Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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投稿が少し遅れました。いろいろ自分の中で情報が欠損していたみたいなので、補完してました。

今回からは戦闘なども増えて行くと思います。戦闘描写はあまり得意ではないので、暖かい目で読んでいただけるとうれしいです。


episode 2

「白銀さん、おはようございます。」

 

散々PXで騒いだ次の日、起こしに来るのは純夏だと思っていた武は少し戸惑いながらも霞に挨拶をした。

 

「あぁ、おはよう。」

 

「純夏さんなら、シリンダーのODL浄化装置のベッドですよ。」

 

霞は武の心をリーディングしたのか、武が思った事の返答を返してきた。

 

「そうか、ありがとうな。」

 

そう霞に言うと、『前のこの世界』の12月に入る前みたく部屋を出て行ってしまった。

2月4日、今日からは部隊に戻り、訓練の日々が始まる。気合を引き締めた武は朝食を摂るためにPXに向かった。

 

 

霞が起こすのは決まった時間で、1秒もズレが無い。

そのことを不思議に思いながら、お盆に食器を乗せて朝食を受け取ると、机に向かった。

いつも使ってる机にはすでに、冥夜と慧がいた。何か話しているようだったが、かまわず慧の横に座った。

 

「おはよーさん。」

 

武は気の抜けた挨拶を発した。いつものように返してくれる2人には、少し懐かしく思ってしまった。

 

「おはようタケル。そなたは今日から訓練に参加するのであったな?」

 

冥夜は箸を置いて話した。話の内容は、今日の訓練の内容らしい。

 

「そうだが、それがどうした?」

 

武は味噌汁をすすりながら答えた。1年も添加物とはいえ合成タンパク質中心の食生

活を離れていた武には合成ハンパク質の味がまた懐かしかった。

 

「知っているとは思うが、今日は富士教導団と合同演習だ。何でも、古鷹の配備された部隊らしくて『Hi-Low』両者の対決になるらしい。」

 

武は『古鷹』という聞きなれない名前を冥夜が出した時に不思議に思い、真剣な顔つきになってしまった。

 

「最後にはA-01と富士教導団との戦闘演習があるのだが......どうしたタケル?」

 

冥夜は不思議そうな顔をして、武に尋ねた。

 

「いや、演習のことは初耳で驚いてるんだが、それより『古鷹』ってなんだ?」

 

武がその『古鷹』について尋ねた時、席には元207B分隊の連中全員が着席して食事を摂っているのをやめて目を点にしていた。

武の『この世界』にくる狭間で回収した『前のこの世界』の記憶には、『古鷹』と名のつく物や人、兵器なんて見たことも聞いた事も無かった。

だから冥夜が言った『古鷹』という単語がとても気になってしまったのだ。

 

「『古鷹』ってなんだ?」

 

「タケル、そなたは特殊任務の最中に記憶の一部でも欠損してしまったのか?」

冥夜は呆れた顔で言った。それに続き千鶴も武に言った。

 

「あなた、あんなに喜んでたのに忘れちゃったの?あなたが開発した新OS『XM3』が標準搭載された帝国の第3世代戦術機よ。」

 

千鶴は丁度その『古鷹』の資料を持っていたのか、武に『古鷹』にまつわる資料を渡した。

 

「なんだこれ......。」

 

武はその資料を隅から隅まで読んだ。武の記憶には『古鷹』の記憶は無い。となると、『この世界』には存在するのだと考えるしかなかった。

「さっきはXM3標準搭載だなんて言ったけど、甲21号作戦の後に香月博士が帝国との取引に使っていたらしくてそれが帝国の戦術機開発メーカーに渡ったのよ。そしたら香月博士が『国連にも渡すつもりだから先行量産型じゃなく量産型のほうをあげるわ。』とか言って、それまで旧OSだった古鷹は全機生産済みの機体にはOS交換、生産中には生産ラインに新OSの組み込み工程が加わったそうよ。」

千鶴の言っている意味が武には分からなかった。『古鷹』の存在は理解したが、やはり『前のこの世界』の記憶について欠けているところがあるのだろうか。そう武は考えさせられた。

資料にはまた『磯風』と聞きなれない名前も載っていた資料によると『古鷹のベースとして使われた日本帝国第2世代戦術機。』などと書いてある。

『磯風』についても疑問に思った。補足として『90式戦術歩行戦闘機 磯風』などと書いてあったものだが、『前のこの世界』の記憶だと、F-15Cのライセンス生産機である『89式戦術歩行戦闘機 陽炎』なら記憶に新しかった。

『磯風』の説明には『F-15Cと平行してライセンス生産された米国製戦術機の改良型。』などと書いてある始末。武には全く理解出来なった。

 

「磯風は不知火と並行運用する為にライセンス生産されたんですよ。おはようございますタケルさん。」

 

