Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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どうもお久しぶりです。しゅーがくです。

久々の投稿になります。
最近、マブラヴの作品が増えてきましたね。一応チェックはしているんですが、なかなかちゃんと読めてないです。興味を引くものも多々あったので、楽しみですねー。


episode 21

 

 

 

 

作戦部隊である日本帝国の彼方此方の軍港に幾月も停泊し、船体が朽ち果てるまで使われることが無いだろうと考えられていた重巡洋艦が、横須賀に集まっていた。

其々、装備するものは後回しされていたのであろう、旧式装備なものも多々あった。

重巡洋艦 最上のみは甲21号作戦に参加していたので装備も更新され、綺麗な船体だった。

横須賀の軍港には次々と重巡洋艦が入港し、停泊していた。そして、少し離れたところでは戦術機母艦が所狭しと並び、戦術機を格納している。母艦の数、総数400隻以上。横須賀に入り切らないので港外にまでその列は続いていた。そして、支援艦隊である日本帝国海軍戦艦 信濃、美濃、加賀の第2戦隊は朝鮮半島に向かう途中に合流する事になっていた。

そして、其々の部隊の招集が進められる中、極東国連軍太平洋艦隊 戦艦 アイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、イリノイ、ケンタッキーまでもが支援艦隊として急遽日本に到着した。

戦術機の搭載も終え、出撃する時には朝鮮半島に向かう甲20号作戦艦隊は総数489隻、途中から500隻となる戦艦9隻、重巡洋艦10隻、ロケット支援艦57隻、戦術機母艦411隻揚陸艦11隻となる大艦隊となった。

横須賀から伸びる艦隊群は海を這う大きな蛇の様だった。

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武は少し潮風に当たりたいと思い、戦術機母艦の甲板に上がってきていた。

航行を続ける戦術機母艦は水を掻き分け、飛沫を上げながら進んでいた。武には良くは見えないが、何kmか先に重巡戦隊と支援艦隊が航行していると言う。遥か艦隊後方には護衛として良くは聞いていないが、空母と戦術機がいるとの事だった。

 

「本当に部隊を公開しないのか?」

 

それだけ気になっていた。

1箇所に部隊を集めての移動しようものなら部隊章も見えてしまうだろう。

それに何処の所属部隊かだって見る人が見れば分かるのだ。

隠し通せ無い。武はそう考えた。

だが、夕呼が言った事だ。何かちゃんとした目的あっての事なのは武も分かっていた。せに、何を隠すためなのかも。

 

(機甲部隊だろうな。夕呼先生が隠したいのは。)

 

それ以外武には考えられなかった。

先の甲21号作戦には機甲部隊は投入されなかった。作戦概要が似ている点から考えると、今回の機甲部隊は何に使うのか。

 

(囮......は無いな。なら、本当に固定砲とするのか?)

 

砲兵部隊の用途は説明の通りでいいには分かっていた。だが、戦車部隊はどうだろうか。丘から見下ろす固定砲とするだなんて、いえば囮の様にも思える。

 

(BETA手前、機甲部隊はただに餌になるんじゃ無いのか?そんな戦死者がたくさん出るのを敢えて望むのには何かあるんだろうか?)

 

武がそんな事を考えていると、背後から迫る人の気配に気付いた。

武が振り返ると、そこに居たのはまりもだった。強化装備にジャケットを羽織っている。何時もの戦闘待機状態だ。

 

「白銀。」

 

「神宮寺大尉。」

 

武の横に立ったまりもは武と同じ様に海を眺めた。

 

「私のツテから聞いたものだが。」

 

少し眺めたかと思うと、まりもは急に口を開いた。

 

「不知火と古鷹の連携戦闘は日本帝国側では何度もやっていたが、アテは甲20号作戦に参加する部隊で唯一、不知火と古鷹を装備する部隊である、A-01の戦闘記録らしい。」

 

武はこんな重要な作戦の前に日本帝国軍は何を考えているのかと疑問に思ったが、その後に続くまりもの言葉に言う気力を失った。

 

「度々繰り返されるBETAの小規模侵攻に投入してきたが、外見からカラーリングが不知火に似過ぎて見分けが付かないと言っていた。我々A-01の機体塗装はUNブルーで統一されているが、香月副司令の命で古鷹のセンサーマストのカラーリングを変更したらしい。」

 

(何だって!?色変えれば違いは分かるけど、そこまでする理由は何なんだ!?)

