。」

 

武が『この世界』に来たのは2月3日だ。もうそれから4ヶ月以上は経っている。

晃蔵が舞台に入った時からはBETAの侵攻は2回くらいあった。その度に北陸に進出しては、迎撃をした。

それに、まりもが最後に持った訓練兵たちも、無事に任官し、最近あった出撃で全機帰還したのだ。もう一人前の衛士だ。

それと、武の周りで変わった事がある。

不知火・弐型がロールアウトした。

帝国内では富士教導隊を優先的に配備を行い、撃震は退役しつつある。

富士教導隊の使っていた不知火は帝国の撃震を装備していた部隊に下り、本格的に第3世代機が中心になりつつある。古鷹も順次行き渡り、高機動密集格闘戦の生還率がグンと上昇した。

陽炎はと言うと、こっちも退役だ。配備数が少なかった為に、退役が決まってから2週間で陽炎を装備していた部隊は全部隊、不知火か古鷹に装備変更された。

 

「もう、撃震も退役が終わるだろうな。」

 

空を仰ぎ、そんな事を呟いた。

 

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「白銀。」

 

空を眺めていた武の背後から誰かが声を掛けた。

 

「神宮司大尉。」

 

武が敬礼すると、まりもは答礼した。

 

「香月副司令より、伝言だ。『不知火・弐型を伊隅大尉率いる第1大隊に試験導入する。』だそうだ。」

 

「伝言ありがとうございます。」

 

武は伝言を聞くと、敬礼し、また空を見上げた。

空には雲はほとんどなく、太陽は武の肌に容赦無く太陽光線を浴びせている。

 

「白銀、少しいいか?」

 

「はい、何でしょう。」

 

そんな武を数秒見たまりもは戻る事なく、武に話しかけた。

 

「アノ話だ。」

 

まりもはそう言うと、武を人が来ないような所に行こうと言い出した。

武は少し不審に思ったが、まぁいいだろうと思い、ついて行った。

建物に入ると、太陽光線を浴びて火照っていた身体に容赦無く冷房の風が当たる。心地よく思ったが、話だ。少し名残惜しく思ったが、武は素直について行った。

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しばらく行くと、着いたのは兵舎。士官用だ。

 

「アノ話をするなら人が居ない所がいいが、場所が無い。済まないが私の部屋にしてくれ。」

 

そう言うと武を部屋に招き入れた。

中は質素だった。よく掃除されていて、少し不思議だったのが、棚と机の上に本がかなりの数あった事だ。

 

「これを見て欲しくてな。」

 

そう言って武に渡したのは1つの封筒。茶色で、基地から手紙を出す際に入れる封筒だ。

武は言われて中を抜いた。

糊付けしてあった跡があり、1回開けられた後のようだ。

 

 

 

『これは俺が3ヶ月生き残った時、神宮司大尉に頼んで渡して貰う様にしていたものだ。

 

 

先ず、2回の侵攻を食い止めてくれて良かった。これで今読んでいる白銀 武はあと1回のループで帰れるだろう。

これからの事は夕呼先生を利用してクリアして欲しい。これはかつてそこにいた俺から助言を得ないとクリア出来ないからだ。

 

1つ、

きっと読んでいるのは7月22日だろう。その日から約5日後、日本帝国・国連・米国による三軍展開での鉄原ハイヴ、甲19号を破壊、そしてユーラシア解放の架け橋になる甲19号作戦が急に決定される。

2つ、

セオリー通り、ハイヴ内突入はA-01のみで行われるが、読んでいる俺は戦術機4機と凄乃皇での突入しか経験していないだろう。大部隊での突入は勝手が違う。訓練を十分に積む事。

3つ、

2つ目で突入するのは、A-01のみと書いたが、斥候でトライアルの時、褒めちぎってたベテラン達が斥候にはいる。途中で逸れるらしいので拾う事。

 

多分、神宮司大尉はこれを見ても3は分からないだろうから説明してくれ。

 

 

最後に、

今いる世界は死んでも、何度も記憶を持ったままループする世界だ。その際、何故だか攻勢のBETAの数が増えていく。気を付けろ。

そして、慢心はダメだ。』

 

 

 

武は手紙を見て思った。

ここまでしないといけない程ヤバい世界なのか。

武は悔しくなり、手紙を握り潰した。そこまでしなければいけないという事と、先達が残したものを此処に来て悔しかったのだ。

そんな武をまりもは、複雑な心境で見ていた。実は今、武が握り潰した封筒には別のところにあるが、まりも宛てのものもあった。

 

 

 

『お久しぶりです。

之を読んでいる時には神宮司軍曹とは呼べない階級になっているでしょう。

此処で神宮司大尉、今目の前で悔しがる私を見ていると思います。

年を開ける前、随分と話した突拍子も無い事は、そこから始まります。今まで私のしてきた事は、今目の前で悔しがる私の為です。

 

そこで、旅立つ前に思い出した事があります。

今目の前で悔しがる私は、PTSDを患っていた事があります。それが治っているのか、私が話を濁したなどと言って、真相を聴き出して下さい。

唯一、神宮司大尉に話さなかった事は、2回目の世界でXM3のトライアルの時の事です。記憶に残っているでしょうが、私はその事を濁して話してしまいました。

此処まで私がBETAの存在しない世界を望ませる決心と覚悟が着いた理由が分かる筈です。

 

まだ、彼に渡して欲しい手紙が沢山あります。どうか、御無事で。』

 

 

 

まりもはこれを読んで実際に目の前で武が悔しがるのを見て、複雑に思っていた。

 

(PTSDだと?あの白銀がか?!だが、『2回目の世界』と書いてあった。そこで何があったんだ!?)

 

まりもは悔しがる武を見てそんな事を思い、聞く決心を付けようとした。何だかとてつも無い様な話だと直感的に感じたからだ。

 




という事で、話の時期が一気に転換しました。
その間の話はサイドストーリー的にあげようかと思っております。

ご意見ご感想お待ちしてます。

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