そういいながら話に入ってこれずアワアワしてた壬姫は言った。

それを聞いた瞬間、1年と1ヶ月前の記憶が鮮明に思い出させた。『前のこの世界』で『元の世界』に逃げ帰って、また戻ってきた後、3日で1年かける座学を叩き込まれた時の話だ。

『現在日本帝国で運用されている戦術機は、撃震、陽炎、不知火、武御雷、海神だ。』

その台詞を思い出した瞬間、武は朝御飯をかき込み、席を立った。

 

「悪い、先生のところに行ってくる。演習って何時からだ?」

 

「午前9時ブリーフィング室集合だ。」

 

「ありがとう、冥夜。」

 

そういって武は走った。

 

 

「先生!確認したいことが。」

 

「なによ煩いわねぇ、で何?」

 

夕呼は部屋の奥にある机で何かの書類と格闘しているようだった。

 

「俺の来た『前のこの世界』と『この世界』に少なからず違いが発生することって

ありますか?」

 

武がそう言うと夕呼の顔は険しくなり、席を立ってこっちに歩いてきた。

 

「有り得なくはないわ、それで違いって?」

 

「はい。今日、富士教導団との演習、富士教導団の使用する戦術機のことです。」

そのこと?と言いたそうな夕呼はその欲望を押し殺し、黙って聞いていた。

 

「その参加する戦術機『97式戦術歩行戦闘機 古鷹』というのは『前のこの世界』には存在して無かったんです。なので、『前のこの世界』と『この世界』との相違点を把握したいのですが......。」

 

そう武が言うと、驚いた顔をした夕呼は深く数秒間考えた後、何かを取りに机に向かいながら言った。

 

「なるほどね、では『90式戦術歩行戦闘機 磯風』の記憶も無いことになるわね。や

はり最初は、『この世界』に『因果導体』としていた『白銀武』とは違う白銀武なのね。さっきから『前のこの世界』という言い方。あれは伊隅達が生きているからそう言っていたっていうのは分かってはいたわ。だけど、戦うことだけを考えていたアンタに戦術機を調べて損は無いはず。『この世界』を救った『白銀武』も『この世界』の戦術機については暇な時間を見つけては、基地の資料室で読んでいたよ

うだからね。ということは、そこに行けば万事解決よ。」

 

それを言って満足したのか夕呼は椅子に座ってまた資料と格闘を始めた。

 

「でも、今からは行かない方がいいわよ。演習始まるでしょ?」

そういわれて部屋の掛け時計を見たら8時40分を指していた。

 

武は大急ぎで部屋を出た。

 

 

ブリーフィング室には既にみちると伊隅戦乙女中隊が全員集まっていた。

 

「集合時間ギリギリとは関心しないな。次からはもっと早く来るように。」

「善処します。」

 

武はみちるに怒られながらも、息を整えて姿勢を整えた。

 

「では、今日の合同演習を始める。今回の演習は去年行われた戦闘実証試験と同じメニューだ。だが、最後に行う戦闘演習では一個小隊同士の市街地演習を行って貰う。ブリーフィングなんて言ったが小隊編成を伝えて終わりなんだがな。」

 

みちるがそう言ったのを聞いた中隊の皆は今日の合同演習が余程楽しみなのか、気

分が上がっている様子だ。

 

「小隊編成は甲21号作戦時の物と同じとする。A小隊、伊隅、榊、鎧衣、珠瀬。B小隊、速瀬、白銀、御剣、彩峰。C小隊、宗像、風間、涼宮、柏木。随時変化する場合がある。臨機応変に対処せよ。以上、解散。A小隊は私について来い、配置と作戦を

考える。」

 

みちるはそう言って、千鶴と美琴、壬姫を連れて部屋から出て行った。

 

「私たちもそうしようか、B小隊来い。」

 

美冴もB小隊の連中を連れて出て行ってしまった。

 

「私たちはPX行くわよ。喉渇いたし。」

 

そう言って水月も部屋から出た。後に続くように残りの武達も部屋を後にした。

 

 

「早速、配置考えるわよ。って言ってもA小隊って突撃前衛じゃないのよ!」

 

そう言って4人しかいないPXの机をバンっと叩いた。

 

「突撃前衛しかいませんからどうしようもないですね。伊隅大尉がいたらもっと配

置や作戦の幅が広がるのに......。」

 

「そうだな。タケルの言っている事は正しい。私たちは慣れている装備、87式突撃

砲と74式近接戦闘長刀、92式多目的追加装甲の装備を整備兵達が演習用に換装するだろう。小隊が突撃前衛のみで編成された小隊だなんて直ぐに敵に悟られてしまう

だろうな。どうであろうか、彩峰。」

 