 

武はまりもの発言に対して動揺してしまったが、最後に言った『香月副司令が』というのを聞かされてすぐに納得してしまった。

 

「白銀。何故そのようにしたか、分かっていないな?」

 

「いいえ。俺の見解ですが、『これまでまともな連携戦闘が取れる状況ではなかった中、いち早くそれを実現する。』そういう意図なのではないのでしょうか?」

 

「おや......。まぁ、私も同じ様に考えていたが。」

 

武がそう言うとまりもはあからさまに視線をズラして言った。

 

「私の大隊は古鷹の装備だが、そう対して不知火と違いは無いんだ。機体の軽さは少しあるがな。」

 

まりもは鼻を鳴らしてそう言った。

情報では、確かに古鷹はそうなっていた。先ず系統が違うのだが、態々似せたのもこういった訳があったのかもしれない。

F-16とF-15では機体の軽さや機動性、コストに関してはHigh-Low-Mix構想でそれぞれ対極の立場だ。戦場で両機体が同時に戦闘を行う為、性能を似せるのは至極普通の事なのかもしれない。

 

「それはカタログスペック通りって事ですか?」

 

「いいや。カタログスペック以上だ。乗り手によるが、不知火以上の性能を出せるかもしれない。」

 

そう言うと、まりもは武の肩を叩いって戻って行ってしまった。

 

(不知火と古鷹の連携戦闘の実現させたとして、それをどうするんだ?)

 

武の中には新たに疑問が浮かんだ。

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明朝、甲20号作戦が開始された。

甲21号作戦や桜花作戦に引きを取らない動員数を投入したユーラシア奪還の架け橋となる作戦は、大反抗であった桜花作戦以来の大規模作戦になる予定だ。

戦術機が6400機以上、戦線に突入する。幾らオリジナルハイヴを陥落させた状態でも、BETAの物量作戦に何処まで抗えるかが、問題だった。

桜花作戦の第1フェイズで、ユーラシア外縁のハイヴ一斉攻略が行われたが、報告書ではどこのハイヴも反応炉まで到達せずに撤退している。はたまた、未確認大型種BETAも確認されたと言われているのだ。そしてべらぼうな敵が出現したという。

卓上計算ではうまく行くかもしれないが、実際にやってみないの分からないのだ。

 

現在、A-01連隊を収容する揚陸艦は第1フェイズの重巡戦隊と支援艦隊の艦砲飽和射撃によって、進路一帯を穴ぼこにした。

順次戦術機の先遣隊が揚陸しているが、上手く砲撃が敵の直上に降り注いだのか、反撃の光線属種による対空攻撃はそこまで起きなかった。揚陸艦の機甲部隊の揚陸も着実に進んでいる。

オリジナルハイヴを陥落させるとここまでハイヴ攻略は容易いのかと誰しもが思ってしまう程に何事も起きなかった。

事が上手く進み過ぎている。武はそう感じていた。

 

『HQより第2次先遣隊順次発艦。繰り返す、第2次先遣隊順次発艦。』

 

作戦開始から2時間後、第2次先遣隊へ出撃命令が下った。どうやら第1フェイズの金剛山周辺の鎮圧と補給路の確保、機甲部隊の揚陸が完了したようだった。

少し離れたところに位置する揚陸艦から次々と戦術機が発艦していく。F-4E、F-4J、F-15E、陽炎、不知火、古鷹......多種多様な戦術機が其々の任務に集中して其々の隊の集結ポイントまで向かう。戦術データリンクに味方の所属は出ないが、部隊名は表示される。そこの中に武は見た事のある部隊名を見つけていた。