「私もそう思う。無理に別のポジション武装に換装しても普段使わない......例え

ば、87式支援突撃砲なんて使えば判断を鈍らせてしまう気がする。」

 

「だそうですよ、速瀬中尉。」

 

水月は慧がベラベラと喋っていることがちょっと驚いていた様子だったがが、直ぐに話しに戻った。

 

「じゃあ、白銀に他のポジションをやらせるのはどうよ。確か訓練部隊の時に800m狙撃したんだっけ?なら砲撃支援くらいできるでしょ?」

 

水月は悪巧みをしたような顔で冥夜に聞いた。

確かに、武は中心誤差10cmを撃ち抜いている。

 

「速瀬中尉、それは私は無いと思われます。」

 

冥夜は水月に言った。

確かに考えてみれば武が砲撃支援をやれば高機動格闘戦闘の腕を腐らせてしまう。正に宝の持ち腐れだ。それに、武の機動制御は最初は誰もが圧倒されるような奇妙な動きを見せる。それは、相手の士気を落とす事に繋がるだろうと冥夜は考えた。

 

「......白銀は突撃前衛には欠かせない存在。砲撃支援には回せない。」

慧も後から追い討ちをかけた。

 

「むぅ......結構いいと思ったのよね~。じゃあ、考えるの面倒だし細かい配置は現場でするとして、傘壱型を基本隊形として戦闘するとして、緊急時は臨機応変にと言うことで。じゃあ、古鷹の対策も考えましょ。」

 

そういうと水月は何処からだしたのか、朝ここで千鶴に見せられたのと同じ資料と何かのコピーを出した。

コピーには『97式戦術歩行戦闘機 古鷹』などと表紙に書いてある事から例の古鷹の詳細な性能などが書いてあるのだろう。武としては今すぐにでも見たい物だが、作戦会議中の為水月に後で借りることにした。

 

「最新型だから名前は耳に挟んだことはあると思うけど、古鷹は不知火との併用を考えられて作られた戦術機なのは知ってると思うけど、スペック的にはなんら大差ない物だわ。関節強度や航続距離、全高はほとんど差が無いわ。差があるとすればコストと重量、アビオニクスが不知火よりも精度がほんの少しだけ低いだけ。同じ衛士が乗れば同じ動きになるし、違和感も無いそうよ。こんな不知火モドキとどう太刀打ちするか。妙案のある奴、白銀!」

 

水月はニヤニヤしながらこのかなり難しい問題の回答者として武を当てた。

 

「いきなりは無いですよ~速瀬中尉ぃ。ええっとですね、その古鷹のカタログみた

いなものを読んでからでしか分からないような気もしますが、俺の回答は1vs1(マンツーマン)での格闘戦に持ち込まれると厄介です。跳躍ユニットの出力が同じで更にXM3搭載型となれば下手に格闘戦に持ち込むのは危険過ぎます。相手の力量が分からない異常鎬を削るよりドンパチから各個撃破の方が現実的だと考えます。分隊での近距離戦闘がいいと俺は思います。」

 

水月は意外とでも言いたそうな顔をしていたが、次に隣に座っていた冥夜に回答をさせた。

 

「敵の性能や力量が判断出来ない以上、罠に嵌めるか各個撃破がいいと重います。」

 

冥夜は武と同じような回答をした。確かに突撃強襲や迎撃防衛が居ないこの状況で下手な作戦を考えるより遥かにマシな作戦だと思ったのだろうと水月は思った。

 

「じゃあ、彩峰。」

 

「私はとりあえず、白銀を囮に。」

 

空気が一瞬で凍りついた。挑発しておびき出すのもいいが相手は富士教導団だということを忘れているのだろうと不安げに武は思った。

 

「おい彩峰、そりゃ無いぜ。」

 

武は言った。会戦早々、撃墜なんて良い恥晒しだからだ。

 

「彩峰ナイス!!それでいきましょ!」

 

水月はこうなることが分かっていたように不敵な笑みを見せた。

 

「速瀬中尉も酷いですよ!普通の部隊が相手なら喜んでやると思いますが、富士教導団相手は流石に直ぐ落されます!」

 

「いいじゃない、アンタの奇怪な機動制御で1機でも落したら帰ってきてよし!ってことで。」

 

水月は相変わらずニヤニヤしながら言った。

 

「......はぁ、分かりましたよ。援護頼みます。

 

「えっ?援護なんてしないわよ?ねぇ、御剣。」

 

「そうですね、危うくタケルの機体に当たりそうな射撃をしてしまいそうだ。」

 

冥夜もニヤニヤしながら言った。

 

「分かりましたよ。囮やります。」

 

「アンタは甲21号作戦の時も何十体もの要塞級を相手したんだもの、大丈夫でし

ょ。」

 

水月の言った台詞の中の『甲21号作戦』という単語に武の脳は異常に反応した。武の記憶している『甲21号作戦』では晴子は要塞級の衝角の先端部から分泌される溶解液で溶かされて戦死し、みちるは凄乃皇弐型のムアコック・レヒテ機関の減速剤を投棄してムアコック・レヒテ機関の暴走によってG弾20発分の重力偏差空間の中で戦死した。その記憶が当時の目で見た映像、耳で聞いた声が鮮明に蘇った。だが、『この世界』の晴子やみちるの事ではないという事は理解していた。

「そうでしたけど、あの時はBETAが相手で今回は人間なんですよ。幾ペイント弾を使うからとはいえ......まぁいいです。」

武は水月と慧、冥夜の圧力に負けてしまった。水月はともかく、慧と冥夜は自分になんの恨みがあるのだろうと武は考えてしまった。

 

「じゃあ白銀は囮って事で。」

 

ニシシと言わんばかりの顔で水月はニヤニヤしながら言った。

 

「白銀が囮として機能している間に作戦考えておくから心配しないで。」

 

慧は何も考え無しに言っている様だが、武はもう気にすらしていなかった。富士教導団の古鷹とどう戦うかを考えていた。

 

「んー思いの他早く終わったわね。演習直前ブリーフィングまで全然時間はあるし暇よねぇ~。」

 

水月はまた武の法を見てニヤニヤし始めた。また悪巧みでも考えているのだろう。PXの掛け時計の時間は9時53分を指していた。次のブリーフィングは12時20分なのだ。まだ2時間程余裕があった。

 

「タケル、囮でどう動くか考えているところ悪いが、ちょうど私は古鷹のカタログスペックの書いてある資料を持っているのだが、参考になれば使うか?」

 

冥夜がおもむろに取り出したのは、水月が持っているのと同じ物だった。

 

「あぁ、ありがとう。」

 

武はそれを受け取ると、さっきよりも深く考え込むようになっていた。

 

「あ、白銀ひとつ言い忘れてたけど、撃墜なんかされたら腹筋200回だからね。」

 

水月は勝負事になると勝ちに拘るが、いつも何かと武に罰ゲームを課せたりしてる。

 

「それ言うと思ってましたよ。了解、撃墜されたら腹筋200回ですね。」

 

武は水月の返答を返すとまた深く考え込んでしまった。

性能的には大差の無い不知火と古鷹。どうすれば撃墜するまで追い込めるか。相手はXM3搭載機だ、きっと機動制御に関しては富士教導団だけあってかなりのものになるだろう。一介の国連軍衛士がどうやって古鷹を倒すか。そう武は考えていた。幸い、時間的には余裕があるが、武を弄る上官が目の前に居る以上、そんな余裕は出てくるのだろうか。そう考えた。

 

「速瀬中尉、席外しますね。囮の件で色々考えたい事があるので。」

 

そう言って武は席を立った。

 

 

武は行くあても無く基地の中をぶらぶらと歩きながら物思いに更けていた。

 

「そうだ、先生が資料室に『この世界』の資料があるとか言ってたっけ?」

 

武は走って資料室のあるフロアまで行った。

資料室にはありとあらゆる本が置いてある。基本的には戦術、武器、数学、物理学、化学などがあるが、その残りのほとんどが『この世界』の歴史に関する本だ。それを読めば記録されているものなら幾らでも遡って調べることが出来る。最近の事件などを調べたい場合は、部屋の隅にあるコンピュータにソフトで機密扱いされていない作戦の詳細な報告書などがソフトとしてインストールされているので、クリックすれば一発で見られる優れものだ。

武はまず戦術機に関する資料の棚を見た。

 

「戦術機の各国の運用思想......米軍の戦術機について......世界各国の戦術機......日本帝国の戦術機、これか。」

 

武は背表紙に『日本帝国の戦術機』と書かれた本に手を伸ばし、発行年数を見た。

 

「1999年か......これなら知りたいこと幾らでも載ってそうだな。」

 

武は用意されている机に向かわずその場で本を開いた。中には記憶にある戦術機と

聞いたこともなかった『磯風』と『古鷹』について書いてあった。どうやら、帝国軍幹部の官給品として入っていたものが納入されたのだろう。納入日付が2000年になっていた。横浜基地が建設されてすぐに納入されたのだろう。

 

「磯風はどこだ?......あった。」

 

武は磯風について書いてある章を一字一句残さず全て読んだ。武は読んで分かったことがある。

『確実にこの世界は俺の知ってる世界じゃない』ということだった。

『この世界は前のこの世界にとてもよく似た確率世界の幾つもの世界の中の一つで、ここにも偶然、別の世界から来た白銀武もここに居て、オルタネイティヴⅣ完遂を目的としてA-01で戦っていた。』