『IJMDF Crackers』

みちるの妹が所属している戦術機小隊だ。『2回目のこの世界』で甲21号作戦後に分かった事だった。

 

『HQよりA-01、揚陸開始。繰り返す。揚陸開始。』

 

最後の最後、遂にA-01にも声が掛かった。

 

『CPよりA-01連隊各機。大隊毎に沿岸部揚陸ポイントにて国連軍横浜基地所属臨時編成中隊と合流せよ。」

 

『ヴァルキリー1了解。第1大隊、私に続けっ!!!』

 

『『『了解!』』』

 

光線属種の少ないレーザー照射を交わしながら、108機の青い機体は発艦していった。

 

『......ここから、また、ガキ臭い英雄に付き合わされて、その気になるのよね。』

 

繋がったままの回線に武は夕呼の声でそう聞こえた気がした。

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旧金剛山麓に仮設された補給基地に続々と物資が集まっている。周辺に落とされた多目的運搬砲弾の中身である推進剤タンクや、飛来した支援コンテナで一杯になっていた。

無人ではあるが、便宜上での補給基地が出来上がっていた。

その周辺には、旧金剛山の周辺索敵を行った第1次揚陸部隊が武たちが到着する前に来ていた。総勢216機。2個連隊だ。

その連隊は様々な機体やカラーリングに満ち溢れている。F-4E、F-4J、F-15Eが殆どだ。色はUNブルーと米軍カラーだ。少し日本帝国仕様が居る。

 

『こちら国連軍横浜基地所属、A-01だ。周辺状況が聞きたい。』

 

みちるが、自分らが着地した数十mの所にいたF-15Eに通信を入れた。

 

『アレックス1よりヴァルキリー1。周辺状況を伝える。現在、旧金剛山周辺にはBETAの存在は確認されていない。ここより西10kmは未だ偵察されておらず、未開である。』

 

『ヴァルキリー1よりアレックス1、感謝する。』

 

みちるはわざと全員に聞こえるよう仕向けたのだろうか。だが、みちるはその直後に移動をすると言い出した。それは、横浜基地臨時編成中隊との合流だ。

先に飛び立ったのなら、もう到着していてもおかしくは無い。早い所合流し、作戦行動を取らないといけないのだ。

 

『ヴァルキリー1よりランドグリーズル1。応答せよ、ランドグリーズル1。』

 

ランドグリーズルというコールネームには武は些か不安を抱いていた。

ランドグリーズルという言葉の意味は破壊者という意味がある。ここまではいいが、その破壊者という単語の前には『盾の』というのが入る。

武や他の皆は自分らの連隊を凄乃皇を守る『盾』と認識していた。そんな所に臨時編成中隊のコールネームがランドグリーズルと付けられてしまっては、少し抵抗があったのだ。

 

『ランドグリーズル1よりA-01へ。既に到着している。』

 

『ヴァルキリー1了解。ヴァルキリー1よりヴァルキリーマム。合流完了。』

 

『ヴァルキリーマム了解。』

 

CP将校の遙への呼び方は変えなかった。呼びやすいのと、慣れていたからだった。

そうこうしていると、HQから作戦の第2フェイズへの移行が知らされる。

偵察を行っていない旧金剛山より西10kmよりも先に進み、兵站を築きながらハイヴに向かうという事だ。その際、進路上をロケット支援艦隊がBETA存在が確認された時限りで飽和ロケット砲撃が加えられる事になっていた。

 

『HQより全部隊へ。第2フェイズへ移行。即座に移動開始。』

 

命令が出ると、いつの間にか到着していた部隊も一斉に飛び上がり、空を灰色に染めた。

今日は晴天だったはずだが、その様に錯覚してしまう程の戦術機が投入されていたのだ。

 

 




次の投稿はいつになるのやら.......。
まぁ、気長にお願いします。
※誤字が増えてるかもしれません。ご了承下さい。

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