ということだ。

『前のこの世界』には磯風も古鷹も存在していない。そして更に、A-01は桜花作戦で全滅している筈なのだ。

 

「やっぱり『この世界』は『前のこの世界』とは違う。」

 

武は古鷹についての章を読んだ。

古鷹は水月が言っていたように、確かに不知火と同等の性能を持っているということは確かなようだった。

第3世代戦術機としては確かな性能を持っていて、それよりも不知火同等の近接格闘戦能力も備わっており、日本帝国の戦術機らしい性能を持っている。それだけは理解出来たし、またそこから考えられる可能性も出せた。

『この世界に来ていた白銀武は、今ここにいる白銀武よりもこの世界をループしている。因果導体にしていた純夏、若しくは別の何者かが、A-01が救われる未来を望んでいて、因果導体に白銀武を選んだという事。』だ。

 

「今度来た時は歴史に関しての方を調べる必要があるな。」

 

武は気づけば12時まで資料室で本を読み、考え事をしていた。

武は資料室を出て、ブリーフィング室に向かった。

 

 

「では、今日行う合同演習について質問があるものがあれば今聞くがないか?」

 

みちるは真剣な顔で言った。それもそのはずだ。あと40分もすれば演習が始まり、そして最後には戦闘演習も組み込まれているからだろう。しかも、日本帝国の精鋭である富士教導団が相手だということもその真剣な顔から読み取れた。

 

「無いな、では20分後に格納庫に強化装備で集合、解散。」

 

ブリーフィングと言っていたが、実質話したのはみちるの質問についてだけだった。それだけ、説明は省かれているということであり、去年の12月の記憶を掘り返して演習内容を思い出せということだろう。

主脚での走行や、走行中の狙撃、光線級が戦域にいる事と仮定した匍匐飛行、障害物走......全部、富士教導団とA-01はいい勝負をしていた。残すは夕暮れ時になってしまった戦闘演習。小隊単位での戦闘だ。

 

「点数は五分五分といったところだろうか。勝敗を喫するのは戦闘演習か。」

 

冥夜はコクピットでポソリと言った。確かに、どこの小隊もほぼ同じ点数を取っている。A小隊なんて数点リードしている程だ。B小隊は少し負けていた。

 

「戦闘演習で個人成績も点に加算されるから、ここで見せれば勝てる......はず。」

 

慧はコクピットから開放通信のまま言った直後、先ほど戦闘演習を終わらせたA小隊の最後に格納庫に入った美琴の不知火が歩みを止めていた。きっと慧の言葉に凍りついたのだろう。

 

「まっ......まぁ、タケルもいるし心配ないんじゃないかな?」

 

美琴は凍り付いているB小隊に必死にフォローした。

 

「そっ......そうだな。俺がいるし、なんつって!あははは。」

 

武はそのままオープン回線のまま、言った。

 

「自分に自信を持つのはいいが、程ほどにしておけ。」

 

網膜投影されているステータスの反対側にコールネーム『ヴァルキリー1』で表示されて、その声の持ち主が武に注意をした。

 

「ははは、分かってますよ。」

 

武はそう言って、オープン回線を閉じた。

 

 

待機地点に4機の不知火と戦闘指揮車が止まっていた。どいうやら、CP将校の遙が中で指揮を執っているのだろう。

 

「戦闘開始から15分経ちましたね。まだA-01も富士教導団も4機とも健在ですよ。宗像中尉達は攪乱戦法でもとっているのですかね?」

 

武は小隊内の回線で言った。

 

「それは有り得るわね。それか、逃げ惑ってるとか?お互いに主機出力の最高値は

同じなんだし、古鷹が機体の軽さを利用した機動をしない限り、縮まらない距離を縮めようといているのかしらね?」

 

水月も暇なのか、回線に入ってきた。

 

「どちらにせよ、性能に大差の無い機体同士の格闘戦ならば、衛士の技量もほぼ同じということでしょうな。」

 

気づけば冥夜や慧も回線に入っていた。それもそうだ。皆、回線はミュートにしていないのだろう。

 

「気長に待ちましょうや。待機の俺らがどうこう言ってもどうしようもないですし。」

 

武は強張っていた姿勢を崩した。網膜投影で見える外の景色は西日が反射した荒廃したビル郡が紅く見え、耳に聞こえて来る音は、跳躍ユニットのジェットエンジンの方を全力噴射している音や、壁を蹴って方向転換しているような音、突撃砲の36mm機関砲の連射音、120mmの着弾音などしか聞こえていなかった。戦域データリンクには敵味方双方のアイコンは健在だ。ステルス機ではないから、観戦者という立場であるB小隊の戦域マップ上には未確認機4機とC小隊のアイコンは残ったまま双方は膠着状態になっていた。制限時間が20分のこの戦闘演習は、すでにもう4分残っている位だった。その瞬間、ヴァルキリー3のアイコンが身を隠していたであろう遮蔽物の陰から垂直跳躍をして、わざとレーダーにかかるような動きを見せた。これはいったい何なのだろうかと武は考えたが、その答えはすぐに導き出せた。

ヴァルキリー3のアイコンのあった地点周辺には味方機が1機も隠れていなかったからだ。きっと陽動作戦に切り替えたのだろう。案の条その陽動に掛かったように、近くで隠れていた古鷹が2機、垂直跳躍で同じく出てきた。その瞬間、隠れていた残りのA-01アイコンは一斉に動き出し、ヴァルキリー3の援護射撃をしているかのような動きを戦域マップに表示した。

 

「宗像が出たわねぇ。どっちが先に落ちるか勝負よ!」

 

水月は15分も面白い展開の無かったC小隊の戦闘演習に飽きていたのか、この急な危機的展開がよほど楽しいのか、ニコニコしながら戦域マップを見ているようだった。

その瞬間、未確認機のアイコンの1こが消えた。撃墜したのだ。

 

「やった!やっと面白くやってきたじゃない!」

 

水月は自分のことのように見ているが、この後自分もこんな戦闘をするのだと考えているのだろうか。だが、ヴァルキリー3の機体にはさっきの機動格闘戦で負ったのか、肩部装甲ブロックに被弾しだのか、右の主腕の動きを30%制限されてしまっている状況らしい。それは致命的だった。美冴は右主腕で射撃したり、格闘戦とする癖がある。それでは射撃の精度や斬り込みの返しなどの俊敏な動きが鈍ってしまうくらいの制限がかけられてしまっているからだ。しかも、ヴァルキリー3は小隊長機である為、撃墜されれば相当な失点になるだろう。

 

「あっちの1機は落としてるからいいものの、大失点に繋がり兼ねないですね。損傷

は主腕だけですが、そのダメージを負ったのが宗像中尉だったってのが、痛いです

ね。」

 

武は冷静に考えを喋った。武の言ったことは正論で、宗像中尉が落とされるのは大失点に繋がるということも十分想像出来ることだ。だが、あそこで美冴が機動格闘戦で敵をまた1機落としてくれれば、それだけダメージを負った機体で撃墜したというのは相当な加点になるだろうと誰もが思った。

戦域マップでは妙な動きがあった。富士教導団の美冴を追い掛け回していた分隊じゃない方が少しずつ美冴を援護射撃してる動きを見せている残りのC小隊にジリジリと迫っていた。援護中のC小隊にも警報アラートは鳴っているはずだが、多分1機が周辺警戒をしているのだろう。

そとの120mmの着弾音が消えた瞬間、富士教導団の援護射撃していた3機のC小隊に急速接近を計ったのだ。

武の読みは間違っておらず、やはり1機が周辺警戒をしていたのか、振動感知センサーに反応したであろう方向に向かって匍匐飛行をしているのだろうか、速度を一定に保ったまま、富士教導団の別働分隊に突っ込んでいった。

アイコンでは入り乱れているが、A-01の別働分隊と接敵した『ヴァルキリー5』の表示だった。千鶴だろうと武は確信した。

援護を受けられないままヴァルキリー7のアイコンは2分機動格闘戦をして、消えてしまった。撃墜されたのだろう。残るは美冴、美琴、壬姫だけだ。1機落として優勢だった戦況も残り2分で五分五分に逆戻りしてしまった。

別働分隊は結局、千鶴の阻止も虚しく数秒後には美冴を援護射撃しているアイコン『ヴァルキリー4、6』も自機の安全を優先したのか、回避行動のような動きを見せた。

程なくして、ヴァルキリー4、6のアイコンは消えるのと同時に戦闘演習の終了を知らせるようにCP将校の遙から戦闘停止命令が出された。

 

 

「負けて悔しいわ。白銀、敵宜しく。」

 

そう言って、ペイント弾のインクが跳躍ユニットの主機とコクピットブロックしたの腰部間接部への被弾したヴァルキリー6表示の不知火が横切って行った。C小隊の結果は負けとなった。C小隊の前にA小隊が戦闘演習をしたが、みっちり20分膠着状態が続いて結局双方1機も落とせず仕舞いだった。勝敗を決めるのは最後のB小隊の戦闘演習だ。それに、『この世界』でも武は客観時間の去年の12月に行われたXM3の戦闘証明試験名目の演習でもBETAの襲撃があったらしいが、その時も武はペイント弾と模擬刀で何体ものBETAを相手にしていたらしい。そのあと、『前のこの世界』では突撃級に体当たりされた後、要撃級の前腕でコクピットブロックのハッチを壊され、小便を漏らしたなんて事はなかったらしい。見切りをつけて武器を取りに戻ったらしい。

 

「おう、任された。」

 

武はそのまま、スタート地点まで移動した。

 

 

「作戦開始まで30秒。」

 

荒廃したビルのある隙間からはとてつもない緊張が漏れていた。富士教導団との戦闘演習。それは、衛士ならば誰もが経験してみたいという日本帝国軍精鋭の部隊との対決は一生に1度あるかないかぐらいらしい。それなら今回の戦闘演習は相当幸運に恵まれたということになる。戦闘開始のカウントダウンの間、久々の主観的に実質1年も戦術機に乗っていない武には、少し久しぶりということもあって、少し緊張していた。

 

「作戦を開始して下さい。」

 

CP将校の遙の合図と共に、元々予定していた通り、武は単機で敵の正面を目指して全力跳躍をした。

正面まで行くのに数十秒で済んだのは、それ程主機の負担を軽減するための戦闘をしてきたのだろうと考えさせられる程のものだった。

 

「ヴァルキリー10、バンデットインレンジ、エンゲージオフェンシヴ!」

 

武は水平噴射跳躍中にレーダー内に捕らえた敵を目視した瞬間、オープン回線で叫んだ。

 

「ヴァルキリー10、フォックス3ッ!!」

 

武は正面から武と同様に水平噴射跳躍で接近してくる富士教導団の一個小隊に向けて36mmを撃った。撃ったのはいいが、あたる訳もなく、近くにある崩壊したビルなどに着弾していた。

 

「くっそ!こうなればッ!!」

 

武は水平噴射跳躍したまま、耐久値のそれなりに高そうな瓦礫に主脚を着き、脚力と跳躍ユニットで垂直跳躍からの1回転捻りをし、そのまま急速下降噴射で追いかけてきていた古鷹の背後に入ることができた。

 

「ヴァルキリー10、フォックス2ッ!!」

 

武は手前の古鷹の背中に向けて120mm砲を2発撃ち込んだ。勿論、そんなものが機体に着弾すれば機体損傷どころの騒ぎじゃ納まらないほどのダメージを負うはずなのだ。

 

「ウォートホッグ3、主機跳躍ユニット断絶、コクピットブロック被弾、大破と認定。」

 

前を飛んでいた古鷹は減速したかと思うとみるみる高度は下がり、最終的には着地した。大破認定が出た為、演習が終わるまで動けないのだ。

 

「やるじゃない。白銀。」

 

水月は武が落とした古鷹の大破認定が出た途端、オープン回線で話しかけてきた。

 

「速瀬中尉がやれと言ったんです。速瀬中尉に負けて腹筋をやるのはいやですから。」

 

武は落とした『ウォートホッグ3』の分隊である目の前の古鷹に36mm機関砲を撃ちこみながら言った。

 

「ぬわんですてぇぇぇ!もう囮はお終いよ。とっとと片付けましょ。」

 

「了解。」

 

一斉に武達がその命令に了解すると、スタート地点にまだいた3機の不知火も同様に水平噴射跳躍で接近してきた。どうやら武と同じ様な戦法を取るようだが、そう何回も同じ手に富士教導団も引っ掛からないだろうと分かっていた水月はそこに更に手を加えた。

戦域マップに表示中のヴァルキリー2のアイコンはこれまでに水月が見せたことのない動きをしていた。

反転噴射からの上体を逸らし、追っ手をそのまま前へ行かせてから最初から92式多目的追加装甲はスタート地点に置いてきてあったのか、本来追加装甲の保持するためのグリップが握られている筈の左主腕には74式近接戦闘用長刀が握られていて、その刃先は既に古鷹の腹部に鈍い音を響かせていた。

「ウォートホッグ4、機体二分されたとし、大破。」

CP将校の遙からまた確認の通信が入った。既にあっちは2機墜ち、分隊のみが残されているが、まだ武達は誰一人として墜落させられておらず、さらに無傷で2機目が墜落するのを見届けると、地面に主脚で直立し、主機を最低運転で停止した。レーダーにも未確認機表示は消えている。富士教導団も最低運転に切り替えたのだろう。

 

「速瀬中尉、とんでもない動きしてましたね。」

 

「当然でしょ?これなら不知火のほうが優位であると証明されるわ。というか、証

明されなきゃ不味いのよね。『Low』の機体に負けるのは、帝国軍的にもあんまりよろしくないでしょ。高価な機体が安価な機体に負けるなんて。」

 

近くで最低運転をしている水月は開放通信でそう言った。

確かに、それはよろしくない事態だ。不知火は負けてはいけないんだ。A小隊は引き分け、C小隊は敗北した。B小隊はなんとしてでも勝たなければならなかった。だが現状はとても有利だ。

 

「中尉どうします?」

 

武は小隊長である水月に聞いた。

 

「ロストの最終地点付近にいる筈だから、運がいいのか悪いのか分からんが、丁度2機ずつ敵の分隊を挟んでるようだし、4方向から挟む。白銀と御剣は右回りに匍匐飛行。その後合図で同時に敵の懐に入る!」

 

全員が了解したのを確認すると、水月は武と冥夜に移動する命令を下した。

移動中、敵はセンサーに反応しなかった。陽動だと思ったのか、まったく戦域マップ上の表示に変更はなかった。

 

「ヴァルキリー10、配置完了。」

 

「ヴァルキリー11、配置完了。」

 

「全機最大戦速で懐に突っ込む、以降兵器使用自由!」

 

その合図で、戦域マップ上のすべてのA-01表示が一気に一点を目指して噴射滑走を始めた。だがその瞬間、武の背後にセンサーが熱源を感知した。

 

「ヴァルキリー10、エンゲージディフェンシヴ!フォックス3!」

 

武は跳躍ユニットの逆噴射制動をして、急速方向転換しそのまま全力噴射した。体には相当のGがかかっている筈だが、強化装備の機能でそれなりにしか体にGが来てないように感じていた。

 

「白銀はそのまま、バンデット3を叩け。残りで挟んでる敵を食う!」

 

「了解!」

 

水月は方向転換せずに、向かうべき方向へ飛んで行った。

 

「うおぉぉぉ!」

 

武は水月が命令する前から既に機動格闘戦をしていた。敵はほぼ同じ性能の古鷹。

正面から攻撃し合わないと永遠と鬼ごっこが続いてしまうか、逃げ切られる恐れがあった。

 

「くっそぉぉ!」

 

武は36mmも120mmも弾切れになって給弾モーターの空回りしている音が聞こえたのを確認すると突撃砲を投げ捨て、74式近接戦闘用長刀に持ち替えた。

突撃砲と弾薬分、機体が軽くなってより速度が出るようになってからは見る見る古鷹との距離を縮めていった。

突然、古鷹が武に30mまで接近したときに、跳躍ユニットの方向を変えて、急降下した。

 

「チャンスっ!」

 

武はそれに続くように急降下した。不知火のほうが重い分、動力補助がついた降下

物体の加速は古鷹よりも速いはずだと武は思ったのだ。

武の思惑通り、不知火は急降下した古鷹の背後を取ると、長刀を振り下ろした。だが、振り下ろして振り切った。古鷹は跳躍ユニットの方向を変えて、今度は水平噴射跳躍した。

 

「逃がさねぇぇぇぇ!」

 

武は無意識に65式近接戦闘用短刀をナイフシースから引き抜くと、短刀をハンドルグリップした。弧を描くように飛翔した短刀は古鷹に吸い込まれるように飛んだ。だが、跳躍ユニットから噴出中の熱風で軌道がずれ、古鷹の右跳躍ユニットに鈍い音を響かせた。

「ウォートホッグ2、右跳躍ユニット大破、出力50%低下。」

遙がそう言った瞬間、バンテッド3は逆噴射制動をし、武の不知火に向かって来た。武には蹴りをつけるように思えた。

 

「ヴァルキリー12、右主脚被弾、コクピットブロック被弾、大破。」

 

「ウォートホッグ1、胴体断絶、大破。」

 

次々と遙が大破や、ダメージを負った状況をオープン回線で知らせた。

目の前には古鷹が突っ込んで来ていた。とっさに右にそれて回避し、腰部に74式近接戦闘用長刀を振り落とした。古鷹は74式近接戦闘用長刀が腰部に当たった。

 

「ウォートホッグ2、胴体断絶、大破。状況を報告せよ。」

 

「B小隊、作戦完了。」

 

水月はオープン回線でそう伝えると、機能停止していたバンテッドが大破地点から反応した。

 

「白銀ぇ?アンタいくらなんでも喰いすぎよっ!」

 

水月かオープン回線で武にそう叫ぶと、武が笑いながら答えた。

 

「速瀬中尉も2機落としたじゃないですか。その不満は冥夜が一番いいたそうですよ?」

 

「タケル、全くその通りだ。獲物をくれてもよかったろうに。」

 

冥夜が不満そうに言った。だが、武は慧の名前を言わなかったのは、撃墜されたか

らだ。

 

「ははは。ですって、速瀬中尉?」

 

オープン通信内で笑いが起こった。

その後、格納庫に戻った時、格納庫内は喚起していた。富士教導団に勝ったということは、とても凄い事だと改めて武は思ったのだ。




次回の投稿は少し遅れると思います。1ヶ月はかからないとは思いますが、なるべく速めに投稿しようと思います。

最近、投票という機能があること初めて知りました。
よくわからないので、投票するとどうなるか教えてくださるとうれしいです。

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